仲間って素晴らしい
木々の間から朝日が降り注ぐ森で。
俺達は泣いた。。
ずっとずっと神秘の森の真ん中で。
周りから色々な動物達に見守られながら。。
泣き続けた。。
ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー
えーーーーー。。。
まじか。。。
天国こんなところやったんか。
うん、めちゃくちゃ神秘的やもんな。
俺は生命の泉の前で身体を起こした。
体の半分が生命の泉に浸かっていた。
新緑の森が光を隙間から落として美しい光の柱を何本も立ててる。
匂いも山のいい匂いがする。。
なんかめちゃくちゃ生命の力に満ち溢れている森や。。
でも俺、この景色ぼんやりやけど見たことある気がするねんなー。。
うん。。
あの泉の真ん中に生える立派な木とかめっちゃ覚えてるわ。。
「あ!ダーリン!起きたっちゃーーー!」
ヒュルルルルルっとヴェルが飛び寄ってきた。
「え?ヴェル。。。」
ヒュルルルルル!
「ダーーーリン!!!」
ガバ!!っとヴェルが俺の胸に抱きついてきた!
「ヴェル。。」
「ダーリン。ダーリン!!」
「ヴェル、俺、一体どうなってる??」
涙目でヴェルが俺を見上げた。
「ダーリン、、? ダーリンはダーリンだっちゃ」
「いや、そうことと違って。。」
俺は自分の手を見た。
人間の手や。。
体も。。
俺の体や。。
もしかして。
俺。。
生き返った???
「いて!」
俺はほっぺたつねった。
痛い。
ヴェルの頭をポンと触った。
フサフサしたヴェルの毛。
左右には耳もあってピクピクしてる。
手の感覚もある。
まじか!?
マジでか?
生き返るとか。。
あるんか?
もしかして俺の顔ゾンビみたいになってへんかな??
「ダーリン、本当に生きててよかったっちゃ」
俺がワタワタと自分の体を触って確認をしてたら、ヴェルが嬉しそうな顔で抱きつきながら見上げてきた。。
。。。
俺は自分の体の事なんか一瞬で忘れてヴェルに目を奪われた。。
うわーーー。
めっちゃ可愛い。。
可愛すぎて言葉失うって。。
っていうか俺、ヴェルが言うみたいに生きてたって言葉はなんかおかしいな、多分、俺は生きてなかった、いや、生きてなかったって言うのもまた違う気がする。
なんていうか、、俺はヴェルを助けるための恐竜との戦いの後で死んだ。。
間違いなく死んだ。。
じゃあ。。
なんで俺は今生きてるんや。。
「お!海晴!!起きたのか!?」
「海晴君!?よかった!!!」
翔陽と小春ちゃんも嬉しそうに駆け寄ってきた。
いやいやいや。。
俺らあの死の水の大波に巻かれて命を失ったはずやろ。
なんでそん元気に駆けて来てるねんって。。
あ。
ってうかこの周りの森の木々全部枯れたやん!
草も木も動物達も全部死んだやん!
翔陽もヴェルも小春ちゃんも俺も死んだ。
俺なんて二回目の死を迎えてたはず。。
やのになんで。。。
俺達は生きてるねん。
この森もこんな生き生きしてるねん。。
ああ。
わかった!
やっぱりそうや!
ここが天国でここの生き物全部天国に来たんや!
そうや!
ははは。
それで納得やわ!
そらそうや、皆んな一緒に同じタイミングで死んで、同じタイミングで天国来たら同じ様な景色なるよな!
うん!
なるなる!
絶対そうや!
ははは。。
はははは。。
「すげーな天国。。」
「ねぇダーリンどうしたっちゃ??」
「おい!何言ってんだよ海晴!」
ガバッと翔陽がニコニコ笑って肩を組みかかってくる!
