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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第二章 神秘の森
100/110

最後の力って素晴らしい




 お願い、エック正気に戻って。。


 お願い、枯れた神々の森、生き返って。。


 お願い、翔陽に小春、ヴェルに海晴も無事でいて。。




 ーーーーーー リム•ラ•ヴェル ーーーーーー



 絶望という時間の中で。



 それはいつの間にかそこにいたっちゃ。。


 時間が止まっているかのような空間の中に。


 眩しく神々しくうちらの前に堂々と鎮座している。


 大きくて真っ白な虎。


 鋭い目にカッコいい白黒の虎柄の毛並み。


 美しく光る白い毛の中で黒い縞模様が光を吸い込むように堂々とそこにあるっちゃ。


 熊よりも全然大きい。。


 白い虎に見られると動けなくなる。。


 ゴクンと誰かの喉が鳴った。


 喉が鳴るのが聞こえるほどの静かな時間。。


 眩しい世界がここにはあるっちゃ。


猫守びょうしゅ様。。」


 ニケが歩いて前に出た。。

 あの白い虎が猫守びょうしゅ様だったっちゃ。

 うちのずっと探していたのがこんなに大きな神様だったなんて。。


 スッと猫守びょうしゅ様の光の力が落ちた。

 ッハッハッハっとビアとネロが左右にいた。。

 きっと二人が猫守びょうしゅ様を連れてきてくれたんだっちゃ。。


「ビア、ネロ。。ありがとう。。」

 ニケがビアとネロに俯けていた顔を向けた。。

 そして最後の生命の珠をニケは創り出した。


 するとスッと猫守びょうしゅ様がニケの創った命の珠に顔を寄せた。。

 

 するとニケの創った小さな命の珠がスーーーっと大きくなっていく。


 ゆっくりと大きくなる命の珠!

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!

 また上から黒い波が迫ってる!!!


 ここは御神木の前!?

 さっきの死の水の大波は猫守びょうしゅ様のおかげで防がれたんだっちゃ!?


 でも、第二波の黒い波が立ち上がりまたうちらに覆いかぶさろうとしている!!


「なんか、あの波、奇怪おかしいっちゃ。。」

 なのに何かうぞうぞ動いてる。。


 目を擦ってよく見るとその黒い波は黒い死の水でできていて波の中にこれでもかって言うほど黒い蛇がいる。。

 死の水なのか黒い蛇の群体なのか分からないほど真っ黒な波。。


 きっと猫守びょうしゅ様がいなかったらうちらはこの光景にもう一度絶望してたと思うっちゃ。。


 ニケがくっと顔を上げた。

 

 バッシャン!!!!!

 猫守びょうしゅ様が作った光の空間に真っ黒な大波が打ち付けた!


 ザザザザザ!!


 光の空間を破ることが出来きなか、、た、ちゃ?

 光の空間の周りを黒い死の水が流れていく。

「やったっちゃ!」

 さすが神様の作った空間だっちゃ!!!


 

 あ、でも光の空間の周りに張り付くように黒い蛇達が残ってるっちゃ!!


 黒い蛇達はガジガジがジと光の空間を齧っている。

 いっぱいの黒い蛇が光の空間に張り付いて齧って気持ち悪いっっちゃ。。


 猫守びょうしゅは、くっとニケの目を見た。

 ニケも猫守びょうしゅ様を見ている。

 目と目で語り合う二人。

 ニケは生命の珠を振り絞るように出した。

 すると猫守びょうしゅ様は立ち上がった。

 立ち上がると共にブワッと生命の力が波打つように溢れた。

 

 ゆっくりと猫守びょうしゅ様はニケの元に歩く。


 そしてうちらの直ぐ側まで来っちゃ。

 すごいオーラと威圧感。。


 何もできないうちらを横目に猫守びょうしゅ様はニケの手のひらの上に浮かぶ小さな小さな生命の珠に鼻をつけた。

 スゥーーーーっと猫守びょうしゅ様が消えていく。。


 猫守びょうしゅ様が消えていく最中にッパン!!っと光の空間が弾けた!

 消えた光の空間!


 支えを失って上から黒い蛇達が降ってきた!!!


 猫守びょうしゅ様はまだニケのそばにいるっちゃ。


「やばい!」

「やばいっちゃ!!」


 ドザザザザザ。。

 さらに何かおかしな音がするっちゃ、

 目を凝らしてみる。。


 ん?

 何か黒い蛇達の裏に何か見えたっちゃ。。


 降り落ちてくる黒い蛇達の後ろに何かあるっちゃ。。。


 あれは、もしかして、死の水の大波。。

 まさか第三波だっちゃ?


