カフェタイム
最近出来た喫茶店。
彼女はよく出入りしているらしく今日もまた彼女は向かう。
窓際の一番日当たりの良い席に陣取る。
「あー。あったかい。ぬくぬくだわ。」
春先とか秋口なんかはとてもお昼寝に丁度いいだろうなぁなどと妄想にふける。
目の前には参考書、教科書、ノートに筆記用具。
テスト前の勉強が待っているわけで。
「こら。ちゃんと集中しなさいね?ミアちゃん」
そう言ったのはこの店でウエイトレスをしている知り合いの大学生。
「うぅ。だって数学苦手なんだもん……。」
「そのために勉強するんでしょ?」
そんなやり取りをしているとカランカランとベルが鳴る。
「いらっしゃいませ~!」
そちらの方に彼女は行ってしまった。
「あきねえの意地悪ー。」
むぅっと頬をふくらませつつ目の前の勉強に取り掛かる。
静かなピアノ曲が流れる店内はやはり居心地がいい。
クラシックが流れる店内に挽きたてのコーヒーの匂いが漂ってくる。
ほんのりと苦いコーヒーにミルクと角砂糖をたっぷり入れたミルクコーヒーも好きだが。
「うー。頭パンクしそう。」
「ミアちゃん。一旦休憩したら?」
あきねえが持ってきたものはガトーショコラにミルクたっぷりのミルクティー。
言うならロイヤルミルクティーだ。
「わわ。あきねえありがとうっ!」
「今日は私の奢り。頑張ってるしたまには…ね?」
ふふっと彼女は笑いテーブルに並べる。
甘い匂いと暖かい紅茶。
しかも大好きなミルクティー。
「あきねえありがとうっ!」
今日もまた長居をしつつ勉強をする。
テストまで後一週間。
………
後日。
「やぁっと終わったぁあ。」
いつもの席に彼女は座ってぐったりとしていた。
……相変わらず店はクラシックが流れ、コーヒーの匂いと。
「にゃー。」
新たな看板娘が増えていた。
真っ黒な猫で真っ赤なリボンが可愛らしい。
「ヤダ可愛いっ!」
「きららっていうのよ。こないだ拾ったんだけどマスターが引き取ってくれて、それからずっと看板娘してくれてるの。」
クスクス笑いながらあきねえはミアに話す。
今日もまたのんびりと暖かいミルクティーを飲みながら。
こころゆくまで過ごすのだろう。