力の目覚め編 婚約するって素晴らしい?
太陽が眩しい、青い空を見上げると雲が太陽に光を浴びて気持ちよさそうや。
ひんやりと熱の入った俺の体を冷やしてくれる海の温度が気持ちいい。
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
ドガン!!
バリバリバリバリ!!!
渦巻きを作っていた巨大烏賊に雷が落ちた!!!
ビホオオオオオオォォォォォオオオオオオ!!!
ビリビリビリビリ!!
バッチャン。。
力なく倒れる巨大烏賊。。
空を見上げると。。。
空中でどうだっと言うかの様にヴェルが仁王立ちしている!
「やったっちゃ!」
ニコニコのヴェル!
そして巨大な黒烏賊は。。
ゆらゆら。。
ヴェルの雷で焼け真っ黒焦げになってる。
痙攣もすることもできず。
ただただ。
海に浮き。
真っ黒な巨大烏賊は漂ってる。
二人とも強くなりすぎやろーー。。
って思いながら、俺と翔陽は。。
ヴェルの電の電流で痺れていた。。
「ああああああ、、」
「でででででで、、」
ヴェルの雷が俺らまで海水を通じて完全に巻き込んだ!
ビリビリビリ。。。
「ダーリーーーン!!!やったっちゃよーーー!」
ヒュイーー。。
何事もなかったの様にめちゃくちゃ笑顔で飛び寄って来るヴェル。
俺達も水の中にいるのに、、電撃って、、
びびった、、し!
めっちゃ痺れた!!
俺も翔陽も真っ黒に焦げて、頭が、髪の毛が、アフロの様にクルクルのもふもふになってしまってた。
何やってくれてんねん。。
バッチャンと海に浮いてる俺にヴェルが飛び寄り、より抱きついた。
まだ体がピリピリしてるわ。。
突然の電撃の驚きと痺れでリアクションが取れへん。
ギギギギとゆっくり横を見ると、翔陽もまだ真っ黒のまま仰向けで海に浮いている。
そして翔陽は口からボワんと焦げた息を吐いた。
こんな、皆んなを巻き込む攻撃、、怒って注意しとかなあかんな。
「ヴェル。。。。あのな。。お前は一体!!何やってるねん!」
「あれ?ダーリンどうしたっちゃ??真っ黒でチリチリだっちゃ」
「ヴェルのせいや!」
「うちのせい?」
可愛く首を傾げるヴェル。
可愛い、でもあかん、ここでデレたらあかん!
「あのな。ヴェルの使った電気は水を伝って周りに広がるんやで!一般の人が巻き込まれたら危ないやろ!?ってか元々言っといてや!電撃とか出せるんやったら」
「そうなんだっちゃ??あの力は水はダメなんだっちゃね。知らなかったっちゃ!」
「めちゃくちゃ痛かっんやから。。」
「ごめんちゃダーリン」
俺は抱き付くヴェルを引き剥がし。
まだピリピリしてる体を動かして、海水で真っ黒になった顔や髪を洗う。
ヴェルは俺を大丈夫か確認する様に見ながら、前に回り込んで目の前に立つ。
そっと両手で俺のほっぺたを触るヴェル。
俺が大丈夫か確認しているのか?
「ダーリン。ごめんっちゃーーー。」
初めて見るヴェルの悲しそうな顔、目がうるうるしてて、心がドキッと音を鳴らして鼓動した。
なんかちょっと可哀想になってきた。心配しながら本当にごめんなさいという表情で顔でヴェルは謝る。
「ヴェル、もう大丈夫!!」
俺はニコッと笑いながらほっぺたにあるヴェルの両手をそっと握った。
なんかもうヴェルの謝る顔も可愛くって怒る気持ちもどっかへ飛んでいってしまった。
テレビとか野次馬とかビーチにいっぱいいて恥ずかしかったし。
「っていうか、ヴェルさん飛んでたよな?」
翔陽?
あ、復活してる。
真っ黒のまま!
