2話 最近の読者に人気の公式/おすすめキーワード
最近60日間33,800作品からキーワード延べ266,742個を抽出し、そこから重複を除いたユニークなキーワード37,289個を作品数順に50位まで並べたのが以下のキーワードの表です。
キーワードごとに、総合評価ポイントの中央値「pt中央値」と、総合評価ポイントが1pt以上の作品が全作品数のどの程度の割合があるかを「0pt回避率」として載せています。
赤の背景キーワードは登録必須キーワード、緑背景が公式キーワード、水色背景がおすすめキーワードです。(なろう運営が決めたキーワードです)
1話で計算した全体のポイント中央値が24pt、1pt以上の割合が68.8%ですが、それとの差を矢印アイコンで表示しています。
緑の上矢印が読者に人気のキーワード、赤い下矢印が読者に不人気のキーワードと見なせそうです。
小説を読もう!の人気キーワードは登録必須キーワードが非表示ですが、上のキーワード表では登録必須キーワードも表示しています。
1位「残酷な描写あり」2位「R15」は登録必須キーワードで、それぞれ作品数全体の4割にこのキーワードがついています。ポイント中央値、0pt回避率もそこそこ良い値なので読者にも人気があるキーワードのようです。
逆にいえば、この登録必須キーワードがついていない作品の総合評価ポイントが残酷なことになっていそうです。おぉ、なんという残酷な文章なのでしょうか。(このエッセイに「残酷な描写あり」キーワードをつける必要がありますね)
なお「残酷な描写あり」がついていない作品のポイント中央値は17pt、「R15」がついていない作品のポイント中央値は16ptでした。
5位「異世界転移」、12位「異世界転生」も登録必須キーワードです。異世界転移の作品数の方が多いですが、ポイント中央値は異世界転生の方が多いです。
異世界転移の作品供給が多いのでポイントが分散したとも取れますし、読者需要が異世界転生の方に傾いている可能性も考えられます。
公式キーワードとおすすめキーワードですが、両方に属しているキーワードが3つあります。
「日常」「冒険」「青春」の3つのキーワードが公式&おすすめキーワードです。
表では公式キーワードの緑色で表示しています。
このうち3位「日常」7位「青春」のポイント中央値も0pt回避率もかなり低いです。これらのキーワードがついた作品には読者はあまりポイントを入れず、0ptのままの作品数も4割程度あるようです。
作者が好んでつけるキーワードの割には、読者人気のないキーワードです。
こんな結果がなくても3位「日常」よりも4位「冒険」の方が読者人気がありそう、というのは「なろう」の現状だと当然な感じはしますが……
このようにポイント中央値の数値を見ると、多くの作品に使われる人気キーワードだからといって、読者にも人気のあるキーワードとはいえないようです。
27位「主人公最強」、43位「転生」は通常キーワードですが、この50位中ではポイント中央値が高めです。こういうキーワードが現在の読者に人気が高い、本物の人気キーワードなのでしょう。
次は公式キーワード内でどのキーワードが人気があるかを調べます。
上位に「ハーレム」「逆ハーレム」「チート」キーワードが来るのは、当然といったところでしょう。その他のキーワードもその趣味の人が多そうだなぁ、といった納得のキーワードが並んでいます。
「チート」キーワードがついた作品の9割が総合評価0ポイントを回避しているのは、さすがといったところです。
もちろん作品内容がつまらないと0ポイントのままですし64ポイントまで到達できません……
逆に下位の不人気キーワード「平成」は不人気の理由が今一つわからないです。
一般的な読者は「平成」で検索しないのでしょうか? 異世界が好きな読者層は「平成」キーワードの作品を読まないのかもしれません。
なお私は「平成」で検索したことはありません。
「パラレルワールド」「タイムトラベル」「タイムリープ」の人気の無さも気になるところです。SF的要素のある作品は読者に人気がないのでしょうか?
これも私はあまり読まないです。
次はおすすめキーワードです。「冒険」「日常」「青春」の色が違いますが、さきほども書いたようにこの3キーワードは公式/おすすめの両方に存在するキーワードです。
上位の「悪役令嬢」「乙女ゲーム」がとても読者に人気です。公式/おすすめキーワードを通じて最もポイント中央値が高いです。さきほどの「主人公最強」「転生」を凌駕しています。
これらのキーワードの作品を読む読者層は、ブクマと評価ポイントをわりと入れる人が多い印象があります。
ただ、おすすめキーワードの表の下半分くらいは読者人気がない印象を受けます。
最下位の「私小説」がとても読者に不人気なのがわかります。約6割の作品が総合評価0ポイントで、ポイントが入りません。
「私小説」は作者が体験したことを基に書く小説ですが、作者が乙女ゲームの世界に転生して悪役令嬢になって主人公最強な体験を書かないと、読者に読んでもらえないのかもしれません。少しハードルが高めです。