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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
19/110

いにしえの巫女編 可愛い幽霊って素晴らしい

 



 雪上の月夜に輝くに咲く一本の夜桜 




 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー



 

 なでなで。。 





 なでなで。。


 ん?


 頭を撫でられてる。。


 そういえば昨日も撫でられてたわ。。


 あーーーー、良い。


 撫でられて嬉しそうに尻尾を振ってる犬とか、ゴロゴロ喉を鳴らしてる猫の気持ちが分かる気がする。


 撫でてもらうって幸せや。。。


 もし俺が猫やったら喉をごろごろ鳴らしてるやろな。。。


 

 俺はゆっくり目を開ける。


 この手が翔陽とかってオチはないよな。。

 

 ぼんやりとヴェルが見えた。

「んー。。。ヴェル。おはよう。」

「おはようだっちゃ。」


 なでなで。


 心地よすぎても一度目を閉じてしまう。


 スーースーー。。


「ダーリンの寝顔、可愛いっちゃ。」


 まだ半分夢の中にいてぼーっと何も考えられない俺に、ヴェルが独り言なのか話しかけてるのか、分からへん事を言ってる。


「んんー。。。」


 まだ眠たくって寝息の様な返事を返す俺。


『うちこれ好きだっちゃ』

 って言って夜はハンモックで揺れながら寝ていたのにな。。

 いつの間に膝枕を。。


 すると。


 撫でられていた手が止まった。


「翔陽おはようだっちゃ」

 ガバッと俺は起き上がる

「ヴェルさんおはようーー。んーーーーーーー!」

 翔陽が伸びをしてる。

 釣られて俺も伸びをする。

「ふぁーーーーーーー。。。」

 と共に大きな欠伸(あくびも漏れ出た。


「おはよーー」

「おう!海晴おはよう」

「ダーリンおはようっちゃ」

 俺はサーフィンのフィンで出来た時計に目をやる。

 まさかの10時17分。


「え?10時?」

「まじ?」

「マジだっちゃ。二人とも寝すぎだっちゃ!」




 昨日の話。


 俺の部屋に帰って、俺達は疲れからか、陽が落ちると共に眠りこけてしまった。

 で、寝落ちしてる中、玄関のドアをノックする音で起こされた。

 誰やと思って出たら。

 ノックの主は翔陽のお母さんやった。

「おわ!母さん!?」

 翔陽がめっちゃびっくりして玄関に駆け寄ってきた!

「綺麗な人だっちゃーー」

 そうやねん。

 翔陽のお母さんはほんまに、めちゃくちゃ綺麗なお人やねん。

 スタイルは服の上からでも分かるボンキュッボン、胸が強調された服からは谷間が見える、高校生の俺は目のやりどころに困るって。

 髪の毛は長いストレートで栗色の髪が輝いてる。

 小顔やのに目は大きくキリッと少し上がって、めっちゃかっこいい!

 名前は横山麗子よこやまれいこ、麗しいって漢字がぴったりの人。

 今日のテレビのニュースを見て心配して俺の家へ来たって言ってた。

 ありがたい事に晩御飯まで持って!

 昼ご飯にハンバーガーを食べようと言ってたのに。

 巨大烏賊の所為で食べ損なってて、腹ペコのた俺たちは飛び上がって喜んだ!

 そして入ってきて早々「海晴が婚約だってねー!おめでとうーー!可愛い奥さん見つけたわねーー」

 やってさ。

 ニヤニヤして肘で俺の脇を突きながらちょっと嫌味ったらしく祝福してくれた。

 こういう所、、翔陽とそっくりやわ。

 高校生に向かって、なんでやねん。

 麗子さんの言葉に対して俺は言葉に困って何も返せなかったことをめちゃくっちゃ覚えてる。

 今思えば翔陽の時みたいにしっかりツッコミ入れるべきやった。

 ヴェルは麗子さんの祝福に大喜び大はしゃぎしてたけど。

 困惑中の俺はその言葉の通り困惑してた。


 それから四人で晩御飯!