「そうや!ヴェル飛んでたやん!あれどうやって飛んだん??」
そっと俺はヴェルの手を離した。
「うちもともと飛べるんだっちゃ!長い宇宙船の生活で感覚が鈍ってたんだけど、ダーリンがいっぱいご飯食べさしてくれたから戻ったっちゃ!」
「マジで?ヴェルさんの星の人皆んな飛べるんだ?」
「飛べるっちゃ!それにここの重力って弱いから地球の方が楽に飛べるっちゃ」
「マジかー!めちゃくちゃ凄いやん。」
「ははは、本当にラムちゃんみたいだな!」
「だっちゃ!コレで夫婦だっちゃね」
「それは意味わからん!」
「なぁこの烏賊喰えるのかな?」
翔陽が素っ頓狂なことを言ってるわ。
「お前も何言ってるねん!」
スパンと側に立つ翔陽の胸の俺の完璧な突っ込みが入る。
「食べてみるっちゃ?」
「喰わへんわ!こんなん食ったら絶対病気なるわ!」
「いや。海晴!ゲテモノはうまいって聞くぞ!」
「食べてみるっちゃ!」
あー、もう。。
ヴェルと翔陽の無事を抱きしめてでも喜びたいのに。
なかなかさせてもらえへんわ!
こいつら、ほんまにアホやわ。。
「ははは。。あははは。あっはははは!」
アホな二人に笑えてきた!
ヴェルと翔陽がこっちを見る。
「はっはっはっは。。」
「あーーーっはっはっは!」
三人で笑い出す。
よかった!
「本当に良かった二人とも無事で!」
俺はヴェルと翔陽を抱きついた。
ヴェルと翔陽の腕にも力が入る。
抱き合う三人。
「ほんまによ良かった。。」
「ありがとうだっちゃ」
。。。
三人で今ここに立ってる嬉しさがどんどん湧き上がってくる。。
きっとヴェルと翔陽も同じ様に思ってる、何となくやけど伝わってきた。
。。。。
フーーーーー。。
っと一息抜く。。
「じゃあこの巨大烏賊食べてみよか?」
俺は二人の意見を聞き入れて提案してみた!
「食べるわけないっちゃ!」
「え?」
「海晴あのな。こんなん食ったら腹壊すぞ」
「ええええええええ。。。さっきまで食う気満々やったやん。。さっき俺が様なこと言ってたやん!それでも二人は食おうって。。」
「ははは!ダーリン可愛いっちゃ!」
「おちょくるな!」
「あははははは!」
『皆さーーーーん!大丈夫ですかーーー!?』
突然アナウンサーのお姉さんの呼び掛ける声が聞こえた!
即座に翔陽がカメラの方へ振り向い爽やかスマイルで手を振る。
アナウンサーのお姉さんがマイクで話しかけてきたということはカメラが回ってると、瞬時に判断したんやろ。
『皆さん!助けていただいて本当にありがとうございましたーー!』
お姉さんの本気の大きな声でのお礼が聞こえてきた!
そのお姉さんの方へ俺も手を振る!
なんて返したら良いのか分からへんからとりあえず俺も手だけ振った。
「無事で良かったですーーー!」
叫ぶ翔陽。流石爽やかイケメン!
「やっほーーい!」
ヴェルが無駄に飛び跳ねてる!
『おい!!そこの三人!手を頭より上に上げてこっちに来なさい!』
「え?」
さっきまではいなかったおじさんがいる。
拡声器を持って灰色のスーツを身に纏い、ビーチには似合わない革靴で立つ4-50代のおじさん、めっちゃ怒った顔で立ってる。
「え?何や?」
「どういう事だろな?」
「ダーリンあれ誰だっちゃ?」
「知らん!」
ビーチが緊迫した雰囲気を醸し出してる。
そのおじさんだけじゃない、ビーチにいる警察や消防の人達が集合してる。。
テレビクルーの人達もいるんやけど。
それ以上の人数の警察官がいる。
っていうか!
その大勢の警察官の人達は俺達に向かって銃を手に構えて銃口を向けてる!
「もう大丈夫です!巨大烏賊は倒しました!」
翔陽が叫ぶ!
嘘やろ。
巨大烏賊俺らが退治したのに。
何で俺らを警戒する様なこんな状況なってるんや。。
『早く両手を上げろー!!』
叫ぶスーツのおっさん。
俺も翔陽も拒否など到底出来ず、渋々両手を上げる。
ヴェルが俺の後ろに隠れた。
「ねぇ、何で怒ってるんだっちゃ?」
俺の背中からヴェルがきいて来た。
「多分、ヴェルが宇宙人やからやろ?怖いんやと思うわ。やし一旦俺達を捕まえたいちゃうかな」
「そういう事だろうな。どうする?」
「ヴェルは守る!」
「ダーリン。ありがとだっちゃ」
「ヴェルさん当たり前だろ!」
ニコッと笑う翔陽、こんな訳の分からないピンチでも翔陽は爽やかやわーー。
『ちょっちょっと待ってください!彼らは私たちを助けて凶暴な巨大烏賊を退治したんですよ!さっきも説明したじゃないですか!』
アナウンサーのお姉さんは警察の行動を止めてくれてる!
