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こんなにも世界は素晴らしい!  作者: R0ssi
第一章 崩壊と運命
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力の目覚め編 サーフィンってめっちゃ素晴らしい




 スプレー(ターンの水飛沫)が天高く舞い、そのスプレーに光が射し込んで空がキラキラしている!


 キラキラ光る空の中にいる翔陽!


 気持ちよさそうな笑顔が見える!




 ーーーーーー 日向 海晴 ーーーーーー




 シャァーーーーーーーー!!

 シャァーーーーーーーー!!


 コンクリートの坂を海風を切って駆け下りていく自転車二台。

 真っ青な青空の中に大きな綿菓子みたいな雲がいくつも浮いてる。

 太陽は俺達の上で輝き、暖かな日差しが降り注ぐ。


 体を吹き抜ける風が気持ちいい!


「最高や!!」


 弾けるような気持ちを胸に自転車のペダルを踏みつけていく!


「やっほーーーーい!」

 ヴェルの楽しそうな声が海へと向かう坂道を通り抜ける、そのヴェルの声を追い駆ける様に俺達自身も下り坂を駆け下りていく。

 駆け降りていく二台自転車にはサーフボードが合計三枚積まれている。

 俺達は今から海を楽しむぞという気持ちでいっぱいや!!


「気持ち良いちゃーーー!」

 めちゃくちゃ大きな笑顔でヴェルは俺の自転車の荷台に立ってる!

 俺の肩を掴んで空を見上げ、全身で風を感るヴェル!

 遠くに見える青い海、反り立つ波、香る潮の匂い、肌に感じる太陽の温かさ、俺達三人のワクワクはどんどんと海へと進んで、自転車のスピードを上げていった。

「うわーーーおーー!」

 髪をかきあげながらヴェルが楽しそうに声を上げた。

 ヴェルにつられて俺もテンションも上がるし笑顔になってしまう!

 仲間と海に向かうこの瞬間はマジで最高やわ!

 ワクワクが止まらへん!

 どんどん海が近づいて来てる!


 自転車で一直線の坂を下りながら俺は昨日の楽しかった夜を思い出してた。


 トランプをしながらお菓子を食べて。

 俺達の知らないヴェルの星の話を聞いたり、逆に地球の話を聞いたヴェルは文化や習慣、生き物や自然など、星の違いに色々びっくりしてた!

 俺達も信じれれへん話ばっかりでびっくりの連続やった!

 知らない話ってのは面白い!!

 夜遅くまで三人でめちゃくちゃ笑った!

 ほんまに笑いすぎてお腹が痛かった!

 それはもうほんまに腹筋が筋肉痛になるんじゃないかと思うほどやった!!

 UNOとかジェンガとかトランプとかいっぱいゲームをしながら三人で涙が流れるくらい笑って。

 本当に楽しかった!こんな楽しかったのは人生初めてかもしれへん!

 最高の夜やった!!

 改めて翔陽が大好きだと再確認したし。

 ヴェルも大好きになった!

 まー恥ずかしいし二人には言わへんけど!


 俺は昨日の夜の楽しさに浸りながら自転車をとばしてる。

「にしても昨日は最高だったな!あんな笑ったのは初めて!」

 翔陽も同じことを考えていたみたいや。

「うちもあんなに楽しかったの人生で初めてだっちゃ!」

 皆んな俺と同じ思いやったんやな!

 こういう共感ってめちゃくちゃ嬉しい!


 三人は爽快に昨日の思い出に浸りながら自転車で坂道を駆け下りていく。

 びっしりと埋まる昔ながらの住宅街の家々の真ん中を見事に半分に割った様な国道を抜けて海が目の前に飛び込んできた!

 その海には肩頭くらいの波が俺達を呼んでた!

「うおーー良い波来てるじゃん!」

 翔陽が叫ぶ。

 いつも停める無料駐車場に自転車を停めて駆け足で防波堤に波を見に行く。

「おーーー!今日のかなり波いんじゃないか?」

「めっちゃいい感じよな!肩頭くらいちゃう?ヴェルにはハードかもしれへんけど。。。大丈夫かな?」

「大丈夫だっちゃ!さっき動画で見たからイメージバッチリだっちゃ!」

「ヴェルさんのその自信最高!さっそく行こうぜ!」

 翔陽が早く海に入りたくてウズウズしている。

 俺と翔陽はウェットスーツに着替えていく。

 ヴェルには家を出る前に俺が中学の時に使っていた、少し小さめのウェットに貸してあげるよと言ったんだけど。

『うち宇宙人だから寒くないっちゃ!大丈夫だっちゃ!』

 と自信満々に言ってた、やしヴェルは着替えずにずっと海を見ている。

 左手を腰に当て、右手を目の上に当て、まさに遠くを見ているポーズやな、パイレーツオブカリビアンでありそうやわ。

 水着すら持ってないヴェル、今着てるビキニみたいな白虎柄の服は水に強いらしくってこのままで別にいいらしい。

 まー水着みたいな格好やもんな。

 ヴェルはアニメを真似て『うちの一張羅だっちゃ』って言ってた!