「今日はイタリアンをテイクアウトしてきたの」ってめちゃくちゃ美味しそうなイタリア料理!


 〜イタリアの5つ星ホテルレストランなどを経て、日本の有名イタリアンの料理長のイタリア人シェフ。彼が手がける本格的なイタリアンをカジュアルに堪能できると評判。

 旬の野菜や本場から仕入れた食材を使用したイタリアンで、毎月変わる自家製の手打ちパスタは必食。なかでも一番人気を誇るのが、イカ墨・生ウニ・トマト、3色のコントラストが美しい「生雲丹のせフレッシュトマトソースのイカスミ入り自家製タリオリーニ」。贅沢なソースが絡んだもちもちのパスタは絶品〜

 やってさ。

 他にもいっぱいのイタリア料理。

 まぁとりあえずめちゃくちゃ美味くって!!

 一気に疲れが吹きんだ!

 ほんまにこんな美味うまい料理どこでテイクアウトして来ねん。。

 翔陽の家ってお金持ちやからなー。

 それから「婚約の祝杯よ」ってワインをちょびっと飲まされた。

 ニッコニコの麗子さんはイタリアンの美味しさに浸りながら幸せそうやった。

 で、ヴェルは麗子さんと大喜びで飲んでた。

 その後、麗子さんと俺達は海月とか烏賊とか俺達が戦いの途中で創り出した珠とかの話で会話がめちゃくちゃ弾んだ。


 皆んなで笑顔で食べるご飯は本当に美味しいし楽しい!

 最高の時間やった!

 晩御飯を一通り食べ終わって会話も落ち着くと、麗子さんが話を切り出して来た。

 ひとつ頼みを聞いて欲しいらしい。

 その内容ってのが。

 明日、翔陽の家である光波神社の裏にある、光波山に少し違和感があるらしくって見てきて欲しいって事やった。

 麗子さんは除霊の仕事があって行けへんらしい。

 それを聞いたヴェルは「冒険冒険!山登り山登り!」とはしゃいでた。

 翔陽は自分で行ったらいいじゃん、的な感じの面倒くさそうな雰囲気を出してた。

 俺は基本的に入ることの出来ない光波山を探索出来るし少し楽しみや!


 光波山は俺の住んでる大浜町の東側にあって、海のすぐ側の標高600mと小さい山、山頂に大岩がそび立ってて、その上からの景色は格別!めちゃくちゃ綺麗らしい!

 海に面してる山の南東側は断崖絶壁、その断崖絶壁の上には大きな灯台があって光波山はいつも海を見守ってる。

 

 そして、その光波山の麓に光波神社があって、そこが翔陽の家。

 小さな神社やから管理するのは一家で十分らしくって。

 参拝者も少ないから、お金を稼ぐために除霊や退魔などをメインの仕事としているらしい。

 たまにヒマな時俺も翔陽を手伝ったりするんやけど、お札を貼ったりで本当に除霊できてるのか俺は信じてない。

 翔陽いわく、霊もいるし、悪霊や妖怪などと戦うこともあるらしい。

「そんな危ない時は海晴には手伝ってって呼ばないけどな」だって。

 やかましいわ、妖怪と戦うとか嘘すぎるやろ。


 。。。

 

