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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
13/110

力の目覚め編 力を手にするって素晴らしい

 


 一気に目の前の闇が晴れて、真っ黒な世界が、真っ白な光に包まれた!




 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー


 ヴェルを連れ去られて、俺と翔陽は巨大な真っ黒い烏賊を追いかけた。


 そしてまた来てしまった。。。


 美しくて不思議な世界。

 

 海の底にある宇宙みたいな世界。


 俺達はまた宇宙みたいな世界の余りの美しさと幻想的な雰囲気に見入ってしましまった。

 目を奪い、さらに考える思考まで奪うほどの、美しい世界。


 真っ暗な世界の中に、沢山の小さな宝石の欠けらを散りばめたみたいに、世界はキラキラ輝いてている。

 ぼんやりと赤い光や青い光の星雲。。

 そして青い月もやっぱりある。

 ほんまに凄い世界や。。。


「あ!」

 視覚の端にヴェルが見えた!

 そうや!

 今はこの世界に気を取られてる場合ちゃう!!


 ヴェルを!

 ヴェルを助けんと!


 翔陽を見るとキョロキョロしてこの世界に戸惑っているみたいや。

 俺も前来た時ははああなってたんやろうな。

 でもあかん!

 今はそんな事をしている場合ちゃう!

 俺は翔陽の背中をバシバシ叩く。

「翔陽!ヴェルを追いかけるぞ!」

 俺はヴェルに指を指す!

 ヴェルを見つけて翔陽の表情が変わった。

 この世界の事より今はヴェルが先やって理解したっぽい!

 俺達は全力で追いかける!

 全力のクロール!

 速い!

 めちゃくちゃ速く泳げる。

 泳いだ感覚が水の中じゃ無い。

 軽い!めちゃくちゃ軽い!

 スイスイ進む!

 水っぽい感覚はあるけど、水圧的な物を感じひん。

 泳げるのにこれは水じゃない。

 奇怪おかし過ぎる!

 ほんまに不思議過ぎる世界や。


 俺達はだんだん巨大烏賊とヴェルに追いついて来ていた!

 海で毎日の様に遊ぶ俺達は泳ぐのが得意!

 いい感じや!

 絶対追いつける!!


 すると急に巨大な烏賊が止まった!

 俺達が近づいてると感じたのか?

 巨大な烏賊はこっちを向いて睨みを効かしている。


 フシューーー!!!

 こっちを睨みながら巨大な烏賊は炭を吐いた。

 確実怒ってる!


 ポイ!!

「ちゃ!!」

 巨大な烏賊は触腕で掴んでいたヴェルを細い無数の触手群の中に放り入れた。

 ヴェルを離して自由になった二本の触腕を大きく広げて威嚇してくる。

 威嚇をしている巨大な黒烏賊の触手群の中で、放り込まれたヴェルがなんとか巨大な烏賊の拘束から脱出しようと触手と、もがき戦ってる。

 真っ黒な触手群の中、真っ白なヴェルは浮上がって見える。

 綺麗なヴェルの髪の毛や手足動きまではっきり見える。

「このーーー!離すっちゃ!気持ち悪いっちゃ!」

 叫びながらヴェルがもがく。

 なんとか触手群から脱出しようとしてる。

 必死にもがきながらヴェルは体制を整えてる。

 巨大な烏賊に対して自分自身の身体を縦に向けて、巨大な烏賊を蹴るような体勢、蹴り出して触手群から飛び出そうとしてる!!!

「飛び出して来いヴェル!」

「ヴェルさん!がんばれ!」

 きっとヴェルの目に力が入った。

 来る!

「ちゃ!!!」

 ヴェルは思いっきり触手群を蹴った!!


 ズバン!

 けど。

 ヴェルは触手群から飛び出せへんかった。

 足場にしようとした触手群が深くって蹴り出せへんかった。

 そして危機を察知して、烏賊の触手群は絶対に逃すまいと次々とヴェルに巻きつき始めた!

「ちゃ!」

 首に触手が巻き付いて。

 その首に巻きついた触手を外そうとするヴェルの手に触手が巻きつく。

「やめろっちゃ!!」

 あらがって手首の触手を外そうとするけど何本も何本も外しても筈しても触手が巻きついた。

 あっという間にヴェルは両手を広げられてしまった。

 さらに触手は足にまで巻きついてる!

