大罪vs美徳
読んでいただけるとありがたいです。
遊真が瞬間移動を行う少し前。
「貫通拳!」
べリアルの拳がラファエルに襲いかかった。
「「節制」!」
ガブリエルが手をべリアルに向けると、ラファエルはべリアルの拳を受け止め、上空に蹴りとばした。
「消滅の光雷」
ラファエルの手から光が放たれ、べリアルに向かって行くがべリアルの前に黒い円が現れ、ラファエルの攻撃を呑み込んでいった。
「威力が上昇した様ですが私の「暴食」を打ち破る程ではありませんね」
「確かに「純潔」のお陰で威力は上昇したな。 相性バッチリだ」
ラファエルはそう言うと周りに光の玉を複数作り出した。
「光輝乱撃」
周りの光の玉がルシファーに襲いかかり、ルシファーが手を前に出すと黒い円が出来上がり、ラファエルの攻撃を防いでいく。
「無駄ですよ」
「大丈夫だ。 布石だからな」
「何……?」
次の瞬間にルシファーの横にガブリエルが現れ、ルシファーに向けて光を放った。
「甘い!」
べリアルがガブリエル目掛けて拳を振り下ろすが、ラファエルが目にも止まらぬスピードでべリアルを蹴りとばした。
ガブリエルが放った光はルシファーを貫き、ルシファーはその場に崩れた。 体からは血などは流していなかった。
「精神系の魔力か……!」
レヴィアタンがルシファーの肩に触れるとルシファーはゆっくりと目を開けた。
「やれやれ私の「色欲」が無かったら終わってたわね」
「申し訳ないレヴィアタン。 話では直接触れないと発動出来ない魔力とアモンから聞いていたもので」
そう言ってルシファーは立ち上がり、べリアルもルシファー達の横に戻ってきた。
「俺たちも本気でやらせて貰うぞ」
「貴方達がその「絆魔力」っていうのを使うならね」
ラファエルとガブリエルはそう言ってルシファー達に向かって行く。
「本気? さっきから……」
そう話していたべリアルは一瞬でラファエルに蹴り飛ばされていた。
「究極魔力……!」
ルシファーは歯ぎしりをしながらガブリエルが放つ光を黒い物で呑み込んでいく。
「光輝剣」
ラファエルの右手に光輝く剣が出来上がり、ルシファーに剣を振り下ろした。
ルシファーは自分の剣で防ごうとしたが、ルシファーの剣は簡単に折れ、ラファエルに右肩を切り裂かれた。
「この……!」
べリアルがラファエルに向かって凄まじいスピードで向かって来るが目の前にガブリエルが立ちはだかった。
「「節制」!」
ガブリエルが叫ぶとべリアルは膝を着いて止まった。
「夢へと誘う光明!」
ガブリエルの手から光が放たれるがべリアルの目の前に黒い円が現れ、光を呑み込んだ。
ラファエルはレヴィアタンの目の前で膝を着いていた。
「ラファエル!」
ガブリエルがラファエルの元へ向かうが今度はべリアルがガブリエルの目の前に立ちはだかった。
「退いて」
ガブリエルがそう呟くと体の周りに複数の光の玉を作り出した。
ガブリエルが右手をべリアルに向けると一斉に光の玉がべリアルに襲いかかった。
(俺じゃこれは防げない……!)
べリアルは光の玉を回避し、ガブリエルに蹴りをいれた。
ガブリエルはべリアルの蹴りを食らう刹那 べリアルの足に触れた。
光の玉はレヴィアタンに当たる前に全てルシファーが消していき、べリアルはその場に崩れた。
「先ずはお前だ!」
レヴィアタンが右手に竜神の力を集中させていく。
「そう簡単に負けるかよ……!」
ラファエルはレヴィアタンの拳を回避し、膝を着いた状態からレヴィアタンの左頬に回し蹴りを叩き込んだ。
「なっ……!」
レヴィアタンが反撃を食らう等考えていなかったルシファーは反応が遅れ、ラファエルに殴り飛ばされた。
「助かった、ガブリエル」
そう言うとラファエルの左腕を貫いていた光が消えた。
「いくら速くても近づくとやられるみたいね」
そう言いながらガブリエルが瓦礫の中から姿を現した。 ラファエルはガブリエルの横に移動した。
「大丈夫か?」
「肋骨が結構折れたかも。 まともに食らったから」
そう言ってガブリエルは腹部を抑えた。
「やってくれるわね……!」
レヴィアタンは起き上がりながらラファエルを睨み付けた。
「べリアル! 起きな!」
レヴィアタンが右手をべリアルの足に置くとべリアルは目を覚まし、ゆっくりと立ち上がった。
「どうやら夢の中に落ちた相手を強制的に現実世界に引き戻してるみたいね」
「それが「色欲」の力の一つか……」
ラファエルは息を切らしながらそう呟いた。
(ウリエルに究極魔力を限定的に使える様にして貰ったのは良いがそろそろ時間切れだ。
みんなの戦況は……?)