 で、まーそんな感じで今日は麗子さんの頼みを聞いて、光波山に行く事となっている。

「翔陽何時くらいに家に行ったらいいん?」

「昼飯食べてからでいんじゃないか?山の中食い物無いし」

「お弁当持って行くっちゃ!ダーリン!おやつは300円までだっちゃよ!」

「遠足か!」

「だっちゃ!」

 うん、ヴェルは完全に遠足気分や。

「じゃあここの近くのパン屋さん寄って行こうぜ」

「お!いいねあ!そこのパン美味いもんなーー!」

「じゃあ準備して行こう」

「あ!そういえばこれ、さっき皆んなが寝てるうちに作ったっちゃ」

 ヴェルがブレスレットの様な物を見せてくれた。

 蝋燭引ろうびきの紐でヘンプのねじり編みで編んであった。

 ブレスレットの真ん中には昨日拾った石がとり付けられてて、それぞれちゃんとシーグラスの色と紐の色を合わせてある。

 めちゃくちゃお洒落や。

 ヴェルが翔陽と俺にブレスレットを手渡してくる。

「これすげーな!色が良い!」

「ほんと?嬉しいっちゃ!」

「ほんまにめちゃくちゃお洒落や!」

「ダーリンも!嬉しいっちゃ!」

 三人とも左手にブレスレットをつける。

「じゃあ行こう!」

「行くっちゃ!」


 俺の家の近くのパン屋さんでパンを買って。

 俺達は、自転車を飛ばして翔陽の家の光波神社に向かった。

 ヴェルはいつも通り俺の後ろに乗ってる。

「わぁーーーーーお!ダーリン山登り楽しみだっちゃねーー!」

 ほんまにいつもヴェルは楽しそうや。

 二人乗りなのにペダルを回すのが別に重いと感じひん。

 多分ヴェルは後ろに乗りながらも軽く飛んでるんやろな、俺にくっつきたいがために後ろに乗ってるだけで。

 はは、そこに気づいたらなんかさらに可愛く思えてきた。


 俺達は15分くらいかけて光波神社に到着した。

 光波神社の鳥居の前に立つ。

 相変わらず小さな神社なのになんか凄い大きな威厳を感じる。

 ヴェルが立ち止まって、それに釣られて俺と翔陽も立ち止まった。

 真っ赤な鳥居が大きく、神々しく、そびえ立っている。

 青い空と、春を迎えて今から新緑を芽吹かそうというエネルギーの溢れる山を背景に、真っ赤な鳥居はその山のエネルギーを強め、さらに増幅している様に感じてしまう。

 鳥居の先には山の木々の間を優しく石段がゆっくりと曲がって登り、木々の間から差し込む木漏れ日が階段を照らす、自然と調和した雰囲気が良い感じ。

 階段の脇には石灯籠が力強く石段を護っている。

 自然が豊かなんやろうな、普通の木々や草に混じって苔や枝垂など多種多様な植物が生えてる。

 周りの石や木、階段の石段までしっかりと苔が生えてるんやけど、鳥居や石灯籠にはなぜか苔が全く生えてない。


 自然と調和してて、神秘的な鳥居と石段。。。

 光の差し込み方まで考えた芸術、ほんまに凄い。

 いつ見ても俺は感動させられる。


「行こうぜ!」

 魅了されている俺とヴェルに翔陽が声をかけた。

「あ!だっちゃね!行くっちゃ!」

「ヴェル、翔陽ん家って凄いやろ!神秘的やし神々しいし」

「うん、本当に凄いっちゃ。。」

 ッザッザ。

 皆んなで一礼してから鳥居をくぐって中に入る。

 森林の独特の木と土の香りの中、石段を登って行くと射し込んでくる木漏れ日がめちゃくちゃ気持ちいい!

「んーーーーー!気持ちいいっちゃーー!!」

 ヴェルが歩きながら伸びをしている。

 300mくらい石段を登り、石段の先にあるもう一つの鳥居をくぐると開けた場所に出た。

 そこには光波神社の本殿が見える。

 小さな神社やけど自然と共存している様な佇まいで。

 まさに森の中にある神社という感じだ。

 優しい強い力を感じる。

 綺麗に本殿前の石畳も掃除されてる。

 池にある飛び石の様に本殿や翔陽の家へと歩幅に見事に合わせた石の道が続いてる。

 鳥居をくぐって左の社務所が社務所兼翔陽の家となっている。

 古き良き趣きを残した古民家で。

 やっぱり時代の名残を感じる。


「こんにちわーー!」

 俺が格子戸をガラガラと元気よく開ける。

 ヴェルはこの神社という空間をアニメでしか見た事ないから、本堂が見えてからずっと「大夜叉だっちゃ!江戸時代に行く井戸はどこだっちゃ」「君の名はだっちゃ!きっと星が降ってくるちゃ」だとか、ずっとテンション上げてる。

