「奇跡の子」vs「最強の魔神族」
更新が遅くなってしまい申し訳ございません。
読んでいただけるとありがたいです。
「遊真がレノーラの力を……」
翔一は遊真の姿を見て呟いた。 遊真の体は手の甲から肩にかけてキラキラと光を反射して輝いている鱗が生えており、足にも鱗が現れているがふくらはぎの裏側には生えておらず、腕の手のひら側には生えていなかった。 顔にも少し鱗があったが、一番の違いはやはり翼が生えていた事だった。
「金剛竜神の力か。 俺たちが一番欲していた力だな……」
メフィストはそう小さく独り言の様に呟いた。
《遊真》
「レノーラ……?」
《えぇ。 今、貴方の心に直接話しかけてるんだけど上手く聞こえてるかしら?》
「あぁ、聞こえてるよ」
《なら良かった。 言っておくけど「絆魔力」は成功したけどまだ初めての絆魔力。 あまり長くは使えないわ。 私も共闘するつもりだけど今は貴方に力を貸しているから大きな戦力にはならないかもしれないわ》
「問題ないよ」
そう言って遊真はメフィストに向かって行った。
「竜女神衝撃波!」
遊真がメフィストに向けて右手を突き出すとメフィストは回避し、メフィストの遥か背後にあった山が消し飛んだ。 続いてレノーラがメフィストに向かって炎を吹いた。 美しい銀色の様な光沢を放つ炎がメフィストを包み込むが、メフィストは一瞬で炎をかき消した。 しかしその隙に遊真がメフィストの背後に迫っていた。 遊真の腕から鱗だけが動き、竜の手の形になった。
「竜女神爪撃!」
メフィストは胸の前で手を組み、遊真の一撃を防ぎ、吹っ飛ばされ、吹っ飛ばされた方向にレノーラが飛んできた。
(次から次へと……!)
メフィストはレノーラに尻尾で弾き飛ばされ、地面に激突した。 遊真とレノーラが地面に着地すると、メフィストも立ち上がった。
「素晴らしい力だ……だが俺には及ばない」
メフィストが手を広げると遊真の周りの半径十メートル程の場所に別空間への入り口の様な物が現れた。 ルシファーの魔力 「空間」に少し似ている。
「予測不能の連続衝撃波」
「っ……!」
遊真とレノーラは上空へ飛んだ。 あの空間の歪みの場所からも衝撃波が放たれ、正に衝撃波の乱射だった。
「気をとられ過ぎだ」
メフィストが遊真の目の前で遊真に右手を向けていた。
(やべっ……!)
「竜神王衝撃波」
衝撃波が放たれる直前でレノーラが尻尾で遊真を引き寄せ、メフィストの衝撃波は地面に当たり、地面に底が見えない程の穴が空いた。
「助かったぜレノーラ」
《やっぱり押されてるわね》
「くっそ……やっぱり簡単にはいかないよな……」
翔一は遊真達の戦いを見ていた。 そして考えていた。
(メフィストには「祖の魔力」である「膨大な魔力」がある。 更に竜神族の長の力。 だからレノーラの力がその長の力を越えていたとしても遊真とメフィストにはまず魔力量の差がある。 つまり同じ様な威力の技を連発していれば遊真の体力の方が先に尽きる。
加えてメフィストには「想像世界」だけじゃなくて「言霊」の力もある……。 この差を縮める事は出来ない。
この二つの差をレノーラとの共闘でどれくらいまで縮められるかが問題だ……もしくは……)
翔一は左前の空を眺めた。 次々と隕石が落ちたり、森が消し飛んでいる。
(ゼウス様が救援に来てくれるかだ……。 だけど相手はベルゼブブ。 いくらゼウス様でも必ず勝てるとは言い切れない……)
目の前で再び凄まじい衝撃波がぶつかり合い、翔一は飛んでいきそうになった。 遊真とメフィストの戦いが再び激しくなっている。
(僕に出来る事は何もないのか……!)
翔一は拳を握りしめ、下を向いたが首を振って再び戦場に目を移した。
(いや、諦めちゃ駄目だ……。 何か少しでも役に立たないと……!)
「竜神王衝撃波!」
「竜神女神衝撃波!」
凄まじい爆風がまき起こり周りの木々が薙ぎ倒され、大地を抉っていく。 レノーラが上空から炎を吐いた。 メフィストは上空へ衝撃波を放ち、炎をかき消した。
「竜神女神脚撃!」
遊真がメフィストに鱗を竜の足の形に具現化させた蹴りを放ち、メフィストの左腕を消し飛ばしたが、すぐにメフィストは腕を再生させた。 そしてメフィストが手を前に出すと遊真は上から衝撃波を受けた。
(さっきの技の異空間からか……!)