「やめろっちゃ!気持ち悪いっちゃ!!」

 暴れるヴェル。

「はーーなーーせーーーー!」

 ヴェルは必死に手足を振るい、触手から脱出しようと踠いている。

「ヴェル!!!」

「ヴェルさーーーん!」

 ヴェルが必死に暴れているそんな中でも巨大な烏賊はこっちを見て威嚇している。

 ブシュゥゥーーーーー!!!!

 俺は逃げなくても別に俺はお前らなんかには負けない、と言わんばかりの雰囲気を纏う巨大な烏賊。


 威嚇されてる!


 威嚇って。

 こんなに恐ろしいんか。

 動けへん。

 この迫力、全く勝てる気がしーひん。

 俺と翔陽は体が強張って動けへん。


 くそ、威嚇で動けへん間にみるみる触手がヴェルに巻き付く!

「やめろ!やめるっちゃ!」

 ヴェルが何十本とある触手群の中に沈んでいく。

 ズブズブズブズブ。

 ヴェルが見えなくなってく。

「ダーリン!翔陽!助けっ。。。。。」

 ヴェルが触手群の中に引き込まれてしまった。

「ヴェル!」

「ヴェルさん!」

 やばいやばいやばい!!

 俺達がこんな所でひるんでる場合じゃ無い!

 絶対助ける!絶対助けるんや!!

「絶対助けるぞ!翔陽!」

「おう!」

 二人で思いっきり巨大な烏賊へと突っ込んで行く!

 まず俺たちを狙って振ってくるであろう、あの太い触腕をなんとか、かいくぐって触手まで行って。

 で!触手群の中からヴェルを助ける!

 あのクソ触手を引きちぎってでも助ける!!

 そしてヴェルを助けたら全速力で逃げる!!

 あんな化け物みたいな生き物戦って勝てる訳ない!!

 三人で全力で泳いで青い月へ逃げる!

 それしかない!


 俺と翔陽は全速力で巨大で真っ黒な烏賊に寄って行く!!

 翔陽からもヴェルを助けようという意思がひしひしと伝わってくる。


 巨大な烏賊が近づく!

 その時!

 ヒュ!!

 触腕が鞭のように俺達を狙ってくる!

 これは分かってた!!

 この攻撃を避けて巨大な黒烏賊の懐へと飛び込むんや!

 

 この攻撃は絶対避ける!

 さっきのビーチでの流木の攻撃はギリギリやけど避けれたんや!


 大丈夫や!!


 ドガッ!


「ガハッ」

「痛だぁ!」

 俺の自信とは裏腹に俺達は上から触腕に叩き落とされた。

 分かっていた攻撃やった、なのに避けきれへんかった。

 あの黒烏賊の攻撃思ってたより速かった。。

 全然避けられると思ってたのに。

 違った。

 俺達はこの薄い水の中の様な世界で思ってたよりも速く動けへんかった。

 しかし巨大な黒烏賊は水圧とか関係なく触腕を速く振り下ろせた。

 くそ。。

 考えが足りひんかった。。

 短絡的に突っ込んだのは軽率やった。

 体を思いっきり叩かれた衝撃が落ち着いたらすぐに巨大な烏賊に再び目を向けた。

 次はもっと速く予測を立てて前もって回避しないと!

 

「翔陽!もう一回行こう!」

「ああ!」

 ッシュ!

 ギュ!

「うわ!!!!」

 動けへん!

 胸辺りに巨大な烏賊の触腕が巻き付いてた。

「何!!!っくっそ!」

 やばい動けへん、まずはこの巻かれた触腕から脱出しんと!!

 俺は肘で思いっきり触腕を殴る!

 男性の太腿くらいある真っ黒な触腕。

 肘での攻撃で触腕が少しだけずり下がる!

 胸に巻き付いてた触腕が鳩尾みぞおちくらいまで下がった。

 いける!

 ゴンッ!ゴンッ!

 肘で殴れば殴るほどだんだんずり下がっていく。

 そして巻き付いている触腕力も緩んだ様に感じる。

 よし!もう一回やれば抜け出せる!

 その確信の元、俺は思いっきり腕を振り下ろす!

 すると、抜けられそうだ、やばい、と巨大な烏賊も思ったんか途端に体が横にグルグルっと回わされた。

 俺は巨大な烏賊の方へと少し近づいた。

 そして腰まで下がった触腕が脇の下まで上がってきてる。


 いや上がって来ているとは違う。。


 腰から脇までグルグルっと三周も巻かれている。

 触腕で俺を回して、さらに触腕を巻きつけたんか。

 くそ!

 脇まで巻かれて腕が使えへん!

