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魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「覚醒魔力」と「魔神族」
27/96

理由

「……いいのか?」

 サタンはそうゼウスに言った。

「三人を行かせたことですか?」

「あぁ、一つは全員で俺を倒さなくて良かったのかと言うこと。 もう一つはあの子供たちをもう一人の俺にぶつけて良かったのかということだ」

「後者は少し不安なところもありますが……。 前者は問題ありません」

「そうか……」

 サタンはニヤリと笑いながらそう言った。

「そういえば……」

 とゼウスが話し出した。


 前から大きな音が聞こえていた。

(ウリエルが戦ってんのか?)

 遊真はそう思いながら走っていた。

 すると前方に少し開いた場所が見えてきた。

(着いた!)

「ウリエル!」

 遊真がそう言いながら駆け込むと三メートル程の男とウリエルがいた。

 ウリエルは遊真に気づいている様子はなかった。

 ウリエルは笛を持っており、何やら曲を吹いているようだった。

 大男は衝撃波を放ち遠距離からウリエルを狙っていた。

 ウリエルは四方八方に動き的を絞らせないようにしていたが上から落ちてきた岩にぶつかり、一瞬動きが止まってしまった。 そこへ衝撃波が向かってきた。

「ウリエル!」

 遊真は身体強化(フィジカルブースト)を使い、ウリエルを抱きかかえ衝撃波をかわした。

「遊真!」

 ウリエルは驚いたようにそう言った。 だがすぐに不安そうな 泣きそうな表情になった。

「遊真……! お兄ちゃんが……!」

 遊真がミカエルの姿を探すと隅の方にミカエルが倒れていた。

「ミカエル……」

 ウリエルは遊真の方を見ると

「遊真! あいつを早く倒さないとお兄ちゃんが……!」

 と今にも泣きそうな声で言った。

 遊真はウリエルの頭を軽く撫でると

「わかってる」

 と力強く言った。

「でもウリエル。 お前の「魅了(プリティチャーム)」が一番手っ取り早いんじゃないのか?」

 ウリエルは首を横に振ると

「私がいくら音色を奏でても衝撃波で音がかきけされちゃうの」

 と言い、

「それにもう疲れちゃってあんまり使えないよ……」

 そう弱々しく言った。

(ミカエルがやられて精神的にも大分きてるな……)

 そう遊真は焦りながら、

「なるほど……。 じゃあ攻撃をぶちこんだ方が早いか!」

 そう言って遊真は大男(ベリアル)の方をみた。

 再び衝撃波が放たれ、遊真が回避しようとした時に

「あれ?」

 そう言ってウリエルがその場にペタンと座り込んでしまった。

「ウリエル!?」

 遊真はもう一度ウリエルを抱きかかえ、回避した。

「何してんだよウリエル?」

「ごめんもう体力が残ってないや……。 遊真おんぶ」

「え、ええ!?」

 しかしウリエルを庇いながら攻撃を回避するには一番よけやすそうだったので遊真はウリエルをおんぶした。

「遊真~♪」

「……異性の同級生にそんなに体を押し付けるな……。 てかなんでスカートなんだよ」

「別にいいじゃん♪ 私ズボン嫌いだし。 スカート涼しいよ♪」

「……とりあえず体を押し付けるのは止めてくれ」

「ん♪ わかった」

 ウリエルは遊真の体に普通にしがみついた。

(自分が可愛いって自覚してないのかな……。

 しかもスカート短いから足をもつところが生足なんだけど……)

 遊真はふとそんなことを思った。

(でもこのままじゃ……)

 遊真は自分には勝ち目がないことがわかっていた。

 何故ならば両手をウリエルの足をもつ為に使っているからである。

(蹴るくらいしか攻撃出来ないんだよな……。 「雷華(らいか)」も今のまま使ったらウリエルが痺れちゃうしな……)

