力の目覚め編 人助ける力って素晴らしい
輝く太陽の下!
まるでヒーローが凱旋したかのようなビーチにいる全員からの歓声が、暖かい日差しと共に降り注ぐ!
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
透き通る海。
眩しい太陽。
透き通る海がその太陽の光を取り込んでせり立つ波が輝いている。
「ひゃっほーーーーーい!!!」
ヴェルが輝く波を降り降りてくる!
最高の笑顔!
海で濡れたヴェルは綺麗や。。
いや、元々めっちゃ可愛かってんけど。。
なんていうか、タイプ、ドストライクって感じ。。
自然の美しさも相待ってもう、女神に見える。。
何やろ、愛の女神っていうより、健康的な女神って感じ。。
「マジか。。。」
ヴェルの波乗りを見て翔陽も驚きで呟いてしまっていた。
翔陽は驚いて口がポカンと開いたままやヴェルを眺めてる。
ヴェルは初めてのサーフィンのはずやねんけど。。
見事に波に乗ってシャーーっと俺達の所へとやって来た。
「ヴェルさん、めちゃくちゃサーフィン上手いんだな。。」
「上手すぎやろ」
「うーーーーん、まだまだだっちゃ!」
「まだまだちゃうやろそれ、波乗りするの初めてじゃないやん」
「うち朝見た動画みたいにボードの先っちょに乗ってヒョイってしたいっちゃ」
んーー、ヴェルいわく朝見た動画の様に可愛くセクシーにノーズライドしたいらしい。
確かにロングボードしている女の子ってめちゃくちゃ可愛いもんな!
「そっか、でもそんなん一朝一夕で出来るものちゃうから練習しような!」
けど。。
ヴェルのさっきの波乗り見てたらすぐにでも出来そうで怖いわ。
「ヴェルさんは波乗り天才だったんだな」
天を仰いでから呆れ顔で翔陽がヴェルを見てる。
翔陽波に乗るのだいぶ苦労したもんな。
「凄いって事だっちゃ?」
「そうそう、凄すぎって事!」
「嬉しいっちゃーー!もう一回いくっちゃーー!」
「「おーーー!」」
そして俺達はまた沖に来て波を待ち始めた。
良いうねりが近づいて来る。
お!いい波!
「この波もらい!」
「海晴!一緒に乗ろうぜ!」
「いいよ!」
翔陽と一緒に波に合わせてパドリング!
波がせり立ってきた!
「いくぞーーー!」
俺が先にテイクオフ!
「ふぅーーーー!」
波を下ってボトムターン!
このスピード感!
気持ち良い!
波の下から見上げると波のトップで翔陽がテイクオフした!
俺は翔陽の前を抜けて波を駆け上がりトップターンへと向かう!
この下から駆け上がる瞬間、目の前は空と海いっぱいになる!
最高や!
全身使って!ッバッシュ!!っとトップターン!!
決まったぁぁ!
この飛ぶ水飛沫!脚に伝わるこの水の感覚!
マジやばい!
最高すぎる!
すると翔陽が俺を回り込んで波を駆け上がってこようとしている!
俺はその翔陽と入れ替わって波を下りていく!
翔陽がトップターン!
力強くってめちゃくちゃスプレーが舞った!
「フゥーーーーーー!!」
俺は思わず叫んだ!
さらに俺が入れ替わってトップターン!
「イヤァーーーーー!!」
次は翔陽が叫んだ!
そのまま二人で入れ替わりながら波に乗った!
「最高!!」
一人で乗るより全然楽しい!!
「海晴!」
翔陽が嬉しそうに寄ってくる!
ガシッ!
「最高だったな!」
「マジ最高やったわ!」
ゴツンと俺達は拳を合わせた。
二人で沖へと漕いで戻っていくと。
ヴェルがテイクオフして波を下り始めた!
初めてとは思えないほどの見事なテイクオフをして波に乗った!
波の上でボードを横向きに走らすヴェルは波トップに近い、パワーのある良いポジションにいる。
「ヴェルーーー!そこで前に歩くんやー!」
俺の声を聞いてヴェルが動き出した。
クロスステップでノーズの方に歩いていく!
