ダンジョンボスはやはり強い
《ダンタリオン迷宮》この迷宮は、三十階層迄しかない規模的に見れば小さ過ぎる迷宮である。然し、この数年二十階層より下に行くと全く進めないのである。
理由は、二十一階層から真っ暗闇なのである。何も見えず、何処から魔物が来るかわからないのである。
また、魔物も隠密性が高いのだがそれさえ無ければ只の弱い魔物であるとその為、倒すのも馬鹿馬鹿しいから他の迷宮に行こうとなってしまう為に未だに奥まで行けていないのである。
「右から二匹、後ろから三匹【氷魔法・氷槍】」
しかし、自分達には関係がない。自分の夜目のスキルによって問題無く見える。
また、迷宮は精神魔法で迷路の様にしていたらしいが実際は只の真っ直ぐな道という親切設計である。
魔物も見つけさえすれば一回層よりも弱いという自分達にとっては楽な階層であった。
「さっさと行くぞ。【聖国の騎士 聖炎角・炎の聖者の行進】」
フューラーが聖なる炎を纏った二つの剣をもち突きを放つ。炎はそのまま奥にまで届く。
ボスを倒した後、自分達は戻らずダンタリオン迷宮を制覇しようという事になり今に至る。
現在、二十九層である。あと、もう少しでボス部屋という所で自分達は骨を見下ろしていた。
「くっくっくっ、我と同じ精神魔法の使い手がいたとはな。あぁ、潔く成仏できそうだ。」
そこには、エルダーリッチというA級の魔物がいた。普通に対峙した場合ボス程とはいかない迄も苦戦するだろう。
しかし、エルダーリッチは精神魔法の使い手。自分も精神魔法の使い手であるため、自分が精神魔法で対抗してフューラーとレーレンが近接で倒したのである。
「よき最後であった。さらばじゃ。」
そして、エルダーリッチは魔石だけ残して消えていった。
「なんだろう、このやっちゃった感は。」
「気にするなフューラー。奴は、運が悪かっただけだ。」
「この魔石、庭に埋めておきましょ。」
もやもやした気持ちを自分達に残して。
「何だ、この扉?」
フューラーがそう呟く。ボス部屋の扉はそのボスの姿を描く。しかし、今回は霧が描かれた扉であった。
「精神の異常をきたす霧を操るボスか?」
「まぁ、入ればわかるわよ。」
「何だよ、こいつ!?」
フューラーが叫ぶ。氷の盾で自分はフューラーを守る。フューラーは、後ろに撤退する。
部屋に入ってから八時間経っても敵は疲れもしない。
ボスのステータスはこんな感じだ。
ミストデーモン S級 服従状態
name なし
職業 なし
今迄の職業なし
生命力5000000
魔力7000000
精神力5000000(服従の為5000)
スキル
水魔法Lv10
精神魔法Lv10
無魔法Lv10
限界突破Lv10
魔力回復Lv10
高速思考Lv10
ユニークスキル
眷族召喚
武器化
分化
称号
ダンジョンボス
隷属されし者
封印の守護者
白き悪魔
辺り一面霧に包まれたこの階層。この霧は全て魔物なのである。
「ギュオオオオオオオ」
「ギョアアアアアアア」
そして、気の中から次々と変な魔物が現れる。人が半ばドロドロに溶けた様な魔物である。
『風龍よ、我等に襲いし悪しき者達を退けよ!』
自分は、龍魔法で暴風を作り霧と魔物を避ける。
「オリャア!【蟲王 蛍 乱風・風蛍の嵐】」
フューラーが三つの剣で、魔力で作った蟲を出し、竜巻を作り出しその中に入れる。そして、それを霧に向ける。
霧が一部だけ消えるがそれだけだ。また、増えていく。
「【光槍・サハクィエル】【闇槍・パズズ】」
レーレンが、二つの風を纏った槍で突く。霧は無くなるがまた、増えていく。
「何か逆転はあるか!?メイ!」
「分からん、《ダンタリオンの本》【魔力供給】【 幻人形】今、調べるからまて!」
自分は、二人の魔力を回復させ二人の幻を作り出し霧を分散させる。幻は、霧が剣のように固く鋭くなって切り裂かれた。
「《ダンタリオンの本》【思考閲覧】っ!」
自分は《ダンタリオンの本》の能力の一つで相手の思考を読む。
腕からダラダラと血が流れる。
[助けて、助けて。あぁ、自分でコアたる石を壊せればいいのに。]
[何で、何でこんな目に。こんな痛い目に遭わなければいけないの?]
[あぁ、彼所にに捕まっている二人は大丈夫だろうか?]
[外に出たい。外に出たいよ!]
