素晴らしい
宗近忘れない
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
キュアァァァァァアアーー!!!
髑髏を羽に浮かび上がらせる大きなな黒い蛾が叫んだ!
俺は運命をあのタトゥーの男に決められていたと聞いて頭が混乱していた。
今俺の思考はあんな不気味な蛾よりもタトゥーの男の残した言葉にとらわれていた。。
俺はあいつの手のひらの上で踊らされていて、あいつの引いた道の上を歩いていたのか。。
ボン!!!
うわ!
しまった!
あいつの言葉が頭がいっぱいで、、
「ダーリン!!!」
ガバ!!!
「おい!海晴!ばか!」
がし!
「ユン達、お願い!!」
ッパァ!
ギュ!
吹き飛ばされる俺をヴェルと翔陽が抱き止め掴んでくれた!
それにニケが生命の珠で蔦植物を伸ばして俺達がうっどでっきから落ちない様に巻きつけてくれた。
「おい目を覚ませ!ここでやられたらそれこそあいつの運命の上じゃねぇか!!」
「あ!」
「あいつの作戦に惑わされたらダメだっちゃ!!」
「そうやな!」
「海晴!あの蛾を倒してあの男の鼻を明かそうぞ!」
「よし!」
目が覚めた!
あのタトゥーの男が話し始めたから俺辺りが見えなくなってた!!
今は見える!
あたりは暴風が吹き荒れて木々が草のように揺れている、俺達の足場も信じられないくらいグワングワン揺れてて飛ばされないように振り落とされないようにしがみつくので精一杯。。
でも大丈夫や!
俺の周りに大好きな力強い仲間達がいる!!
「よし!あいつを倒してあの男びっくりさしたろ!!」
「そうです!」
「ちょっとみんなこっち来て!」
俺達は防風を避けるように振り落とされないように、ウッドデッキにうつ伏せながら集まった。
宗近もずっとヴェルの方の上で耐えてる。
「じゃあまず小春ちゃん!」
「俺らの前に氷の盾を作って欲しい!」
「海晴君、やろうとしたんですが風に盾が飛ばされて。。」
「そうか、、じゃあ風を流す形状の氷の盾はどう?」
「え?」
「なんだっちゃそれは?」
「新幹線とか飛行機とかできるだけ風の抵抗を受けない形になってるやん?」
「そう言うことか」
「どういうことでござるか?」
「円錐形みたいな氷の盾を作ったら飛ばされないってことだな??」
「そうそう!」
「なら、先にこのウッドデッキに氷を張り巡らせてそこから氷を変形させたら固定できるんじゃないか?」
「あ!せやな!!それやわ小春ちゃん!」
「はい!」
小春ちゃんは即座に氷の珠を創り出してッダン!っとウッドデッキに叩きつけた!
半径2mくらいのウッドデッキが凍りついていく。
「あたしは皆んなが飛ばされないように蔦で、」
キィキィキィキィ!
ッキッキッキッキッキッキッキッキ!!!!
ゴウゴウ、バサバサっと暴風の轟音のが耳をいっぱいにしている中、猿達の高周波のような声が響いた。
「こ、これはやばい!」
「黒い猿が来たっちゃね!」
「いや、あの男がおった時からあやつら背後に潜んでおったぞ」
「そうだね。」
「マジでか!?」
「マジでござる」
ゴウゴウゴウ!
バサバサバサ!!
さらに風が強まった!
俺達は風に負けないように踏ん張る!
この風の強い中でなかなか身動きがとれない。
こんな時に猿達に石でも投げられたら。。
「絶対前から目を話したらあかんで!!」
キラキラっと暴風が光った!
「くる!伏せるでござる!!」
ガンガンガンガン!!
「小春!!」
横殴りの石が俺達を襲った!
ガンガンガンガン!!
ドン!
「っぐ、、!」
ガツン!ガンガン!
痛い!
「ユン達お願い。。」
俺達の体に蔓が巻き付いた。
「もう一度。。」
もう一つ生命の珠をニケは創り出した。
その時!
ドン!!
「がは!」
大きな石がニケを襲った!
「ニケ!!!大丈夫でござるか??」
「ああ、、、ユン達お願い!」
スルスルスルッと俺達の頭の前に小さな蔦の壁が出来た。
ボスボスっと蔦に石が当たって俺達を守ってくれる。
「私も頑張らなくっちゃ。。」
ガンガンバンバン!
ドコバコ!!
石が降り止まない!
