この森は本当に素晴らしいでござる。
森のから降り注ぐ光芒はニケを優しく照らし。
昨夜の雨に濡れた新緑に水滴が乗っていて太陽の光を浴びていじキラキラと輝く。
鳥達はありがとうと言うかのようにさえずり、爽やかに風が吹き抜け、サワサワと森を鳴らした。
その静けさを取り戻した神々の森に見守られてニケはの暖かそうなところで。
ニケはビアと共に眠りに落ちていた。
ーーーーーー エクロ•ナギ•オキクルミ ーーーーーー
そこは真っ暗な夜の世界だった。
信じられないほどの数の星々が輝いている。
今まで何度も信じられないほど美しい星空を見てきたが。
これはまた美しい。
赤色や青色の星の渦が見える。
天の川が信じられないくらい明るく足元で輝き、星々はキラキラと輝いておる。。
星が足元に見えるなどおかしな事だ。。
今、拙者は見える物全てが夜空の世界の中で浮いて。
夜空の世界の中で信じらぬほど美しい景色を拙者は眺めている。
しかし拙者は一度この景色を見ているではないか。
あの悪夢の中で。
星が消えていった、あの悪夢の中で。
。。。
「なんじゃ?あれは?」
拙者はが気ついた、目の前に真っ黒で大きな穴が空いているでござる。。
その黒い大きな穴の所だけ何故か星空がない。
闇が広がっている訳ではない、ぽっかりと穴があるのだ。
。。。
なぜあそこだけ。。?
そう思っていると、その黒い穴の周りがフワリと白く光り始めた。。
なんじゃ?
ゆっくりと白い光が広がっていく。
すると後ろから光が差した。
黒い穴に端から色が付いていく。
青と白の美しい星が次第に見えてきた。
太陽が青い星の裏から現れた。。
なんて美しいのだ。。
拙者は太陽が出ているのに、未だ夜のままの不思議な世界から、美しい青い宝石のような星を眺めていた。
太陽の光がその星を半分以上照らした時。。
キレイナホシダロ?
む、誰だ?
。。。。
オマエハ、ソノホシヲ、マックロニ、ソメヨウトシタノダ。
ちがう、拙者は。。
チガウコトナドナイ、オマエハ、セカイヲクロク、ソメヨウトシタ。
そ、う、だな。。
オマエジシンノ、チカラガヨワイカラ、シノチカラニノミコマレルノダ。
ああ、、そうでござる、拙者が弱いからでござる。
シノチカラハツヨイ。
わかっておる。
シノチカラヲオマエガ、チャントツカエタラ。
使えたら?
オマエハツヨクナリ。
コノセカイノ ホウカイヲトメラレルダロウ。
なんだと、、?
世界の崩壊?
それを拙者が止められる?
コノセカイハ、ホウカイヲハジメテイル。
そうなのか。。
しかし神々の森を見ていると、納得できるでござる。。
今、拙者達の世界が狂ってきている。。
ここ最近はそれを見守ってきたからな。。
モシモ。
もしも?
モシモオマエガ、チカラヲエタラ、、ドウスル?
拙者が力を、、?
む、いつの間にか夜空の世界がなくなっておる。
拙者は真っ暗な世界の中で浮いていた。
ドウスル?ミナガ クルシマナクテ イイヨウニ、クズレユク セカイヲ ケシテシマウカ?
崩れる世界を。。
消す。。
でもそれは。。
ニケも消す事でござる。。
ソウダ、シカシ、ソノオンナモ クルシマズニスムノダ。
ニケ。。
拙者はニケを思い出した。
いつも神々の森のために動き、笑い、拙者を救ってくれた。
「あなたは私の希望だった!そして私はあなたの希望になりたい!!!!」
ふっと死の水の中の時の、必死なニケの顔が浮かんできた。。
「エック、この森は私たちで守っていこうね。」
俺の頭の中でニケが笑う。
「私、この世界には辛いこともあるけど、好きなんだ、何が合ってもこの森は守りたい」
夕焼けを眺めながら話すニケ。
思い出が蘇ってくる。
ドウスルノダ?
苦しまなくても。。
世界を崩壊さし消し去れば、きっとそこには後悔が残るでござる。
ウム。
だから拙者は。。
力を手に入れたら。
後悔の残らないように全力で。
拙者の全てをかけて!
ニケを守る!
神々の森を守る!
この世界の崩壊も止めてやるでござる!
もう絶対、死の力に飲まれたりなどしない!
絶対でござる!!!
。。。。
ワカッタ。
オマエニチカラヲヤロウ。
力を。。
しかし。。
サッキノコトバ、ワスレルナ。
ソシテソノチカラヲ、ツカイコナシテミセロ。
力を使いこなす。
ああ、絶対使いこなして守る!