奴から大量の水の槍が現れる。
『氷龍よ、汝はあの水を凍らせられるか?凍らせられなければ笑いものだぞ。』
自分は、全ての水の槍を凍らせる。
「アイツを倒すには、何処かにあるコアを壊さなければならないらしい。見つけるから持ち堪えてくれ二人とも。」
「そんな事よりも腕や顔から血が凄い出てるわよ!」
「大丈夫だ。少し耐えてくれ!」
自分は、《龍銀のステッキ》におびただしい程の魔力を注ぐ。
魔力は、《ダンタリオンの本》から供給する。体中から血が出る。
八時間も使っていたのに更に使うのだから当たり前だ。
『真実を知る龍よ、汝らに問おう。彼の者を助けるのに必要なものを探した前!』
魔力で出来た龍が現れる。龍は、消えて何処かに行った。
自分は、もうひと踏ん張り頑張る。
『氷龍よ、現れせよ。全てのものを凍りつかせるその力。氷の世界作られよ!』
氷の龍が現れる。氷の龍が吠える。すると、霧が全て凍っていく。
「今だ!【肉体改造・鬼の手】【ロコ 氷姫 闇王・闇氷の狂奏曲】」
「くっ、【光闇槍・サマエル】」
フューラーが黒色の氷を纏いながら大きな手で剣を振るう。レーレンが赤い蛇を二つの槍に纏わせ貫く。すると、氷が赤く染まっていく。
「あったぞ!?」
そして、自分は奴が今迄Lv10の精神魔法で隠してきたものを見つける。それは、黒の 10メートル程の幅のある鉱石であった。
「それだな!【ロコ・狂神剣】」
「はぁ!【光闇槍・ルシファー】」
二人がそれに攻撃する。
しかし、
「マジかよ!?」
「無傷ですって!?」
それは、傷一つつかなかった。そうこうする内に氷が溶けてゆく。
そんな時、何か声がした。
[助けて、助けてよ。お願いだから!]
【こんなのいやだよ!】
そう、【思考閲覧】で聞いた奴の声であった。そして、自分はある事を思いつく。
『解放の龍そして精神の龍よ、彼の者を助ける為に今ひとつ力を合わせたまへ。』
それは、博打であった。一度も成功していない龍魔法の複合魔法をする。そして、複合魔法が成功しても此奴が襲ってくるかもしれない。
自分の至る所から血が流れ出す。このままでは死ぬかもしれない。そんな事を思える程に流れる。
[あぁ、ありがとう。]
そして、声がする。
次の瞬間、鉱石が黒から虹色になった。そして、霧が晴れていく。
【メイ・シンジョウは、ミストデーモンをテイムしました。】
そして、鉱石が小さくなっていき、自分の手にやってくる。
「お前何したんだ?」
「ゲホッ、簡単な事だあいつはしたくもない事をしていたんだよ。助けて欲しかった。それを叶えて上げて攻撃しない様に説得する予定だったんだが。テイムしてしまったようだ。」
「喋らないで!血が出てるわよ。早く戻って回復魔法を。」
この中で回復魔法を使えるのは自分だけだ。しかし、もう魔力もカラカラの為回復できない。
いち早く帰らなければならない。
『直ぐに帰らなければならない所悪いが俺達と少し話をしてくれないか?』
『然り、我等を助けてくれた事に感謝せねばならない。』
自分達の後ろからそんな声が聞こえた。そこには、黒色の鎧を着た騎士と仮面を大量に浮かせ顔によく分からない魔法陣を描いてある仮面を付け群青色のマントを着た人間がいた。
『俺の名はロコだ。狂気と騎士を司る神だ。今迄、この迷宮に囚われていた。』
『我の名は、ダンタリオン。異世界の地獄の大公爵で、三十六の悪魔の軍団を率いる魔神だ。』
「あなたがかの有名なソロモン72の悪魔の1人と。」
『おおっ!知っておったか。という事はお主は転移者か。そうだとも、かつてソロモン王に召喚されていた。
それよりも、お主我の本を知らぬか?先程の戦いで使っていたようだが。』
「あぁ、あの魔導書と日記帳を兼ね揃えた本ですか。」
すると、ダンタリオンが突如震えだした。
『なっ、何故それを!?あれは暗号にしていたはず!我と同じ悪魔や魔神でも解けぬはずだ!』
「いや、普通に溶けましたが。」
『落ち着け、ダンタリオン。それよりも、俺は神域に帰る。そこの鬼人族これを受け取れ。』
と言ってフューラーにもやもやした光を入れた。そして、ロコは何処かに行った。
『我は、元の場所に帰れぬからお主の持っておる我の本に宿らせてもらう。』
そして、ダンタリオンは本の中に入っていった。
「おい!?怪我人だ、誰か回復魔法を!」
「おい、あれ《エニグマ》だぞ!」
「あの魔法使いすげえ怪我しやがるぞ!」
「何があったんだ!」
自分達が冒険者ギルドの転移陣に現れると騒ぎが起きた。
「俺達は、《ダンタリオン迷宮》を制覇した!之がその証だ!」
フューラーが大声で叫ぶ。そして、あの二柱がどこかに行った後に落ちていた迷宮の踏破を示す証を見せる。
そして、周りはざわめく。
「すげえ!?」
「難攻不落の《ダンタリオン迷宮》を!」
「急げ、職員に報告だ!」
この日、自分達は王都中に流れた。
一章はこれで終わりです!




