1章-2
男 男性 MEN MALE ♂ 染色体XY 解剖学的な意味での男性は、多くの場合性染色体としてXとYを1つずつ持つ 男性とは女性と対比される人間の性別のこと。 一般には生物学的なオスと同義である ・・・・さすがwikipedia!!!マンセー!!ハラショーーー!!!良く理解したぜ!!!!
はっきり言ってこの時あたしは今までの中で最大級の混乱の局地に居た。確かに殺人者といわれたときも混乱したが、この時はそれの比ではなかったのだ。あえていうならば、普通に生きていても殺人者になる可能性もある訳だ。例えばあたしの死因である交通事故。もしこれが加害者側だったらあたしは立派な殺人者だ。そしてあたしは無論博愛主義者ではなく、もし大切な人が殺されそうな場面に遭遇した場合、あたしは躊躇うことなく相手を殺っちまうだろうしね。その後で、社会的及び自分的にどう責任を取るか、償いをするか等倫理的な話は全部放り投げてしまっての話なんだけど。冷たい良い方だけど、どういう原因であれ行った行動の結果としてその事が存在するのだ。
しかし性別の問題はそれとは違い、自分では選べない次元で存在している。だが自己や性格の形成においても性別の違いは想像以上に大きく関わってくる。それゆえ、とても繊細で奥深く、他人が易々と触れてはいけないものなのだ。なにしろ己の存在理由を根源的に問われる内容なのだから。
・・・って、いやいやいや!こんなこと考えていても意味ないから!!ってか、何で死んだ筈が生きていて且つ身体が違っちゃってるの!!・・・・・よし。ちょっとさっきおもいっきし咳き込んじゃったから喉が嗄れて低い声になったかもしれない。ちょっと確認してみるか。
あたしは振り下ろされる刃を交わしながら、恐る恐る片胸に手を当ててみた。
うん、ついてなーーーーいww
って、ノォォォォォォォォォ!!!!!!!
あああ、あたしの手には思わず縋りつきたくなるような逞しい、でも厚過ぎない胸筋の感触が・・・
一応さ、あたしにも在った訳よ。平均的日本人女性よりちょっと豊かな(はずの)バストがさ!!それが無い!!・・・いや!いや!!まだ希望は捨てるな!!!もしかしたらこの身体はボディービルとかしていて大分マッチョになっちゃったのかもしれない!!かくなる確認場所は・・・・
そして、あたしはプルプル震える手を伸ばして、禁断の場所ーー股間にそっと手を伸ばした。
今まで無かったものがありましたwwあははははははは・・・・・orz
どうしよう・・・もう否定のしようもない・・・・
絶望でホント地の果てまで落ち込んでいるのを尻目に、こちらの心情に全構ってくれないKYな盗賊の皆様が、余りにも攻撃が当たらないのでキレたのか怒声を上げて一斉に突っ込んできた。
「いい加減死にされせ、ゴルァァァァァァァァ!!!!!!!」
「五月蝿い!!!!こっちは大事な考え事してんだから黙ってろ!!!」
振り向きざま、振り下ろされた剣を弾き顔面に裏拳をかまし、よろけた所を廻し蹴りで吹っ飛ばす。続いて飛んできた矢を叩き落すと四肢に力を込めて勢い良く飛んで距離を詰め、顎に熊手を中て昏倒させた。次いで、後ろから切りかかってきた刀を体捌きでかわし上段へ後ろ回し蹴りとその勢いを利用し身体を回転させて側頭部へ蹴りを放ち地面へ沈める。素早く周囲を見渡すと、後残っているのは2人のみ。
落ち着いてから今回の状況を確認してみると、良く躊躇わず攻撃できたと思う。あたしは高校生の時ちょっとだけ格闘技を習っていたけれど、所詮学生のお遊び的なものでしかなかった。勿論実戦経験なんてあるわけないし。ただ、本当に不思議だけれどこのときあたしには全ての行動がごく自然に、呼吸をするかのごとく出来ていた。いや、多分この身体はこういった荒事に慣れているのだろう。その身体に染み付いた経験があたしに余裕と周りを観察する目を与えていた。
だから、この後盗賊の一人が不思議な行動をとるのをとても冷静な目で視ることが出来た。
盗賊は右手を地面に平行に掲げ、何かを握りこみその拳をあたしの方に向けた。不可視の力場が完成しそこに存在していたエネルギーは火炎弾となって襲い掛かってくる。
目の前に迫るそれに対しあたしは剣を上段に構えると勢い良く呼氣と共に振りかざした。途端に衝撃波が発生し、それは火炎弾を消滅しても尚勢い止まらず、軽く地面を抉りながら攻撃延長線上に居た盗賊を巻き込んで彼方へ飛んでいってしまった。
さて、最後の一人になった盗賊のボスは見ているこっちが可哀想になるぐらい恐慌状態に陥っていた。なんか、さっきの火炎弾が奥の手っぽかったしね。
「どうする?このまま大人しく捕まるなら命は助けてやるけど?」
一応マナーとして降伏勧告してやる。ま、その次の動きなんて想像つくけど。
盗賊のボスは血走った目で喚きながら周りを見て、案の定奴はおばさんと保護され震えている女の子に目をつけ、口の端に勝ち誇ったような醜い哂いを浮かべ二人に掴みかかっていった。
想像通りのベタな展開、ありがとうございます。まあね、二人からの距離は盗賊は4mぐらいであたしは25mぐらい離れているからそう考えるのも判りますけどね。この身体、動いていて気が付いたんだけど、筋力半端ないのよね。
腰を落とし体重を前方に傾ける。思いっきり力を溜め込んで前に開放するように跳んだ。
ドゴン!!!!!
鈍い音を立て、足元にクレーターを造って跳躍するとあたしの身体はそのまま一直線に盗賊まで到達。そのまま飛び膝蹴りに移行する。首だと死んじゃうので軌道を逸らし肩にヒット!
「ぎゃっ!!!」
盗賊は短い悲鳴を上げてあたしの勢いそのままに吹っ飛ばされて砂煙を上げながら転がっていった。
「・・・よし!全員戦闘不能。おばさん、あとえ~~と、君大丈夫?怪我なかった?」
先程まで死に掛けていたあたしの言葉に、おばさんは呆然としながら首を縦にカクカク動かし、女の子は目に涙を一杯浮かべながらあたしをジーっと観ていた。そして、そんな会話を聞いていた乗合馬車の乗客の人達が皆力尽きたようにその場に座り込んでいったのだった。