七つの大罪
読んでいただけるとありがたいです。
「派手にやってくれたな……!」
遊真の後ろにミカエル達も到着した。 ウリエルは既に五人の回復に取りかかっている。
「お前らを誘き出す為だ。 まぁこんな事しなくても来ただろうがな」
ベルゼブブは笑いながらそう言った。
「お兄ちゃん……」
「大丈夫か真優?」
遊真が振り返ると真優の目から涙が溢れていた。
「みんな……みんな死んじゃった……!」
「俺たちは……無力だった……」
弘行もそう力無く呟いた。 妖精族の三人も絶望した様に俯いている。
「いや、お前達はよくやったさ」
ミカエルがそう言うと五人は驚いた様に顔を上げ、ミカエルは笑顔をうかべた。
「他の生徒を守るために、こいつらが市民の元に行かない様に。
命をかけてこいつらを食い止めた」
「そりゃ逃げた方が助かったけど それが分かっていても立ち向かったんだ。 君達は無力なんかじゃないさ」
翔一もそう言って皆を励ました。
「頑張ったな真優」
遊真は真優の頭を優しく撫でながら言った。
「だから後は任せてくれ」
遊真がそう言った瞬間に爆風が巻き起こり、接近しようとしていた魔神族達を牽制した。
「うん……!」
真優は涙を拭いながら頷いた。
「真優達はここから離れてくれ。 まだ危険に晒されている人は多い。 自分達に出来ることをやってくれ」
弘行達は頷くと校舎の出口に向かって行く。 しかし真優は途中で止まり、遊真の方を見た。
「お兄ちゃん……」
「どうした?」
「……負けないで」
遊真は笑みをうかべながら
「あぁ」
と答えた。
真優は弘行達を追うようにして校舎から消えていった。
「さて……まぁ可笑しな事が起こってるよな」
「だね……」
遊真は達はかつて倒した魔神族が目の前にいることに驚きを隠せないでいた。
「俺たちは甦ったのさ。 お前達を殺すためにな」
「へえ。 もう一度やられる為に甦るとはご苦労な事だな」
ミカエルはそう言うと遊真の方を見た。
(一番厄介な奴がいないが……遊真はどうするつもりだ……?)
ミカエルがそう考えている内に遊真が口を開いた。
「メフィストはどこにいる?」
「まぁ待てよ遊真。 俺たちの用件を教えてやるついでに質問にも答えてやる」
ベルゼブブは笑いながらそう言った。
「あの光の柱はこの街を消し飛ばす為に今隕石を作ってる最中だ。 メフィストはそこにいる。
そして俺たちの目的は……」
ベルゼブブはメイを指差した。
「メイをこちらに寄越せ。 そうすれば大人しく帰ってやっても良い」
「メイを……?」
メイは驚きを隠せないでいた。 まさか自分が一番の狙いだとは思ってもいなかったのだろう。
「渡すわけないでしょ」
ウリエルはきっぱりと言い切った。 その返答にベルゼブブはため息をつき、笑みをうかべた。
「まぁ……予想通りの返答だな」
そう言ってベルゼブブは右手を遊真達にむけ、炎の玉を放った。
炎の玉は遊真が手を出すと一瞬にして消えた。
「俺はメフィストの所に行く」
遊真はそう言いながらこちらに突進してきたベルゼブブを蹴り飛ばした。
「分かった。 こっちは任せとけ」
「私はついていくわ」
レノーラがそう言うと遊真は笑みをうかべながら頷いた。
次々と魔神族達がこちらに向かって来る。
「二人見たことが無い奴がいるが俺とウリエルがやる。
翔一はサタンを。 兄ちゃんと姉ちゃんは他のやつらの相手を。 ゼウス様はベルゼブブを」
全員がミカエルの指示に頷くとそれぞれの相手を向かい打つ様に向かって行く。
全員同時に戦闘が始まり、学校のグラウンドは 凹み、周りの校舎も崩れていく。
「行け! 遊真!」
遊真は頷くとレノーラと手を繋ぎ光の柱の元へ瞬間移動した。
「良かったの? 遊真を行かせて」
ゼウスはベルゼブブの攻撃を防ぎながらそう言った。
「こちらに不具合は無いさ。 あいつが負けるはずがない」
ベルゼブブはそう言ってゼウスに接近し、ゼウスを殴り飛ばした。 ゼウスは拳を防ぎながら下がった。
「第一もっと自分の心配をしたらどうだ?」
ベルゼブブはそう言うとゼウスを睨み付けた。
ゼウスはその瞬間に自分の体の違和感に気づいた。
(動けない……!?)