「痛て!」
「海晴君よかった!」
「小春だから大丈夫だって言っただろ?さっき心臓動いてたんだから」
「でも心配にはなるっちゃ!」
「そうですよ」
「え?俺心臓動いてるん??」
「当たり前だろ?」
「当たり前だっちゃ」
「ですね、当たり前です」
「ここ天国じゃないん??」
「ははは!なわけないだろ」
「天国だったらうちら死んでるんだっちゃよ?」
「でも、、俺ら死の水に飲まれて死んだやんか」
「あー確かにな」
「死の水に飲まれたっちゃね。。」
「あの水に触れたら死にますもんね。。」
「やろ!?」
「でもうちら生きてるっちゃよ!」
「いや、なんて言うか、、死んでても意識あるみたいな、、あーー、そう、ブリーチのソウルソサエティー的な物かもしれんやん!」
「ははは!それはないだろ!」
「ここ!ソウルソサエティーなんだっちゃ!!??」
跳ね上がるヴェル!
途端にヴェルのテンションがぶち上がった。。
「え?ヴェルちゃんどうしたの??」
「小春!ここがソウルソサエティーかもしれないんだっちゃよ!うちら死神になれるっちゃ!!」
「ええ?どういうことですか??」
「だからブリーチってアニメの事だっちゃ!うわーテンション上がってきたっちゃ!うち夜一さんになるっちゃ!!!夜一さん大好きなんだっちゃーー!かっこいんだっちゃーー。。」
ヴェルがテンション上げた後に物思いにふけり始めた。
「ああ、ヴェルと始めてあった時、夜一さんのコスプレしてたもんな」
「してたっちゃ!」
「そうなのか?」
「コスプレってなんですか?」
「小春はかごめのコスプレしてるっちゃ」
「いや違うやろ!」
「あー犬夜叉かー!いいなそれ!」
「な、なんの事ですか、、??」
みんなの目線に小春ちゃんがたじろいだ。
「翔陽お前もなんかコスプレしとけよ!」
「はぁ?なんでだよ!」
「お前はさ!ハイキューと同じ名前なんやから頭オレンジに染めたらいいねん、っくっくっく」
「はは!じゃあ翔陽はちょっと背を縮めないとダメだっちゃね!」
「主人公チビだもんな!じゃあ俺上から叩いたるわ!」
「ははははは!そんなんで俺の背が縮むかよ!」
「あはははは!だっちゃね!」
「はははははは!」
「ふふふ」
「はーーー!なんかこの感じ、すげー懐かしいわ、俺生き帰ったんやな!今笑って、生きてるって実感したわ」
「マジで海晴が死んだと思った時はびっくりしたよ!」
「いや俺、絶対死んでたで、あの時」
「え?なんで死んでるってわかるんですか?死んでたのに。。」
「あーーー、うん、それは俺も記憶が怪しんやけどさ」
「うん」
「多分俺転生してた。。」
「まじだっちゃ?スライムとか剣とかだっちゃ?」
「なんでやねん!恐竜や!」
「はははは!同じだろ!もういいって冗談は!」
「いやいやこれは冗談ちゃうねん!俺まじで恐竜に転生してた」
「まじだっちゃ??何かスキルとかゲットしてたっちゃ?」
「するか!なろう系ちゃうねん!でもなろう系っぽいけど、、俺、あの恐竜の子供に転生してたっぽい」
「あ、宗近だっちゃ!?」
「そう!俺、そう呼ばれてたわ!」
「ふふふ!ダーリンそれ面白いっちゃ!なろう小説書いた方がいいちゃ!」
「だから違うって!で、俺、宗近に転生したと思うんやけど、なんで宗近に転生したかってのは、、、多分やねんけど、思い当たる節があるねん、、」
だんだん記憶がゆっくりと蘇ってくる。
「転生で思い当たる節とか、それ神様か女神様がいてみたいなかんじだっちゃね!うちわかるっちゃ!」
「ヴェルお前ちょっと黙れ」
俺はヴェルの口に手を当てた。
途端に大人しくなるヴェル。
ときょんと目をぱちぱちさせて。
小動物みたいや。
可愛いかよ。
「あ、で俺達がこの世界に来る時に入ったあの青く光る波」
