天災は逃亡を企む
「くっ、【聖剣・王斬】」
「どうした!こんなのでは、魔王の配下にも勝てんぞ!」
「精神は、以上をきたし汝を・・・」
「馬鹿者、もっと詠唱を短くするのじゃ!」
私達は、現在王城で訓練をしている。因みに私の職業は、魔術師見習いだ。
勇者達、近接組を各騎士団長や外部から来た剣士達が教官とし、自分達、魔法組は宮廷魔法使いや魔法研究所の魔法使いが教官となっていた。
「今日は、これで終わりだ!明日は、踏破者が王に謁見する為訓練は無し!その代わり、お前達も謁見の儀にいてもらう。各国の王族達が来るからくれぐれも粗相のないようにな!」
第一騎士団の団長のトールさんが大声で言った。
「勇者達は、どう思う?」
「そうじゃのぉ、トール騎士団長よ。儂は勇者アカイが才能があると思うぞ。」
俺は、他の教官達に尋ねた。
現在、俺達はこの三日での勇者達の強さについて他の教官達と会議していた。
「やはり、現場で戦う冒険者達が教官にいないのが痛いですね第一騎士団長。何故、ギルドマスターはS級以上の冒険者を出さないんですか?」
「分からん。第三騎士団長の言う通り現場を知るものに教わるのがいいのだがな。特に、研究所の魔法使い達は魔物すら戦っておらんし。」
ギルドマスターのアーベントイアは、この国でも最強の一人と呼べる程の力を持っている。そして、冒険者ギルドには騎士団長クラスの者が何人もいるのだ。
教官の依頼をギルドに頼んだらアーベントイアは、断った為当初の予定より訓練は遅れている。
「また、光神教会をはじめとした各教会の聖騎士達も駄目でしたからね。」
また、教会の方も「神託で、ファーラーデュング王国には教官をやるなときた。」と言われ断られた。
「それよりも、明日にある踏破者の王の謁見で各国からどれ程教官を貰えるかですね。」
「そうじゃな、それよりも儂は三日で迷宮を踏破した若者を見たいが。」
「未来のS級だからな。アルテの言う通りだ。また、勇者達と年齢が近いだろうから冒険者についての話もその三人してもらいたいと思っている。」
そして、会議は夜まで続いた。
「皆さん!明日の謁見でくれぐれも粗相のないようにしましょう。下手すれば首を切られますよ!」
若葉先生が私達に注意を促す。
明日、迷宮を一番最初に踏破した者が王に謁見しに行くらしい。
普通は、この国の王だけの謁見なのだが十数年程踏破されていない事と私達に近い年齢で踏破したのも相まって各国の王族がやって来るらしい。
「皆、僕達と同年代の冒険者だからこれからも付き合っていく仲になるはずだ!悪い印象を持たれないようにしよう。」
と聖も宣言する。周りの人間もそれに同意する。
「噂では、三人共凄い美形らしいよ。」
「マジかよ!?一人女性がいたと聞いたからナンパしよっかな?」
そんな下卑な会話が聞こえる。しかし、この世界の人間は恐ろしい。たった三人で大人の冒険者が攻略できなかった迷宮を踏破したのだ。この世界の人間は強い奴と弱い奴の差が激しい。
「緋伊、俺やっぱ冒険者に憧れるわ。テンプレだぞ!」
「確かに、僕の虫達が冒険者ギルドと教会がこの王国との仲が悪くなっているという情報があったよ。」
「成程、之は逃げるのも手だね。」
自分達がそんな話をしていると次第に前回の神城の件で聖に賛同していなかった者が集まって来た。
「俺達とアイツらの態度の差激しくないか?」
「そうよね。訓練でもあちらを優先してるし。」
「何か可笑しくないか?」
そして、次々と私達の話に加わっていく。
「というより、緋伊お前何か白髪混じっていないか?」
「ほんとね、顔色も悪いし。」