『ずっとテレビで中継してますからね!写ってますよ!』
「カメラを止めろ!」
『ここで中継を止めたら今から見せれない事をすると言ってる様なものですよ!』
「むぐぐぐぐ。」
顎髭を蓄えた無骨な警察官であろうスーツのおっさんが言葉を失った!
アナウンサーのお姉さんナイス!!
「我等はこの七海市の住人に危害が及ぶ可能性のある物を排除せねばならない!したがって反抗する様ならば撃つのもやむなし!さぁこっちへ来い三人組!」
やばい。
やばいやばい!
俺たちはまだ事情聴取とかそんな物で済むかもしれへんけど。
ヴェルは対研究所だとか、そんなヤバイ所に絶対送られるやろ!
そんなん絶対!
絶対あかん!
今俺達は捕まるべきちゃう!
まっ黒な巨大烏賊と必死に戦ってアナウンサーのお姉さんとかジェットの奴らとか助けたのに、、こんな事なるんか。。。
最悪やな。。。
なんでやねん。。
もうこっから思い切って逃げるか。。?
うん。
でも。
逃げるって、どうやって。?
考えろ俺。。
でも逃げてどうするんや?
逃げ出せたとしてもこれから警察に追われ続ける、警察から逃げ続けるなんて、無理やろ、それこそ良くない!
どうしたら。
くそ!!
パンッ!パンッ!パンッ!!
銃声が響き渡った!
ドキッとして警察の方を見る。
さっきのスーツのおっさんが空に拳銃を向けてる。
空を撃って威嚇したのか。
『手をあげてこっちへ早く来いと言っておろうが!!』
っくっそ!!
「翔陽」
「ああ、仕方ないみたいだな。。」
俺も翔陽も手を上げて一歩前に出る。
「ダーリン何してるっちゃ?」
「今はこうしないと、ヴェルも真似しろって!」
「わかったっちゃ!」
なんか手の挙げ方違う。
うさぎの耳でもやってんの?みたいな手の挙げ方やな。
浮いたままで。。
もうおちょくってる様にしか見えへんわ。
まぁいいか。
さらに一歩ビーチの方へ歩を進める。
俺達は何も出来ずに一歩一歩ビーチに寄って行く。
「ぐぐぐぐ。。」
翔陽の顔が今まで見た事ないくらい悔しそうや。
そんなことを思ってる俺の顔も悔しさでやばいことになってると思う。
ヴェルはめちゃくちゃ不安そうで、手を挙げるのをやめて、俺の腕を掴んでゆっくりとついてくる。
俺達はもう少しで警察に取り押さえられる。
でも!!
ヴェルだけは逃す!
取りおさえる前に!
思い切り暴れたる!!
翔陽と目が合った。
翔陽も同じ事を考えてる。
目が会うだけでわかる!
ヴェルは飛べるんやから空に逃す!
で、下で俺達が銃撃できないように暴れてやる!!
それでなんとかなるよな!!
絶対ヴェルは守らなあかん!
なんでか分からへんけど俺には強い意思があった。
浜辺へと近づいてきてる。
後。
三歩。
二歩。
一歩。
「ヴェル!飛んで逃げっ!!!!???」
俺と翔陽が暴れようとした途端!!
バシャーーーーーン!!!
突如として後ろで物凄い音と飛沫が上がった!
また真っ黒な巨大烏賊か!?
警察官達が空を見上げている。
俺達も驚き振り向く。
パラパラパラパラ。
打ち上げられた飛沫が俺達に雨の様に降り落ちてくる。
その水飛沫の奥には。
UFOがある!
誰がどう見てもUFO!
鉄の様な材質でできた円盤型。
裏側が青く光ってる。
UFOの上部には丸い半球体の窓状なものがいくつかあった。
フィーーーーンという音を発し、ゆっくりと空から下降してくる。
俺も含めてこの場にいる全員唖然として動けへん。。
海の少し上まで降りてきたらそこでUFOは止まった。
ブゥン!