 やばいっちゃ。。

「ダーリン。。」

 うちは今にも消えそうなダーリンの腕に抱きついた。

「なんやねん。。あいつら。どれだけ力があるんねん。。」

「翔陽くん。。」

 小春も不安そうだっちゃ。。


 ニケはただただ絶望の迫る空を見上げてる。。

 猫守びょうしゅ様がどんどん薄らいで今にも消えそうだっちゃ。。


「翔陽君、、」

 小春の声も聞こえた。


「エックーーーー!!」

 突然ニケの声が響いた!

 第三波の波の上にエックが乗ってるっちゃ。

  

 ドサドサドサドサ!!!

 第二波の黒い蛇達がうちらの頭の上に降ってきた。


 地面を埋め尽くすほどの黒蛇達が辺り一体を黒く染めたっちゃ。。


 すごい大変なことなのに、それでも今はそれどころじゃないっちゃ。。


 上から津波を越えるほどの大波がうちらに覆う被さってきてる。



「ックックックック、終わりやな」



 。。。。



 うちらはもう誰も声を発することも、動くことも出来なかった。。


 終わりや、っていうタトゥーの男も声に反論することもできず、ただ降りしきる黒い蛇の雨の中、絶望が覆い尽くしていく空を見上げていた。。


 あの死の水を被ればうちらは命を吸い取られて死んでしまう。。


 もう木々より高い所から襲い掛かる死の水の大波を防ぐ方法がないっと体が理解してしまってるっちゃ。


 奇跡はもう起き尽くしたっちゃ。。


 絶望を通り越してそこの思考にはしかない。。




 。。。。




「ダーリン。最後に会えてよかったっちゃ。。」



 。。。。



 ザッパーーーン!!!!!!

 っと黒い大波がうちらの上に覆いかぶさった。。




 体の中に死の水が侵食して、自分の命がどこかへ抜けていくのがわかる、、っちゃ。。




 。。。




 ダーリン。。




 ーーーーーー ニケ ヴィクトリア ーーーーーー

 




 三度目の黒い大波がドパンっと私達を飲み込んだ。。

 

 ビアとネロ、翔陽に小春、ヴェルと海晴もみんな飲み込まれていた。。



 。。。。



 このまま私たちは死んでしまう。。



 御神木も飲み込まれた。



 この世界は終わった。。



 全ての魂は闇に飲み込まれて、循環することなく潰えて終わる。。



 ゴロゴロゴロっと私は死の水の中転がされるように流される。。



 ゴロゴロゴロ。。。



 ゴロゴロ。。。



 。。。。



 そして。


 流れはおさまった。。


 私は死の水の中浮かぶことも出来ずにただ、その場で漂った。。


 きっとこの死の水の濃さや量はエックの絶望の深さからきてるんだ。。


 私がエックの助けになってあげられなかったから。。


 こんなに。。


 私のせいだ。。


 私の生命の力は力が強すぎて、私がその場に止まると生命の力が多すぎて全ての生き物は力に負けて腐ってしまう。

 私は子供の頃この力のせいで同じ場所に留まることも出来なくってとても辛い思いをしてきた。。

 生まれ故郷を追い出され。

 船で海へ流されてしまった。。

 死ぬ思いで生き延びて辿り着いたこの島国。

 ここでも私は一箇所に止まることも出来ずに放浪した。

 この島国の人間は人の姿形が私の国とは違って、どこへ行っても髪や目の色で幽霊や妖怪だと虐げられ。

 私はこの国の嫌われ者だった。。


 そんな状態で何年も私は彷徨い歩いた。。


 そして私はエックに、この森に出会った。。

 エックの死の呪いは私の生命の力を抑えてくれてた。。


 エックはこれから生きていくうえでの希望だった。。

 私もエックの死の呪いを抑える希望でありたかったのに。。



「ックックック、さぁ殺してこい。。」


 死の水の中不気味な男の声が聞こえた。。

 スッとエックが私の前に現れた。。


 エックの目がおかしい。。


 とても怒った目をしている。

 いつも優しい穏やかな顔をしているエックがこんな表情をするなんて。。

 スーッとエックが私に寄ってきてる。

「エック。。」

 少しエックの表情が緩んだ。


「エック。。」


「エック。。。」

 距離が近づいて私が呼びかけるたびに優しいエックに戻っていく。


「エック。。」

 エックが目の前まできた。

「よかった。。」

 私はエックに抱きしめた。。


 ドス!!!


 。。


「え、、?」

 うそ。。


 エックの手が私のお腹に刺さってる。。。


「エック。。」

 私はそれでもエックを抱きしめた。。

 体の中から血がドクンドクンっと 流れ出ていってるのがわかる。

 

 エックがどうなっていようとも私はずっとエックの為にいたい。。

 沸々と私の心に感情が湧き上がってきた。


「エック!あなたは私の希望だった!そして私はあなたの希望になりたい!!!!」

「うう、うう」

「私は何があってもあなたの希望でいる!!!」

 エックの目が少し変わった。

 きっとエックはまだ。。

 闇に囚われてる。。


「エック帰ってきて!!!」


 なぜだろうさっきまでは無かった。

 黒い蛇達と第三波の大波にかき消されてしまったかと思った。。


 私の手の上に命の珠がある。

 いつもと全然違う感覚。

 両手でも抱えきれないほどの命の珠が辺りを照らしている。


 なんて暖かくて強い力。。

 

「あかん!あの珠を!壊せ!!」

 死の水の中で不気味な男の声が響いた。。


 すると背中に隠れていたのか、ッシャァ!っと声を上げてエックの首筋に黒い蛇が噛み付いた!

