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最後の日

皆様の小説を読んでいるうちに、つい書き始めてしまいました。生まれて初めて書くものなので読み苦しいが多々あるかとは思いますが、温かい目で見守ってくださいませ。誤字脱字等ございましたら、ご報告お待ち致しております。


 人生色々あれど、おもいっきし後悔することをしでかす事ってあるよね。


 でさ、本当に不思議なんだけど、やばい事しでかす前にさ、いわゆる【フラグ】っていうの?立つんだよねー。ホント、頭の中に“ピコーン!!”って音するような感じがあってさ、『あーー、これしたら何かこんな悪いこと起こる予感・・・』っていうの。んじゃ、止めれば良いのに『まっ大丈夫か』って気にしないもんだから結局想像通りのことが起こってもう猛烈に反省するっての?いい加減いい年なんだからもう学習しろよなーて心の声が聞こえるんだけど、おんなじことを繰り返してまた後悔。


 うん、さっきもさ音が聞こえたんだよ“ピコーン!!”ていう、しかも今までの人生の中で最大音量で。で、あたしどうなるか判ってたんだけど、ついやっちゃったんだよねー。そして想像どうりの結果・・・


 大きく宙を舞ってます。テヘww


 いやー、もしかしたらさ勝てるかも知れないって考えちゃったわけよ。あたしさ高校生の時50CCバイクと正面から喧嘩して勝ったからさ(ちなみに自転車に乗ってました。正面衝突してバイクの人が吹っ飛んだよ。)万が一の勝機に賭けたんだけど、勝てるかもって考えること事態正気が無かったんだよね。


 うん、あたしもさ普段は幾らなんでもこんな事はしないっていうか考えもしないさ。ただ、ちょーっと今日まあその、ちょっとありまして・・・




 いつも通りに会社に出勤して、仕事をして、そんで上司に怒られてそんな日常をこなしていつも通りに帰宅している途中、左腕が大きな衝撃とともにおもいっきし後ろに引っ張られたんだ。あわてて腕を見てみると腕時計のリューズが吹っ飛んで時計が壊れてた。


 どうでもいい物ならキレてお仕舞いなんだけど、その時計はおじいちゃんの形見でさアンティーク物だから修理に出しても換えのパーツも無い。もう半泣き状態で渋谷のハチ公口付近で四つん這いで探し回ったよ。正直あんな所で通行の邪魔なんてものじゃないのに沢山の人が「どうかしましたか?」って声掛けてくれてさ・・・1時間ぐらい探し回って結局見つからなかったけれど、多分50人ぐらいの人が信号や待ち合わせの合間に一緒になって這いずり回ってくれたんだ。あたしよりも見つからないことに悔しそうにしてくれてさ・・・本当に感謝してもしきれないぐらいありがたかった!!



 そんなわけで、悲しかったけれど、でもいつもとちょっと違うとってもいい日を締めくくろうとしていたんだけど・・・そうは問屋が卸さなかったんだなーこれが。



 夕飯の買い物を終えてスーパーから出たところ、ちょっと変な動きをしている4WDが目に入った。ヨタヨタしてるっていうか、スピードの出し方が一定じゃない。

(あの車、大分様子おかしいな・・・通り過ぎるまでちょっと待つか)

なんてこと考えていたら、案の定急にアクセルを踏み込んだのかグンとスピードが上がったんだ。あたしは念のため安全圏に非難する為に車を一瞥して・・・思いっきり悲鳴を上げた。

 スピードを上げた車は急ハンドルを切るとそのままあたしの方、正確にはあたしの隣に居た女の子に向けて勢い良く突っ込んできた。遠くから名前を叫ぶ女の人の凄まじい悲鳴が聞こえてくる・・・この子のお母さんかな?



 その時。聞こえたんだ“ピコーン!!”っていう音。



 思わず、自分の考えたことにこんな状況に限らず笑っちゃったよね。車のスピード、あたしからの距離を見て女の子と反対方向に飛べば、もしかしたら巻き込まれるだろうけど最低限命は助かる。でも、女の子は・・・


 こういう状況に置かれると、一瞬がとても長く感じられるっていうけれど、『んなの冗談だろうが』って思ってたんだけど本当だったんだね。今日さ、助けてくれた沢山の人の顔が浮かんできたんだよ。



「もう家に帰るだけだから、時間は沢山あるから探せますよ」と言ってくれた女の子。



「困ったときはお互い様だよ」と言いながら最初から最後までずっと探してくれたおじさん。



「彼女との待ち合わせにまだ時間あるから全然大丈夫」と言ってくれた鼻ピアスしていた男の子。



他にも沢山の人の顔や言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消えていった。


・・・あたしは、正直言って人間が嫌いだ。もしあたしの手元に【人類のみ一瞬で殺傷できる生態兵器のスイッチ】なるものがあったなら、全く躊躇いもなく押せる自信があるぐらい嫌いだ。地球環境の為にとか言ってるならば人類の人口を半分にするのが一番効率がいいと公言して憚らないぐらい人間が嫌いだ。


でもさ、さっき所謂【無償の善意】なるものを受けて、良くも悪くも単純なあたしはえらく感激してしまったのだ。

『この国に生まれてよかった』とか

『人間も・・・悪いもんじゃないな・・・』とかさ考えちゃったのよ。

そして、単純なあたしは更にらしくない事を考えちゃったわけだ。



『あたしにも出来ることをしたい』ってさ



 逃げようとしていた脚に思いっきり力を入れて女の子の方に踏み込む。突っ込んでくる車を見て固まっている女の子を下から掬い上げるようにして悲鳴を上げている女の人の所に吹っ飛ばした。

 女の子が派手に転がりながら女の人の足元に辿り着いたのを何とか確認した瞬間、あたしの体は大きく宙を舞ってたのだ。


ボンネットからフロントガラスに叩きつけられた時、背骨と首から何かが砕ける鈍い音が伝わってきた。続いて大きな衝撃と共に地面に叩きつけられ、そこでまた身体の中から何かが潰れる音が響いてくる。


 痛みは感じない。いや、痛みを感じないというのは拙いって何かに書いてあったような気がするんだけどねー。

何だろう、突然笑いたくなって口を開けたら声の代わりに血が溢れてきちゃったよ。

生まれてきて27年、ごくごく平凡で良くも悪くも退屈だったけど、最後の日がこんなんだとは。



・・・・・うん、悪くない一生だったな。特に今日が最後とは。・・・いい一日だった。



 目の前がゆっくりと暗くなってゆく。それにあわせて最後の力を振り絞ってあたしは瞼をとじていった。酷く、幸せな気持ちを抱えて。



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