「ヴェルさんこっちこっち!」

 神社で飛び回ってるヴェルに対して。

 翔陽が声をかけた。

「ごめんちゃ!テンション上がるちゃ!翔陽の家凄いっちゃねーー!歴史のロマンだっちゃ!」

「いや、ただ掃除が大変なだけだよ」

 なんて話しながら俺に続いて家に入ってきた。


「はーーーーい」

 奥から袴姿の女の子が出てきた。

「あ!きっ桔梗!だっちゃほんとうにいたっちゃ!」

 俺の肩に両手を掛けて後ろから覗き込むヴェル、肩を握る力が強い、テンションが上がってるのが分かるわ。

「小春ただいまー!」

 翔陽が元気よく小春ちゃんに声をかけた。

 そう、この可愛い袴姿の女の子は小春ちゃん。

 少し青がかった髪の色が夜の空を思い出させる。

 艶やかなその髪は光を受け流しキラキラ光る。

 まるで星空の星みたいや。

 桜の花びらをイメージした小さな巫女簪(みこかんざし)がまるで星空の中の夜桜。

 はらりと落ちたかの様な唇がまた桜色で素敵。

 ヴェルが見惚れてる。

「小春ちゃんこんにちわ!ちょとぶり!」

 俺は飛び切りの笑顔を作りながら挨拶した。

 目が合った途端小春の目に俺は吸い込まれる様に小春を見てしまった。 

 瞳の色も髪の毛と同じ夜の様な藍色。

「はい海晴君こんにちは。そうですね。ちょっとぶりです。」

 話しかけられて俺は我に帰った、俺も見惚れてたっぽい!

「ダーリン!」

 ヴェルにいきなり後ろから右ほっぺを思いっきりつねって引っ張られる。

「いででででで!」

「ダーリン!今色目で見たっちゃ!」

「ふぃふぇない!ふぃふぇふぁい!」

「何?海晴ヴェルさんはいるのにまさかそんな!」

「ふぃふぇないって!」

 ここぞとばかりに肘で突いてじゃれつく翔陽。

「ふふふ」


 袴の女の子、小春ちゃんが笑っている。

 俺たちの目の前にいる蒼と白の袴を着ている女の子は絹川 小春(きぬがわこはる)

 神秘的な雰囲気を持ってる女の子。

 肌が雪の様に白く美しい、唇か小さくって桜色、小春ちゃんに初めて会った時の第一印象は《雪上の月夜に輝くに咲く一本の夜桜》

 本当の和風美人って感じの女の子。

 いっつもニコニコ笑顔、でも、なんでか、小春ちゃんの事を皆んな心配してしまう。

 笑顔が本当の笑顔じゃない様な。。

 全体的になんとなくだけど気配が薄いって気がする、なんて言うか存在感的な物とか、生命力的な物とか。。

 少し闇を抱えてそうやねんなーー。

 春休みが始まった十日くらい前から、翔陽の家で働き始めて、遊びに来るたびに顔を見せてくれる。

 その度に可愛さに魅了されるんやけど。

 翔陽は『小春の本当の笑顔が出たこと無いんだよな、だから何とか心から笑える様になってほしいって思ってる』って話してた。

 だから俺も何とか闇を祓ってあげれたらなーーなんて思ってた。 

 

「じゃあ俺山登りする鞄とか色々準備したいから、俺の部屋でちょっと待ってて。」

 考え事してたら翔陽に声を掛けられて我に帰った。

「ダーリン何ボーッとしてるっちゃ?」

「え?ああごめん!」

 ヴェルに謝っていると途端に小春ちゃんが歩み寄って来た。

「あなた。。。飛んでるって幽霊ですか??」

 急に小春ちゃんがヴェルに歩み寄った。

「私と同じですね」

 小春ちゃんもふわっと浮いた。

「えーーーーー!!」

 うそやろ??

