気持ちがバレてるって素晴らしい?でござる?
橙色の月は上空に上がり白く色を変えていた。
風の全く無い静かな神々の森の中。
小さな精霊のユン達が、ぼんやりと体を光らせ森の中で楽しそうに遊んだり悩める拙者を眺めたり、自由に遊んでいる。
月明かりに照らされるこの世界は本当に美しい。。
ーーーーーー エクロ ナギ オキクルミ ーーーーーー
朝日の光が差仕込もうとしている。。
瞼を閉じていても少しずつ辺りが明るくなってきている事がわかるでござる。
新緑の香りがふわりと風に乗って香った。
心地良いでござる。
ニケ。。?
拙者は目を開いた。
開いた扉の向こう側、うっどでっきの端に先日取り付けた手摺にニケが空を眺め、もたれ掛かっているのが見えた。
拙者は海晴達を起こさぬ様にそっと立ち上がり扉へと向かった。
扉の外には信じられぬほどに美しい景色があったでござる。
雲ひとつない空は朝焼けの桃色に染まっており。
桃色の空の中で星々が最後の輝きとキラキラ光っている。
明け方の空の下、大きな大きな満月が今にも海の水平線に沈もうとしているでござる。
その幻想的な景色の真ん中にニケがいた。
くるっと振り返りニケは「おはよう、エック」と拙者を呼びながら笑った。
ニケの笑顔が輝いている様に見えた。。
ニケは拙者の目の前にあるこの美しい景色の中で一番美しかった。
拙者は言葉を失うほどの美しい景色に感動に言葉を失った。。
風になびく髪を耳にかけるニケ。
金色の髪が空の光で桃色にキラキラと輝く。
。。。
感動のあまり動けなくなった拙者をニケは微笑んで待ってくれている。
ニケの隣に行きたいのだが、行ってしまえばこの景色は見れなくなる、その思いが拙者をここにとどめていた。
「うわーー!すっごい綺麗だっちゃ!」
ドンっとヴェルが拙者の肩に両手を置いた!
「ぐぬ、」
急に五月蝿いではないか。。
「ほんまや!めっちゃ綺麗やん!」
拙者はヴェルと海晴に押される様にニケの隣に来てしまった。
「綺麗だっちゃ〜」
「これはすごいね〜」
逆どなりで翔陽と小春も桃色の朝焼けを見て感動している。
いつの間に来たのだ?
「こんなに綺麗な朝焼け初めて。。」
ニケも感動し息を漏らしている。。
拙者もニケの隣で改めて空を眺めた。
「うむ、綺麗であるな。。」
「いい朝。。ね、エック」
ほんの少し、ニケが側に近寄った。
なぜであろうか、ほんの少しの近づいたその距離が嬉しい。
「うむ。。」
幸せでござる。。
隣にニケがいるそしてこの美しい景色、良き朝でござる。。
ガバ!
「おーいエック!」
ニヒヒヒっと翔陽が笑ってるでござる。
「いい朝だなエック」
「う、うむ、でござるな」
「翔陽君何してるんですか??」
「え?いやエックと男の友情を。。」
「翔陽君、空が綺麗です、エックの邪魔しないでこっちに来てください」
「お、おお、、」
さっと翔陽は拙者の肩から離れて小春の方へと行った。
「あーー、月が沈むっちゃ。。」
桃色の空の中、大きな大きな満月は自身の色を山吹に染めながら沈んでいく。
皆、静かにこの美しい景色をただ眺めた。。
山吹色の月が桃色に染まる海に 沈んでいく。。
。。。
。。。。。
そして月が沈み朝が訪れた。
輝いていた星々は輝きを失い空の中に溶けていったでござる。
美しい朝であった。。
「朝ごはん食べて森の見回りに行こうか」
ニケが皆を見てニコッと笑った。
「だな!」
「で、修行や!!」
「だっちゃ!」
「今日も頑張りましょう!」
そうして知らぬ間に拙者達は変動の日々へ足を踏み入れたのでござる。。
ーーーーーーーー その日の夜 ーーーーーーーー
森を見回り、修行と棲家を作る日課が終わり夜を迎えた。
ヴェルの選んだ木の上の棲家はとても快適な棲家となってきたでござる。
海晴の言う、うっどでっきとやらの上に家を建ててとても快適。
海晴達の知識は素晴らしい、拙者の知らなかった物をどんどん提案し創ってゆく。