ベルゼブブはゼウスの腹部を蹴り飛ばし、ゼウスは校舎に激突した。
(一体……何が……)
ミカエルはゼウスが殴り飛ばされたのを見て驚いていた。
(何だ……ベルゼブブは一体何をした……? いや……今は……!)
ミカエルは自分の目の前にいる相手に向き直った。
「お前が誰かは知らないが敵だって事には変わりないよな!?」
ミカエルはブレスレットに触れ、疾迅神獣の絆魔力を発動させ、ベルフェゴールに殴りかかった。
だが拳が当たる瞬間に衝撃が発生し、吹っ飛んだのはミカエルの方だった。
ミカエルは足を地面に着き、地面を抉りながら止まった。
(こいつ……今 何を……)
「お兄ちゃん!」
ウリエルはミカエルの横に着地した。
「大丈夫?」
「一応な。 ウリエル、あいつはどうなんだ?」
ミカエルはそう言ってペルセポネを指差した。
「分かんないけど……さっきから魔力がずっと上昇してる」
「美しい髪じゃ。 それほど良い髪には中々出会える物ではない」
ペルセポネはそう言いながらウリエルとミカエルの方に向かって来る。 ベルフェゴールは先程の場所から動かずにじっとしている。
「今回は随分と大勢で攻めてきたものだね。 前は単身で来たのに」
翔一はブレスレットに触れ、不死鳥の絆魔力を発動させながらそう言った。
「確実にお前達を殺す為にな」
サタンはそう言って翔一に殴りかかった。
翔一はサタンの拳をサタンに近づく様に回避し、腹部を蹴り飛ばした。
「不死鳥の炎!」
翔一はサタンに向けて炎を放った。 炎はサタンに向かって行くがサタンが手を出すと青色の盾に当たり、炎は跳ね返った。
翔一は一瞬怯んだが、攻撃を回避した。
(今のは……ミカエルの「絶対防御」……?
ミカエルは血なんて取られてないはず……何でサタンが使える……!?)
「メイちゃん下がってて」
ガブリエルはそう言ってメイの前に出た。 ラファエルもメイより前に出た。
メイは頷いて海洋神の絆魔力を発動させた。
「海槍!」
メイは二人の後ろからルシファーに向けて水の槍を放った。
ルシファーは右手を前に出すと水の槍を全て消していった。
「さっさと拐いましょ」
レヴィアタンはそう言うとメイの方をじっと見つめた。
(何……何か頭がボーっとする……)
「メイちゃん!?」
ガブリエルは「悪夢」の魔力を使いながらメイの体を支えた。
「へぇ……上書き出来るなんて……」
「上書き……?」
「耳を貸すなガブリエル」
ラファエルはそう言うと光の玉を複数作り出し、三人の魔神族に向けて放った。
レヴィアタンはルシファーの背後に移動し、ルシファーは全て異空間に飛ばしていった。
ベリアルは手を前で組み、攻撃に耐えるとラファエルに向かって行く。
「貫通拳!」
ラファエルはベリアルの攻撃を回避したが背後にあった校舎が音を立てて崩れていく。
「光輝乱撃」
再びラファエルは複数の光の玉を作り出し、ベリアルに放った。 ベリアルは攻撃を受け倒れたがすぐに起き上がり、再びラファエルに殴りかかった。
「貫通拳!」
ラファエルは先程と同じように回避した。
「避けれたと思うか?」
「何?」
次の瞬間ラファエルの体は宙に浮いていた。
「なっ……!?」
ベリアルは追い打ちをかける様にラファエルに襲いかかった。
「ラファエル!」
(でも私が離れたらメイちゃんが……!)
ガブリエルは一瞬迷ったがメイを背負ってベリアルに向かって行った。
「そんな簡単に通すはずがないでしょう」
ルシファーが目の前に立ちはだかり、ガブリエルを蹴り飛ばした。
ラファエルもベリアルに蹴り飛ばされ、地面に激突した。
ベリアルはすかさず踵落としを放って来たがラファエルは転がるようにして回避した。 ベリアルの蹴りが地面に当たると地面に巨大なヒビが入った。
(さっきのは風圧……? こいつさっきから攻撃力が上昇している……?)
「不思議そうな顔だな!」
ベルゼブブはそう大きな声で叫んだ。
「教えてやるよ。これが魔神族だけが使用できる「祖の魔力」に勝るとも劣らない最強の魔力」
魔神族はニヤリと笑みをうかべた。 まるで負ける気がしないかの様に。
「魔神族だけの魔力。 「七つの大罪」だ」
これからは少し短めの話が続く……かも……
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