表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「絆魔力」と「神と呼ばれし獣達」
51/96

姉妹

読んでいただけるとありがたいです。

 約五日前の事。

「十二歳!?」

「うん……」

 メイは恥ずかしそうにウリエルにくっついた。 ウリエルは笑顔をうかべながらメイを抱きしめた。

「じゃあメイは私の妹だね♪ まさかここまで幼いとは思ってなかったけど」

 メイは驚きの声を上げた。 ウリエルと目を合わせて

「妹……?」

 と呟いた。 ウリエルは少し頬を赤らめて首をかしげた。

「うん。 妹じゃ嫌? あと上目使い止めて……可愛すぎる……」

 ウリエルはそう言って半ば無理矢理メイを自分の体に押し付ける様に抱きしめた。

 メイはウリエルに抱きついたまま、目に涙をうかべながら笑顔で言った。

「ありがとう。 妹って言ってくれて」



 ウリエルは再びクラーケンの攻撃を利用しながらマリーに接近した。 しかしマリーも同じ様にメイを自分の前に引っ張り、盾にした。

「この……!」

 ウリエルはマリーの背後に回り込もうとするが地獄の番犬(ケルベロス)の速さを持ってしても足場はほぼ無いに等しく、相手は人魚姫。 簡単には回り込めなかった。

(かと言って遠距離で戦ったらメイが……)

 ウリエルがそんな事を考えた時、クラーケンが同時に九本の足でウリエルに攻撃をくわえた。

 ウリエルは大半は避けたが避けきれず地面に叩きつけられた。

「メイ。貴女も戦いなさい」

「……分かった」

 メイはウリエルに向かって行き、水の槍を放った。 ウリエルは咄嗟に起き上がり、攻撃を回避した。 そしてメイを抱き止めた。

「お姉ちゃん……? 今私たちは敵同士なんだよ!?」

「バカ。 私はメイの敵に何かならないよ。 メイは私の妹だもん」

 その言葉を聞き、メイの目に一瞬涙が浮かんだが、すぐに目をこすり、ウリエルから離れた。

「しょうがないじゃん……! 私はマリーお姉ちゃんの妹なんだから……」

「別に妹と思った事はないけどね」

 マリーはため息をつきながらメイの横に着地した。

「何を仲良く話し合ってるの? 本当に役立たずは盾にしかならないのね」

「何? メイを妹と思った事無いの?」

 ウリエルはマリーを睨み付けながらそう言った。

「もちろん。 この計画に必要な力もない。 かと言って素晴らしい能力が有るわけでもない。 どこが私の妹なの? 私は海洋邪神(クラーケン)と契約出来る様な才女なのに。 全く落ちこぼれじゃないこの子は。 血が繋がってるとは思えないわ」

「貴女の妹の基準は何なの? 血が繋がってたら姉妹でしょう? それに血が繋がってなくてもお互いが姉妹や兄弟だって思ってたら義兄弟や義姉妹位には思っていいんじゃないの?」

「さぁ? それは人それぞれでしょ。 まぁこの役立たずが私を恨んでようが姉妹だと思っていようが私は「私に役立つ物」を兄弟や姉妹と思いたいわね。 それ以外は屑よ」

 ウリエルは拳を握りしめた。

「その考え方が間違ってるんだよ!!」

 ウリエルは三度マリーに向かって行った。



全反射(リフレクション)

 ミカエルがレヴィアタンの攻撃を跳ね返し、レヴィアタンは吹っ飛んだが空中で一回転して地面に着地した。

「堅い盾だね……これならベリアルの方が相性は良かったね……」

「ベリアル? そいつなら俺は一回負けてるよ」

 レヴィアタンはミカエルの言葉を聞いて笑いながら

「あぁ、やっぱり相性悪かったかい。 あいつ一番弱いくせに攻撃力はしゃれにならなかったからね」

 と言った。

(と言っても私も下から二番目なんだけどね……)

「じゃあ貴女の方が強いって事だ」

 ミカエルは盾を槍状に変形させ、レヴィアタンに攻撃した。

(やっぱり強くなったな……。 自分自身の力も高めといて正解だったな……)

 ミカエルは改めて自分の魔力が上昇している事を実感した。 ミカエルは以前ベリアルに敗れたがレヴィアタンはベリアルよりも強い。 しかしそのレヴィアタンが「絆魔力(リンク)」を使っているにも関わらずミカエルは「絆魔力(リンク)」を使わずに戦えていた。

(まぁでもやっぱり力の差はある。 ロケスが言ってた竜神(ドラゴン)の力だもんな……)