げんだいとやらはとても面白いものが多くあるのであろうな。
そして満月がまた登ってきた。
神々の森を一望できる棲家、幾重にも連なる山々の向こうに拙者が行った事ないが海が見える。
満月を見上げながら拙者は思った。。
新月の時に来た海晴達とはこれで半月の仲となったのだな。
。。。。
大きくてまん丸の月が、遠くに見える景色を橙色に染めている。
いつも地面から木を見上げていた拙者には見えなかった海。。。
今までと違うことをする事で新たな景色に出会えるのでござるな。。
海晴達には感謝でござる。
いつか海も見に行きたいでござる。。
。。。
何があってもこの美しい世界を守らねば何らぬな。。
そのためには、もっと力を。
「むっ」
そういえば、拙者は夕飯の後に、死の珠を見つめ、理解し、対話しようと思っていたのだ。
拙者は手を満月に掲げ、死の珠を手の平の上に浮かした。
死の珠は黒く、なんでも引き摺り込みそうな渦がゆっくり回っている。。
優しくこの世界を照らす月とは正反対でござるな。
おどろおどろしい力でござる。。
この力はなぜ、拙者に?
。。。
拙者はなぜ。。
。。。
拙者はこの森を守る運命で、この森からは。。
。。。
黒い渦を見れば見るほど深い思考に引き摺り込まれてゆく。
運命。。
。。。
運命とはなんでござるか?
変えれぬものが運命ではないのか?
運命とは神が決めたこの世の流れでござる。。。
その運命に抗い拙者達で運命を変えるなど、神に反抗するような所業でござる。
果たしてその行為は良い行為なのでござろうか?
しかし、この先にある運命がこの世界の望まぬものならば。。
運命を変えていくことで、この世界が良くなるようであるならば。。
変えていくという行為自体それが。。
拙者がこう思考し運命を変えていこうと動き出す事すら、運命であるとするならば。。
運命を変えるというこの考えも運命の流れの一部でござるか、、?
。。。
運命とは定め。。
むぅ、わからぬ、、
定められている事に抗う事など出来るのであろうか、、?
トン!
「おい!」
「っむ!」
「ははは、エック何を考え込んでるんだよ?」
急に翔陽に肩を叩かれて驚いたでござる。
「なにか難しいことでも考えてたんだろ?」
隣で翔陽は腕を組みながら手摺にもたれた。
「なんでわかったでござるか?」
「ははは!エックの背中に考え中って書いてたよ!」
「ふふふ、お主の目も何か読み取る力があるでござるな」
「はははは!そうかもな!でエック何を考えてたんだ?」
「むぅ、この死の珠を知りたくて眺めていたのだがな。。」
「なるほどな!で、運命ってなんだろうっとか考えてたんだろ?」
「な、なんでわかったでござるか?」
「仲間の考えてるものってのはわかるもんなんだって!別に普通のことだよ」
ニコッと翔陽が笑った。
いい笑顔で笑いおって、本当に良い奴でござる。。
「仲間とはよいものでござるな。。」
「ははは!朝もだったけどこの世界の月って綺麗だな〜」
翔陽は両手を後ろに付いて夜空を眺めた。
「ユンが木で光ってまた綺麗だよな〜、いい世界だな〜」
「そうかお主らの世界でユンはいないのでござるな」
「そうなんだよ、不思議な世界だよこっちは、本当に俺達と同じ世界か疑問になるんだよな」
「違う世界とかあるのでござるか?」
「異世界転生とかさ」
「いせかいてんせい?でござるか?」
「ははは、そうそう」
「翔陽、意外にユンはどこでもいるでござるよ、見づらいだけで、一度見えてしまった者には目が慣れて見えるようになるでござる」
「そうなんだな、じゃあ帰ったら見えるかもな、俺の家にも神様がいてさ山があるんだよ」
「ほう、そうでござるか、拙者も一度翔陽の山の神様に会ってみたいでものござる」
「いや神様なんだから会えないだろ」
「神様は会えるでござるよ」
「ふーーん、じゃあ帰る時一緒に来て会いに行こうぜ、光波神社の神様にさ」