世界を友人をニケを、全てを守れるように全力でござる!
キタイシテイルゾ。
すると途端に真っ黒な世界が渦を巻を始めた。
「なんだこれは。。」
真っ黒な世界が拙者の掌の上に集まってくる。。
やがて真っ黒な世界は収縮して拙者の掌の上で小さな珠となった。。
黒い渦が渦巻く珠。
拙者は恐ろしさと力強さを感じていた。
一度俺は無意識下でこの珠を創りだした事があったでござる。
あのニケと死の水の拡散を防ぐときに。。
突然ドクンっと俺の心臓が大きく一度鼓動した。
そしてゆっくりと。
視界が開けていった。
。。。。。
。。。。
ピピピピピ。
チチチチチ。。
鳥が鳴いてる。
今まで拙者の中に溜まっていた死の呪いがすっきりなくなっている。
体が軽く気持ち良い、こんなの久しぶりでござる。。
サワサワと風が木々の間を優しく通り抜け。
チャプチャプと水の流れる音がする。
森の香りに包まれて、降り注ぐ光の中で拙者は目を覚ました。
。。。
今の夢は何んだったのだ?
ああ、もう夢は見すぎたでござる。
不思議な夢ばかり見る。
ん?
右手に何か。。
拙者は右手を見ると右手の上に黒い渦を巻いた死の珠が浮いていた。
これは、どうしたら、、?
カサカサ。
音がする!
不穏な音でござる。
ッザ!
飛んだ!
拙者はバッと後ろを振り向いた!
後ろから黒い蛇が飛び掛かってきている!
こやつは拙者の体の中にいた蛇!
見たらすぐわかった。
拙者の体にニケの偽物に連れられ入った時より相当大きい。
一度俺の体から追い出され、辺りの死の力を得たのか?
かなり禍々(まがまが)しく強い力を感じる。。
だが!
またこやつに取り憑かれるなどごめんこうむる!!!
拙者はニケのそばに落ちたいた短刀を拾い、死の珠を弾けさせた!
するとその死の珠はブワッと黒い死の力の渦となった。
そしてその黒い渦は拙者の手に絡みついた。
拙者の手が黒く染まる。
嫌な感じではない、今までにない力を感じるでござる。
拙者は飛びかかる蛇に向かってその黒く染まった手で短刀を振った!
ッパ!
軽い。
軽かった。
黒く染まった蛇は真っ二つに切られ言葉も発する事も出来ずに弾け飛んでいた。
かなり強い力を持った蛇だったのに。
意図も容易く。。
なんでござる、、この力は。。
拙者は黒く染まった自分の腕を眺めた。
「エック」
「ニケ」
するとニケが起き上がった。
「今のがあなたの珠の力。。」
「むう、死の呪いを。。」
「おーーーいニケ!」
「大丈夫だっちゃーー?」
「大丈夫ですかーー?」
ニケに感覚を伝えようとしている最中に、少し離れたところから四人の男と女が歩いてきおった。
「翔陽、小春、ヴェル!それに海晴!!」
ニケが嬉しそうに手を振った。
ニケの笑顔が戻ってきているでござる。。
「おーーい!」
ニケに呼応されるように海晴と呼ばれる男が手を振った。
海晴。。
なぜだろうか、、少し安堵した。
それと共に笑顔になってしまうほどの嬉しさが心の底から込み上げてきた!
なぜこんなに気持ちに。。
ニケと再び会えた時のような嬉しさだ。
ヴェルと呼ばれる白い髪の女の腕には羽の生えた蜥蜴がいる。
四人と一匹は拙者達の側にまできた。
「エックだよな?初めましてだよな?」
翔陽と呼ばれる男がニコッと笑い気さくに手を出した。
どういうことだ。。
右手を差し出すなど。
武士の作法にはない。。
だが此奴らに不穏な気配はない。
拙者は恐る恐る手を出した。
それに拙者の死の呪いが怖くないのか。。?