「いい感じ!!」
ヴェルの綺麗な長い足が波の上で光を浴びてる、めちゃくちゃセクシーで良い!
「おお!良い感じ!!」
ボードの前の方までいけた!
サッ!
微笑んだような顔して片足で立って、そこからさらに身体を反らせる、片手を軽く上げ目を閉じて空を仰いでいる。
それはまるで、身体を水で濡らし、太陽の光でキラキラと輝く水飛沫を纏う海の女神か。
青い空、青い海、最高の波に乗る可愛い女の子。
。。。。
やっぱ、ヴェルは俺のタイプの子やわ。
こんなん見惚れてしまうわーーー。
ヴェルを見てると時間がゆっくり流れる。
「うぉぉぉぉぉ。。。」
「うおぉおおおおーー」
俺も翔陽も驚きで開いた口が塞がらへん。
パシャーーーン!
なんて考えてたらヴェルがバランス崩してパシャんとヴェルがボード落ちた。
そら目を閉じてたら落ちるって!
「ははは!」
それにしても初めてのサーフィンでこんなに出来るとかマジでやばいわ。
「まじで凄すぎるだろ」
翔陽がまた呟いてる。
「ダーリン!今のどうだったっちゃ??かなり上手いこといたっちゃ!!」
ヴェルがニコニコでこっちにパドリングして来た。
「おーー!めっちゃ良い感じやわ!!」
「ヴェルさんそれは凄すぎるって!」
ヴェルも合流して三人でまたアウトに出ていく。
「サーフィン楽しいっちゃ!」
「最高だよな!」
「ヴェルさんマジ上手くなるの早すぎるって!初めてじゃないよその乗り方は!」
「そうだっちゃ?ありがとうっちゃ!うちほんとに楽しいっちゃ!でもーーー!翔陽!ズルいっちゃ!ダーリンと二人で波乗りして!うちも一緒に乗りたかったっちゃ!」
「あーーーだよね。。。ごめんごめん!」
翔陽が頭ポリポリして苦笑いしてる。
「でもホンマにヴェル凄いな!さっきのノーズライドできそうやんか!」
「ほんとーだっちゃ?嬉しいっちゃ!」
突然ヴェルがニヤッと笑った。
「ねぇ!ダーリン!!」
「ヴェル、ダーリンって、、!」
ダーリンって何やって思った瞬間。
パシャ!
「えーーーーい!!」
ヴェルが凄い笑顔で俺の腕に戯れて飛びついて来た。
「うわ!」
ボシャン!
二人でバランス崩して海に沈だ。
「ブハッ!ヴェル!何やってんねん!」
「あははは!ごめんちゃ!」
「っていうかなんやねんダーリンって!」
「だって、、うちらもう夫婦だし!ダーリンだっちゃ!」
「なんでやねん!アニメに影響されすぎやろ!」
「そんなことないっちゃ!」
「あるわ!ダーリンとか今は言わんねん」
「いうっちゃ!ラムちゃんはいうっちゃ!」
「だからー。。」
「はははははっは!」
翔陽が笑ってる!
「はは、ははは!ははははははは!」
なんか翔陽に釣られて笑えてくる。
「あははは あはははは!あはははは!」
ヴェルも笑ってる。
なんでか俺達、三人で笑い出した。
こいつらといるだけでホンマに楽しい!
ほんまに感謝!
まぁでもダーリンは勘弁やけど!
それから俺達は波乗りを楽しんだ!
やっぱり仲間で波乗り楽しい!!