 そんな事を考えながらミカエルは一瞬翔一の方を見た。

(やっぱりあいつ戦闘センスあるなぁ……)

 ミカエルは翔一を見てそう感じた。



 アイモデウスが拳を突き出してくるが翔一は後ろへ下がり、木を蹴ってアイモデウスの背後に回り込んだ。

「いや~こちらの大陸にはベルゼブブしか魔神族はいないと思ってたんだけどね」

「いや、別にベルゼに呼ばれたからこちらに来ただけだ。 ベルゼが瞬間移動でこちらに連れてきてくれた」

 翔一は少し疑問に感じた。 アイモデウスのベルゼブブやレヴィアタンの呼び方である。

「ベルゼって貴方はベルゼブブと仲が良いのか?」

「別に俺が「七人の魔神族(ヘルデーモン)」の最年長だから一番皆と親しく接しているだけだ」

 そう言ってアイモデウス翔一に拳を突き出すが

 翔一は瞬間移動で後ろへ移動した。

「流石にこのままじゃ勝てないだろうな……」

 翔一は火の玉を放ち反撃するがアイモデウスを覆っている鱗が翔一の攻撃を無効化はしている様だった。 アイモデウスは再び翔一に接近し、蹴りをくり出すが翔一は全て華麗に回避していく。

「どうした? 避けているだけでは勝てんぞ」

「分かってるよ!」

 翔一はアイモデウスの懐に入りアイモデウスを蹴飛ばした。




全てを切り裂く雷の虎(サンダービースト)

 サタンを一回殺してみせた雷の虎がベルゼブブに襲いかかる。

「消えろ」

 ベルゼブブがそう呟くと雷の虎は消滅し、ベルゼブブは遊真との距離を詰めた。

全魔力無効領域(ヘブンズサークル)

 遊真がそう言うとベルゼブブが 死ね と言っても遊真の命は消えなかった。

「っ……!」

 上空からレノーラが剣を振りかざしベルゼブブに斬りかかり、ベルゼブブは遊真から離れ、少し距離を取った。

「くそが……! 近くなら全ての魔力を無効化出来る様に……」

「まだ体に直接効果を現す魔力や精神面に効果を現す魔力だけだ。大したことねぇよ」

 ベルゼブブは拳を握りしめ、竜神(ドラゴン)達の方を見た。 二匹の竜神(ドラゴン)はロケスとデュークに襲いかかっていたがやはり「種族の王の力」+「神獣」の力には及ばず少しずつだが押されていた。

「どこまでもなめやがって……!」

 ベルゼブブが突如光に包まれた。 遊真は一瞬驚いた様な表情を見せたが遊真自身もブレスレットに触れ、光に包まれた。 そして二人の光がほぼ同時に消え、二人は姿を現した。

「前に見せた力だがな……これで消してやる。 「絆魔力(リンク)疾迅神獣(グリフォン)」!」

「そう簡単にはいかねぇよ。 「絆魔力(リンク)岩人間(ゴーレム)」!」

 ベルゼブブには前回戦った様に所々に純白の羽毛が生え、遊真の腕は少し岩に覆われる姿へ変わった。

「引き続き援護を頼む。 俺一人じゃ勝てない」

「援護は任せて遊真」

 レノーラは剣を構えながらそう言った。 再び遊真とベルゼブブが前方へ飛び出した。



水玉(ウオーターボール)!」

 マリーが水の玉を作り出しウリエルを水で包み込んだ。 ウリエルは苦しそうにもがくがマリーが追い打ちをかけようと水の玉に入った瞬間に体から雷を流し、マリーを一瞬怯ませた瞬間に脱出した。

「さっさと行け」

 マリーがそう言うとメイは目に涙をうかべながらウリエルに向かって行った。

「メイ……!」

 ウリエルがメイに当たらない様にと攻撃を中止した瞬間にクラーケンの一撃がメイごとウリエルを吹っ飛ばす軌道で向かってきた。 ウリエルは驚いて反応が遅れたが、メイはまるで分かっていたかの様にウリエルの体を水で包み、二人で回避した。

「何をしている……?」

 マリーはメイを睨み付けながらそう言った。

「マリーお姉ちゃん。 私はこっち側に着く」

「……あんたに選択権は無い。 さっさと戻りなさい」

「嫌だ。 貴女は私の姉なんかじゃない」

 マリーは苛立ちを露にし、拳を握りしめた。

「調子に乗りやがって……! 今まで誰が世話してやったと思ってんだ!? 親が死んでから今日までずっと! 会って間もない様なそいつと私と戦うって!? あんたみたいな役立たずが!」