円盤状のUFOの上にホログラムで人の上半身が映った。
「あーあー。。地球の皆さんコンニチハ」
「こわ!」
凄い迫力のでっかくてイカついおっさんが突然出てきた。
ただのホログラムやのに物凄い迫力が伝わってくる。
顔には右目の上からから鼻を経由して左の頬っぺたまでめちゃくちゃ大きな古傷がある。
明らかに刀傷で長い白髪の毛を真ん中から分け、歴戦の戦士かもしくは相当な経験を積んだ戦士、っていうより、、ヤクザ!
ヤクザのイカつい親分!
マジで怖い、睨まれて動けないほどの恐ろしい物凄い凄味がある。
大きな口からは上から二本の牙。
やっぱりあの怖い人も人間じゃないんかな?
今ここにいる俺達も、ビーチにいる人達も威嚇されてる?
全く動けへん。
巨大烏賊に続いて今日二度目の威嚇。
なんて日やねんてぇ。。
ホログラムが大空に映写された途端にヴェルが俺から離れた。
「ヴェル!待て!」
ヴェルは俺の抑制も聞かずホログラムに向かって飛んで行く。
ヴェル、一体何をしようとしてんねん?
まさか危機を察してUFOに攻撃をしようとしてるんか??
あかん!闇雲に何か解らへん物に飛び込んだらあかん!
「くっそ!!」
俺は慌ててヴェルを追い掛けようとする!
けど。。
俺飛べへんし、追いかけられへんやんか。。
クソ。。
「ヴェル。。」
「ヴェルさん!ダメだ!!」
翔陽もヴェルに向かって叫んでいる。
今ここにいる全員が緊迫し、ヴェルを心配した。
その時。
「父ちゃん!」
え??父ちゃん??
全員が勇んでいた肩をガクッと落とした。
驚きで言葉を発することができひん。。
クァークァー。クァーー。。
しんと静まり返るビーチに鴎の鳴き声が響いてる。。
「「「「「ええーーーーーーーーー!!!!」」」」」
全員で死ぬほど驚いて叫んだ。
「父ちゃん!うち青い星に着いたっちゃ!」
ホログラムのヤクザの親分みたいな厳つい父ちゃんの顔の前でヴェルはフワフワ浮いて話しかける。
「おーヴェル昨日は連絡がなくて父は心配したぞ!」
「父ちゃんごめんちゃ!」
あの厳ついおっさんがヴェルの親父なんか?
ヴェルを目の前に厳ついおっさんはニコニコした笑みを浮かべている。
なんかあのおっさんヴェルが話しかけたら迫力が一気に半減したな。
明らかに娘大好きな親バカの雰囲気が出てる。
「してヴェル。星占いの運命の人には会えたのか?」
「会えたっちゃ!」
すーーっとヴェルが俺に寄ってくる。
「ダーリンだっちゃ!青の星に来て初めに会ったのがダーリン!それからねーー」
ヴェルが俺の腕を掴んでくっ付いてくる!
え?
俺はビックリで言葉が出せへんかった。
いや俺はそんな運命の人なんていい物じゃない。
周りに首を振ってそこら辺に居る人達に助けを求めてみた。
誰一人として状況に呑まれて動けてない。
翔陽もアナウンサーのお姉さんも顎髭の警察おっさんもテレビクルーの人達も警察の人達も野次馬の人達も。
皆んな唖然としてる。
「世界を救う運命を持った人だし、うちにも運命の人だっちゃ!」
ニコニコのヴェル。
くっつき過ぎておっぱいが当たってるんやけど。。
ギラリ!
ホログラムの厳ついおっさんの目が細まり、睨みつけるかのように俺を見てきた。
しばらく何を考えてるのか分からへんけど。
直視され続けた。
「ふむ。。それでヴェルや。ヴェルにとっても運命の人とはどう言うことだ?」
イカついヴェルの親父さんは俺を厳しい目で見据えながらヴェルに聞く。
「うちとダーリンはもう誓いのキスもして夫婦となったっちゃ!」
カメラがスッとこっちを向く。
おいカメラ!
そこはすぐ反応出来るんかい!
動けへんのと違ったんかい!
何てカメラの人にツッコミ入れてる場合じゃない!