それからしばらく楽しんでたら。
「ねぇうちお腹空いたっちゃ!」
「俺も腹減ったなー!っていうかもう三時だぞ!」
「ははは!ほんまや!俺らどんだけ海入ってるんよな!波乗り楽しみすぎた!ガッツリ食べたいしハンバーガー行こうや!」
「いいね!ハンバーガー!!!」
「ハンバーガー!!!!」
急にヴェルの目が輝いた。
「いいちゃね!うち一回ハンバーガー食べてみたかったんだっちゃーー!真奥さん働いてないかなーー!」
「出た!またアニメやろ!」
「そうだっちゃ!働く魔王様だっちゃ!」
「へーーーー」
グーーーーー。
ヴェルのお腹が鳴った。
「すっごいお腹空いたっちゃ!」
「なら最後に皆んなで同じ波乗って戻ろ!ヴェルももう一本くらいならいけるやろ?」
「もちろん!いい波乗りたいっちゃーーーーー!」
「じゃあ次のいい波で戻ろうぜ!海晴乗り遅れるなよ!学校いつも遅れて来てるしな!」
「遅れへんわ!誰が遅刻常習やねん!」
「常習だろ?」
「常習ちゃうわ!」
「あはははは!あーーー、うち幸せだちゃーーー!」
ヴェルが波を待ちながら、空を見上げて呟いた。
「ほんまに最高!幸せやなーー」
「こんな友達欲しかったんだっちゃーー!」
「だよな!最高だよ!お!きたぞ波!」
いいうねりが来てる!
「いくっちゃ!」
「おっけぃ!」
皆で合わせてパドリングを始める!
徐々にせり立つ波!
良いな!なんか仲間って感じ!!
三人でテイクオフ!
「フゥゥゥーーー!」
「ヤッホーーーー!」
「うぉーーーー!」
見事に三人ともテイクオフし一緒の波に乗ってる。
気持ちいーー!
真ん中にいるヴェルに左右から俺と翔陽が近づく。
ヴェルはめちゃくちゃ笑顔!
そのヴェルが両手を二人に差し出してくる。
その手を握る俺と翔陽。
三人で手を繋いで波に乗ってる。
これはこれでまたいい感じや!
最高!
と思ってたら。。。
「えーーい!」
ヴェルが後ろにポンと倒れる、手を繋いでた俺達二人もヴェルと一緒に後ろの海へ!
「うお!」
「うわーーーーー!」
バッシャーーーーン!
俺達三人で水の中へ落ちた!
「ブハッ!」
「何やってんねーーーん!」
「わははは!ビックリした!」
「あははは!楽しいっちゃ!」
それは間違いない!
「ね!ダーリン!」
「ダーリン言うな」
「はははは」
「っちゃ???」
突然ヴェルが声を上げた。
「水の中何かいるっちゃ!なんか触れたっちゃ!!」
「変態でもいるんじゃないか?」
「そんな訳ないやろ!」
ザブン!
俺は水の中に変態がいないか確認するために潜った。
光の差し込む水中、砂の上に光芒が差し込んでゆらゆらと綺麗な光の芸術を描き出していた。
フワフワ、キラキラと水の中は非現実で幻想的。
キモいデブの変態おっさんなんている訳な、い、、?
途端に俺の視野の中に黒い何かが飛び込んだ!
蛇の様な黒くて長い何か。。
ブハ!!
驚いて空気吐き出してしまった!
プッハ!
「なんかいるわ!黒い長いやつ!」
ザブン!ザブン!ザブン!
そう言うと俺は息を吸い込んでも一度潜った!
ヴェルも翔陽もついて来る!
水の中を見渡す。
ニュル!!
やっぱいる!!
黒くて長い!!
しかも二匹?二本?ある!
俺は慌てて水の中でヴェルと翔陽の肩を叩く、そして黒いニュルニュル方へと指を指すと。
ボワン!
急にニュルニュルの辺りの水が黒く濁った!!
え??
ヴェルと翔陽も黒く濁った方を見てるけど、あのニュルニュルは見えたかな??
ップハ!!
三人とも水の上へと顔出す!