「あちゃーーー。」

 翔陽が顔を抑えて俯く。

「うちは宇宙人だっちゃ!お前はなんだっちゃ?」

「私は幽霊なんですよ。」

「えーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 俺の驚いた声が翔陽の家に響いた。

「小春ちゃんって!幽霊やったん!?初耳でめっちゃくちゃビックリなんやけど!」

 何度か会ってる俺も小春ちゃんが幽霊って事は知らへんかった。

 小春ちゃんの存在感とか生命力とかが薄く感じた理由は幽霊だったからや、納得したわ。

「幽霊だっちゃ?本当に?じゃあ幽霊なら壁も通り抜けれるっちゃ?」

「勿論できますよ。。。」

 小春ちゃんはすっと壁の中に入って戻ってくる。

 そして戻ってきた小春ちゃんの下半身は今も壁の向こう側にある。

「凄いっちゃーー!!うちが小春を触ることも出来るっちゃ?」

「もちろんできますよ。」

 小春が壁から出て来て。

 手を差し出す。

 ヴェルが手を触る。

「本当だっちゃ!と言うことは。。」

 ヴェルが小春ちゃんの両肩をガシって掴んでクルッと回す。

「え??」

 そして背後から抱きつくヴェル。

 脇の下から小春のおっぱいを鷲掴み。


 もみもみもみ。。。


「あ。ちょちょと。何を?やめて。。あ。」


 俺と翔陽は今の状況から目を離せずにいる。

 二人とも今にも鼻血が吹き出しそうや、両手で鼻を抑えて耐える。

「おいヴェル!何やってんねーーん!」

 俺は理性をフル稼働して声をかけた。

「ごめんっちゃ!小春のおっぱい柔らかくて気持ち良いちゃ!」

 小春ちゃんは少し俯き頬っぺたを桜色に染めている。

「幽霊でも気持ちよくなるんだっちゃね」

「やかましいわ!」

 翔陽はまだ目が点になってる。

「おい翔陽!」

 翔陽の脇腹を肘で突く。

 ハッと次が翔陽が我に帰って来る。

「ああ。。小春、母さんはどこ?」

「麗子さん急に妖怪退治の依頼が舞い込んで、いい儲け話よーーって飛び出して行っちゃいました」

「はーー母さん。。」

 頭を抱える翔陽。

「今日は神社は無人でいいから、小春も光波山の異変探して来なさいって言ってました。なので私も一緒に行きますね」

 優しい笑顔で小春が笑う。

「小春ちゃんも行くの?」

「ダーーーーーリン!」

 ビリ!

「いだーーーー!!」

「また変な目してたっちゃ!」

「してへんわ!」

 ヴェルは巨大烏賊のときに使える様になった電撃をまた使ったよな、威力弱目で。

 じゃあ翔陽もあの火の力は使えるんかな?

 俺もどうなやろ。

 使えるんかな。

「じゃあ準備出来次第行こうぜ!」

 翔陽が張り切ってる!

「私はいつでも行けますよ」

 にこりと笑う小春ちゃん。

「お、おう!じゃあちょっと待って!すぐ準備して来るから!」

「オッケーだっちゃ!」

「はい。ここで待ってますね。」

 優しい笑顔の小春ちゃん。

 ヴェルが『いつも元気ハツラツ!宇宙人のヴェル!』って感じなら。

 小春ちゃんは『いつも貴方を私の優しさで包みみます。』って感じ。

 二人ともめちゃくちゃ可愛いんやけどタイプが全然違う。

 

 元気ハツラツのヴェルはやはり元気で、小春ちゃんに興味しんしん。

 翔陽を待ってる間にめちゃくちゃ質問攻め。

「通り抜ける通り抜けないは自由に選べるんだっちゃ?」

 だとか。

「飛んでる原理は宇宙人のうちとは違うっちゃねーー。」

 とか、でもそれにちゃんと笑顔で受け答えする小春ちゃん。

 めっちゃ神!

 いや。

 女神!

