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魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「絆魔力」と「神と呼ばれし獣達」
39/96

水の都市

過去最長に……。

読みにくかったら申し訳ございません。m(._.)m

読んでいただけるとありがたいです。

 時間は大体お昼位だろうか。 太陽が空高いところから海を照らしていた。

 遊真達は今 島へ送ってくれている魚の背中の上で島へ着いた後の事を話していた。

「メイ♪ 島ってどういう感じになってるの?」

 ウリエルは横に座っているメイの方を見て言った。

 メイは人差し指をこめかみにあて、言った。

「んと……まず街が三つあるんだ。 それから凄くおっきい山があるよ」

「「「全然分からん」」」

 遊真と翔一とミカエルは声を揃えて言った。

「まぁ着いてからでいいんじゃない?」

 翔一は伸びをしながらそう言った。

「そういや凶暴な魚はどうしたんだ? たまにその辺で跳ねてるのを見る程度だけど」

 遊真は周りを見渡して言った。

 先程見た魚は鋭い牙を持ち、口が大きく、体も大きかった。 あんな魚がうようよしていたら船が簡単に沈められるのも納得できる。

「それはこの子が強いからだよ!」

 メイは自慢気に言った。

「だから襲ってこないのか……」

 遊真はそう呟いた。


 そうしている内に大陸が近づいてきた。

(いよいよだな……)

 遊真はわくわくと不安が入り交じった様な気分だった。

 遊真達を乗せていた魚がUターンを始め、大陸にゆっくりと尾ひれを乗せた。

 遊真達は尾ひれの上を歩き、地面に下りた。

 全員下りると魚は海へ戻っていった。

「ここが……」

 遊真は前を見るとあまりにも不思議な光景に呆然としていた。

 遊真達が立っているのはコンクリートの上で、後ろには先程渡ってきた海がある。 前には街があった。

 しかし街とはいっても住宅街の様で家がずらりと並んでいる。

 しかし問題はどの家も海へ繋がっている水場の上に立っていることである。

(湖の上に立ってるのか……?)

 しかしよく見ると下には地面があった。

(この辺は水没してるのか……?)