ガンガンガン!!
いつ止むねん!!
小春ちゃんも翔陽に守られながら氷の珠を両手に創り出した。
「翔陽君ごめんねもう少しです」
そして小春ちゃんは凍ったウッドデッキに氷の珠を押し付けた。。
翔陽を助けるように三角錐を置いた様な風よけがビキビキっと出来てきた。
「皆んなこっちにきて!!」
くそ。
こんな石礫が降ってる中動けへん。。
でも。
行くしかない!!
「一気に行くしかない!行こう!!」
「落ちないように気をつけるっちゃ!!!」
「わかった!」
「わかったでござる!!」
バッと俺達四人一気に飛び出した!!
意外に石に当たらへん?
そう思ったらネロとビアも俺達を守る様に風上側を駆けていた。
風に飛ばされないようにしっかり踏み締めて走るビアとネロ!
ドサドサドサっと俺達は流れ込むように小春ちゃんの作った三角錐の盾に飛び込んだ!
ギリギリの大きさや。。
俺達はきゅうきゅうの状態で三角錐の盾の裏に隠れた。
ガガガガガ、ドガガガガ!
また石飛礫が飛んできたけど三角錐の盾のおかげでなんとか凌げてる。
キッキッキ!キィキィ!
ドン!
ドンッガン!
「あ、小さな石やったらあかんって思って大きい石投げてきてるわ」
バン!ガン!
ビキ!
「小春!盾にヒビが!」
「わかってます!えい!」
小春ちゃんがまた氷の珠を三角錐の盾に叩きつけると盾が青白く光ってヒビを修復していく。
ガンガンダンダン!!!
「くそ、拙者たちは何も出来なのでござるか。。もどかしいでござる。」
エックがニケの側で肩を抱きながら悔しそうにしている。
ニケは右側の頭からだらだらと血を流している。
「ニケ!?大丈夫か?」
「え?ほんとだっちゃ!!ニケ!大丈夫だっちゃ?」
「ああ。。」
ニケに元気がない。
綺麗な金髪が血に染まっていく。。
「おいニケ!とにかく生命の珠で治すんや!ビアとネロの為にも頑張れ!!」
「ああ、そうだな」
「ニケ、今がんならないとやばいぞ!!」
「ああ、わかってる。。」
ニケは弱々しく手をかざした。
「頑張れ!!」
「頑張るっちゃ!!」
ゆっくり、手が光り始めた、生命の光がニケの手の平に集まっていく。
。。。
ッパ。。
「あ。。」
光が弾け飛んで消えてしまった。
「あかん。。」
「ニケ!この世界がこの森が滅んでも良いのか?」
「う、、何を、ってるんだい?ダメに、決まってるじゃないか。。」
「ならばまず目を開けぬか!」
くっとニケは目を開いた。。
そしてまた生命の珠を創り出し始めた。
「頑張るっちゃニケ!!」
ガガガドドドガンガンとうるさい世界の中、小春ちゃんは必死に氷の珠を創り出して三角錐の盾が壊れないように頑張ってる!
そんな轟音が轟く世界で。
ニケの手の平の上だけ静寂な世界があった。
黄緑色に光る手の平の上はまるで木漏れ日の溢れる森の中のようだ。
精霊であるユン達がもうその森にいそうにすら思える。
その森の真ん中ににふわっと生命の珠が浮いた。
「ユン達お願い。。」
その声に共鳴するように手の平の上の生命の珠は優しく弾けて手の平の上の森からユン達が大きくなって出てきた。
そしてニケを見たらシャボン玉が出来るかのように、一気に大きく膨らんだ。
生命の空間になったユンが俺達を覆ってくれた。
地獄のような世界の中に小さな優しい空間ができた。
ふぅ〜〜っとニケが息を吐いた。。
すっと体から力が抜けた。
「少し休めばきっと大丈夫だと思うでござる」
「よかったっちゃ」
「小春大丈夫か?」
「はい、ニケちゃんのおかげでなんだか楽に氷の珠を、えい!創れるようになりました」
汗だくでニコッと小春ちゃんが笑う。
「でもずっとこのままって訳にはいかないです」
今でもガンガン!ダンダン!っと石飛礫が降り続いてる!