 今の遊真に出来ることは相手の攻撃を回避することだけだった。

 しかし時間を稼げば翔一とガブリエルが助けに来てくれると遊真は考えた。

 しかしその分ミカエルの救助が遅れてしまう。

(それにウリエルもすげぇ汗かいてるしな……)

 ウリエルは今しんどそうに遊真の背中で息をきらしている。 ウリエルが脱水症状になる可能性もあった。

(ウリエルの覚醒魔力は大分神経使うから疲れるって言ってたもんな)

 遊真は考えた結果

「お前……名前は?」

 時間を稼ぎつつ攻撃のチャンスを伺うことにした。

「ベリアルだ。 お前は?」

「「奇跡の子」遊真だ」

(ベリアル……ルシファーと同列のやつか……)

 そう遊真は思った。

 そして遊真には聞いておきたい事があった。

 それは何故「幹部と魔神王(サタン)は一緒にいない」のかという疑問である。

 遊真は正直みんなで一緒にいた方が強いのではないかと思っていた。

 ルシファーや他の幹部、サタンが一緒にいればかなり手こずるはずである。

 自分達はそのように相手が増援に来ないように相手が固まらないように同時に戦った。

 まぁ実際にはこのベリアルが来てしまったが他の幹部達が来なかったのは上出来であろう。

 現に今、ゼウスはサタンと一対一で戦っている。

「なぁ、何でお前達は魔神王(サタン)と一緒にいないんだ?」

 遊真は思いきってベリアルに聞いてみた。


「何故貴方は他の幹部達と一緒にいないんですか?」

 その時ゼウスもサタンに同じ質問をしていた。


 ベリアルはふっと笑うと言った。

「簡単なことだ。 理由は我々では魔神王(サタン)様の邪魔になってしまう。 つまり足手まといになるからだ」


 サタンはふっと笑うと言った。

「なに、あいつらが俺の足手まといになってしまうと思ってるからだ。 実際には足手まといとまでは言わねぇが確かに俺が本気を出すときは巻き添えをくらってしまうからちょいと邪魔だな」


「な……!」

 遊真は予想外の一言に驚いていた。

(まさか……そこまでなのか……!?)

 遊真は魔神王(サタン)の強さはルシファーと戦ったあと、ルシファーよりも強いことはわかっていた。 しかしそれほど力に凄まじい差はないと思っていた。

 しかし今聞いたベリアルの言葉から考えるとルシファーよりもサタンの方が遥かに強いことがわかった。

(ゼウス様……)

 遊真は一人残してきてしまったゼウスの事が心配になった。

 ゼウスが強いことは上層部に入ってまだ日が浅い遊真にもわかっている事だった。

 しかしそれでも不安は残った。

(ゼウス様……)

 ウリエルも遊真の背で同じ事を考えていた。

(いや、大丈夫だよね……)

 そうウリエルは自分に言い聞かせた。


「なるほど。 そういう理由でしたか」

 そう言うとゼウスは少し微笑むと言った。

「奇遇ですね。 いや、貴方や私レベルになると真っ当な理由ですかね」

「……何?」

「私が仲間たちを街へ向かわせたのは。 私が一人で戦うことを選んだ理由は貴方と同じです」

 そしてゼウスはそう言うと手を広げた。

 そして次の瞬間 ゼウスから風が吹いた。

(何だ……? 力を解放して周りの空気を吹っ飛ばしたのか……?)

 サタンは少し戸惑いながらそう思った。

「すみません。 この力を使うときはどうしても力を解放し過ぎて風を起こしてしまうんですよ」

 そうゼウスが喋っている間にゼウスの姿が見えてきた。

 ゼウスには特に変わった様子はなかった。

(特に見た目は変わっていない……。 だがなんだ……? この圧倒的な威圧感のようなものは!)

「お待たせしました」

 ゼウスはそう言ってサタンの顔を見て言った。

「奥義「能力(アビィリティ)全解放(フルバースト)」」

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