 遊真の頭に次々と疑問が浮かんだが既にメイとウリエルは水の中に入っていた。

「え……!? 何してんの?」

 遊真は驚き、二人に言った。

「だってここは住宅街だもん。 中央街に行けばもっと賑やかなはずだよ」

「いや……でも道がないじゃん……」

 翔一がキョロキョロと周りを見渡して道を探すがどこにも道らしきものは無い。

 というよりも 陸 がなかった。

 一面湖である。

「はーやーくー!」

 ウリエルはメイの横でびしょ濡れになっている。 足を忙しなく動かしているところを見ると恐らく足が着かないのだろう。

「遊真。 翔一。 乗るか?」

 そう言ったミカエルの方を見るとミカエルは自分で作りだした絶対防御(パーフェクトシールド)の青い盾の上に乗っていた。

「あ、じゃあ乗せてもらおうかな」

「ありがとうミカエル」

 二人はミカエルの盾の上に乗った。

 ミカエルの盾が水面に近くに移動した。

 横でウリエルが頬を膨らませている。

「お兄ちゃんそんな方法があるなら最初からやってよ! 私もう濡れちゃったじゃん!」

「お前は盾を出す前に既に水の中にさっさと入っていっただろう……」

 ミカエルはあきれた様に言い、盾をウリエルの前に移動させた。 ウリエルは盾によじ登り、スカートの裾をしぼった。

「びしょ濡れだよぅ……」

「風邪ひくなよ」

「じゃあ服買ってよ……」

 ウリエルはくしゃみをした。

「大丈夫かウリエル?」

「寒い……遊真暖めて」

「えぇ……!?」

 遊真はそう言いながらもウリエルを乗せているミカエルの盾に跳び移った。

「とりあえずコートやるよ」

「ありがとう」

 遊真はウリエルにコートを着せ、自分を乗せていた盾に戻った。

「じゃあついてきてね♪」

 そう言ってメイは水の中に潜っていった。 メイの姿はあっという間に見えなくなった。

「……いきなり詰んだぞ」

「まぁでもそんだけ大きい街なら……」

 ミカエルは高度を上げていく。

「あった。 たぶんあれだな」

 ミカエルは遊真達の高度まで戻ると、全員分の盾の移動を始めた。



 約五分程でとても大きな街へ着いた。

 一番最初に目に入ったのは街の中心にある巨大な噴水だった。

 高さは百メートルを越えているだろう。

 大量の水が上に吹き出している。

 街の構造は目を見張るものだった。

 先ず道がなかった。

 あるのは水路のみであり、店等は全て船の上に出て商品が売られている。

 売っているものは服や食料品。 時計の様な物や化粧品らしきものもある

 レストラン等もあった。

 水路は網目の様に目で追ってもどこをどうたどって良いか分からない程たくさんあった。

「ここにも家はあるんだな……」

 ミカエルも遊真と同じくキョロキョロしながら呟いた。

「メイはどこだろう……?」

 ウリエルはメイを探している様で行き交う人魚達を見ている。

 その時遊真は自分達が人魚に見られていることに気づいた。

(見たことがない種族がいたらそりゃめずらしがって見るか……)

 自分達がメイを見た時のことを思い出しながら遊真は再び噴水の方を見た。

 遊真はその噴水に一人の人魚が見えた気がして目を細めた。

「あれ……メイかな?」

 遊真が指を指した方向をみんなが見るとウリエルはすぐさま頷き、ミカエルに向かってくれる様にお願いした。 ミカエルはまず高度を上げた。

 その時メイはこちらに気づいた様で手を振っている。


「メイ♪」

 再会した瞬間にウリエルはメイを抱きしめた。

「あ、ごめん遊真……。 コート濡れちゃった……」

「いや、いいよ別に。 女神族の人に作って貰ったやつだから直ぐ乾くから」

「それよりみんないきなり迷子になっちゃうからびっくりしたよ」

「いきなり潜水する方がおかしいだろ……」

「まぁ会えたから良かった良かった。 じゃあ早速だけどお姉ちゃんのところに案内するね♪ といってもあれなんだけど」

 メイが指を指した方向には大輝を始めとする王達が住んでいる城に似たような城があった。

「すげえ所だな」

「お姉ちゃんは人魚姫だったりするの?」

 翔一は少し笑いながらメイにきいた。 冗談半分といったところであろう。

「うん。 そうだよ」

 メイは笑顔で言った。

「え……!?」

 四人はメイが言った事が理解できていなかった。ウリエルも驚いている事から昨日も言っていなかった事が分かった。

「あれ? 言ってなかったっけ?」

「「「「言ってないね」」」」

 四人は声を揃えた。

 メイは てへっ と言いながら自分の拳を頭に乗せた。

「まぁとりあえず向かいますか……」

 ミカエルの盾が移動を始めた。



「メイ様! ご無事でしたか……」

 城に着くと周りにいた人魚達がメイに次々と質問を浴びせていた。

「あいつマジで迷子だったのか……?」

 ミカエルは少し笑いながら呟いた。

「あのみんなの反応を見るとそのようだね」

 メイはみんなの質問に簡単に答え、人魚姫はどこにいるのかを聞いていた。

「マリー様も心配しておられましたよ。  また迷子になったのかと」

(……また?)

 遊真は笑いながらそう思った。

「常習犯らしいね」

「まぁ分からなくも無いけど……」

 人魚達は遊真達を見るとメイに何者か聞いていた。 メイが向こうの大陸の種族で敵意が無いことを説明すると人魚達は遊真達にお辞儀をした。

 遊真達もお辞儀をしたが遊真達は水面より上に立っているのでお辞儀をしたところで相手の方が目線は下だった。

(人魚姫相手じゃ失礼だよな……)