そして、私の顔を見て驚く。現在、勇者のストッパー役として奴がとんでもない行動(奴隷解放宣言をしようとする。この国の奴隷は犯罪者で一定の時期が過ぎると解放されるのにだ。不良グループが陰キャラな子を虐めていると言い掛かりをつけたり。実際は、剣の使い方を教えてくれと陰キャラが頼み多くの人の前で仲良く訓練をしていただけだが。)止めるのに髪の毛が一部白髪になっている。
また、彼は何かと私を悪役にしたいらしく喧嘩を売ってくるためその対処に苦労している。
「以前は、冥の奴が影で止めてたんだがな。」
「そうだったな。今、アイツのありがたみが分かったよ。」
「そうだったのか。私はテストの時以外来ていなかったから知らなかったよ。まぁ、彼は自身の幸せを掴んだからしょうがない。」
そして、皆一様に神城のありがたみを感じた。
「それでだね、私は明日冒険者に頼んでこの王城から逃げようと思う。」
そして、みんなに提案した。私の考えを。
「まっ、マジかよ!」
「逃げられるの?」
「簡単だ。明日、ギルドマスターも来るらしい。ならば、今こそ逃げる時だ。」
すると、彼等に希望の光が映る。どうやら、相当な差別が行われていたようだ。
「これより、《ダンタリオン迷宮》の踏破パーティ《エニグマ》が謁見する!入られよ!」
大声で、トール騎士団長が言う。
私達は、現在謁見の間にいる。そこには、この国の王族や貴族だけでなく他の国の王や王族、有力貴族などがいた。
そして、一様に様々な神が彫られた扉を見る。
三人の人物が入ってくる。
鬼人族に二人の人族が入ってくる。
最初に白髪の鬼人族の男が歩く。鬼人族は、腰に灰色の剣を掛け手には一つの指輪を付けている。服装は、質素な革の鎧だが貴族などが王に謁見する服の様に上品さが醸し出ている。
次に、群青色のローブを着た黒髪の男がつづく。群青色のローブは、謎の紋様が描かれており高位な魔道具だとわかる。指には、薬指に一つ人差し指に一つ指輪が付いている。手には、先端に銀で作られた龍が付いた黒色のステッキに古びた本を持っている。
最後に金髪の鎧を着た女が歩く。鎧は、上品な銀色で所々に謎の文字が描かれている。指には、薬指に男と同じ指輪をつけ人差し指に指輪を付けている。そして、背に白と黒の槍を背負っている。
今回、勇者達にどういった格好で冒険をしているのかを見てもらうために武器を装備しているらしい。馬鹿らしい。
謁見の間は囁き声で溢れた。
「おおっ!あれが全員とても美しい。」
「しかし、あの魔法使いと槍使いは結婚しているようだな。」
「あの鬼人族男性の名前はなんと言うの御父様!?」
「落ち着け、今話される。」
三人の美しさに驚く者。
「あの剣や槍、杖は神物か!」
「何だと!?一体何処で?」
「《ダンタリオン迷宮》のボスは強い。だから、あれぐらいでも可笑しくは無い。」
「それよりも、儂はあの本が何なのか気になる。」
三人の装備に驚く者。
「あれ程の力量をあの若さで。」
「Lvはともかく、技術は一級品ですね。間違いなく技術だけたならばSS級並。」
「私の精霊達がこんなに騒がしい何て何者!?」
「か、神が何故ここに!?」
そして、三人の強さに驚く者。
私達も驚いた。しかし、それは私達の知っている人物だからだ。
「冒険者パーティ《エニグマ》のリーダー
フューラーです。」
「同じく副リーダー、メイ・シンジョウ・ヴアールハイトです。」
「同じく、レーレン・シンジョウ・ヴアールハイト」
場は騒然となった。
ここで一つ結婚した時の名前との変わり方を書きます。
今回の場合、
メイ・シンジョウとレーレン・ヴアールハイトですね。
まず、最初は変わりません。之は名です。そして、次に夫方の苗字が最初に入り、次に妻方の苗字が入るといった感じです。
もう一つ言いますと、王族や貴族の様に女性でも家督をつかなければならない場合以外は男は父方の苗字、女は母方の苗字となります。




