表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

疑い

林は単純な田舎者だった。

今の気の強い性格そのまま、小学校も中学校もクラス換えもない狭い世界で成長したらしく、ずっと運良くお山の大将で居られた人間だ。

少人数のクラスには林が引け目を感じるような美少女もなかったから、その醜い顔と可愛げ無く大柄で太った体型にコンプレックスなど感じることなく生活出来た。

普通なら誰しも親の欲目だけを信じて居られるのは小さな子供のうちだけで、少し成長したらどこかの時点で自分の容姿はそれ程でもないのだと気付く。

そして、更に世間は親のように自分を大切に思ってくれるものではないことを味わう。

人格の成長を伴う、頭を打つ経験を一つもしないまま、看護学校に通い、ふてぶてしいまま、この年齢まで生きてきたのだ。

母親が看護士だったから、その経済力を見て育ち、自分も看護士になった。

動機はそれだけで看護の仕事に理想や憧れが有った訳ではない。

ましてや病人に対するいたわりや慈しみの気持ち、病む事への同情など最初からないのだ。

怪我をしたり病気をしたり弱った人間ばかりを相手にしてきて益々思いやりも共感も欠いた人間性を増長してきた。

それは今の林を一目見れば分かる。

信じる力というのは強い。

自分に確固たる自信を持ち、他人は皆、自分の思うように出来ると信じる信念は林の関わる人たちに十分な圧力を与えた。

誰もが何となく林に遠慮し、結局彼女の意のままに動くのだ。

みどりは初対面で林のボス気質と、底意地の悪さ、同時に単純さを見抜いていた。

常に徹底して褒め上げておけばお世辞が聞きたいばかりに自分を特別扱いするだろう、適当に誰かいじめの標的があるならば、そっちに矛先を向けておけば更に安泰だとタカをくくっていた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