慌てて否定をする俺。
「いやいやいや!ちょっと待って。違うんです、あれはヴェルさんが海の津波で溺れて死にかけてて、ヴェルの息を吹き返すための人工呼吸なんです!そんなやましい事は。。それにあの時、津波で俺も死にかけたし。。。」
「ダーリンは死の淵にいたうちをキスの力で救ってくれたんだっちゃ!命を掛けて海の中から助けてくれたっちゃ!」
ヴェルが俺の言葉に被せて話す。
ああ〜ほんまにやめてくれ〜めちゃくちゃ恥ずかしいわ、事実やけど、キスとか言い方が悪いって、誤解しか生まへんやんかぁ。。
あれは人工呼吸。。
生中継のテレビにまで映されて晒し者や〜〜。
ああ、もうそこの警察の人達引き金を引いて俺を撃ち殺してくれ〜〜〜。。
ホログラムのおっさんはずっと目を離さず俺を睨みつける。
うぐ。。
怖えーー。。。
何その見幕。。
何でそんなに俺を睨みつけてんの??
「うむ」
ホログラムのおっさんが頷くと視線俺から外れた。
そして俺達が倒した真っ黒な巨大烏賊を見る。
ぷはーー。。
あーー、よかった!
「のう!運命に選ばれたお前さんよ、あそこの黒い生き物を見てみぃ」
安心したのも束の間、イカついおっさんにそう言われた。
すると俺だけでなくこの場にいる全ての人と生放送中のカメラとか全ての目線が真っ黒な巨大烏賊に向いた。
巨大烏賊から何か黒い靄の様な物が立ち上ってる。
「もう消えそうだわい。」
何かイカつい宇宙人のおっさんが呟いてる。
すると。
ッボフンっと黒い烏賊は突然姿を崩し、黒い煙となった!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴっとずっと沖の方で起こっていた渦巻きが。
段々と小さくなっていく。
そして渦巻は見事に消えて無くなった。
海は完全な凪となった。
まっ平な海に上にボフンと弾けた黒い烏賊の靄だけが残る。
その靄もすぐに霧散していき、薄れてきてる。。
すると。
「あれ?なんや、、?」
靄の中から変な物が見える。
何か動いてる。
グニョグニョと棘の様な尖った物が伸びたり縮んだり。
あれは、地震を起こす黒い海月の時もあった。。
えっとなんやっけ。。
「時空の尖があるっちゃ!」
そうそう、それ時空の尖り。
昨日俺が消した奴がまたあるやん。
「のう、お前さん。あの時空の尖がこの世界のバランスが崩れている原因と言われておる。」
ああ、ヴェルの昨日そんな事言ってたわ。
俺はホログラムのおっさんを見上げる。
「お前さんあれを触ってみぃ!この世界を元に戻せる運命の人というならば、あの時空の尖を触れば消し去れるはずじゃ!」
「ダーリン!昨日の感じだっちゃ!」
「ああ、昨日も消したし消せるんちゃうかな」
そう言うと俺はザブザブと時空の尖の方へと歩いていった。
みんなの視線が痛い。
「もし消せなければお前さん、わしの可愛いヴェルの唇を奪った責任をとってもらうからのぅ」
い、、このおっさん急に何とんでもない事言ってるんや。。。
俺は肩をすくめながらそろりと上のホログラムのおっさんを見上げる。
「父ちゃん!なんでそんなこと言うっちゃ!」
無駄にめっちゃ怖いやん。。
「ダーリンは大丈夫絶対消せるっちゃ!」
うん、それも微妙にプレッシャーなんやけどな。。
ザブザブザブ。
皆に見守られる中、俺は時空の尖へと到達した。
禍々しいオーラを放ち空間が歪んでる、何本もの透明の棘が伸びたり縮んだり。
こんなもんは早く消してしまうに限るよな!
俺はそっと手を伸ばし時空の尖へと手を伸ばした。
なんでやろ俺にはこの時空の尖を消し去ってしまえる自信があった。
そっと時空の尖に触れる。
途端に俺の体から光が漏れ出し激しく光る。
辺りのみんなが目を開けれないほど激しく光った。
そしてその光はすぐに収まってきた。
光が収まったその時には俺の目の前から時空の尖は綺麗さっぱり消え去っていた。
ふーーーーーー。。。
よかった。。
俺の体の中から大きな息と不安が飛び出してどっかに消えて行った。
体が汗だくや周りのプレッシャーから身体中から汗が噴き出てた。。
俺はボチャンと海に倒れ込んだ。
「はー殺されるかと思った」
ぷかぷかと海に浮かび漂う俺。
太陽が眩しい、青い空を見上げると雲が太陽に光を浴びて気持ちよさそうや。
ひんやりと熱の入った俺の体を冷やしてくれる海の温度が気持ちいい。
とにかく大渦を消すことができてよかった。
ここにいる人達全員が無事やし。。
「はっはっは!海晴!やるじゃん!」
ぷかぷかと浮く俺の横に座り込んでパチンと俺の肩を叩た!