「何もいないっちゃ?」
「ああ、黒く濁ってただけだった!」
見てなかったんか。
「いや、あの黒く濁ったのもあいつがやったんやと思うで!」
「そうなのか?」
「いや、知らんけど、、」
「にしても海の中綺麗だったっちゃ!!」
「ああ!キラキラそこの砂が光って綺麗だったよな!」
「いや綺麗やってんけどさ。なんかニョロニョロしたやつが。」
「ダーリン変態ってなんだっちゃ?フランキーっちゃ?」
「え?変態?いやそれは。。」
「ヴェルさん変態は海晴みたいな奴の事だよ!」
「なんでやねん!」
「ダーリン変態なんだっちゃ??」
「違うわ!」
グゥーーーー。。
ヴェルのお腹がまた鳴った。
「ははははは!ヴェルお腹減りすぎやろ」
「っはははははは!海に入ってても聞こえるって凄すぎだって」
「うーーー恥ずかしいっちゃ。。」
恥ずかしくって頬を赤らめて少し俯くヴェルも可愛い。
「ははは!ヴェル早く海からあがって飯食いに行こうや!」
「それだっちゃ!早くハンバーガー食べにいくっちゃ!」
「だな!俺も腹減ったよ!行こう!」
俺達は三人一緒にパドリングしてビーチに向かう。
海からビーチの方に目を向けると。
なんかビーチに人が集まってる。
「なぁ、あれ、、なんかテレビ撮影してるんじゃないか?」
翔陽が気づいて興味津々の顔をしてる。
確かにテレビのクルー人達がいる。
アナウンサーの人が海をバックで何かの番組の撮影しているみたいや。
「ほんまや!テレビ来てるやん!もしかして俺達の波乗り撮られたんちゃう?」
「マジか!これで俺も有名人か!これでファンの女の子がいっぱい出来るんじゃないか?」
「いやいやそれ絶対ないから!なに妄想してるねん!」
とか言って翔陽こいつは格闘学年チャンピオンで実はファンがもういっぱいる、ヴァレンタインなんて死ぬほどもらってた!
「うっるせー!」
バシャッと水を掛けてくる翔陽。
めっちゃモテてても意に返さず、彼女も作らへん翔陽。
面白いやつやわ。
バシャ!
こっちも水をかけ返す!
波乗りでテンション上がっているのに、さらにテンションの上がる翔陽と俺!
ヴェルは何の事か分からへんみたいでポカンとしている。
「テレビの方から上がろうぜ!」
翔陽テレビに映りたいんやろなめっちゃ寄って行きたそう!
でも面白そうやしこれは俺も行くしかないわ!
「うちらテレビに出れるんだっちゃ!?面白いっちゃね!!」
ヴェルも何となく雰囲気に飲まれて楽しそうや。
テレビ撮影している場所の後ろの方からサーフボードを脇に抱えビーチに上がる。
微妙に緊張しながら歩いてビーチに上がって行く。
多分俺ギクシャク歩いてる。
『今サーフィンしていた子達が上がってきましたね!ちょっとお話し聞いてみましょう!』
アナウンサーのお姉さんがテレビクルーの人達を引き連れて小走りで寄って来た。
「おおマジでテレビ来たじゃん!」
「ほんまやマジか!」
「これでテレビ出れるっちゃ?」
「初めての事でドギドキしてまうわ!」
俺がアワアワしているうちにアナウンサーのお姉さんがもう側まで来た。
『こんにちわー!ちょっといいですかー?』
「あ、はい」
「これって生放送っすか?」
『そうですよー』
近くで見たらアナウンサーのお姉さん。。
綺麗だしっめちゃくちゃ可愛い!
あーーでも比べたらヴェルの方が可愛いな。
って俺は思ってしまう。
『皆さんに伺いたい事があるんですけど。昨日の明け方にですね。ここでUFOが落ちたという目撃情報があるのですが。皆さん知ってましたかー?』
「あ。そうなんですか?いや知らなかったですねーーー。。」
やばっ!!と内心慌てる俺。
そのテレビやったんか。。
UFO、宇宙人、ヴェル?
もろヴェルに関係する話しやんか!
ミスったーー。
こっちに寄らんかったらよかった。
上がっていたテンションが一気に冷めた。
ポーカーフェイスや!ポーカーフェイスで誤魔化すんや!
俺は表情にも出ない様に頑張って笑顔が途切れない様にした。
っていうかびっくりやな、、まさかあの早朝に見ている人がいたとか。。。
「あ!それウチの。。」
アホ!!!!
「 モゴ!モゴモゴモゴ!」
俺は慌ててヴェルの口を塞いだ。
ニコッと笑顔で、なんでもないですよーって笑って伝える。
伝わってるかな。。?
