表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/14

第4話 最後の魔法使い

数日後。

俺たちはついに

魔法都市エルディアに到着した。

……のだが。

「普通の街だな」

思わず言った。

セレナが腕を組む。

「もっとこう……空に魔法陣とかあると思ってたわ」

俺もだ。

昔は

魔法省

魔法学園

巨大魔導書図書館

世界中の魔法使いが集まる

魔法都市だったらしい。

でも今は。

普通の街。

鎧の兵士。

馬車。

パン屋。

魔法使いの姿は見えない。

セレナが静かに言う。

「マナ枯渇の影響ね」

「魔法使いはもういない」

ワクさんが言う。

「寂しい街」

俺は頷いた。

でも。

俺には関係ある。

俺のマナ。

使い道があるかもしれない。

魔法省はすぐ見つかった。

巨大な石造りの建物。

だが――

静かすぎる。

「……人いないな」

扉は開いた。

中に入る。

長い廊下。

埃。

古い絵画。

そして奥に

巨大な図書館。

「うお……」

思わず声が出た。

天井まで届く本棚。

無数の魔導書。

その中央。

一つだけ灯りがある。

そこに――

子供がいた。

紫がかった灰色の髪。

ふわふわパーマ。

六歳くらい。

男の子。

頭に小さな角。

本を読んでいる。

セレナが小声で言う。

「子供……?」

俺は声をかけた。

「すみません」

「魔法省の人ですか?」

子供がビクッとした。

本を落としそうになる。

「は、はい!」

「そ、そうです!」

めちゃくちゃ慌てている。

椅子から降りて

ぺこりと頭を下げた。

「私は」

「魔法学教授兼、宮廷魔道士」

「ファイムと申します」

……。

沈黙。

セレナが言う。

「えらい子ね」

俺も頷く。

「礼儀正しいな」

ファイムが少し笑った。

「よく言われます」

「ただし」

「私は子供ではありません」

「祖先が龍族で」

「二十歳まで体が成長しないのです」

「実年齢は十八歳です」

セレナが頷く。

「龍族の血ね」

「珍しいけど本物だわ」

ファイムが俺を見る。

「それで」

「ご相談とは?」

俺は説明した。

無限マナ。

ワクさんの進化。

魔法が使えないこと。

全部。

ファイムは静かに聞いていた。

そして言った。

「結論から言います」

「あなたのマナ」

「異常です」

「やっぱり?」

「はい」

「ただし」

「魔法適性は生まれ持ったものです」

「適性ゼロなら」

「魔法は使えません」

やっぱりか。

そのとき

ファイムが言った。

「ですが」

「マナの使い道はあります」

俺が顔を上げる。

「本当か?」

ファイムが説明する。

「主従契約です」

「主従契約とは」

「主と従者の間にマナ回路を作る魔法契約です」

「主はマナを供給し」

「従者は能力を使います」

セレナが言う。

「つまり」

「グレンのマナを使って魔法を?」

「はい」

ファイムが頷く。

「通常は魔法陣や血の儀式を使います」

「ですが」

「意思が通じ合っている場合」

「手首の脈を合わせて名前を呼ぶだけでも成立します」

ワクさんが言う。

「グレン」

「ワクさん」

「もう契約」

「え?」

ワクさんが首の後ろを指す。

うっすら紋章。

ファイムが言う。

「それです」

「主従契約の印」

……。

「あの握手か」

ファイムが言う。

「契約は強制ではありません」

「従者が心から仕えたいと思わなければ」

「絶対に成立しません」

セレナが小さく笑う。

「信頼契約ね」

ファイムが頷く。

そして言った。

「お願いがあります」

「あなたのマナ」

「私に貸してくれませんか」

俺は腕を組んだ。

そして言った。

「俺」

「魔法に憧れてる」

ファイムが頷く。

「私もです」

「十八年間」

「魔法を使えず研究だけしてきました」

俺は手を出した。

「やるか」

ファイムも手を出す。

「はい」

「グレン」

「ファイム」

手首を合わせる。

名前を呼ぶ。

その瞬間。

バチッ!!

「おおおお!?」

ファイムが震えた。

電気みたいに。

そして

首の後ろに紋章が浮かぶ。

契約成立。

ファイムが息を吐く。

「すごい……」

「マナが流れてきます」

俺は笑った。

「ようこそ」

「俺のパーティーへ」

セレナが笑う。

ワクさんも頷く。

こうして

俺たちの仲間に

魔法使いが加わった。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

面白かったら★評価・フォロー・感想いただけるととても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