「せやな、なんとかしないと」
「一度拙者が体を死の珠で強化して突撃してみるでござる!」
「あかん!」
「エック!怪我するだけやって!」
「むぅでは、どうすれば。。」
「俺が火の珠で石飛礫を吹き飛ばしながら攻め込むしかないな!」
「同じやろ!」
「同じでござる!」
「同じだっちゃ!」
「はははは、、そうか。。」
「うーーん。。作戦を立てんとな。。」
「ここはやはり突撃しか。。」
「なんでやねん、ここは風で遊んできた俺に任せろ!」
「だな!」
「まず俺とヴェルでこの暴風と石飛礫から脱出する」
「そんなことできるのか?」
「できる!俺とヴェルでこっちにいく!」
俺は髑髏の蛾から正反対を指さした。
「そっちに行ってどうするんでござるか?反対でござるよ」
「風は同じ方向に移動したら弱くなるんねん!やしこっちからなら脱出できる!で、ウッドデッキから飛び出したらヴェルに掴んで運んでもらうわ!」
「そういうことだっちゃね、わかったっちゃ!」
「ああ俺もわかったよ!」
「で俺らがバレないように回り込んで!あの蛾を襲って向こうを乱すから、そしたら小春ちゃん、翔陽とエックに氷の盾作ってあげて欲しい!」
「えい!は、はい!わかりました!」
「その盾を持って拙者と翔陽で背も込めばいいのでござるな?」
「そういうこと!」
「でも大丈夫か?この盾から出た瞬間、石飛礫が飛んでくるけど。。」
「確かに、やし俺はヴェルを抱いて思いっきり走っていく!」
「ダーリン♡」
「光の珠は使わないのでござるか?」
「使ったら脱出したことないバレるやん」
「まぁそうでござるな。。でも大丈夫なんでござるか?」
「んーー。。大丈夫やろ!」
ガンガン!!
ドン!ゴロゴロ!
バン!
。。。
「大丈夫でござるか?」
「だいぶ石飛礫降ってるぞ?」
「い、いけると思う!じゃあ行ってくるわ!」
俺はヴェルを抱いてスクッと立ち上がった!
ビュン!ドン!
「え?」
俺の右耳を野球ボールくらいある石飛礫がかすめて行った。。
俺は慌ててしゃがみ込んだ。
「あははは、無理かも」
「っくっくっく!だろうな!」
「一発光の珠使っていけよ!俺が火の珠で目眩しやるからさ!」
「ああ!それや!サンキュ!!」
「じゃあ俺が火の珠を弾けさせる時とタイミング合わせていこうぜ!」
「やな!」
「よし早速いくぜ!」
翔陽が火の珠を創り出した!
「オッケ!いつでもいいで!」
「おら!」
翔陽が火の珠を風に逆らえるように思いっきり投げた!!
「ヴェルいくで!」
「っちゃ!」
「いけぇ!!」
ボォン!!
ッパ!!
俺は光の珠を蹴り出して思いっきり風下に飛び出した!
バババババ!
「いでででで!」
速すぎた!!
石飛礫に追いついて逆に石に当たってしまってる!!
少し飛び出した勢いが落ちて辺りが無風に感じてきた。
「ヴェルここから頼む!」
「わかったっちゃ!」
ヴェルが俺を正面から抱きしめた、ちゃうか、抱き抱えた。
「もう少しこのまま飛んでから木々の葉っぱの中に隠れて周りこも!」
「わかったっちゃ!」
俺とヴェルは風の速さに合わせて飛んで離れた。
下を眺めると相変わらず金色の天の川が流れてる。
あんなに綺麗やのに全然綺麗に見えへんわ。
なんでやろ。
でも今はそれどころじゃないわ!
急いであいつらの裏に回り込んで倒さなあかん!!
「ヴェル木の影から遠回りでいいから気づかれへんように周りこも、それであの我と猿に奇襲をかけて倒す!」
「分かったっちゃ!」
ガンガンダンダン!
バサバサバサバサ!
ビュュュウウウウ!
ドガンドガンっと翔陽達に暴風と石飛礫が襲ってる音がする。
「ダーリンしっかり捕まって!ちょっと急ぐっちゃよ!」
「わかった!」
ビュンビュンっとヴェルは猛スピードで木々を避けて相手の裏に回り込んでいく。
地面を流れる天野川のおかげで敵の位置がわかる。
ビュンビュン!!
ッバ!
「よし回り込めた、作戦どうりや。。」
大きな髑髏の羽の蛾がバサバサと虚空を仰いでいる。
周りの木の枝の上から黒い猿達が石を投げてる!