『ウチの?何ですか?』
あかーーーん!
伝わってへん!
アナウンサーのお姉さんがヴェルの一言に食いついてる。
「いやいや!何でもないです!って言うかUFOですか?ここらへんに墜落したんすか?初めて知りました。そんなの本当に有るんですね、はははは。。」
やばいやばいって、誤魔化さんと。
ヴェルが宇宙人で今、海の中に宇宙船あるかも知れへんなんて言ったら、大浜町がどんなパニックになるか分からへん。
宇宙人が攻めてきただとか宇宙人を捕まえろだとか。大変なことになりそうやんか。
アナウンサーのお姉さんの一番近くにいる翔陽は、テレビ撮影がサーフィンに全く関係なくってめちゃくちゃ残念そうや。
もしかしたら翔陽はまだヴェルのUFOとは思っていないのかもなーー。
うん、こいつはアホやな!
俺はポカンとしてるヴェルの顔を見た。
『それともう一つなんですが。ここで黒い大きな生物も目撃したと言う人もいまして。そちらも知りませんか?』
「え”!そうなんですか?それめちゃくちゃ怖いっすね。ああ!だから今日こんなにいい波なのに海に人いなかったんですね。いっぱい波乗れたから最高でしたけどね!」
翔陽の爽やか笑顔が炸裂した。
あれ、、なんかアナウンサーのお姉さんがホワッてなってる。。?
顔がちょっと赤くなってるやんか。。
このイケメンめ。。
ガジッ!
「っいったぁ!!」
突然右の手の平に痛みが走った。
ヴェルの口を塞いでた手を齧られた、俺は思わず手を離してしまった。
「UFO!それウチのUFOだっちゃ!」
あ。!
アホか!なんで言うねん!
カメラが一気にヴェルの方を向いた!
「うちが昨日乗ってきたっちゃ!UFO!」
『と言うことはあなたは宇宙人という事ですか?』
最悪やーー。
「そうだっちゃ!」
『だからこんな格好で寒くないんですねーー』
「だっちゃ!」
アナウンサーのお姉さんもアホなん?宇宙人が目の前にいるとか大発見やなのに、その宇宙人に素っ頓狂な質問をしてる。
会った初めの時に病院はバレるからダメだとか言ってたのに、自分からバラしてどうするねん。
はーー、アホすぎやろ。
俺は余りに呆れすぎて額を押さえて俯いてしまった。
「なんだあれ!」
突然テレビクルーから大声が発せられる!
いきなり叫ぶなって、めっちゃびっくりしたわ、ビクってなったわ!
なんやねんと思ってると。
ザザザザ、、ザザザザ、
なんか海から変な音が聞こえる。。
「何や?」
「何だっちゃ?」
海を見ると海の様子がめちゃくちゃ奇怪しい。
え?明らかにさっきまでの海と様子が違う。
こんな海見た事ない。。
海に穴が空いてる??
ゴゴゴゴゴオゴゴゴゴゴ。
いやあれは。。
穴っていうか渦巻???
海が渦を巻いてる。。
うそやろ??
こんな浅い海で??
『見てください!急に海に渦巻きが現れました!もしかすると噂の黒い生き物のせいなのでしょうか??』
アナウンサーのお姉さん、興奮気味で実況し始めた。
ゴゴオオゴゴゴゴゴゴゴオゴオオオオオオオオ!!
渦巻きはどんどん、どんどんどんどん大きくなってきてる!!
え、やば。。
そこにジェットスキーが二台走ってきた!
ブンブンブンブン!!
「いえーーーーー!!」
「きゃーーーーー!」
「ヒャッホーーーー!」
「最高ーーー!」
二台とも後ろに女の子を一人づつ乗せてテンションアゲアゲのお兄さんとお姉さん。
皆金髪で明らかにテンションだけで生きてる人達。
「なんだありゃ!」
「うおーーー!海が回ってるぜ!」
「何それ?わー凄いじゃん!」
「もっと近くに見に行こうよ!」
「行っちゃう行っちゃう?」
「行くしかないっしょ!」
「やばいじゃん!ハンパないじゃん!」
なんだよあいつら、酔っ払ってるんか??