 拳で殴るしか無い!

 思いっきり振りかぶって。。

 ビキッ!ギリギリギリギリ!

「ぐあぁぁぁぁ!」

 殴ろうとした時、触腕に思いっきり締め付けられた。

 やばい!苦しい!痛い!!

 ちょっとやそっとの力じゃ無い!めちゃくちゃ力強い!

 このまま俺を握り潰そうとしてるみたいや!

「ぐぞぅぅぅ!!!」

 翔陽の苦しそうな声も聞こえる。

 翔陽も同じ様に巻き付かれ締め付けられてる。


 もう今この状態で俺が出来る事は、とにかく殴って暴れるしか無い!

「うぉぉぉぉぉ!!」

「おらぁぁぁぁ!!」

 翔陽も暴れている。

 グルン!

 さらに体が一転回されて触腕が首から顔へとまきつけられた。

 前が見えへん!

 ヴェルは翔陽はどうなってる!?

 ギリギリギリ!

「ぐぁぁぁぁ!」

 やばい!

 首が折られる。。


 やばいやばい。


 やばいやばいやばい!


 どうしようもない。

 ヴェルと翔陽どころちゃう!

 俺自身がもうやばい。

 ドコン!

 重い衝撃が脇腹あたりに響く。

 一体何が。。。

「ぐあぁ。。。」

 意識が遠のく!


 あかん!

 気を失ったらヴェルが。

 そんなことになったら。


 絶対あかん。。。


 俺の普通の日常に突然現れたヴェル。

 ヴェルと出会ってから何日も経ってへん。

 それやのに、やのに絶対に失っては行けないと思ってしまう。


 ヴェル。。。。


 ヴェルを助けないと。。



 ググググ。。。

 ギシ。ギシギシ。。


 体が、骨が軋む。。


 締め付けられて血が巡らへん。。


 頭がぼーっとしてきた。。


 やばい。。




 やっと。




 ヴェルに。。。




 会えた。の。





 に。。。





 。。。。
























 オイ。。。。



 タスケタイノカ?



 ソンナニモタスケタイノカ?



 え?


 なんや?


 真っ暗闇の中。。


 俺の頭の中に変な声が響く。


 誰や??




 オマエハ。


 ナニヲタスケタイダ?



 何を?助ける?




 オンナカ。


 オトコカ。


 ソレトモオマエカ。





 ヴェルか翔陽か俺。


 ってことでいいんか。。?




 オマエハ、ナニヲタスケタイノダ。



 ヒトツダケ、タスケルチカラヲエルナラ。



 ナニヲタスケタイ?




 そんなん。。


 選べる訳ない。


 選べる訳ないやんか。


 三人の誰一人掛けても俺の世界は。


 真っ暗や。


 そんなん。。


 俺の世界は、日常は、終わった様なもんや。


 くそ。


 俺に助ける力があれば。。。


 皆を助ける力があれば!


 くっそ!!


 ひとつ!


 ひとつ!!


 俺の守りたいもの。。


『この世界を守る運命なんだっちゃ』

 ヴェルの声が頭の中で響いた。

 

 そうやな。。。


 助けたいもの物、それは。。


 今この俺の大好きな!


 素晴らしい世界を!


 今崩れかけてるらしい、この世界を!!


 俺は全てを!!!


 全てを救いたい!!!!





 ハハハハ。



 イイダロウ。


 ナラバコノチカラデ、スクッテミロ!


 スベテヲ!


 イツマデモ、ワスレルナヨ。

 ソノ、スベテヲスクイタイトイウ、キモチ。




 。。。




 バッ!!!!


 一気に目の前の闇が晴れて、真っ黒な世界が、真っ白な光に包まれた!


 何て暖かい光なんや。


 全てが明るい、真っ暗な世界が光しか無い世界になった。


 そしてその暖かい光はどんどん俺の目の前で収縮していく。


 光しかない世界が縮む。


 スーーーー。

 俺の前で集まって行く光。


 目の前で小さく小さく、小さな珠へと収縮された!


 俺はその光る珠にゆっくり手を伸ばした。


 暖かい。


 光の珠の暖かさが伝わってくる!


 出来る!


 ヴェルや翔陽を助けられる!


 途端に自信が溢れ出てきた!!


 助けるぞ!


 ヴェル!翔陽!


 俺はその光の珠を思い切って掴んだ!


 その瞬間!


 眩しく世界が光った!




 この瞬間が俺の世界が変わる瞬間やった。。



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