「うっさい」
俺はザバッと体を起こした。
『凄いです!おかしくなった世界の原因の時空の尖が消えました!!』
アナウンサーのお姉さんの声が響く!
それに呼応してビーチで見ていた全員が、
「うおーーーーーーー!!!」
「すごーーーい!」
「救世主だ!」っと口々に騒いでる!
恐る恐る俺は怖い宇宙人のおっさんの方へと振り向く。
すると睨みつけていた宇宙人のおっさんの口角は上がり目が急に優しくなった。
「がっはっはっはっは!そうかそうか!時空の尖を消せるなら間違いないのう!それに運命に選ばれるだけあるわのう!眩しいほどの不思議なオーラを纏っているおるわ!」
よかった、ヴェルとのキス、いや!人工呼吸のことはチャラ、いやいや、違うよな、俺がヴェルを助けたってことで、ホンマにやましい事なんて無かったんやと信じてくれたんだよな?
「それでは婿殿!これからヴェルとこの世界をしっかり頼むぞ!もしヴェルを不幸にする様な事なんて有れば。。のう!わかっとるのう婿殿!」
「はっはい!え?婿殿??ええ?婿ってどう言うことなん??」
結婚をする人みたいな言い方やけど。?
「だから言ったっちゃ父ちゃん!うちはもうダーリンが運命の人って確信してたっちゃ!それに、ダーリンと一緒にいるだけで幸せだっちゃ!結婚だっちゃ!」
だからヴェル、、そう言う恥ずかしい事を惜しげもなくさぁ。。
結婚とかも訳わからへんし。
「ふむ!わしも婿殿の事を、この壊れそうな世界を救う運命の人という事を認めてやるわい」
ニッコリ笑うヴェルのお父さん。
「おーーーーー!」
パチパチパチパチ
翔陽が無駄に祝福してくれている。
一人で。
素っ頓狂な顔をして。
「やめろアホ!」
「海晴おめでとう!」
そしてニッコニコの笑顔でパチパチと手を叩く翔陽。
完全に弄りに来ている。
「何がおめでとうやねん!」
「結婚だろ?」
「やめろ!」
「ヴェルさんもおめでとう!」
「ありがとうだっちゃ!」
「何でやねん!!」
「良い友達がいるのも良い事じゃの」
やさしい目ヴェルの父さんが俺達を見ていている。
「おお、そうじゃ!」
ッキ!とまた目力を入れなおしてヴェルのお父さんがジロリとビーチにわらわらと集まってい警察官達を睨みつけた。
「そこの者共!!!!!!その物騒な武器を娘に向けるのをやめんか!!!!!」
物凄い迫力の大声が警察官達を襲った!!
大地が震え凪の海が漣立つほどのるほどの罵声!
迫力がマジ半端ない!!
「ひぇ〜〜〜!!」
「ごめんなさーーい。。」
「助けてーー。。」
っと罵声で警察の人達は驚きと恐怖で崩れ落ち、膝を着いてしまっている。
あまりの迫力に背を向け逃げ出している警察官もいる。
一人の警察官が拳銃を捨て手を挙げると、全員真似して銃を手放し手を上げた。
「うむ。この星の人全てに婿殿とヴェルの事を伝えといかんのだがのう。おい!そこの男!!」
次はカメラマンのお兄さんにヴェルのお父さんは声を掛けた。
「お主の持っておるのは映像を送信する物じゃろ?」
こくこくこくっとカメラマンのお兄さんは頷く。
「それではそれを使って世界に婿殿の事を伝えるとしようかの!」
ヴェルの親父さんはカメラマンに向けて指を刺した。
今にもその指からビームでも出しそうな雰囲気を醸し出してる。
緊迫するテレビクルーやビーチにいる人々。
皆がその刺した指に注意した時。
ビビビビーーー。
ホログラムの土台となっているUFOからビームが出た。
ふわふわと遅い光のビームがテレビカメラへと向かっていく。
『そっちからかい!!』
俺達を含めてビーチにいる全員からのツッコミが入る。
そのビームはテレビカメラを捉えた。
発射されたビームの色に光出すカメラ。
「よし。これを世界の全ての画面に繋がったの」
え?そうなん?電波ジャック的な事したん??
すーーーーーーーーーーーぅ!!!