変なテンションで渦巻に突っ込んでいく二台のジェットスキー。
「おいおいおいおい!あいつら何やってるんだ?」
「アホすぎるやろ!」
『ジェットスキーが渦へと向かっていきます!これは危ない!』
アナウンサーのお姉さんも心配しながら実況中。
「おーーーーい!渦巻から離れろ!!引き込まれるぞ!!」
翔陽が両手を振ってジェットスキーに向かって注意している!
「危ないっちゃよーーー!!」
「ヒャッホーーー!」
二人の忠告も聞かずジェットスキーは渦巻に突っ込む。
「うお!!やべぇ!!」
「なんだよこれ全然ハンドルが言うこと聞かねぇ!」
「何、ちょっとこれ!ヤバいんじゃないの??」
「マジやばみー」
二台のジェットスキーは渦巻の上でまるで木の葉の様に水の上で踊らされている。
どんどんと中心に引き寄せられるジェットスキー!
なんでそうなる事予測できひんねん。
ほんまにあいつらアホやな。。
「ヴェル。あれはやばいからさ!飛んで助けてこれるか??」
「一回では無理だけど何回も行けばいけるっちゃ!」
そう言うとヴェルはサーフボードを砂浜に寝かせると大急ぎでヒュルルルルル飛んでいった!
それを見て興奮してたのはテレビクルーとアナウンサーのお姉さん!
『見てください!さっき宇宙人だと話した女の子が飛んでます!!!』
めちゃくちゃテンション上がってるやん!
そらテンション上がるか、宇宙人をカメラで捉えたんやもんな!
『やはり宇宙人という話は本当だった様です!』
面倒臭いことになりそうやけど、仕方ないよな、人命優先やろ。
ヴェルは一台のジェットスキーに着くとお姉さんを背中に乗せて、お兄さんを腕で抱えて飛び上がった。
そしてこっちへ向かって飛んで来る。
『凄いです!宇宙人と語る女の子がレスキューをしてくれています!』
ヴェルは俺達のいるビーチまで飛んできた!
ヴェルにビーチに降ろされお兄さんもお姉さんも膝をついて呆然と海を眺める。
『宇宙人の女の子が二人のレスキューに成功しました』
「頼む!あいつらも助けてくれ!頼む!友達なんだよ!」
と叫びヴェルに縋りついた。
「わかってるっちゃ!助けるから。離すっちゃ!早くしないとやばいっちゃ!」
「ああ、」
お兄さんが手を離した途端ヴェルはもう一度空に飛び上がり大急ぎで渦巻の上のジェットスキーに向かって飛んでいく!
ヴェルが焦っているその原因は、渦巻の中心の穴に今にも、もう一台のジェットスキーは飲み込まれそうになってるから。
もうジェットスキーの上の二人は自力の脱出を諦めて必死にしがみ付いているだけの状態になってる、ほんまにやばい。
「助けてくれーー」
「助けてーー」
っと叫ぶ悲痛な声がここまで微かに届いてくる。
その時。
ジェットスキーが消えた。。
「え?」
『大変です!ジェットスキーが渦巻に飲み込まれてしまいました!!』
ヴェルはまだ空を飛んで大急ぎで向かっている!
もう少しのところまで来ていたのに。。
何て事や。
あの渦に飲み込まれたら、無理や。。
ビーチにいる全員が諦めた、うるさく実況していたアナウンサーのお姉さんも言葉を失っている。
ヒュ!っと空中を飛んでいたヴェルが下降した。
ザブンと水飛沫が上がる!
「おい!ヴェル!!」
俺は思わず叫んでしまった。
うそやろあんな渦の中に飛び込んで、ヴェルがやばい!!
何もできひん自分がもどかしい、俺はいつの間にか手を思いっきり握りしめ身震いしていた。
「ヴェル。。」
そう呟いた途端!
バシャン!!
ヴェルが渦巻の中から飛沫をあげて飛び出した!!
ジェットスキーの二人を抱えている!!
「うおーーーー!!」
「やったーーー!!」
ビーチのテレビクルーの人達やテレビの撮影を見ていた人達から歓声が上がる!