「ダーリン。。どうするっちゃ。。?」
ヴェルがヒソヒソと俺に話しかけてきた。
ちらっとヴェルを見て。
「電撃で一気に全員を痺れさせようぜ。。」
「わかったっちゃ。。」
「木の裏に隠れて雷の珠創ろ、光でバレる。。」
「だっちゃね。。」
俺達は木の裏に一旦隠れた。
足場になりそうな太い枝の上に降り立つ。
ヴェルの雷の珠の光でバレないように俺も体で雷の珠を隠した。
雷の珠がヴェルの手の上に出来上がる。
「いくっちゃ」
「よし」
「せーの!」
バッとヴェルが飛び出した!
俺も大きな蛾が見える枝に飛び移る!
ヴェルが雷の珠を投げた!
電撃へと変質し蛾や黒い猿達に向かっていく!
いける!!
ッドン!!
バリバリバリ!
「ちゃ??」
「な。。」
電撃が当たると思った瞬間上から何かが落ちてきた。
グォォォォォォォオオオオ!!
そこには電撃に感電しながらも俺達を睨みつける!
「お前は!?」
「もじゃもじゃ!?」
くそ!
あの風を止めて皆んなを助けなあかんのに!
「ヴェル!あいつの相手は俺がするから後ろのでかい蛾をやってや!」
「ダーリン多分あいつ、うちを狙ってくるっちゃ!因縁があるから、だからダーリンがあの蛾を倒した方がいいっちゃ!!」
ウォォォォォォォォォオオオオ!!
さらにもじゃもじゃの猿が叫んんだ。
凄い声や、音波であたりの木々がビビビビっと振動している。
「これもしかして、また土砂崩れを、、?」
「や、やばいっちゃ。。」
ウォォォォォォォ!!
ドサ!!
え?
何かがもじゃもじゃに飛び乗った。
「おーーい!アホ猿ぅ、何やってんぉ?せえ言うた事と違う事したらあかんやろぉ?」
タトゥーの男がバッともじゃもじゃの猿の上に飛び乗って頭を引っ張った。
スルッと黒い大蛇ももじゃもじゃの猿に巻きついた。
ッシッシッシっと笑う黒い大蛇。
ウォォ。。
「あのもじゃもじゃが怯えてるっちゃ、、」
「あ〜あ〜っせっかくかっこよく去ったのに、お前のせいでぇ」
タトゥーの男はもじゃもじゃの前髪を引っ張った。
「ウァアゥ。。」
怯えるもじゃもじゃ!
「ックックック、かぁいせぃ!君の姑息な動きは僕、読んどったんよー?君もっと考えて動いた方がいいわぁ」
ギョロリと目を動かせてタトゥーの男は俺を威嚇するように見つめた。
「今回は僕の慈悲で土砂崩れはやめといたるわぁ!」
「ッシッシッシッシッシ!」
「うるさいっちゃ!」
ヴェルが電撃を飛ばした。
いける!
全員感電する!
感電してる間に攻めるべきや!
俺は反射的に光の珠を創り出していた。
考える前に光の珠を弾けさせて蹴る!
バリバリバリバリ!!
ウガァァァァ。。。
感電するもじゃもじゃ。
「おっらぁ!!」
ッダン!っと俺はもじゃもじゃを蹴った!
ウガ。。。
「あれ?」
「いないっちゃ」
「ほんまや。。」
感電したはずのタトゥー男がいつの間にかいなくなってる。
俺も実はもじゃもじゃ、じゃなくってタトゥーの男を蹴りにいったんやけどな。。
「ダーリン!」
電撃がくる!
逃げ、、ちゃうわ!
俺は片手に創っていた光の珠を弾けさせて俺ごともじゃもじゃを吹き飛ばした!!
「ダーリン?」
バタンっと俺ともじゃもじゃは太い木の枝の上に倒れた。
電撃は俺達をかすめて飛び抜けていった。
「よし!」
「ダーリンなんで!?」
バリバリバリバリ!
ギ、ギュイーーーーーィィ!!!
「よし!!」
うまいこといった!!
でかい蛾が感電してる!!!
「ウ、、、」
視線を感じる。
俺は視線の方に目を向けると、俺の下敷きになったもじゃもじゃが驚いた顔で俺を見つめてる。
こわ!
俺は飛び跳ねるように後ろに逃げた。
立ち上がって見つめ合う俺ともじゃもじゃ。
なんかもじゃもじゃの気が抜けてるように見える。
ギギギュイィィ。。
感電してるでかい蛾!
その蛾を見てギッともじゃもじゃの目に力が入った。