 遊真がそんな事を考えている内に城の中に案内された。

 城の中は街と同じ様に水路があり横には狭いが道があった。 遊真達はそこを歩いた。

 人魚達は横の水路を泳いでいる。

「ここでございます」

 人魚はそう言ったが前には壁があるだけで特に扉等は見つからない。

 人魚達は横に移動を始めた。 その方向には噴水があった。 天井近くには扉らしき物がある。

 人魚達は噴水の勢いを利用して一気に上の扉の場所まで跳び、扉を開けた。

 人魚達は扉の向こう側に飛び込んで行く。

「あそこからここまで十メートル位あるけど……。 飛び降りて大丈夫なのかな?」

 翔一の呟きにミカエルが

「向こうには水がたっぷりあるのかもな」

 と言った。

 ミカエルは再び盾を出し、みんなを乗せた。

 扉の近くまで行くとウリエルが手を伸ばし、興味津々といった感じで扉を開けた。

 遊真達は扉の向こうの部屋を見ると驚いた。

 縦 横 奥行きと約十メートル程の大きな部屋があり、一番下から七メートル程までは水で満たされていた。

 遊真達は呆気にとられていたが、メイの呼び掛けで我にかえった。

「はやく~♪」

 メイの声がする方向を見るとメイの前に立派なイスが置いてあり、イスには綺麗な人魚が座っている。

 ミカエルの盾に乗り、遊真達はメイの近くに移動した。

 イスに座っている人魚が口を開いた。

「あなた方がメイとこちらの大陸にいらっしゃった方々ですね。

 私は「人魚姫」のマリーと申します。 妹が大変ご迷惑をおかけしました」

 とても綺麗な声だった。

 メイの声も美しいと感じたがマリーの声はもっと美しかった。

「いえいえ。 メイ殿は我々をこの大陸に送ってくれた。 礼を言うのは我々の方でございます。」

 ミカエルはそう言うと頭を下げた。

 遊真達もミカエルに次いで頭を下げた。

 ここへ来る途中に人魚姫との応対は極力ミカエルに任せる事に決めていた。

「私は「妖精王」ミカエルと申します。

 こちらは私の妹ウリエル。

 こちらは「人類」の翔一。

 そして向こう大陸で最強の「魔神王を倒した者(サタンスレイヤー)」遊真です。

 皆向こう大陸の精鋭でございます」

(サタンスレイヤーなんて呼ばれたことまだ無いけどな……)

 遊真はそう思った時にふとこちらの大陸には魔神族がいるのか気になった。 しかしミカエルとマリーが話しているので後で聞くことにした。

「なるほど。 ちなみにサタンというのは魔神族の一人ですか?」

 マリーの問いにミカエルは頷いた。

「はい。 魔神族最強の男です」

「なんと……! 遊真様は余程お強いのですね」

「いえいえ……。 僕なんて別に……」

 遊真は少し照れながらそう答えた。

「あともう一つ質問があるのですが」

 とマリーが言った。

「我々の分かる範囲ならば何でもお答えしますよ」

「ありがとうございます。 ではあなた方はやはり多種多様な「魔力」を扱うのですか?」

「はい。 寧ろ我々は魔力でしか戦闘を行わないと言っても過言ではありません」

「なるほど。 ちなみにどの様な魔力を?」

「身体強化と炎や水といった「基本魔力」。 そして人それぞれ能力や効果が異なる「覚醒魔力」の二種類が有ります」

 マリーは興味深そうに聞き、

「私たちとは異なる魔力の様ですね。 私たちの魔力は獣達の力を借りて使うものですから」

 と言った。

「獣の……?」

 ミカエルは首をかしげた。

「はい」

 マリーは頷き、腕についている腕輪の様な物を見せた。

 手の甲側の手首の部分に透明なガラスの様な物があり、中には烏賊の足らしき物が入っていた。

「まず私たちは動物達と心を通わせる。 次にその動物達と契約を交わす。 契約が完了すると」

 マリーは自分の腕輪の烏賊の足が入っている部分を指差した。

「腕輪のこの部分に契約した動物の一部が入ります。 契約方法は動物の種類によって異なります。 だからいきなり腕輪の中に爪や牙が入っていたりすることも稀にあるようです」

「つまり相手が自分の事を認めてくれたら契約完了という事で良いのですか?」

 翔一の問いにマリーは頷いた。

「その通りです。 そしてその動物の一部に手を近づけることでその動物の力の恩恵を受ける事が出来ます」

「つまり自分の魔力+契約した動物の力を戦闘では発揮出来ると」

「はい。 ちなみに腕輪の動物の一部に手を近づけると力を借りれる事ともう一つ、契約した動物達と少し連絡が取れます。 連絡といっても話したりは出来ませんが……」

「助けてくれ。 位は出来るってことですか?」

「はい。 そのくらいなら可能です。 しかしどの動物とも契約出来る訳ではありません。 やはり相性等がありますから」

 そうマリーが言った直後にウリエルがブルッと体を震わせた。 やはり少し体が冷えている様だ。

「大丈夫ですかウリエル殿?」

 マリーがウリエルを見た後に窓を見た。 外は既に太陽が沈みかけていた。

「みなさんお疲れでしょう。 ウリエル殿も風邪をひかれては大変です。 今日のところは城でゆっくりとおやすみ下さい」

「ありがとうございます……くしゅん!」

 くしゃみをし、ウリエルは再び ブルッ と震えた。

「じゃあ部屋まで案内するね♪」

 メイが扉の方へ泳いでいく。

「明日ご迷惑でなければまたお伺いしたいのですが……」

「えぇ。 私たちも色々と聞きたい事があります。 朝食を終えた後また来ていただけますか?」

「かしこまりました。 では」

 ミカエルはそう言うとメイの後をついていった。遊真と翔一もマリーに頭を下げた。


 メイが案内した部屋はベットが四つあり、床には水がない場所だった。

(豪華なベットだな……)