遊真は足が消し飛んだが「想像世界」で足を再生させた。 レノーラがメフィストに向かって行き、右手を振り下ろすがメフィストは片手で防いだ。
「確かにお前は五本の指に入る実力者かもしれん。 だが今はその頂点に立つ者が竜神王の力を使ってるんだぞ? 勝てると思っているのか?」
メフィストはレノーラを殴り飛ばした。 遊真はレノーラを空中で受け止めた。
《ありがとう遊真》
「あぁ……」
メフィストが再び遊真達に接近してきた。 遊真は衝撃波を放ち、メフィストが上に回避したところをレノーラが尻尾で叩き落とした。 メフィストは地面に激突する様に着地し、下から衝撃波を放ってきたが遊真達も回避した。 メフィストは立て続けに衝撃波を乱射してきたが遊真達は回避し続けた。
その時遊真は横に何かが落ちてくるのに気づいた。 メフィストも気づいたらしく攻撃を止めた。
次の瞬間何かが地面に激突した。 砂ぼこりがたち、姿がよく見えないが砂ぼこりはすぐに晴れた。 そこには苦しそうに腹部を押さえベルゼブブが踞っていた。 少し離れたところにゼウスが息を切らしながら疲れで崩れ落ちる様に着地した。
二人は一瞬で理解した。 ベルゼブブが負け、ゼウスが勝ったのだと。
「ベルゼブブ!」
ベルゼブブが自分で傷を治せていないことに気づき、メフィストがベルゼブブの元へ向かった。
(今だ!)
「レノーラ! 姉ちゃんを頼む!」
遊真はメフィストを追った。 レノーラはゼウスの元へ向かった。
メフィストはベルゼブブの横に着地した。
「メフィスト後ろだ!」
ベルゼブブの言葉にメフィストが振り替えると遊真が拳を振りかざしていた。
「っ……!」
「竜神女神衝撃波!」
メフィストはベルゼブブを抱えて攻撃を回避した。
(逃がすか!)
遊真はもう一度衝撃波を放った。 メフィストも衝撃波を放ち、爆風がまき起こり、メフィストはこの隙に逃げようとしたが、遊真は追撃を続けた。
「調子に乗るなよ!」
メフィストが遊真の背後に回り込んだ。 メフィストは遊真を殴り飛ばした。
「竜神王砲撃!」
メフィストの手から巨大な火柱が放たれたが、突然誰かが遊真を抱えて攻撃を回避した。
「姉ちゃん……!」
「あと少しだけならもってくれると思うわ」
遊真は笑みを浮かべ、メフィストに向かって行った。 メフィストは遊真の拳を受け止め、背後から迫るゼウスの攻撃を回避したが、レノーラの一撃に吹き飛ばされた。 メフィストは立ち上がろうとしたが、手をいきなり地面から現れた樹木に縛られた。
「なっ……!」
メフィストは簡単に樹木を引きちぎったがこの一瞬に遊真達は攻撃体制を整えていた。
(ナイスタイミングだったぜ翔一!)
「竜神女神砲撃!」
「太陽の爆炎!」
《竜神の息吹!》
三種類の爆炎が一つに纏まり、百メートルを優に越える超巨大な炎の玉がメフィストに向かって行った。 その時メフィストの横にアイモデウスが現れ、メフィストの肩に手を置いた。
「遅かったな」
メフィストはそう呟き、手を前に出すと炎の玉を軽々と相殺した。
「え……」
遊真は唖然とした。 ゼウスと翔一も同じ様な表情をしており、レノーラは目を見開いている。
「今度はこっちの番だ」
メフィストが右手を振り下ろすと上空から何かが迫ってくるのを感じた。 遊真は空を見上げた。 上空には竜の形をした透明な何かがあった。
(まさか……さっき乱発してた衝撃波を纏めて……!)
「竜神降硫下」
山の様に巨大な竜の形をした衝撃波が遊真達に襲いかかった。
文化祭のダンスの練習等で中々時間がとれずに更新が遅くなっております……
今回は魔力説明でも投稿しようと思っていたのですが
これだけ時間が空いたのだから本編を更新しないとなあ……
と思い本編の方を投稿しました。
ポイント評価などしていただけるとありがたいです。