大きく息を吸い込むヴェルの親父。
「青い星の者共!!!!!よーーーっく聞けい!!!!!!」
またも大地を唸らせる様な咆哮にも似た声。
『青い星の者共!!!!!よーーーっく聞けい!!!!!!』
『青い星の者共!!!!!よーーーっく聞けい!!!!!!』
『青い星の者共!!!!!よーーーっく聞けい!!!!!!』
木霊する様にそこら中にある携帯電話やテレビ、ラジオなど映像を映したり音を流す物全てからヴェルの親父の声が響いた。
全員ポケットから携帯を出して見ている。
「何だこれ?何で携帯にここの映像が??」
テレビクルーの人達や警察官、消防士、一般の野次馬の人達も携帯を見て驚いてる。
「うむ、ちゃんと繋がっておる様じゃのう。」
ヴェルの親父が繋がっている事を確認しカメラに向かって話始める。
「よく聞け青の星の者達よ。
この青い星はのう、あと数年で崩壊し無くなってしまうぞ!!
既に今でも災害や人害など普通ではない出来事ががいっぱい起きとるじゃろ?
今もうこの世界のバランスは崩れ始めておる、この青の星だけではないぞ!
宇宙の星々全てが崩壊に向かっておるのじゃ!
そのバランス崩壊の元となっておるのがこの星じゃ!!
だからのう!ワシの愛する娘をわざわざこの星まで送っておる!
それはこの世界の崩壊を止めるためじゃ!!
だからのう!絶対!!!!
ワシの娘の行動を制限するのを禁ずるぞ!!
我々の星も影響を受けて崩壊に向かっておるでなワシの娘の邪魔をする様ならなば。。。
わかっとるのう!!!!!!
わしらの力でこの青い星は滅ぶのじゃからな!!!」
「怖ぁ、、」
マジでヴェル親父の迫力が凄い。。。
ヴェルも言ってたけど、ほんまにこの宇宙を含めた世界って崩壊してしまうんかな?
『地球が無くなってしまうということですか?』
アナウンサーのお姉さんが質問をした。
おお、この怖いおっさんに、、凄い勇気や。
アナウンサー魂ここにありやなーー。
「このままだったら無くなってしまうのう、地球だけじゃないのぅこの宇宙の星々全てがじゃ、、しかし!!絶望する必要はないぞ!大丈夫じゃ!!ワシの娘を信じるのじゃ!
さすれば世界は救われるであろう。。
婿殿を含め、そこにおる二人も同じく世界を救うために選ばれた二人じゃ!」
ヴェルの親父が俺と翔陽に向かって指を刺す。
途端に翔陽と俺の方にカメラが向く!
「え?俺も?」
翔陽がビックリして自分に指を指してる。
『それは理解できます!彼等は今日、私を救い!ジェットスキーの人達を助け!さらに大渦の元凶だとお思われる大きな黒い烏賊も倒してくれましたから!』
「そうじゃろう!この者達の力はまだ小さい!
だがこの者達のお陰で崩壊は止まる!
しかしまだこの者達の力は小さい。
それにもっと運命に選ばれる者も増えるであろうし、彼等自身の力も強くなるであろう!
だからなどは心配要らぬ!!」
『なるほど!彼等はまだまだ成長するという事ですか!?』
「その通りじゃ!だからの。周りの者達が余り騒がない様にせなばなん、実験だ戦力だと言ってこの者達を捕まえ、必要な時に何も出来ずこの世界を崩壊させてしまいそうだからのう」
『確かにありそうな話ですね』
「一般の者達は静かに救いを待つのだぞ。慌てずに今まで通りの生活をしてるだけで良い、この者達の行動を阻害する様なことは絶対するんでは無いぞ!」
『なら私達は今までと変わらない生活をすれば救われると言う事ですか?』
「まぁそうじゃ!」
『急に安心しました。。彼らがいる限りこの世界は安泰なのですね!』
「その通りじゃ!!ああ。それからのう。まぁ大丈夫とは思うがの、一応伝えておくことがある」
ヴェルの親父の目が光る。
『何でしょうか?』
「もしこの者達に何かあり、世界の崩壊を止められなくなった時は。。」
『時は??』
「元凶であるこの星をわしらの科学力で消し飛ばしてしまうのがプランBじゃ」
「「「「「えええーーーーーーー!!!!」」」」」
その場にいる全員が驚きを隠せなかった。。
無茶苦茶なこと言ってるわーーー。。。
『じゃあこの子達に手を出したら、私達の星を消すって事ですか。。?』
。。。
言葉を失う一同。。
「わしらもそんな事はしたくないがの。
ヴェルや婿殿、この世界を救うもの達手を出さなければ、わしらの星とこの星は仲良しじゃ。
わしらがもっとる情報も多少はやろうて、その情報があれば危機を乗り越えた後のこの星は発展間違いなしじゃ」
『みなさん聞きましたか?この子達に手を出さなければ私達の星とあちらの星は仲良くできて、敵対はしないとの事です!』
アナウンサーのお姉さんが必死に俺達の事をテレビカメラに向かって伝えてくれてる。
『みなさん!もうこの子達を信じて私達は優しく見守るべきです!間違っても手を出さない様にしましょう!』
「そうじゃ!わしらの星の力を使えばこんな星!すぐに宇宙の藻屑となり消滅じゃからの!がーーーっはっはっはっは!」
怖!!