 春にこのビキニみたいな格好は絶対寒いけど、全然平気そうやし、宇宙人で気温差に強いと言うのはホンマなんやろな。

 うん、本人が大丈夫って言うんやから大丈夫なんやろ!

「そしたらヴェル一回サーフィン波の乗り方を説明するな!」

「うん!わかったっちゃ!!」

「じゃあ海晴!俺は先に海に入ってるからなー!」

「ああ!おっけおっけーー!!」

 翔陽は我慢出来ず先に海へ走って行った。


 俺が青空の下で20分くらいビーチでヴェルにサーフィンのやり方とルールとマナーを教えた。


「わかった?」

「わかったっちゃ!」

「ほんまに??大丈夫??」

「大丈夫だっちゃ!エウレカセブンのやつやりたいっちゃ!」」

 ニコッとヴェルが笑う!

「お、おう!じゃあ海いくか!」

「行くっちゃーーー!」

 二人で海へ走っていく。

 初めての海で初めてのサーフィン、ほんまに大丈夫なんか?と少し心配になってヴェルをちらりと見る。

 そんな心配をよそにヴェルが顔をキラキラさせて海に向かって走って行く。

 青い空、輝く太陽の下、白くて長い髪をなびかせてサーフボードを持って海に向かって駆けるヴェル、、可愛い。。

 マジ俺の理想のタイプの人なんかもしれへんよな。。

 なんてヴェルに見惚みとれて足を止めていると。

「ねぇ見て!翔陽だっちゃ!」

 ヴェルが海の方へ向かって指を刺した。

 ヴェルに見惚れていたその目を名残惜しみながら指の先へと向ける。

 すると俺達のちょうど正面でうねりがせり立ってきてる、翔陽はそのうねりに乗せようとパドリングを始めた。

「ヴェル!見てみ!翔陽が今から波に乗るから!」

「わかったっちゃ!」

「まずは波のブレイクする直前の良いとこで待ってることが大事!で、そこで良い波が来たらビーチに向けて思いっきりパドリングするねん!あんな感じで」

「うん!」

 ヴェルがめちゃくちゃ集中して翔陽を見ている。

 翔陽がテイクオフ!

 波を下りはじめた。

「で、波を下り降り始めたタイミングで、ボードの上に立つんやで、立ち上がったら目線は進行方向な」

「わかったっちゃ!」

 翔陽がキレのあるボトムターン(波の下でのターン)からのショルダー(波の崩れる直前の波)カットバック(波の上で鋭いターン)!!

 スプレー(ターンの水飛沫)が天高く舞いそこに光が射し込んでキラキラしている!

 キラキラ光る水飛沫の中にいる翔陽!

 気持ちよさそうな笑顔が見える!

「いいね!!」

「翔陽カッコいいっちゃーー!!」

 体格のある翔陽の波乗りは派手で力強くてかっこいい!!

 こっちに気付いた翔陽は俺達を指差してニヤリと笑った!

「ははは!めっちゃカッコつけるやん」

「かっこいいっちゃ!!」

 カッコいい、、カッコいいんやけど、、そのニヤニヤしたドヤ顔腹たつわーーー!

「くぅーー!ヴェル行こうぜ!」

「いくっちゃ!」

  

 俺とヴェルも海に入って行く。









 ーーーーーー 奇怪おかしな男 ーーーーーー


 防波堤上で海晴とヴェルが海に入っていく姿を見つめる男がいた。


 上下共に蛇皮の真っ黒でタイトなジャケットとパンツの着るロックスタイルの男。

 襟が大きく背の高い男にはとても似合っている。

 顔や手の甲など見えている肌には多くの生き物のタトゥーが入っている。

 革靴も黒く真っ黒に染まる男は爽やかな青空のビーチには全く釣り合っていない。

 夜の似合いそうな風貌の男。


「なんや、、あいつら、爽やかな事しとるわ、きしょ、、こんな世界が奇怪しくなってるでー言うてる時に、ほんまにアホな爽やか豚どもやで」

 そう言うと男は防波堤からビーチへと飛び降りる。

 膝をついてビーチの砂を触った。

「あんなんやって何が楽しいねん、海も砂もきしょいし、太陽の光もきしょいぃぃぃ!!!」

 男はビーチの上で悶えた。

「きしょ、きしょ、、きしょぉぉぉぉ!!!!!。。。。。。あぁーー。。最悪やわ。。」

 それから男はじっと海にいる三人を見つめる。

「まぁいいわ、あのアホどもに世界の崩壊の怖さを一時いっときも忘れたらかんって教えたらなあかんな。。」


「ックックックック。。」


 男は不気味に笑う。


 すると右肩の辺りがゴソゴソと動き出した。

 何かが服の中にいるかの様にヘビ皮ジャケットがモゾモゾと動く、そしてそれはだんだんと下へと降りていく。

 袖の方に向かう何かは「行ってこい!」というその言葉と共に袖から飛び出した。

 黒い生物。

 その黒い生物は海に向かって這いずり、海にたどり着くとそのまま海に潜り込んでいった。


 「クックックック!さて楽しみやなぁ!観戦さしてもらおか。」


 「ックックックック。。。。。」


  男は立ち上がり防波堤にまた飛び上がった。



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