神風
最近更新頻度か遅くなってしまい申し訳ありません。
読んでいただけるとありがたいです。
バアルは瞬間的に判断した。
いや。 判断というより本能がそう感じた。
この男は「危険」だと!
バアルは胸を抑え少し後ろに跳んだ。
(こやつ……今の我にキズを……)
バアルはフッと笑った。
(おもしろい……)
「大輝といったか……貴様は強い。 この状態の我にキズをつけたのは貴様で三人目だ」
「三人目ですか……あと二人にもキズをつけられたのですか?」
「あぁそうだ。 まぁしかし我のこの力は防御力というよりはやはり身体強化……スピードにも自信はある」
バアルはそう言うと少し前に出てきていた大輝の後ろに回り込んだ。
(……もらった)
バアルは大輝にパンチを繰り出したがその拳は空をきった。
(何!?)
バアルが前に目をやると大輝は少し離れた場所に立っていた。
「貴様……そのスピードは……」
「風で身体を加速させた。 単純な話です」
「……なるほど……。 それが貴様の「覚醒魔力」か……」
「えぇ……。 「覚醒魔力」神風。 風の魔力の強化魔力ですね」
「フン……強化どころではないな……。
仕方がない……我も本気でいこう!!」
「何!?」
バアルが少しかがんだと大輝が思った瞬間にバアルの拳が大輝にヒットしていた。
「ゴフッ!」
大輝は自分の肋骨が折れたのを感じたが痛みを耐え、バアルに向けて剣を振った。
「神風刃!」
大輝の放った風の刃がバアルの左腕を切断した。
「ぐっ……」
(剣を使うことで威力が増している……!)
バアルは苦しそうに呻いたがすぐに次の攻撃を仕掛けてきた。
大輝はバアルのパンチを跳んで避け、もう一度バアルに向けて「神風刃」を放った。 しかし今度はバアルは攻撃をくらいながら大輝と距離を詰め、大輝に蹴りを加えた。
大輝は予想外の動きに左腕で防ぐしかなかった。
ボキボキと次は左腕が折れた。
大輝は地面に倒れる様に着地し、空中にいるバアルに右手で持っている剣を向けた。
「竜巻旋風刃!」
大輝の放った竜巻がバアルを包み込んだ。
ズバッズバッとバアルの身体にキズがついていく。
(竜巻の中に斬撃を含ませたのか……)
バアルはそう理解した。
「力解放!」
バアルを巨大な光が包み、大輝の竜巻がかき消された。
(さっきの神風刃はくらう部分に光を集中させ。 今のは身体強化の光を瞬間的に巨大化させたのか……)
バアルも倒れる様に着地した。
「「はぁはぁはぁ…………」」
二人はボロボロの状態で息を切らしていた。
ここまでで バアルが本気を出すと言ってからたった二十秒ほどの超スピードのバトルである。
息を切らさない訳がない。
(血を流しすぎだな……もう限界だ……。 おそらく……)
(骨がもうボロボロだ……最初の一撃で内蔵も少しやられてる。 おそらく……)
((次が最後の技だ!!))
二人は同じことを考えていた。
バアルは右手に光を集中させていく……
大輝は無事な方の腕。 右手で剣を持った。
「……全てを壊す一撃……。 速度は目には見えん……」
「この風は……。 この斬撃は……死を与える……」
二人は同時に飛び出した。
「超・怒神鉄槌!!!」
「死・竜巻旋風刃!!!」
バアルの巨大な光を纏った拳と大輝の竜巻を纏った剣がぶつかりあい、激しい衝撃波が発生した。
「「おおおおおおお!!!」」
そして二人が交差し、決着が着いた。
大輝はバアルの後ろに立っており、バアルは一刀両断にされて倒れていた。
大輝は剣を鞘に納め、その場に大輝も倒れた。
(……魔神王の所には……行けないな……)
大輝はそう悔しいが思った。
「ゴブッ!」
と大輝は吐血した。
(くそ……やはり内臓へのダメージも深刻だ……な……)
大輝はそう思い治療が必要だと思ったが身体が動きそうにない。
大輝は意識が遠くなるのを感じた。
(く……そ……)
大輝は目を閉じた。