「うおーーー!ナイスヴェル!!!」
「ヴェルさん最高!!!!」
俺達もいつの間にか叫んでしまっていた!
マジで嬉しかった!
よくあんな渦巻の中から二人も助けてくれた!!!
ヴェルは飛んでビーチまで帰ってきた!
「「「「うおーーーー!!」」」」
「「「「わーーー!!!」」」」
「よくやった!」
「すごーーーい!」
「可愛いーーー!」
輝く太陽の下。
まるでヒーローが凱旋したかのような歓声がヴェルに降り注ぐ!
『宇宙人の女の子が大きな渦巻から男性二人と女性二人を救出しました!彼女がいなかったら彼らは助からなかったでしょう、素晴らしい功績です!彼らにはヒーロと言っても過言じゃないでしょう!』
アナウンサーのお姉さんもヴェルを褒め称えている。
ヴェルにビーチにいた人達が駆け寄る!
速攻人々に囲まれるヴェル。
「ありがとううぅ。。」
男は泣きながらヴェルに握手をしている。
ヴェルは救出した四人や、周りの人達に感謝を述べられ恥ずかしそうや。
そして暫くしたらヴェルは俺たちの所へ帰ってきた。
「ダーリンうちっすごい褒められたっちゃ!」
「そら凄いことやったんやから!」
「そうだよ!ヴェルさんがいなかったらあの人達マジで危なかったと思うよ」
「ほんまにヒーローやったわ!あの水から二人を抱えて飛び出た時はマジでテンション上がったし!」
「うちもあれはもう無理かもって思ったっちゃ!でもまだ水面近くに二人が見えたから。。」
『すいませーーーん、さっきのインタビューの続きしてもいいですか??』
アナウンサーのお姉さんとテレビクルーの人達がカメラで撮りながら俺たちの方へ来た。
『宇宙人さんにヒーローインタビューしちゃってもいいかな?』
「ダーリン、ヒーローインタビューってなんだっちゃ?」
『ダーリンってあなたももしかして宇宙人ですか??』
「いやいや、全然ちゃいます、俺はちゃんと日本人!」
「あなたは??」
翔陽の方にアナウンサーのお姉さんがマイクを向ける。
「いや俺も、、!」
ッバ!!!!
「っうわ!!」
『きゃあ!!』
翔陽が応えようとした途端!!
翔陽とアナウンサーのお姉さんが叫び声と同じタイミングで俺の視野からパッと消えた。
後ろを振り返ると、綱引きの紐をさらに倍に太く長くしたようなロープ?綱?が足に絡みついてる、しかもその綱は真っ黒や。
その黒い不思議な綱に巻きつかれれて引っ張られる翔陽とアナウンサーのお姉さん!
翔陽はサーフボードをアナウンサーさんはマイクを持ったままや。
二人は引っ張られまいと抵抗してはいるけど、どんどんビーチを引きずられて、まだ渦巻きの残る海へと向かってる!
自分の目を疑った、と同時に直感で分かった。
コレは連れて行かれてしまったらあかんやつやろ!
「翔陽!」
「待つっちゃ!」
ッダ!!
思いっきり地面を蹴り、猛ダッシュで引き摺られていく翔陽とアナウンサーのお姉さんを俺達は追いかける!
「何やあれ??」
海に目を送ると波打ち側に大きな烏賊みたいな生物が見える!
でかい、真っ黒い、烏賊。。。
あんなやつ見たことない!
真っ黒とか、大きさとか烏賊としての違和感がすごい。
その烏賊には頭と思われる先端があって、真っ黒な三角形の薄い羽の様な物がある、動体の全長は小型船くらいありそうや!
丸い筒状の胴体の下側から、男性の太ももくらいある二本の触腕と何十本と信じられない数の触腕より細いニョロニョロした触手が生えてる。
気持ち悪ぅ!
ギョロギョロした二つの大きな目と目が合い悪寒が走る。
翔陽とアナウンサーのお姉さんを引っ張っていく真っ黒な烏賊の触腕を必死に追いかける!
絶対助ける!!
ここから俺達の運命の変わる戦いが始まる!