「ああ、あの青く光る波な」
「うん、俺その波の中で死んだと思うねんけど、その時に俺頼まれててん、あの恐竜に、記憶は朧げなんやけど私の子供をお願いみたいな感じで頼めれたと思うねん」
「ん?まじか?恐竜と話たのか?」
「そんな事あるんですね。。」
「ってか俺戦ってる時から結構あの恐竜と意思疎通とってたと思うわ」
「マジだっちゃ?」
「うん、ここら辺はしっかり覚えてる」
「あの時、海晴君なんだか凄かったですもんね。。」
「そう、で、俺はあの恐竜に頼まれて恐竜の赤ちゃんに転生してた。で転生してからしばらくは俺って事を忘れてたと思う、ただ、ヴェルが大切な人って思えてずっとついて行ってた」
「確かにヴェルにピッタリくっついてましたね」
「で、木の上でヴェルが俺を俺として接してくれた、その時に俺の記憶が一気に蘇って来てん、雲の上で夕焼け空を一緒に見たことを思い出して、ヴェルを思い出した」
「あ、あの木の上で、うちも見たっちゃ!すっごい思い出が蘇ってきたっちゃ」
「二人揃ってそんなことがあるんだな。。」
「ですね。。」
小春ちゃんが俺だった宗近を抱えて撫でてる。
「え??あれ?それ。。」
「宗近だっちゃ!」
「いや俺その恐竜の中にいたから」
「見たいだな」
「一回宗近に入って生き返って、で俺が出たからこんなことに?ほんまに恐竜親子に悪いことしてしまったわ。。」
「ん?宗近も生きてるぞ」
「え?まじで?」
「生きてるっちゃ、息してるっちゃ」
俺はそーっと宗近を触ってみた。
クーーークーーーーっと体を膨らませて宗近は呼吸をしている。
まるで寝てるみたいや。
「え、、じゃあ、、宗近には誰の命が宿ってるんや??」
「わからんっちゃ」
みんな顔を見合わす。
。。。
誰かがわかる訳ないか。。
「ま、まぁ、いいわ。んで俺はその恐竜の姿で、俺なりにエックのいる死の谷へ向かう時とか、死の水の暴走とか、その時々の事態が解決できる様に頑張っててん」
「だっちゃね!なんとなく宗近が頑張ってくれてたのうちらわかってたっちゃ!」
「そうなん?」
「うん、いい子だなーって思ってました」
「えーー!めっちゃ嬉しい!」
なんか小春ちゃんに見つめられて褒められるとかててるな。。
「ん?ダーリン?どういうことだっちゃ?」
「え?」
ちょっと待って。
ヴェルなんで手の上に雷の珠を?
バリバリバリバリ!
「ぎゃーーーーーぁぁ!」
。。。
「何するねん!」
「今!小春を見る目がおかしかったっちゃ!!」
「褒められて喜んだだけや!それラムちゃん再現しすぎやわ!」
「っはっはっはっは!なんか、すげー懐かしい感じがするなこれ!」
「ふふふ!ですねーー。」
「はっははは!感電した俺もなんか懐かしいわ」
「はははは!」
「で、それから俺は死の水が暴走してる時に猫守様を探してなんとかって思って一旦みんなから離れて猫守様を探しにいってん」
「だからいなかったっちゃ」
「せやねん。でも結局見つからへんくってさ、なんかみんなの声が聞こえた気がしたから急いで帰ってきたらニケがあの黒い大蛇に巻きつかれてて。」
「うん」
「何やっててんねーーーん!って俺は生命の光の中に飛び込んでん!」
「あそこで来てなかったらお俺達マジでやばかったよ」
「俺もギリギリやって思った!で、生命の光の中に入ったら。俺は宗近の体から出て俺自身の魂になってた」
「確かにあの時ダーリンは肉体っていうより光って感じだったっちゃ」
「やろ、俺の光の力で向こうの死の力と闇の力を押し返しててんけどな」
「あのタトゥーの男腹たつっちゃ!」
「そう、でも、俺達は力及ばずにあの死の水の大波に飲み込まれた」
「うん」
。。。。
