表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「絆魔力」と「神と呼ばれし獣達」
64/96

祝杯

読んでいただけるとありがたいです。

 青空をぼんやりと眺めていると五分としない内に都市が見えてきた。 身を乗り出して下を見ると、下でロケスがこちらに手を振っている。 遊真も大きく手を振り返した。 レノーラは翼を大きく広げ、ゆっくりと高度を下げ、地面に着地した。

「遊真!」

「ただいま。 ロケス」

「心配したぞ」

 ロケスは笑い声を上げながら遊真の肩を叩いた。 後ろではデュークが丁度こちらに着いたところだった。

「大丈夫だったのか遊真?」

「えぇ、今のところは」

「ベルゼブブやメフィストは!?」

「倒せはしなかったけど……とりあえず撃退したって感じかな……」

「つまり奴等は逃げたのか?」

 立て続けにデュークは質問しようとしたが、ミカエルの横で うとうと と眠そうにしているウリエルと翔一の横で うとうと としているゼウスを見ると

「いや……また明日聞かせて貰おうかな。 今日は激戦だったからな……」

 と言った。

「デュークさん、マーメイドは?」

 ウリエルをレノーラの背中に置いて、ミカエルが遊真の横に並び、デュークに聞いた。

「今のところは鎮圧したといったところだ。 どうやらマリー姫に強制的に戦わされていた者を少なくはなかった様だ」

「じゃあ俺たちが殺してしまった奴等は……」

「いや、私達を襲ってきたのはマリー姫側のマーメイド達だ。 先程水の都市(アクアタウン)に行って来たが……。

 いや、この話もまた明日にしないか? ミカエル。 君も疲れているだろう」

「……わかりました」

 ミカエルは一瞬ためらった様に見えたが、そう答えた。 しかし遊真は これは言うべきだろう と思い、口を開いた。既に本人から言ってもいいと許可も貰っている。 ……と言っても言わなくては問題になりそうだが……

「ちなみにあの竜神(ドラゴン)は二人とも知ってる?」

「いや、メフィストの奥の手か何かか? 先程からずっと気になっていたが。 やはり金剛竜神(ダイヤモンドドラゴン)ならば頭を下げるべきか? メフィストの手に落ちたと言っても竜神(ドラゴン)族で一番の素質を持つのは金剛竜神(ダイヤモンドドラゴン)だ」