「むう、そうでござるな。。。」
。。。
ふわっと拙者達の間を夜の風が通り抜けた。
。。。
「翔陽、せっし」
「あのな、エック」
翔陽が拙者の言葉を遮った。
「運命とかってさ。」
「うむ、、」
翔陽は拙者の心が分かるようでござる。
「運命って未来のことだからさ俺たちには分からない事じゃん?なのに運命だって決めつけて動かないってのはさ、、なんて言うか。。。」
「うむ」
「例えばなんだけどな、今エックがこの森を、ここで守り続けても、この森が滅びてしまう、ってなったらどうする?」
「それは。。」
「もし、この神々の森が滅びてしまう原因があってそれを解決できるとしたら、俺達はその原因をなんとかするべきじゃないか?」
「そうでござるな、その通りでござる」
「それに」
「それに?」
「出来る事なんでもやって!見て!感じて!それってすげーーー!楽しいことだよ」
翔陽は拙者を見てニコッと笑った今までの自分の生きてきた人生が楽しくって後悔などしてないという笑顔だったでござる。
。。。
「俺もさ〜、気づいたのは最近なんだよ、海晴に会っていろいろなことを乗り越えてさ、気づいたんだよ」
翔陽は大きな満月の空を眺めた。
「そうでござるか」
「おーい翔陽、エック、二人で何話してるんよー!俺をのけものにするとはなぁ!」
ニヤニヤしながら海晴が拙者達にガバッと抱きついたござる。
「なんでもねーよ!」
「お!なんか俺のこと話してたんやろ?」
「してねーよ!」
「いや、絶対してた!」
「はははは!本当にお主らはなんでも分かるのでござるな」
「お!やっぱりな!」
「おい!エック!」
「で、なんの話してたん?」
「お前とヴェルさんが怪しいて話だよ!」
「はぁ〜?怪しくないわ!」
「ははははは!海晴、照れることはない、つがいは良い事ござるよ」
「よくない事でござるわ!」
「はははは!」
「あははは!」
「エック!」
「綺麗な満月ですね」
「ダーリンうちの話してたっちゃ?」
笑っていると女子三人がやってきた。
スタスタっとニケが拙者の横に来た。
「エック、遠くの海が月明かりで綺麗に光ってるね、この世界を見ていたの?」
「むぅ、よくわかったでござるな」
「ははは、エックみんなに何でもバレてるな」
「ははは、そうみたいでござるな」
「行ってみたいいだろ?海」
「え?行ったことないん?」
「行ったことないいでござるよ」
「まじか」
「今度うちらと一緒に行くっちゃ!」
「むぅ、行きたいのだがな、、、拙者はこの森を守る使命があるのだ、だからこの森からは出るわけにはいかぬ。。」
「あ、そうだっちゃね、、、ごめんっちゃ」
「この森を守る。それは私達が一番大切にしないといかないものさ、だからあたし達はね、あんた達には本当に感謝してるのさ」
「そっか、うち達と同じ珠を出せるから同じ運命を背負ってるかと思ったのに、残念だっちゃ」
「なんかずっと一緒にいれる気がしてたんですけど。。」
ヴェルも小春も少し寂しそうでござる。
「お主らの運命でござるか。。」
拙者達はまだ半月の仲、なのになぜか情が深くこれからもずっと一緒に入れそうな気がしておった、皆この森にずっといてくれるような。。
「なんか寂しいけどさ、俺達の仲は少々離れても切れはしないから大丈夫やって!」
「ああそうだよ!」
「だっちゃ!」
「ありがとうでござるよ」
「じゃあそろそろ寝るっちゃ!」
「そうだな」
皆が立ち上がった。
「拙者もすぐいく、先に行って欲しいでござる」
「わかった!」
「いっとくな!」
そういうと拙者を残して皆寝床へ向かった。
橙色の月は上空に上がり白く色を変えていた。
風が全くなくって静かな森の中、小さな精霊のユン達がぼんやりと体を光らせ森の中で楽しそうに遊んだり拙者を眺めたり、自由に遊んでいる。
月明かりに照らされるこの世界は美しい。。
別にこの地を離れたいなど全く思わぬ。