「俺は横山 翔陽!翔陽って呼んでくれ!よろしくな!」
ガシッと翔陽が拙者の手を握った。
「うちはリム ラヴェル!ヴェルだっちゃ!よろしくだっちゃ」
「私は絹川小春です、こはるって呼んでくださいね!よろしくです!」
横にいるヴェルと小春と呼ばれる女達も笑顔だ。
その後ろでポリポリと頭をかく男。
「はは、なんか照れるなー、俺は日向 海晴!海晴って呼んでくれたらいい!エックよろしく!!」
海晴と呼ばれる男も手を差し出してきた。
拙者はもう手などの心配などしていなかった。
「ああ、皆、よろしくでござる、拙者はエクロ ナギ オキクルミでござる、エックと呼んでくれ」
拙者は手を握った。
なぜか次は目頭が熱くなり目に涙が溢れてきた。
グイッと拙者っと目の前の海晴も腕で目を拭っていた。
みんな涙目でござる。
なぜだ。
「ダーリン、とりあえずあの次元の尖を消さなきゃだっちゃ」
「ああ、やな!」
ヴェルと呼ばれる女の見る方を拙者も見た、するとそこには空中がグニャグニャと尖ったり凹んだりしている。
まるで空気が歪んでいるようでござる。
爽やかな美しい風景がそこだけ歪んでいた。
あそこはさっき拙者が黒い蛇を切った場所でござる。
海晴がゆっくり歩いてその次元の尖へと近づいていく。
スッと時空の尖に海晴が手を伸ばした。
「駄目でござる、それはすごい力を溜め込んでおる!危険でござる!」
「ん?」
海晴はこっちを見て笑った。
「そうやねん、これは危ないねん、時空の尖のせいで世界はバランスを失うんやから。この時空の尖は多分やけど、エックを暴走させた原因やしな」
「ああそうでござる!だから触ったら駄目だと言っておるのだ」
「エック!心配ありがとうな!危ないものやからこそ消さんとな!」
海晴はふっと優しく笑い、改めて時空の尖に手を伸ばした。
フワッと海晴と呼ばれる男の体が光った。
そして時空の尖を触った。。
ッパっと世界が光った!
光の収まった次の瞬間にはもう時空の尖は消えていたでござる。
「何、、お主どうやったのだ?」
「え?んーー、、触っただけやで、俺そういう体質やねん」
「はははは!変な体質だろ?」
「っうるさ!いいやん別に!」
「ふふふ!そうですよ!すっごい良い事ですよ!」
「やんなー!小春ちゃんありがと!」
「あ、」
小春ちゃんが一歩下がった。
「え?小春ちゃん?」
バリバリバリバリ!
「うぎゃーーーー!」
「ダーリン!!小春にまたデレデレしてたっちゃ!!」
「誉められたんやし当たり前やろ!」
「はははは!だよな!」
「だっちゃ?」
「痛いねん!こいつーー!」
「いたいたたた、痛いっちゃダーリン!宗近を落としちゃうっちゃ!」
「お!海晴がヴェさんにヘッドロックとか珍しいな」
「おいヴェル嘘っつくなよ!全然痛くないくせに、全然締めてへん!」
「ははは、バレたっちゃ!」
「えい!」
ヴェルと呼ばれる女の子がヘッドロックされながらも抱きついた。
「もう絶対離さないっちゃ!」
「いいってもう離れろよ」
「嫌だっちゃ!」
「はははは!」
「ふふふふ」
ニケも四人を見て笑っている。
「ヴェル、宗近も生きていたのだな?」
「そうだっちゃ!ニケの生命の力のおかげだっちゃ!」
「ははは!そうかよかった!それに海晴が帰ってきて翔陽達に元気が戻って本当によかった。。」
心の底からの言葉をニケは拙者の隣でこぼした。
「ニケありがとうだっちゃ!ニケのおかげでダーリンが帰ってこれたんだっちゃ」
ヴェルと呼ばれる女がニケの声を聞いて、今度はニケに抱きついた。
ヴェルと呼ばれる白い髪の女は着ている着物が薄く少なく、拙者は少し目を離すしかなかった。
「ニケ!エックと会えてよかったな、エックも無事やし最高の結果や!」
「ああ、私がこの世界に帰ってっこれたのも、死の呪いに打ち勝てたのも、どれも海晴かいなかったらできなかった。本当にありがとう」
「いや全然大丈夫!俺はやりたいようにやっただけやし!」
ニヒッと海晴が笑った。
人を惹きつけそうな良い顔をしている。
すると海晴が俺の方へと向いた。
「エック!ニケはずーーーーっとエックのことを考えてて!それでめちゃくちゃエックの心配してたんやで」
また海晴がニヒッと笑った。
この者たちがいなかったらきっと拙者はこの神々の森を、ニケを死に染めてしまってたのだろう。
皆、体は血と泥で汚れ、必死に拙者やこの森のために戦ってくれた事がわかる。。
拙者に胸に感謝と後悔の気持ちが込み上げてきた。
「皆、本当にこの度は、本当に迷惑をかけてすまなかった。」
拙者は一歩皆から離れ頭を下げた。
「皆がいなかったら、拙者はこの生命の森を、ニケや、ビア、ネロを死の呪いで殺していたであろう。。」
拙者の目から大粒の涙が流れ落ちた。
「この世界も、拙者も、全て、皆に救われた、本当に有難き幸せでござりまする、、、」
「エック、いいんやってそんなん気にせんで!」
「そうだよ!俺達は俺達がするべき事を、したい事をやったんだからな!」
海晴と翔陽が拙者の両脇から背中を触ってくれた。
「本当にすまぬ、本当にどう感謝を伝えたら良いのかわからん。。」
拙者は顔を上げて二人を見た。
「だからもういいんやって!」
「そうだよ!」
「腹減ったからさ!一緒に飯食おうや!」
海晴と翔陽は拙者の横で肩を組んでくれた。
なんて気持ちの良い者たちなのだ。。
「それやわ!すげー腹へった!エック!美味い物食おうぜ!」
ニコニコ笑う二人、全く後悔も何もないのだろう、拙者の中に最大の危機を乗り越えた嬉しさが込み上げてきた。。
「はははは!そうだな、拙者もう一週間も飯を食ってないゆえ腹ぺこだ!」
ニケが拙者達を見てとても良い笑顔で笑ってる。
「まじか!?」
「大丈夫なのか?」
と問い詰められていると。
「エック」
ズイッと拙者の前に大きな影が出来た。
うおっと、少し驚いたのだが。
それは影などではなく拙者の相方、黒狼のネロだった!
