身近にいる人
読んでいただけるとありがたいです。
その後 魔力を使って物を燃やしたり、火を消したり等の試験や戦闘訓練等を行い、遊真達は圧倒的な差をつけてトップ四を独占した。
「随分と注目される様になったな」
ミカエルはそう呟いた。
「そりゃあ全ての試験で十倍以上の差をつけたら注目もされるんじゃない?」
翔一はそう言って
「まぁ大輝様にも本気でやれとは言われたから」
と付け足した。
「少しやり過ぎちゃった気もするけど……」
ウリエルはそう少し苦笑いをうかべながら言った。
その反面メイは楽しかったらしく随分と上機嫌だ。
「お姉ちゃん達凄かったね!」
「まぁ周りもちょっとな……」
最強の魔神族のメフィストやサタンを遥かに上回るベルゼブブと戦った遊真達にはどうしてもそう言った感想になってしまった。
「お疲れさま」
ゼウスは本をペラペラとめくりながらそう言った。 遊真は荷物を床に置いてベッドに腰をかけた。
「それにしても今の時期の学生の魔力はあんなものなの?」
「うーん……まぁサタンの侵入で良い人材が失われたっていうのもあるわね」
ゼウスは本を閉じて遊真の横に腰を下ろした。
「まぁ防衛の為にも一応学校には行ってよ?」
「分かってるよ。それに並行してちゃんと特訓もする」
遊真はそう言いながらベッドに寝転がり手を前に伸ばした。
「今のままじゃ明らかにメフィストに勝てない」
遊真は拳を握りしめてそう言った。
「確かにあいつの強さはヤバイわね。 私もベルゼブブだっけ? あいつに足止めされちゃったし」
「そう言えば姉ちゃんが言霊使えるの知らなかったんだけど……」
ゼウスは首をかしげた。
「あれ? 言ってなかった?」
「言ってないよ……」
遊真は やれやれ と言う様にため息をついた。
「女神族で「祖の魔力」を使えるのは私と遊真だけよ。 ただ魔神族は他にいる可能性が無いとは言い切れないからね」
「それは笑えないな」
遊真はそう言って体を起こした。
「メフィストとベルゼブブだけでもキツイのに更に増えられたら流石に皆殺しにされる」
「あくまで可能性の話よ」
ゼウスはそう少し小さめの声で呟いた。
「お姉ちゃん! 私お兄ちゃんに勝ったんだよ!」
「本当に凄かったんだよ!」
ウリエルとメイはガブリエルに喜びながら報告した。
「凄いじゃん。 話に聞いた「究極魔力」のおかげかしら」
「あの時確かにウリエルの魔力は遥かに上昇してた。 その時に俺を越えたんだろう」
ミカエルはそう言って部屋のドアを開けた。
「お兄ちゃんどこか行くの?」
ウリエルは首をかしげながらきいた。
「ちょっとな。 翔一と話したい事があるんだ」
そう言ってミカエルは部屋から出ていった。
「翔一と……? 何だろう……」
「何か心当たりは無いの?」
「う~ん……」
ウリエルは腕を組んで下を向いて考えている。ガブリエルは微笑みながらウリエルの頭を撫でた。
「そう言えばまだウリエルはその「究極魔力」は使えるの?」
「え? うん。 使えるよ? 何で?」
「ウリエルはメイが殺された事とミカエルが殺された事でその魔力を開花させた。 でも今は二人とも生き返った。 前にそういうケースで覚醒した者が人が生き返った事で覚醒魔力が使えなくなった人がいるから」
「へえ……不思議だね」
ガブリエルは再び微笑みながらウリエルをゆっくりとだきしめた。
「身近にいる人には常に気をつけておきなさい。 身近にいる人は近すぎて見えにくいやものだから。
私の母の口癖だったわ」
ガブリエルがそう言うとウリエルは
「でも……お姉ちゃんに抱きしめられたら余計に近いよ?」
と言った。
ガブリエルは笑いながらウリエルから離れた。
「そういう事じゃなくて、身近にいる大切な人を失って、初めてその人の大切さが分かるってこと。 普段はそんな事は考えないでしょう?」
「そうかな……。 いなくなって悲しい人の大切さなんて今でも分かる様な気がするよ?」
「まぁ今そう思えるなら貴女は幸せ者よ。 ウリエル」
ガブリエルは部屋に置いてある自分と親が写っている写真を見てそう呟いた。
「待ったか?」
そうミカエルは言いながら屋上のドアを閉めた。
「いや、僕も今来たところだよ」
そう言って翔一は振り返った。
「どうだ? 俺が遊真から聞いた方法は?」
「後一週間もあれば出来ると思うよ。 ミカエルは? ちゃんとあれもとってきたの?」
ミカエルは翔一の横に並んで手すりにもたれ掛かるようにして立った。
「ああ。 とってきたよ。 それと俺も後一週間あれば完璧に仕上がると思う。 問題は発動時間の短さだな」
「確かに僕も発動して維持出来るのは約五分ってところだよ。 でも遊真も体にかかる負荷が大きいって言ってたんでしょ? やっぱり五分がいいとこじゃないの?」
「五分か……」
そう言ってミカエルは懐から赤い球体の様な物を取り出した。
「それが例の物? 確かに見た目は林檎だね」
「ああ。 出来たら使いたくはないがな」
そう言ってミカエルは再び懐にその林檎をしまった。 そしてミカエルは言った。
「後はお前のあれがどうなるかだ。 どうなんだ実際は?」
翔一は小さくため息をついてから言った。
「結論から言うとあれはただの魔力じゃなかった。 だから使おうとすれば僕が乗っ取られる可能性もある」
「じゃあ実戦には使えないか……」
「いや」
翔一は首を横に振り、ミカエルの言葉を遮った。
「使いこなしてみせる。 今日話をしてみるよ」
ミカエルは小さくため息をついた。
「無理はするなよ。 翔一」
後書きに漫画雑誌の作品毎に最初と最後に書いてある煽り文(?)みたいな物を書いてみたいなぁ
とか思っております(笑)。
今度忘れておらず、思い付いたら書いてみます!