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「何々? ロンドバル将軍、破竹の進軍。バッシュ帝国再興なるか、だって?」

 おれが町の店屋で新聞を買った。

「ロンドバルとは何者だ」

 ロザミアが首をかしげる?

「ほら、西の州都を征圧した時、軍を率いて、帝都に攻め入るように命令した将軍がいたじゃん。あの人、おれたちが通った後を通って、負けなしの連戦連勝らしい」

「ふむ。ちょっとその新聞、見せてみよ」

「ほれ、ロザミア」

「何々、ロザミア姫生存か? 謎の潜伏活動の噂じゃと。わらわを愚弄しておるのか、この新聞は」

「まあまあ、怒らない、怒らない、ロザミア」

「うむ。しかしのう、ロンドバル将軍は、二十五日に帝都に攻め入るといっておるが、二十日にはわらわたちは帝都に攻めこむのではないか? いつもわらわたちの後ろを追いかけてくる男よのう」

 まあ、それは、厳密な意味で正しい戦略といえる。どう考えても、おれが攻めた後を通った方が効率がよい。

「それじゃあ、今日、一泊したら、いよいよ、明日、攻め込みますか」

「うむ、一同、わらわのためにこれまで尽力してくれて、誠に感謝しておる。じゃが、最後の最後で決して油断してはならん。万全を期して、明日に望んでくれ」

「はい、ロザミア様」

 そして、おれたちはその日、帝都の城下町の宿屋で熟睡した。

 その日は、朝早くに目が覚めた。

 ロザミアがもう起きており、朝日が昇るのを見ていた。おれも、ロザミアの隣に立ち、一緒に朝日を眺めた。

 平穏な帝都の朝だった。

 いつの間にか、リーゼが来て、おれの後ろから見ているのがわかる。

「ロザミア、長かったけれど、いよいよ、皇帝になる日だね」

 ロザミアが顔をおれの首筋に持たれかけてきた。

「すべて、まことのおかげじゃ。わらわが気づいておらんわけがなかろう」

「ロザミア」

 おれはリーゼを振り返った。

「よう、リーゼも起きたのか?」

「なんじゃ、バカ娘。わらわに気を利かせて、引っこんでおれ」

 ロザミアが命令すると、リーゼが怒った。

「なんだと、この姫さま。救世主さまは仕方なくあなたの夫にならなければならなくなったというのに、その気持ちもわからないで、バカバカバカバカバカ!」

 リーゼがロザミアをぽかぽか叩いている。

 ロザミアも抵抗しなかった。おれとリーゼの気持ちに気づいているのだろう。

「もうやめておけよ、リーゼ」

「救世主さま」

 リーゼはおれに手をつかまれると、びくっとしたようだった。

 そして、うわあん、うわあん、と泣き出してしまった。

 おれは仕方なく、リーゼを抱きしめた。

「リーゼ。ロザミアと結婚しても、おれの心はきみのものだよ。安心しなよ」

 リーゼの耳元にささやいた。

 そんなことで騙されるリーゼではないのだが、文句はいわなかった。

「めかけは救世主さまのものです」

 リーゼはそういう。

 その日、おれたち五人は、スニーク帝国皇帝の待つ帝都の城へ攻め込んだ。


さあ、いよいよ、次回から最終決戦です。

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