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紅の牙  作者: チル兄
6/7

第二話

今回は朝の風景です。

この喧しさはいつものこと(笑)

「なーんだ、そう言うことだったんだ。

それならそうと言ってくれればいいのに♪」


「お前が勝手に勘違いしたんだろうがっ!」


「ハテ?ナンノコトヤラワカラナイナー」


「……」


「あいたぁっ!?無言でアイアンクローは止めてぇっ!」



リュウセイの必死の説明でリーリは勘違いしたのだと理解する。

だが、バツが悪いのか棒読みでしらを切った。

そしてそれに怒ったリュウセイによるアイアンクローを

受けるはめになるのだった。



「全くっ!いい歳した大人が裸で息子のベッドに

潜り込むなんて、一体なに考えてるのっ!?」


「いやー部屋間違えちゃってさー

裸だったのは暑かったからだ」



一方こちらではユイカが義理の娘であるツグミの説教を受けていた。

が、説教を受けているユイカはあっけらかんとしており、

自分が悪いことをしたとは思ってはいないようだ。



「いい加減大人の女性としての慎みを持ちなさいっ!」


「それは無理」


「諦めるんじゃありませんっ!」


「あたっ!」



開き直って諦めるユイカの頭を巨大ピコハンで叩く。

一見可愛らしい武器だが、巨大ためその分威力も大きい。

現にユイカも痛そうに頭を擦っていた。



「まぁまぁ、そのくらいにしてあげた方がえぇんちゃうか?

あんまり言いすぎるとオカンが拗ねて面倒なことになるで?」


「あーそれはさすがに嫌かも……」



ユイカの三人目の義理の子供、ミクがそう言うと

ツグミがユイカが拗ねた時のことを思いだし、苦い表情をする。

前にユイカが拗ねた時の苦労を思い出したのだろう。

なんとも面倒くさい吸血鬼である。





「母さん、今日はどの輸血パックにする?」


「んー今日の気分は魔族のO型かな」


「りょーかい」



リュウセイはユイカの望む輸血パックを

冷蔵庫から取りだし、ストローを刺してユイカに手渡す。

受け取ったユイカはリュウセイに礼を言って

輸血パックの血を吸い始めた。

当たり前のことではあるが、吸血鬼である

ユイカには血液が必要不可欠である。

血液を摂取しなければ、やがて正気を失い

見境なく周りの生き物に襲いかかってしまうからだ。

それを防ぐために冷蔵庫に輸血パックのストックを

切らさないようにしているのだ。

ちなみにユイカ曰く同じ味の血は存在しないとのこと。



「ツグミ~お腹減ったぁ~」


「も、もう少しで出来るから待っててねっ!」


「というかアンタもこっち来て手伝いや」


「あたしは食べる専門なんで♪」



堂々とそう言うリーリに呆れの籠った視線が集まる。

だが、全くそのことには気がついていないようだった。



「おはよー……」


「おう、おはようトキ姉」


「相変わらず朝、弱いですね~」


「うるさい……」



今にも死にそうな顔で席につくユイカの実の娘、トキノ。

普段は真面目でしっかり者のであるのだが、非常に朝に弱い。

本人もそれを気にしているようだが、

未だに直る兆しはない。



「ほいトキ姉、何時ものだ」


「……いつもすまん」



リュウセイに出された熱々のお茶をゆっくりと飲んでいく。

このお茶はトキノの眠気を覚ますための特別なもので、

通常のものより十倍も濃い。

そのため眠気は吹き飛ぶのだが、後味がとても

悪いことが欠点であった。



「……ふぅ。相変わらず後味が最悪だな」


「我慢しろよ。それぐらい濃くないと

トキ姉の眠気は無くならないんだからさ」


「……そんなことは分かってる」



お茶の後味に顔を顰めながらそう言うと、

ちょうど朝食の準備ができ、テーブルに料理が並べられた。

そして全員が席につき、ようやく朝食が始まった。



「あ、テメェッ!その肉は俺のだぞっ!」


「何言ってるんですかっ!この肉は元々あたしのだったでしょっ!」


「あんだとぉ~?下らねぇ嘘つきやがって。

……こうしてやるっ!」


「あぁっ!あたしのお肉ちゃん達がぁっ!?」


「ええぃっ!いい加減喧しいわ馬鹿共がっ!

食事くらい静かにできないのかっ!」



非常に騒がしく朝食が行われていく。

これが紅の牙の食事風景であった。

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