ラファエルはグラウンドを見渡した。
「そう言えば四天王はどうしたの? 今回はいないのかな?」
翔一はそんな事を言いながらサタンを殴り飛ばした。
「あいつらならオーガと一緒に街を壊滅させてるさ。 お前達がいなければオーガは手に余る相手だろう」
サタンはそう言いながらゆっくりと立ち上がった。
「確かにそうかもね!」
翔一は両手を地面につけた。
(四天王が散ってるならヤバイ!
力を貸してくれ……!)
「何をしている?」
サタンは翔一に向かって行き、拳を振り下ろした。 しかし拳は翔一に届く事は無く、サタンの拳は青い盾に阻まれていた。 少し離れた所でミカエルが得意気に笑みをうかべている。
次の瞬間 翔一が光に包まれ、翔一の横に二人の人影があった。
「助けを求めてから随分と速い呼び出しだな」
「まぁそう言うな。 それだけヤバイ状況なんだろう」
新たに現れた二人の人影はそんな会話をしている。
「すいません。 力が必要でして……!」
翔一は笑みをうかべながら言った。
翔一の横に立っていたのはロケスとデュークだった。
「さて。 大体状況は向こうで聞いたが……我々は市民を助ければ良いのか?」
「はい。 相当ヤバイはずです」
「任せろ翔一。 俺たちがオーガを全滅させとく」
そう言ってロケスは走り去っていった。
「直ぐ戻る」
そう言ってデュークもロケスの後を追うようにして走り去っていった。
「兄貴、あいつらは誰だ?」
サタンがそう言うと横にベルゼブブが降り立った。 同様に翔一の横にゼウスが上空から着地した。
「ケンタウロスとヴァンパイアの王だ。 放っておけ。 後で片付ければ良い」
「分かった」
サタンがそう言うとベルゼブブは翔一とゼウスに襲いかかり、ゼウスがベルゼブブと再び戦い始めた。
「厄介な魔力だな……! その美徳」
「確かに便利ですよ。 この「謙譲」は私と相性が良い」
「何かを犠牲にして何かを上昇させる魔力。
まさか魔力の消費量を下げて 魔力の威力を上昇させるとはな……!」
「体とか命も必要になれば削りますよ……!」
二人は再び凄まじい衝撃を放ちながら攻防を繰り返している。
「良いのう。 素晴らしい美しさじゃ」
ペルセポネはウリエルとメイを見ながらそう呟いた。 するとペルセポネから放たれる威圧感が更に増した。
「「嫉妬」と膨大な魔力か……
正直怖いくらい強い相手だね……」
「お姉ちゃん……」
「大丈夫。 絶対守るから」
ウリエルはそう言って笛を自分の口につけた。
「美しき姉妹の絆……。 ますます殺したくなる……!」
ペルセポネはウリエルに一直線に向かって来た。
(私に近づくと貴女の敗けだよ!)
ウリエルは曲を吹き始めた。 しかしペルセポネは巨大な雷を落とし、その爆音で音をかき消した。
(力業過ぎでしょ……!)
予想外の攻撃にウリエルは戸惑ったがペルセポネの蹴りを回避し、距離を取った。 後ろではメイが水の中に入り ふわふわ と浮いている。
(どうしようかな……。 多分お兄ちゃんも苦戦してるだろうし……)
ウリエルはペルセポネの方を見ながら絶望を感じ、自然と微笑んだ。
「取り敢えず君には死んでもらうよ」
翔一はそう言って手のひらの上に炎の玉を作り上げていく。
「殺れるものなら殺ってみろ!」
サタンは翔一に向かって衝撃波を放った。 翔一は炎の玉を作りながら瞬間移動で攻撃を回避した。
「今からやるよ!」
翔一は出来上がった炎の玉を放った。 しかしサタンは簡単に炎の玉を回避した。
「当たると思ったか?」
「今から当たるのさ」
そう翔一が言った瞬間に炎の玉がサタンの背中に当たった。
「なっ……!」
「瞬間移動してから当てても良かったけど……。 どうせなら「救恤」の魔力に頼ろうと思ってね」
「この程度で……俺が死ぬとでも?」
「あぁ君は死ぬ。 その炎には不死鳥の不死の力を乗せた。
その「消えない炎」は君が死ぬまで消えることは無い」
サタンの体が炎に燃やし尽くされ徐々に消えていく。
「おいおい……まさか俺の魔力を忘れた訳では無いよな?」
「勿論さ」
そう言うと翔一はいきなり後ろに現れたサタンの拳を難なく受け止めた。
「「命の復元」だろう? それよりもう一人はどこにいるのかな?」
「さぁ……どこだろうな!」
サタンは翔一を殴り、翔一は後ろに飛んで衝撃を和らげた。
(みんなも相手も消費魔力が大きい……。 余裕があるのはウリエルの相手だけだな)
ミカエルは戦場を見渡してそう感じた。 遠くでラファエルが自分と同じ様に戦況を確認しているのが見える。
「どうした? 「想像世界」使ってその程度か?」
ベルフェゴールがその言葉に怒りを露にし、ミカエルに攻撃を仕掛けていく。
「消失の盾」
ミカエルの目の前に青い盾が現れ、ベルフェゴールの攻撃を防ぎ、ミカエルは盾に隠れながらベルフェゴールに向かって行く。
「…………!」
ベルフェゴールは下がりながら攻撃を続けるがミカエルの盾に防がれ距離は詰まっていく。
ミカエルは目にも止まらぬスピードでベルフェゴールの背後に回り込んだ。
ミカエルはグリフォンの力を右手に集中させ、ベルフェゴールに振り下ろした。
次の瞬間ベルフェゴールから爆風が放たれるがミカエルは狼狽えること無く、ベルフェゴールを殴り飛ばした。
(そろそろ五分経つな……! 究極魔力が消える……!)