このちが好きだし、この森を愛しておる。
「ただほんの少し、他の世界も見てみたいんだね」
すっとニケが拙者の横に戻ってきた。。
「いつか見れる時が来るさ、この地に平穏が訪れたらね」
「そうだ、その時は我らで少しの間旅に出ようではないか」
ネロとビアもいつの間にかそばに来ていたでござる。
拙者の横から顔を出すネロ。
「そうでござるなぁ」
拙者はネロをなでた。
皆、、拙者の心を読みすぎでござる。。
そして拙者達は月夜を眺めた。
月明かりを浴びてとても気持ち良い。
ネロとビアの間に拙者とニケがいて暖かく。
月がなんとも言えぬ幸せな光を届けてくれている。
ユン達も寄ってきて周りで淡く色々な色で光っている。
「美しい世界でござる。。」
「本当だね、この世界絶対に守ろうね」
「大丈夫だよあたし達も今強くなってるんだからね」
「ビアあなたも何か修行してるの?」
「ビアだけではない俺もだ」
「ネロ、ビアお主らも修行しておるのか?」
「ああ、あんた達が修行してる間にね!」
「まだまだ途中だが期待てておくがいい!」
「おぬしら。。」
拙者は少しの感動を隠すようにビアをなでた。
「ネロあなたは本当に可愛いね」
ニケもビアを撫でてるでござる。
周りのユン達もなぜか、撫でて欲しそうにちょこちょこ寄ってきたでござる。
周りの木々からもユン達が皆、拙者達をのぞいて光ってる。。
満月に照らされて神秘的な光景の中に大切な者達も側にいる。
幸せでござるな。。
皆で森と仲間の良さをしっかりと噛み締めた。。
。。。
寝なければならないのは分かるのだが。。
この空間とこの時間が惜しくて寝床に行けぬ。。
海晴達が来た事で何か全てがよく回り出しているように感じるでござる。
ヒューーっと拙者達を風が通り抜けた。
。。。
「む?」
ザワザワザワ。。
何か。。
森の雰囲気が変わったでござる。。
ザワザワザワザワザワザワ!!!
ッパと精霊にユン達の光が消えた!
「「何か来る!」」
「おい何か来るぞ!」
「「ガウ!!!」」
拙者達が身構えた時、翔陽を先頭に海晴、小春、ヴェルも皆出て来たでござる!!
その時!!
何か目の前に迫った!!
壁の様な物が迫る!!
次の瞬間拙者達をそれが襲った!!!
バン!!!
バサバサバサ!
ッビユゥゥゥゥゥーーーー!!!
「うわぁ!!!!」
「っちゃあ!?」
バンバンバンバン!!
ガラガラガラ!
「捕まれ」
「むう!」
吹き飛ばされぬように拙者はネロの前足にしがみついた。
立ってられぬ。。
まるで鯉のぼりのように拙者は横なぎになびかされた。。
ビュゥゥ。。。
ドサ、、
風が止むと拙者はうっどでっきの上に落ちたでござる。
「皆!」
辺りを見渡すとニケはネロの元に、きっとニケもネロに助けられたでござる。
「いてててて。」
「たたたた」
「びっくりしたっちゃ」
「翔陽くんありがとう」
海晴達は棲家の家に風で叩きつけられたようだが、それぞれの女子達を体を敷いて助けたみたいでござる。
嵐が過ぎ去ったようにしんっと辺りから物音が、無くなったでござる。。
ユン達の光が消え、月だけはぼやっとさきほど度と同じように辺りを照らしている。。
だが先ほどまでの神秘的さは皆無。。
おどろどろしいこの空気。。
空から降り注ぐ月の光が重いでござる。。
「月が。。」
皆で知らぬ間に月を眺めていた。
バサ!
「っは?」
「ええ?」
「っちゃ?」
月を眺めた拙者達は信じられぬ物を見た。
突如として月が一瞬、光る髑髏となった。
ずっとではない、笑うように口角の上がった髑髏がッパッパっと点滅するように月と入れ替わる。
「どう言うこと、や、、?」
皆言葉を失うように不気味な景色を見ているでござる。。。
空に髑髏とは不吉な。。
「ックックックックック。。」
この不気味な世界にさらに不気味な声が響いた。。
バサ!!
笑う髑髏が二つ天から拙者達を眺めた!