「ネロ!」
「エック!」
拙者はネロに歩み寄った!
海晴と翔陽は腕を離してくれた。
ネロに拙者は抱きついた!
「エック、お主良く戻ってきたのう」
ネロは泣きそうなのか声が震えている。
「ネロすまなかった。。」
拙者はネロに顔を埋めて泣いた。
拙者がいない中一番苦労して心配したのはネロだっただろう。
「ネロ、すまなかった、苦労をかけた」
「良いのだ、お主が無事帰ってきてくれただけで我は、、、」
ネロが言葉に詰まる。
いいんだネロこれ以上何も言わなくても。。
拙者がギュッと抱きしめる。。
するとネロはズンっとその場に座った。
「やっと、元に戻ったのだな。。」
ネロはそこで目を瞑った。
「ネロ。。」
拙者もネロの横に腰を下ろした。
「ネロ疲れてたんだっちゃね。。」
「エック、俺さこっちに来てからネロとずっと一緒にエックを探してた、俺達がばらけたときも俺はネロと一緒に戦った、だからわかるんだけど、ネロが一番頑張ってたよ!ニケもビアもだけど、あんに必死になんとかしようと、頭を巡らし体を張った姿に俺は推し動かされたんだ。。」
「そうで、、ござるか」
ネロは拙者の横で吸い込まれるように睡眠に落ちてしまった。
その姿を見て翔陽は。
「俺がネロと会ってからネロは一睡もしてなかったよ、エックを探すために俺達を守り、俺達を導いた、御飯をとって睡眠の時間を与えて自分の身を削ってた」
「ネロ、、本当にありがとう。。」
「そして皆、本当にありがとうでござる!」
「だから別にもう良いんやって!」
「そうだよ!」
また海晴と翔陽が座って拙者に肩を組んでくれたでござる。
「ありがとう。。」
そして皆疲れていたのかニケも小春もヴェルも翔陽もネロのそばで座った。
ビアはネロに体を寄せて寝転んだ。
なんであろうか睡魔が襲ってきておる。。
「なんか眠いな。。」
「うん、うちも眠いっちゃ。。」
「なんでしょう、私もです。」
小春とヴェルもこっちへとやってきた。
ヴェルは海晴に抱きつき。
小春は翔陽の横に座ったでござる。
多分ヴェルと海晴、小春と翔陽は良い仲なのであろうな。。
「きっと体が急激に回復したから、、疲れてるのかな」
「やなぁ。。」
海晴達もとても眠たそうでござる。。
ニケは。。
どこであろうか、、?
ん。
ニケは翔陽と海晴に少し遠慮したのかビアのそばにおる。
森のから降り注ぐ光芒はニケを優しく照らし。
昨夜の雨に濡れた新緑に水滴が乗っていて太陽の光を浴びていじキラキラと輝く。
鳥達はありがとうと言うかのように鳴き、爽やかに風が吹き抜け、サワサワと森を鳴らした。
その静けさを取り戻した神々の森に見守られてニケはの暖かそうなところで、ニケはビアと共に眠りに落ちていた。
懐かしくすら思えるニケのかわいい寝顔をこっちに向けておる。。
ニケ。。。
ん?
妙に静かだな、と思えば海晴達ももう、寝ておるではないか。。
拙者はニケの元へ歩み寄った。
そしてニケの背の方で寝転んだ。
拙者、ここにいる物達には拙者の命以上の借りができてしまった。
なのにこやつらは気にも止めずに笑っておる。
なんて器の大きな者達なのだ。。
しかし何故か。。
他人の気が。。
せぬ。。
。。。
海晴達に出会えてよかった。。
。。。。
いつの間にか拙者達はその場で眠ってしまった。。