「で、今こうなってって、丸く解決してて訳わからーーんってなってるわけ」
「なるほどだっちゃ、確かにうちらも死んだはずだっちゃ」
「ですね、私あの死の水の中で死んでいくのがわかりました。」
「ああ。俺もだ、思い出したくもないな」
「でも私達は生き返った、多分なんですけど、ここの木々や動物達はニケちゃんの生命の力で蘇ったと思うんです」
「うん、多分そうやんな」
「だっちゃね」
「だからきっと私たちも同じようにニケちゃんの生命の力で生き返ったんじゃないですか?」
小春ちゃんの話を聞いて皆んな少し考え込んだ。
。。。
「うん!きっとそれだっちゃ!」
「確かに、そうかもしれないよな。エックの死の力は森の命を吸い取って巨大な力になってた。それと同じようにニケちゃんのあの命の力は死の力を吸収して大きな力を得た」
「だっちゃね」
「とすれば、死の水に吸われた俺達の魂は、その場で命の力にさらに吸われて、その命の力で元の自分の体に蘇えったって事だな」
「うん、きっとそうだっちゃ、この森がこんなに穏やかで堂々としてるのは同じ魂が入ってるからだっちゃ」
「絶対そうやわ、そうとしか思えへん、じゃないと俺が俺に戻った意味がわからへんもん」
「ダーリンの肉体が偶然あの命の力の中にあって良かったっちゃね!」
「ほんまにそれ!」
「おい海晴!」
「え?」
「それは違う!」
「何が?」
「俺と小春が、お前の体を守るために体を生命の光の中に連れてきてたんだぞ」
「ですよ、それにニケちゃんの生命の光もずっと海晴君の体を包んでいてくれたから、海晴君の体も腐ったり痛んでないんですよ」
「え、、そうなん?そうやったんや!」
俺は体を触って眺めてみた。
うん確かに腐ったゾンビみたいになってへん。
今まで通りの俺の体や。。。
「翔陽、小春ちゃん!ほんまにありがとう!!」
ガバ!!!
俺は翔陽と小春ちゃんに抱きついた!!
「おわ!」
「ほんまにほんまに!ありがとう!!!」
「ははは!いいっていいて!海晴がこんなことするって珍しいな!」
「翔陽小春!本当にありがとうだっちゃ!」
ヴェルも抱きついてきた!
「ほんまに感謝しかないわ。。」
俺の頬に涙が伝った。
翔陽、小春ちゃんがいて良かった。
心の底からそう思えた。
俺はみんなの顔を改めてみた。
途端に胸がグッと苦しくなった。。
胸から何かが込み上げてくる。。
「ダーリン大丈夫だっちゃ??」
「海晴?」
「大丈夫ですか?」
「大丈、夫。。」
胸から込み上げる物と共に、みんなへの感謝の気持ちも一気に込み上がってきた。。
三人がいるから俺が今の俺でいれる。。
三人がいなかったら俺はもう今ここで生きてない。。
ほんまに感謝しかない。。
「う、、っく、、ありがとう。。」
俺は胸の底から涙があふれてきた。。
「うぅ、、っ、う、わぁ、、、ん、、」
俺には涙が止められなかった。。
「ダー、、リン、、うぅ、、泣くなんてずるいっちゃ、、うちを残して、っ、、いったら、、だめだ、って、、怒りたか、、ったのに。。」
ヴェルの顔も涙でいっぱいや。。
「うぁぁぁーーーーん、、ヴェル、、ごめん、、ごめんな、、、」
俺はみんなをさらに抱きしめた。。
「海晴、、やめろよ、、俺にまで、、涙がうつるじゃねーか、、」
翔陽が天へと顔を向けて腕で目を覆ってる。。
「えーーーん。。海晴君が死んじゃって、、どうなるかとおも、、いましたよーーーーー。。」
パタンと小春ちゃんが膝をついた。
俺達は小春ちゃんにつられるように膝をついて抱き合って泣いた。
再会の喜びから涙が止まらなかった。。
木々の間から朝日が降り注ぐ森で。
俺達は泣いた。。
ずっとずっと神秘の森の真ん中で。
周りから色々な動物達に見守られながら。。
嬉しさの涙を流し続けた。。