「がぁぁぁぁあぁぁぁぁ!」

 っとエックが叫びながらエックは私のお腹から腕を引き抜いた。

「ぐぅ、、あぁぁ、」

 痛い、熱い。。


 そしてそのまま生命の珠を目がけて血に染まる腕を振り下ろした!

 

「エック。。私はあなたを愛していた。」


 。。。


「ありがとう。。」

 

 私は生命の珠を弾けさせた!!

 ブワァーーーーと生命の珠が広がっていく!!!!


 真っ黒だった世界が光に照らされて消える。。


 黄緑色の光の世界が真っ黒な世界を塗り替えていく。


 キラキラと光の世界の中で数えきれないほどの光の粒が輝いている。


 この光は。。


 エックの形の死の水の中にいた時に見た光と一緒だ。。


 この光はきっと命。。


 お願い、エック正気に戻って。。


 お願い、枯れたこの神々の森、生き返って。。


 お願い、ビア、ネロ、翔陽に小春、ヴェルに海晴も無事でいて。。


「ニケ。。」

 エックから声が漏れた。。

「エック。。」

 エックの目がいつもの黒い優しい目に戻ってる。

「エック、よかった、帰ってきてくれた。。」

「すま」

「エック、いいの、謝らないで」

「ニケ。。」

「無事でよかった。。」

 私は溢れ出して流れ落ちる涙と一緒に膝から崩れ落ちた。


「ニケ!!」

 エックが私を抱きしめ支えてくれる。

 ドクンドクンと体から血が流れ出ていくのを感じる。


「まだ、、終わってないの。。」

 まだ最後にやらないといけない事が。

 今世界を。。

「まだ、、?」

「ああ。。」

 私はググッと力を込めて立ち上がった。。

 エックが私の腰に手を回して立ち上がるのを助けてくれてる。

「エック。。あなたは広がる死の力を抑えて。。私は命の力でこの世界を。。」

「拙者が、死の力を抑える。。」

「エックならできる。。」


 。。。


「あれ。エックから返事が返ってこない。。」

 

 私はなぜか体の中に力があって、それが今にも溢れ出そうとしているのを感じていた。

 エック。。

 エックは私を抱きながら意識を失っていた。。


 エックから黒い蒸気が上がっている。

 きっとエックも何かと戦ってる。


 もう私の体の中の力を抑えきれない。。


 私は手を天へと掲げ一気にその力を解放する!!

 私の体から一気に上空に向けて生命の力が放出されていった。

 まるで滝が天へと昇っていくようにすごい勢いで力が上昇していった。

 すごい力。

 これはきっと猫守びょうしゅ様の力。


 上空まで生命の力は噴き上がると四方に広がった。

 どんどん広がって森の命を奪っていく死の水を浄化させていく。


 黒い死の水は浄化され黄緑色の生命の水となった。


 死の水は生命の光から逃げるように外へ外へと命を奪い広がっていく。

「うう。体の中の力が減ってきてる。。」

 なんとか全部。。

 浄化しないと。


「がは!!」

「エック!」

 ズルンっとエック口から信じられない大きさの大蛇が出てきた。

 口のから出られる大きさじゃない。

 だけどその蛇は黒い蒸気を上げながら逃げていった。

 生命の光がきっと嫌いなんだ。。


「ニケ。。」

「エック。。」

 エックが目覚めた。

 エックもきっと今、蛇が抜けて浄化されたんだ。。

「エックお願い、この流れに死の力を乗せて、そして死の水が逃げないように操って」

「ああ。」

 返事をするエックの手の上に黒い、真っ黒な珠ができていた。。

 エックは私をグッと抱きしめて黒い死の珠を天へと掲げた。

 そして死の珠を爆ぜさせる。

 弾けた死の珠は私が送り出す生命の光と共に上昇をしていった。。


 二人で天へと手を掲げて体の中の力を振り絞るように力を放出し続けていった。。


 体の中の力が減るにつれて私達の意識は薄らいでいった。。



 でもまだ、まだ。。


 この世界を救うまでは。。



 まだ。。



 まだ。。



 エックも隣で力を放出し続けてる。。



 エックが側にいるだけで私はこの世界を救えると思った。。



 エック。。。



 ありがとう。。




 そして私は意識を失った。。。







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