「人類王」vs「四天王」
バアルはゆっくりと椅子から腰を上げた。
「人類王か……」
大輝は既に剣を抜いていた。
「そうだ」
「話にならんな!」
バアルが不意に大輝に殴りかかった。
大輝は予想外の動きに剣で辛うじてかわすのが精一杯だった。
大輝は攻撃を回避した後身体強化を使った。
「人類は……弱い」
バアルはそう言った。
実際に三種族。 魔神族を含むと四種族の中で一番魔力が弱いのは人類である。
一番強い人類 大輝でも女神族と比べると女神族内の十位~二十位ぐらいの順位なのだ。
「まぁあまり甘く見ないでいただきたいな」
「そうか……よほど自信がおありの様だな」
バアルはまたしても大輝に殴りかかった。
大輝は剣でバアルの一撃をいなし、
「炎玉」
炎の玉を直撃させた。
バアルは後ろに下がった。
「少しはやるようだな。 しかしこれからはこのような技は効かんぞ……」
バアルは肩幅程に足を開き、腰を少し下げた。
「超・身体強化」
バアルの身体を輝く光が包んだ。 大輝はあまりの眩しさに少し目をそらした。
(……これが魔神族特有の魔力か……!)
魔神族は人類、妖精族、女神族の様に色々な魔力を使うことは出来ず一種類。 稀にでも二種類程しか使えない。 しかしその魔力は……桁違いである。
「さぁ! 潰れろ!」
バアルは大輝にパンチを放った。
大輝は避けようとしたが予想以上にバアルが速かった。
「ぐっ……」
大輝は吹っ飛ばされた。 壁にぶつかり大輝は地面に膝を着く。
(一発でこの威力か……!)
バアルは休むことなくパンチを繰り出してきた。
「風刃!」
大輝の風の刃がバアルに襲いかかるがバアルにはキズ一つつける事が出来なかった。
「無駄だ……。 我が身体に今キズをつける事は何人たりとも不可能だ」
バアルは大輝に距離を詰めると技を放った。
「怒神鉄槌!!」
「シールド!」
大輝はシールドを張るがバアルの拳はシールドを突き破り、大輝に渾身の一撃を叩き込んだ。
「ゴフッ!」
大輝はその場に崩れた。
「終わりか……?」
そう言ってバアルは大輝を蹴り飛ばした。
大輝反対側の壁にぶつかった。
(く……そ……)
大輝は歯を食い縛りながら立ち上がった。
「無駄だ……。 貴殿は我の攻撃を防ぐことも。 我の身体にキズをつけることも出来ん」
「……それは……どうかな……?」
大輝は笑いながら言った。
「強がりを……」
大輝は手を前に構えた。
「何をする気だ……? 我の前には物理的な物は効かんぞ」
そうバアルが言った瞬間にバアルの胸部から血が流れ出た。
「……な!?」
バアルは自分の身体から血が流れた事に困惑していた。
「貴様……一体何を……!?」
大輝はまた少し笑いながら答えた。
「「覚醒魔力」神風」