ミカエルがそう思い、ベルフェゴールに向かって行こうとした瞬間に、上空に誰かが現れたのを感じた。
「遊真……!?」
上空にいたのはレノーラと遊真だった。 続いてメフィストとアイモデウスが現れた。
「竜神王衝撃」
メフィストがいきなり遊真に向かって衝撃波を放った。 遊真は難なく回避し、衝撃波は当然の様に地面に向かっていく。
(真優……!?)
遊真は下に真優がいることに気づいた。 しかも立っている場所は衝撃波の範囲内である。
(ヤバイ……!)
遊真は真優の元に向かおうとするが間に合うはずも無かった。
大きな音と共に衝撃波が地面に激突した。
遊真とレノーラは地面に着地し、メフィストとアイモデウスも地面に下りた。
「真優!」
遊真が叫ぶと先程まで真優が立っていた場所には真優とミカエルが立っていた。
「ミカエル!」
「やれやれ。 お前の目線で気づいたよ」
ミカエルはそう言って盾を解除し、ミカエルは真優と共に遊真の近くに移動した。
「真優、何でこんな近くにいるんだ?」
「ご……ごめんなさい……」
「今すぐここから離れろ。 いいな?」
「うん……」
遊真が優しく真優の頭を撫でると真優は頷いた。
「レノーラ」
「ええ。 作戦通り行きましょう。 遊真はあれを破壊して」
「了解だ」
「え? お兄ちゃんまたどこか行くの?」
真優は不安な表情で言った。
「あの光の柱を破壊してくる」
「お兄ちゃん……死なないで……」
真優は涙目になりながら遊真の目を見て言った。
「大袈裟だな」
遊真は笑顔でそう言った。
「大丈夫だ。絶対死なないから」
遊真はそう言って空中に飛び上がると、光の柱の元へ瞬間移動した。
「真優、離れてろ」
「はい!」
ミカエルが指さした方向に真優は走って行った。
「メフィスト。 貴方はどうする?」
レノーラは笑みをうかべながらそう言った。
「ベルゼ、光の柱に向かえ。 遊真を止めるんだ」
「大丈夫なのかアイモデウス? 俺がいなくなるとプラン2が……」
「こちらに死んだ奴がいないなら問題ない」
メフィストはベルゼブブの肩に手を置いた。
「……!? メフィスト、俺を回復させたらヤバイんじゃないのか?」
「大丈夫だ。 それよりプラン2の恩恵を受けれないお前の方がまずい」
そう言ってメフィストはベルゼブブを全快させ、肩から手を離した。
「行け。 ベルゼブブ」
「分かったよ……」
メフィストの指示通りベルゼブブは光の柱の元へ向かった。
「レノーラ、遊真はあれに向かったの? ベルゼブブも」
ゼウスはレノーラの横に降り立つとそうきいた。
「ええ。 二人ともあっちに行ったわ。 今から私とゼウスでメフィストの相手よ」
「かなりきつそうね……」
ゼウスは笑みをうかべながらそう言った。周りでは味方がこちらに集まり、魔神族達はメフィスト達の側に集まっていた。
「さて、ちょっと狂いはしたが……プラン2をやろうか」
メフィストがそう言うと魔神族達は頷いた。
遊真は光の柱の近くに着いた。
「あれか……!」
遊真は地面に描かれている 光の柱を作り出している術式を見つけた。
「竜女神衝撃波!」
遊真が衝撃波を放つと巨大な穴が空き、術式は地面と共に消滅した。
「よし……!」
遊真が拳を握りしめた瞬間に、遊真は突如現れた紫色のドーム状の様な物に閉じ込められた。
「これは……!?」
「結界だ」
下から声がし、遊真が下を見るとベルゼブブがそこに立っていた。
「術式を破壊した時に発動する結界だ。 一番近くにいる魔神族を倒さないと結界は解けないし、この中では自分以外の魔力は使えない」
ベルゼブブの言う通り 遊真は元の姿に戻っていた。
「つまりお前を倒さないと出れないと……」
「そう言うことだ」
遊真とベルゼブブは向かい合った。
「殺してやるよ! 遊真!」
「こっちの台詞だ! ベルゼブブ!」
二人の拳がぶつかりあった。
日曜日更新が増えておりますが……
今更ながら更新日を決めたいと思います(笑)!
毎週……は難しいかも知れませんが最低でも二週間に一回は日曜日に更新致します。
たまに水曜日に出すかも知れませんが……
水曜日たまに、日曜日メインで更新していきます!
新しく始めた連載の方もよろしくお願いいたします。m(._.)m