星を消滅させちゃうとか、怖すぎ!!
がーっはっはっはちゃうから。。
「ヴェルがこの星の人達が可哀想と言わなければ三年前にこの青い星は、この宇宙から消えて無くなっていたところじゃぞ!わしの可愛い娘のヴェルに感謝せい!」
ヴェルの方へカメラが向く。
笑顔で手を振るヴェル。
「そしたらヴェル一旦切るぞい、ヴェルまた困ったらいつでも連絡してきたらよいぞ、直ぐにでもこの星など父ちゃんが吹き飛ばしてやるからのう!がーっはっはっは!」
「父ちゃん!吹き飛ばしたらダメだっちゃ!!」
「分かっておるわ可愛いヴェルがいる限りそんな事はせぬわ!ヴェルまた連絡してくるのじゃぞ!10分おきにでも良いからのう!」
「10分は無理だっちゃ!父ちゃん!」
「そうか!あいわかった!20分おきでもええぞい!それと婿殿ヴェルとこの世界をこれからお頼み申すぞ」
「は、はい。。」
「ヴェルにもし何かあったら。婿殿。。。お主もわかっとるのう?」
「え。。。。?」
「がーっはっはっはっは!何も無いようにのう!」
「あ。。。は!はい!!」
「よし!!では婿殿、この世界も頼んだぞ!」
「は!はい!」
「じゃあのう!ヴェルやUFOは何時も主の上じゃぞ!」
「分かったっちゃ!」
ブゥン!
ホログラムが消える。
そして飛び去るUFO。
辺りに静寂が訪れた。。
ザーーーン。ザーーーン。。
怖!
何最後の脅し!
「こわーーー!!」
ヴェルが大好きにも程がある。
なんか世界を守るのがついでみたいな言い方やったし。。
しかも翔陽も世界を守る運命を持ってるって??
それで他にも運命に選ばれてる人がいるって?
で、失敗したら地球を吹き飛ばすみたいな事を言ってし。。
あーー。
また訳がわからへん。
ほんま、、分からなさすぎやわ。。
アナウンサーのお姉さんが寄ってくる。
世界を守るとかそんな事質問責めでもされるのか。。
俺はなんて答えたら良いか考えながら身構える。
。。
とにかく頑張ってこの世界を救う宮井なこと言った方が。。
『海晴くん!』
「は、はい・・」
ゴクリ。。
『ご婚約おめでとうございます!』
。。
え??。。。
「って!やかましいわーーーーー!!!何で今婚約の話やねーーーーん!!!」
「はっはっは!おめでとう海晴。まさかお前が結婚するとはなー。」
翔陽が俺の肩を叩いて覗き込んで来る。
「やかましい!結婚してへんわ!」
「ああ、婚約だったな!!」
「なんでやねん!!」
「ダーリン。。。」
「何や??」
「ダーリンこれからもふつつかなうちですが、よろしくお願いするっちゃ」
「や、やかましいわー!どこで覚えたんや!そんな言葉!」
「はっはっはっは!!」
「はははじゃないって」
『あははは!海晴くん!楽しい仲間ですねー』
「あ、えー確かに楽しい仲間なんですけど。。」
はぁ、、もう。。何でやねん。。
この後。
俺達はテレビクルーの人達と、警察の人と話し。
ビーチを去ったのだった。
今日の出来事は日本全国どころか世界中に放送されていて。
ヴェルの親父さんの話は世界に流れ。
多くの物議を醸したんやけど。
最後は俺達には無駄な手出しをしないと世界の暗黙の了解となった。
よかったーー。
って言いたいところやけど。
俺達はこれから運命に弄ばれていくのだった。