バサバサバサ。。
「蝶、いや、あれは蛾でござるな。。」
「ああ、、、そう言うことか」
「蛾の羽に髑髏の模様があって月と重なってたんか。。」
「きっとあの大きな蛾が風を起こしたんですね。。」
「そうだね」
「でござるな」
「ックックックック」
「この声はあのタトゥーの男や!」
「クック、よーくわかったなぁ、雑魚の死に戻り、かぁいせぇい!死んだ気分はどーやったぁ??ックックック」
大きな蛾の背中からタトゥーの男と呼ばれる男が顔を出した。
蛾の髑髏の光が細く背の高い男を下から照らし、まるであの男もおどろどろしい妖怪のように見えるでござる。
大きな鶏冠をはやし、体はキラキラ光る棘を無数に纏っていた。。
恐ろしい風貌でござる。。
迫力からか男がとても大きく大きく見える!
「っく、、お前が全部やったんやろ!!」
「お前!何笑ってるんだよ!!」
「お前がダーリンに!世界に何してるかわかってるんだっちゃ!???」
ヴェルが妖怪のような男に飛びかかりに全力で向かい始めた!
ッバサ!!!!
大きく力強く髑髏の模様の蛾が羽ばたくと大きな突風がヴェルを襲ったでござる!
「っちゃぁーーー!!!!」
ビュウゥゥゥゥゥ!!
突風がさらに拙者達に襲いかかった!
拙者達は強風に飛ばされぬように耐える。
その中海晴は飛ばされてくるヴェルを抱き止めた。
がば!ゴロゴロゴロゴロ!
海晴とヴェルが転がっていく。
「これはいかん!」
拙者は思いっきり海晴に手を伸ばした!
届かぬ。。
拙者の前を海晴が転がり過ぎていった!
「うおーーー!!」
拙者の目の前をさらに翔陽が飛び抜けた!
「む!!」
がしぃ!!
拙者は翔陽を掴んだ!!
「ナイス!」
翔陽は海晴を掴んでた!
海晴はヴェルと共にうっどでっきから落ちて宙ぶらりんになっているでござる。
「小春引っ張るよ!」
拙者ごと小春とニケが引っ張ってくれたでござる。
なんとかみんな無事にうっどでっきに登ってこれた。。
「ックックックック!危なかったねぇ〜また死ぬとこやったねぇ〜〜、か〜い〜せぇ〜〜!!!」
ギラリと妖怪のような男は大きな目をさらに大きく見開いて海晴を睨みつけた。
「だから!お前が殺そうとしたんやろ!!」
キッと翔陽とヴェルが妖怪のような男を睨みつけて両掌の上に珠を創り出しでござる!
ッダンっと翔陽がうっどでっきを蹴り出した!
ヴェルも翔陽と一緒に妖怪のような男に立ち向かっていった!
バサ!!
ザザザザ!
ブワァ!!
また髑髏の蛾が羽を大きく羽ばたかせ突風で翔陽とヴェルを吹き飛ばした!
ハシ!ガシ!
拙者達は飛ばされてくる翔陽とヴェルを受け止めたでござる。。
。。。。
「くそ!」
。。。。
少しの間睨みあって拙者達の間にいっときの沈黙が流れた。。
。。。
「なぁ、なんでこんな事するねん?この世界を、お前は壊そうとしてるやろ?」
「ックックック、そんな事ないよぉ、変なこと言わんといてやぁ、僕はこの世界を救いたい思ってるんでぇ、君達と同じやんかぁ!」
ニヤリと男は身を乗り出してこっちを見つめながら語りかけてきた。
なんて胡散臭い男でござる。。
「とぼけるなよ!お前が俺らの世界でしたことを忘れてない!それにお前がいつも連れてる赤い目の蛇がいつも事件が起きてる時いるの知ってるんやぞ!」
「そうです!あなたは私とも大浜町の海岸で戦った、その時翔陽君を闇に落とそうとした、その時ヴェルちゃんも闇に落ちていた、絶対にあなたの仕業です!」
「体育館で俺もお前と戦ったの忘れたんか!??」
「あたしがこの世界から迷い出てしまった時もお前がいたよ!!」
「俺達はお前に騙されない!これまでの出来事も全部お前のせい!赤い目の蛇、それに俺達自身の記憶がが証拠だ!」
「ックックック、赤い目の蛇、それは、、こいつの事か?」