「まぁ簡単に俺の意見も添えると俺たち二人ともその竜神(ドラゴン)の事は知らない」

「彼女はレノーラだ」

 遊真がそう言った瞬間に見せた二人の反応に遊真は思わず吹き出した。 ミカエルも横で笑っている。 恐らく二人は今まで生きてきて一番驚いたのではないだろうか。

「まさかレノーラが竜神(ドラゴン)族だったとは……! というより何故ロケス、お前は知らなかったんだ!?」

「いや……だって種族なんて聞いた事なかったし……」

「……お前らしいな」

 デュークは微笑みながら呆れる様な仕草をした。 遊真の後ろでは翔一がゼウスとウリエルとメイをレノーラから下ろし、レノーラが光に包まれ、人の姿に戻っていった。

「ごめんなさい二人とも。 今まで黙っていて……」

 レノーラは二人に頭を下げた。 するとロケスは笑みをうかべた。

「気にすんな。 レノーラはレノーラだろ?」

 ロケスらしい言葉に遊真はレノーラの目に涙がうかんだ気がした。

「おい、竜神(ドラゴン)族のトップに向かってその口の聞き方はないだろう」

「あ、気にしないでデューク。 寧ろ今まで通り接してくれた方が私も嬉しいから」

「まぁ……貴女がそう言うなら……」

 デュークは少しためらっていたが、そう言うとロケスが全員を草原の都市(ステップタウン)に案内した。

「まぁまだ気になる事があるけど……。 とりあえず今日は質問は無しだな。 また明日聞かせてくれ」

「あぁ。 にしてもここも攻撃を受けたんだな……」

 遊真は周りを見渡した。 家の所々に穴が空いており、前回泊めて貰ったタワーも上半分の損傷が酷かった。

「とりあえずゴーレムに固めて貰ったから崩れはしない。 またここに泊まって貰っていいか?」

「あぁ。 泊めてくれるだけで充分ありがたいよ」

 遊真はそう言った。

「では私は自分の都市に戻る。 また明日ここに来るよ」

「おお。 また明日」

 ロケスがそう言うとデュークは去って行った。

「部屋どうする?」

 ミカエルがドアの前でそう言った。

「とりあえずミカエルとウリエルは一緒だな」

「え、決定なの?」

 ロケスはにやにやと笑いながらミカエルに鍵を渡した。 ウリエルは既に意識を保つのに必死な様でミカエルにもたれかかっている。

「僕は一人でいいよ」

 翔一はそう言った。 遊真は翔一が何か考え込んでいるように思えた。 おそらくメフィストの事だろうと遊真は思った。

「俺も一人で寝る。 遊真はハーレムだな」

「ええ!?」

 ロケスは遊真に鍵を渡すと翔一と共に上の階に向かって行った。

「じゃあまた明日な、遊真」

「あぁ、そういえばメイは……?」

「遊真達を助けに行く前にウリエルがメイに技を発動してな。 俺も詳しくは分からんが仮死状態に近い状態になっているらしい。 また明日ウリエルに聞いてみるよ。 こいつもうほとんど寝ちまってる」

「分かった」

 ミカエルの向かえの部屋のドアを開け、ウリエルとメイを連れて一緒に入って行った。

「やれやれ……」

 遊真も鍵を開けて、ドアをあけた。 レノーラがゼウスを背負い、先に入って行った。 レノーラはゼウスをベットに寝かせた。

「ごめんねレノーラ。 遊真。 迷惑かけちゃって」

「何言ってんだよ。 姉ちゃんがいなかったら俺はベルゼブブとメフィストに殺されてたよ。

「そうだよゼウス。 貴女がいてくれたから私達はメフィスト達を撤退させる事が出来たんだから」

 二人がそう言うとゼウスは笑顔を見せた。

「あれ? 二人って初対面だよね?」

「ふふ。 あんまり初めて会った気がしないわ」

「私も」

 そう言って二人は笑った。 ゼウスはゆっくりとベットから立ち上がった。

「お風呂行ってくるわ」

「お風呂で倒れないでくれよ?」

「お風呂くらいだったら大丈夫よ」

 そう言ってゼウスは洗面所に向かって行った。 遊真はレノーラを見つめ、レノーラと目が合うと、口を開いた。

「驚いたよ。 まさかレノーラがパートナーだったなんて」

「私も最初はびっくりしたわ。 遊真のブレスレットが私を指してるんだから。 でもある意味すぐ消えてくれて良かったわ。 あの時はまだ私は貴方の力には慣れなかったから」

「そうだったのか? まぁ話はまた明日聞くよ」

 そう言って遊真はベットに腰を掛けた。 ベットは二つ置いてあった。

「遊真はゼウスと一緒に寝る?」

 レノーラは微笑みながら聞いた。

「レノーラが姉ちゃんと一緒に寝なよ」

「私は一人で寝るわ。 私は竜神(ドラゴン)だし」

「……それ関係あるの?」

 そんな事を話しているとゼウスが戻り、レノーラがお風呂場に向かった。 遊真はゼウスに向こうの大陸の状態を聞いた。

 ゼウスは戦況は優勢であること。 現在は大輝が指揮を取っていること。 大天使の二人が妖精族を率いて主力として戦っている事を伝えた。

「姉ちゃん無しでも持ちそうだな」

「当然でしょ。 強い女神族は私だけじゃないのよ?」

「まぁそりゃそうかも知れないけどさ……」

 レノーラが戻り、遊真は風呂場に向かい、シャワーを浴び、部屋に戻った。 既にレノーラは一つのベットで横になっており、もう一つのベットにゼウスが座っていた。 遊真は先程レノーラが言っていたようにゼウスの方へ向かった。

「じゃあおやすみ」

「今日はお疲れ様」

「また明日」

 そう言ってレノーラがボタンを押して電気を消した。

 遊真はごろんと横になった。 すぐ横にゼウスが横になっている。 しかし今は随分とゼウスと一緒に寝るのが久しぶりに感じた。

(この大陸に来てから二回死にかける戦いやって、空間で随分と時間を過ごしたからな……)

「どうしたの遊真? もしかして甘えたくなった?」

「……そんな訳ないだろ」

 遊真はすこし顔を赤くしながら目を閉じた。 横でゼウスが何やら動いているのが分かる。

「本当に……無事で良かった」

 そう声が聞こえた。 ゆっくりとゼウスに抱きしめられながら遊真は眠りに着いた。

本日二十一時頃に題名を変更致します。


お気に入り登録やポイント評価をしていただけるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