次の冒険に必要な黄金の指輪を昨日泊まった宿屋に忘れた勇者殿について
「あっ!?黄金の指輪がない!」
北の洞窟に向かう道中で俺は自分のミスに気がついた。
道具袋に入れていた黄金の指輪がないのだ。
袋を逆さにしてみる。
ダメだ、何度みても袋の中にはやくそうしか入ってない。
「お、落としてしまったのか…!?」
なんということだ…。これでは北の洞窟にいるフレイムドラゴンと闘えない。
いや、厳密に言うと闘える…。でもあの指輪があった方が心強い。
なぜなら炎を吸収してくれる指輪だからだ。
これから、強敵と闘うのだ。どうせなら万全の備えをもって闘いたい。
これまでの自分の行動を思い返す。
心当たりは…。ある!たぶん昨日泊まった宿屋だ。
もしかしたらベッドの下とかに落ちているのかもしれない。
「思いたったらすぐ行動に移す」
これは俺の師匠が残したら言葉だ。
師匠はグレートマスターデーモンと闘うといって姿を消した。
俺は師匠の仇を討つことを決意し今こうして旅を続けている。
師匠が残した言葉を胸に秘めて、俺は昨日泊まった宿屋へと向かった。
「あ~らどうしたんだい?ハルキさん。もしかして勇者を辞めてうちで働く気になったのかい?」
宿屋のおばぁは俺を見てそう言った。
「いえ、違います。勇者を辞めることはできません。あ~そうじゃなくて、え~と昨日、俺が泊まった部屋を見せてください」
「あんたが泊まってた部屋かい?今、ゴブリンさんが泊まってるよ」
「なんでゴブリンが部屋に泊まってるんだよ」
俺はついおばぁにそうツッコミをいれた。
「なんでって…。人を見かけで判断するのかい!」
「いや、だからゴブリンって人じゃないよ!」
俺は本日二度目のツッコミをおばぁにいれた。
「あんた、真心でゴブリンを見てみな。人に見えてくるよ」
優しい顔をしながらおばぁはそう言った。
「もうなんでもいいよ。部屋に行ってみるよ」
ツッコミに疲れた俺はおばぁに手を振った後、部屋へと向かった。
「すいませ~ん!!」
ドアをノックしながら俺はそう言った。
ガチャ!
ドアが開いた。
「何のようだ?」
強面のゴブリンが出てきた。
「あ~この部屋に昨日泊まっていた者です。部屋の中に忘れ物をしました。中に入ってもいいですか?」
俺は謙虚にそう言った。
「あ~いいよ~。なんか飲む?」
コイツは…!?優しいゴブリンだ!!!
俺は強面だけど優しいゴブリンと遭遇した。
部屋の中で少しゴブリンさんとお茶をした。
聞けばゴブリンさんは故郷の村に帰る途中らしい。
話せば話すほど顔は怖いが良いやつだ。
肝心の金の指輪だが無事にベッドの下から見つかった。
「良かったね。なんだか俺も嬉しいよ」
優しいゴブリンさんは笑顔でそう言ってくれた。
「あぁ、なんかありがとう」
俺も笑顔でそう言った。
「ハルキさん実はお願いがある!一緒に俺の村に来てもらえないだろうか?」
真剣な顔でゴブリンさんはそう言った。
なんでもゴブリンさんの村は今、ダークデーモンによって苦しめられているらしい。
話を詳しく聞いてみると、なんとダークデーモンは俺の仇であるグレートマスターデーモンの親戚らしい。
これはゴブリンさんの村に行くしかない!
次の日、俺と優しいゴブリンさんは新しい一歩を踏み出した。
そう、俺達はもう仲間だ!
ゴブリンさんの村へと向かう道中、ふと思った。
「あれ?俺、何か忘れてるような…。黄金の指輪何に使うんだったっけ?」
「どうしました?ハルキさん。悩みごとですか?」
「いや、ゴブリンさんなんでもないよ。人生、思いたったらすぐ行動ですよ!さぁ!行きましょう!」
俺達の冒険は終わらない。
おわり。