「ヴェルさんは逆にどうやって飛んでるんですか?」

 とか。

「もうさっきみたいにおっぱい触らないでくださいね、ふふふ」

 とか、楽しそうに話し始めている。

「ヴェルちゃんはどうしてこの地球にきたの?」

「あのね、うちヴェルだっちゃ!だからね!ヴェルって呼んで欲しいっちゃ!」

「わかった。ヴェル。私も小春って呼んで。」

「もちろんだっちゃ!うちらもう友達だっちゃ!うちの星ではね心臓のある左胸を触り合う事が心を許せる仲間ってことなんだっちゃ!だから小春とうちはもう友達なんだっちゃ!」

「そうなんだ。じゃあ。。」

 スッと小春ちゃんは手を伸ばしヴェルの胸を右手で揉んだ。

「これでちゃんと。友達?」

「だっちゃ!これで小春とうちは仲間で友達だっちゃ!」

「嬉しい。。。」

 小春ちゃんの綺麗な目が少し潤いを増す。

「そんなにだっちゃ?」

「私、ずっと友達が欲しかった。。」

「うちもだっちゃ!地球に来て初めての女の子の友達だっちゃ!」

 ガバ!

 ヴェルが小春ちゃんに抱きつく!

 なんかいいな、新たな友情の始まり。

「じゃあ俺も仲間の証を。。」

 ビリビリビリビリ!

「痛たたたたたたたたたたた!」

 俺はめっちゃ痺れた。

「ダーリン!男と女は違うっちゃ!変態だっちゃ!」

「え?変態??」

 ガーーーーーーーン。

 ショック。。

 

 トタトタトタ

「ごめんお待たせ!」

 俺がショックを受けてたら準備を済ました翔陽が小走りで玄関に戻ってきた。

「翔陽うちら友達になったっちゃ!」

「え!?もう?」

「だっちゃ!ねー小春!」

 小春ちゃんと手を繋ぐヴェル。

「はい!」

 可愛い笑顔で小春ちゃんが笑う。

「ふ。。そっか!いいね!よかった!」

 少し安心した表情の翔陽から少しだけ、安堵の息が漏れた。

「じゃあ行こっか!ってあれ?海晴どうした?」

 俺はズーーーンと肩を落とし放心状態になっている。

「何やってんだよ!行こうぜ!」

 翔陽に肩を掴まれる。

「ダーリンが小春に変な事をしようと企んだっちゃ!」

「してへんわ!」

「ははは!三人で何してたんだよ!」

「何もしてへんって!」

「だよな!よし!山行こっか!」

「行くちゃ!」

「ああ。行こう。。!!」


 四人で翔陽の家から出て行く。


「あてもなくうろうろ探すのもしんどいしとりあえず目標は山頂でどうだ?」

「いいっちゃね!うち山頂行きたいっちゃ!」

「って言うかさ。山頂はいいんやけど。麗子さん違和感を探せって言ってたやん。俺らは一体何を探したらいいんやろ?」

「だから違和感だろ?」

「いやだから違和感ってなんなん?それって、どうやって探したらいいんやろって話。」

「あーー俺もそれ、わからないんだよ。。まぁ気になる事とか普通じゃ無い様な事を探す的な解釈でいいんじゃね?」

「そうやんな。おっけ!じゃあとりあえず山頂!あんまり光波山って入らへんから楽しみやわ!」

「だよな!俺は体力づくりでよく登るけどな!」

「そうなん?」

「ああ!」

 「っやっま登り♪っやっま登り♪」

 ヴェルが小春ちゃんの手を掴んでスキップしてる。

 違和感探すっていうよりもう完全にピクニック気分やな。。


 ブンブン!

 ヴェルが小春ちゃんと手を振って歩いている。

 小春ちゃんの手を振りすぎ。

 あわあわなりながら小春ちゃんは手を振り回されながら引っ張られていく。


 ヴェルの勢いにポカンとさせられてしまった俺と翔陽。

 二人顔を見合わせ「ははっ」二人で笑ってヴェルと小春を追いかけた。


 四人は奇怪おかしな事になっているらしい光波山へと入って行くのだった。



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