 ベットにはまるで物語のお姫様が使っている様な回りに薄いカーテンの様な物がある大きなベットだった。

 メイは今部屋の前の水路にいる。

「お風呂とか自由に使ってね」

「分かった。 ありがとう」

「じゃあまた朝になったら迎えにくるよ。 私はまだお姉ちゃんと話すことがあるから」

「分かった。 今日はありがとう」

 遊真がそう言い、メイは再びさっきの部屋に向かっていった。

「私お風呂入る……」

「タオル持ってけよ」

 ミカエルがウリエルにタオルを渡した。

 ウリエルはバスルームに入っていった。

 遊真と翔一とミカエルの三人はそれぞれのベットに座った。

「まさか人魚姫の妹だとはな……」

 そう言ってミカエルは苦笑した。

「あと獣の力を借りるっていうのも興味あるな……。 メイが呼び出したあの巨大魚も契約した動物なんだろうし……」

「確かに翔一の言う通りだ。 あの時パートナーとか言ってたしな……」

 遊真達は獣の力を借りれる事とどの様な獣と契約出来るか等色々と想像して語り合った。

「お待たせ~♪」

 とウリエルが体にタオルを巻いてバスルームから出てきた。

「「タオルで出てくるな!」」

 遊真と翔一は叫ぶがミカエルは平然としている。

「まぁいつもの事だ。 言っても聞かないし……」

「何の話してたの?」

「服着たら教えるよ」

 ミカエルがそう言うとウリエルはバスルームに戻り、青色の半袖のTシャツと同じ色のスカートを着て出てきた。

「どこから取ってきたのそれ?」

「洗面所の所に置いてあったよ。 サイズ的に私の。 多分私たちが話してる時に用意したんだと思う」

「そうか……んじゃ次俺風呂入ってくるわ」

 ミカエルが立ち上がり、バスルームに入っていった。

 遊真と翔一が先程ミカエルと話していた事の内容をざっくりと説明した。

「じゃあメイの契約した動物はあの魚なのか……。 メイも変わってるなぁ……。 あんな大きい動物選ぶなんて……」

「相性があるって言ってたからな……。 メイとあの動物の相性が良かったのかもな」

 そうして話している内にミカエルが服を着て出てきたので遊真がタオルを持って先に風呂へ向かった。

 バスルームは普通にバスタブが一つとシャワーと石鹸が置いてあった。

 遊真は軽く体を洗い、シャワーを浴び、体を拭いて洗面所に置いてあった服を着た。

 遊真がさっきの部屋に戻ると、翔一が既に立ち上がりタオルを持っていた。

「私もう眠い……」

 ウリエルはあくびをして、そう言った。

「もう寝る?」

 翔一がそう聞くとウリエルは頷いた。

 ウリエルはおやすみと言ってベットのカーテンを閉めて横になった。

 ウリエルに少し気を遣い遊真とミカエルは小声でこれからの予定を話し合った。

 遊真はそこでペンダントの事を思いだし、ペンダントに話しかけ、ゼウスと連絡を取った。

 ゼウスに今日は人魚姫に会い、今のところ特に危険な事がなかった事を伝えた。

 連絡を終えると風呂場から翔一が出てきたので三人も寝る事にした。

「んじゃまた明日」

「うん。 おやすみ」

「おやすみ」

 三人も眠りに着いた。




 ウリエルがお風呂に入っている頃。

 ……人魚姫の部屋。

「やれやれ……。 よりによってあんなに魔力が強いものを連れてきますか……」

 マリーはそう言って頭をおさえた。

「ごめんなさいお姉ちゃん。 「計画」の邪魔になっちゃうかも……」

「……まぁいいわ。 どちらにせよ「計画」はこのまま実行する」

 マリーはイスに深く座った。


「大陸すべてを水没させ私たち人魚族(マーメイド)がこの大陸を支配する」


 マリーは悪魔の様な笑みを浮かべた。

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