 マリーは声を荒げながら言った。

「最初の貴女は優しかった。 でもそれが私の力目当てだとは思ってもいなかった。 色々な動物に好かれ、仲良くなれる私の何か特別な力。 でもそれが「絆魔力(リンク)」には全く関係ない事を知った貴女は急に私と話さなくなった……。 貴女の私への愛情は偽物と言えるものだった。 それが分かった時どれ程悲しんだか……!」

「さぁ? どれ程悲しんだんだろうね? 私が知るわけないだろ。 知りたくもない。 この役立たずが……あんたにあげる愛情なんて有るわけ無いだろ!」

 マリーは笑いながらいい放った。メイは歯を食いしばりながら涙を流した。

「ねぇマリー」

 そうウリエルの声をマリーが聞いた時には既にウリエルの拳はマリーの顔に直撃する寸前だった。

「な……!」

 次の瞬間にマリーは吹っ飛び、クラーケンに受け止められた。

「あんたもう喋るな……!!」

 ウリエルはマリーを睨み付けながらそう低い声で言った。 ウリエルの体には先程とは違う変化があった。 黒い毛は消えており、変わりに前髪が少しの量だけ金髪に変わっており、金色の尻尾が生えていた。 そして何よりも変わっていたのはウリエルが雷を帯びている事だった。

「あれって……遊真の「雷華(らいか)」と同じ様な……」

「にしてもあいつキレてんな……久し振りだわ あんなに怒ってんの」

 翔一とミカエルはそう言って目を合わせた。

「「絆魔力(リンク)幻雷獣(キリン)」!」

 ウリエルはそう呟いた。

「この……跡形も無く消してやる!!」

 マリーは起き上がるとブレスレットに触れた。 マリーが光に包まれ、ウリエルはメイの方を見た。

「あの空間にいた時に甘えてきた事があったのは……愛情が欲しかったからか……」

 ウリエルはそう呟くとメイを優しく抱きしめた。

「ごめんね……気づいて上げられなくて。 もっとこうやってあげれば良かった……」

「お姉ちゃん……! 抱っこしてくれるのは嬉しいけど……! ちょっとビリビリして痛い!」

 ウリエルは慌ててメイから離れるとお互いに微笑みあった。

 光が消え、マリーは背中から烏賊の触手を生やし、今までよりも遥かに禍々しい魔力を放っていた。

「もう二人纏めて消してやる……! こちらには「海洋邪神(クラーケン)」本体もいるんだ」

「そう簡単に消されないよ」

 メイはそう言ってブレスレットに触れた。 メイのブレスレットには王冠が入っていた。 小さく圧縮された様な王冠が。

「そして貴女の事はもうお姉ちゃんとは呼ばない。 私のお姉ちゃんはウリエルお姉ちゃんだ!!」

 メイが光に包まれた。 マリーは首をかしげた。

(あいつに「絆魔力(リンク)」の相手がいたのは知っている。 だがこの「海洋の悪魔」と「幻神獣」との戦いについてくるにはその辺の雑魚の魔力では到底敵わない)

 そして光が消えた。 メイは水色のドレスを身に付け、王冠を被り、何やら儀式に使いそうな杖を手にしていた。 その姿を見た瞬間にマリーは確信した。 下でクラーケンが殺気だっているのが何よりの証拠だ。

「メイ……最近迷子になることが多かったと思っていたが……まさかそいつと契約するために海へ出ていたのか……!」

「当たり。 力を持てば貴女に勝てるかなって。 でも同じ「神と悪魔」の力でも使用者に力の差がありすぎたから勝てないと思ったからやっぱり戦うのは諦めてた。 でも今はそんな事を言っている場合でも無いし、何よりもお姉ちゃんが横にいてくれてるから」

 メイはウリエルの方を見て笑顔をうかべた。 ウリエルはメイにバレないように涙を流しながら笑顔で返した。

 メイはずっと最愛であったマリー(あね)に嫌われ、頼る人もおらず、ずっと独りで生きてきた。 そんなメイが可哀想で可哀想で。 そして今メイ(いもうと)が姉として頼ってくれている。 その事に誇りを感じながら、ウリエルはメイの横に立った。 メイはゆっくり息をはき、もう一度息を吸い、大きな声で言った。

「「絆魔力(リンク)海洋神(ポセイドン)」!」

八月八日に過去最高記録のアクセス数が出ました。

いつも見てくださる皆様、見てくれてありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします。

この場を借りて感謝を。m(._.)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