ずるりと妖怪のような男の背中から蛇が這い出てきた。
ギラリと赤い目が光る。
「ッシャッシャッシャ」
「あいつだ、くそ、蛇に癖に笑ってやがる」
「それでも君ら、なんでも僕のせいにしたらあかんわぁ、僕もここに迷い込んだ被害者なんよぉ、この子も僕のペットなだけや、蛇なんてどこでもいるやんかぁ、君の思ってる蛇ちは蛇違いやと思うでぇ、、それに、僕が君らをここに連れてきたって言うのぉ?」
「そうだっちゃ!お前が起こした事のせいでうちらはここにいるんだっちゃ!!!」
「ックックック、アッハッハッハッハ!」
黒い男が顔を手で覆いながら天に向かって笑った。
「何を笑ってるでござるか!!」
「すーーー。。はぁーーー。。。いや、ごめんごめん、君ら愉快過ぎてねぇ!」
「はぁ?何がやねん!??」
「せやね、、君ら言ってたねぇ、我らの生きる道も神様が創っている、これを我らは運命と呼ぶ、とか 俺たち六人がこうやってここに集まってることも運命なんかなって思ってまうよな、とか、
ここに皆がおるのはきっと神の導き、とかなぁ〜、そうそう、神秘的だなぁ、とかそんなことも言うとったなぁ〜。。」
確かに、言っていたでござる。
「ックックックック、でも君らが言うには、君らをここに連れてきたのは僕、その前の出来事も全部僕のせい、、ってことは君ら。。」
「僕に敷かれた運命の上に乗っとるよぉ!!!!!!!」
「え、、」
「な、、」
「い、や、、そんな、、」
「ぐぬ、、」
「ックックックック。。」
「何言ってるねん!そんな訳ないやろ!!」
「でも君らがそう言うたんやろぉ?ほんまについさっきそう言うとったやないか」
「でも、、お前とは、、」
「君らは僕の敷いた運命のレールの上に乗ってる、と言うことは、エックぅ!」
「む?」
「君らの神は僕って事やよぉお?」
妖怪のような男は大きな夜空のような大きい瞳をぎょろぎょろさせ拙者に微笑んだでござる。
。。。
「ほら、神が目の前におるんよぉ?黙ってないで神秘的やなーとかはよ言いやぁ?」
あの男がとてつもなく大きく見えるでござる。。
すごい迫力に拙者達は動けなくなっているでござる。。
「言う訳ないやろ!お前の敷いた運命のレールに俺らが乗ってる言うんやったら!そんな運命!ぶち壊したるわ!!!!」
海晴が妖怪のような男の迫力を跳ね除けてくれたでござる!
真っ暗に見えた世界が光を取り戻した。。
月が辺りを照らしていたのか、あの男の迫力に飲まれて何も見えなくなっていたでござる。。」
「ックックック、かぁいせぇい!威勢がいいねぇ!ほんならやってみたらええわ!この先の事教えたるわ!それがならんかったら、君らは僕の敷いた運命の上にいない、でもそうなったら、、君ら僕を神と崇めなあかんよぉ」
ニヤリと男がまたすごい迫力を放ちながら笑った。
「なんやねんこの先のことって!」
「ックックック、この世界は滅ぶ、大きな世界の怒りが吹き上がって、君らはこの世界にいれなくなるんやよ」
「な、この世界は滅ばぬ!」
「そうだよ!あたし達がそれは絶対させない!」
「ックックック、ニケもエックも調子がいいねぇ、でもねぇ君らの悔しい顔、、もう目の前に浮かんでるんやよぉ!君らは泣き崩れるよぉこの世界の終わりを眺めながらねぇ」
「絶対させません!」
「そうだっちゃ!」
「ックックック!ほな頑張りやぁ!あと、かぁいせぇい!もう死んだらあかんよぉ〜〜、ックックック!」
そういうと男は目を閉じた。
あの大きな目が消えると一気に男の気配が薄くなったでござる。。
「もういいよぉ、やってしまぃ〜」
キュアァァァァァアアーー!!!
髑髏を羽に浮かび上がらせる大きなな黒い蛾が叫んだ!
「くるぞ!!」
そして拙者達は狂った運命に飲み込まれていくのであった。。