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第17話 ボス討伐

黒域最深部。

戦いが始まった。

アビス・ヘカトン。

硬い装甲。

十二本の腕。

そのすべてが動く。

ドゴン!!

地面が砕ける。

騎士が吹き飛ぶ。

「うわあああ!!」

巨体。

だが。

速い。

カイトが叫ぶ。

「右!!」

騎士が飛ぶ。

次の瞬間。

爪が地面を裂く。

ドン!!

土が爆発する。

カイトの魔眼。

数秒先の未来を見る。

「後ろ!!」

「下がって!」

「伏せて!」

討伐隊が必死に避ける。

しかし。

一人の騎士が遅れた。

爪。

ドン。

鎧ごと叩き潰された。

動かない。

騎士が叫ぶ。

「くそっ!」

槍隊が突撃する。

槍が刺さる。

だが。

ガキン!!

弾かれる。

騎士が叫ぶ。

「硬すぎる!」

そのとき。

ボスの腕が振られた。

ドゴン!!

三人が吹き飛ぶ。

木に叩きつけられる。

動かない。

俺は剣を握る。

体が震える。

怖い。

でも。

逃げない。

カイトが叫ぶ。

「グレン!」

「右へ!」

俺は飛ぶ。

次の瞬間。

巨大な腕が

俺のいた場所を

粉砕した。

ドゴン!!

俺は転がる。

泥まみれ。

立ち上がる。

カイトの声。

「今です!」

俺は走る。

大剣を振る。

ザン!

だが。

避けられた。

「くそ!」

そのとき。

ボスの尾が振られた。

速い。

避けられない。

その瞬間。

カイトが動いた。

斬。

尾を弾く。

だが。

カイトが膝をつく。

「……っ」

頭痛。

激しい。

魔眼の使いすぎ。

俺が叫ぶ。

「カイト!」

カイトが言う。

「大丈夫だ……」

嘘だ。

顔が真っ青だ。

しかし。

ボスがまた動く。

十二本の腕。

同時攻撃。

カイトの目が光る。

「左!」

「跳んで!」

「しゃがんで!」

討伐隊が避ける。

だが。

カイトの体が揺れる。

視界が揺れている。

俺が言う。

「もうやめろ!」

ボスが咆哮する。

重力が落ちる。

体が地面に押し付けられる。

「ぐっ……!」

動けない。

カイトも膝をつく。

魔眼。

限界。

「レイン様!!」

カイトの側近の騎士が駆け寄る。

「逃げましょう!」

「このままでは全滅します!」

「私の密命は」

「あなたを死なせないこと」

「二人なら逃げられる!」

カイトが叫ぶ。

「逃げるわけないだろ!」

側近がカイトを抱えた。

そのとき。

俺は思い出した。

クロエの実験。

魔石。

マナ。

そして。

カイトが言った言葉。

「泉みたいだ」

俺のマナ。

もしかして。

黒域でも使えるのか?

俺は言う。

「カイト」

「契約しないか」

カイトが聞く。

「主従契約……ですか?」

ボスが迫る。

巨大な影。

俺は笑う。

「ずっと魔眼を使えたら」

「あの攻撃」

「かわせるか?」

カイトの目が見開く。

俺は続ける。

「お前が翻弄する」

「隙ができる」

「俺が斬る」

側近が怒鳴る。

「この冒険者ふぜいが!」

「身の程をわきまえろ!!」

カイトが静かに言う。

「……降ろせ」

側近が黙る。

そして。

カイトを地面に降ろした。

カイトが俺を見る。

そして。

小さく笑う。

「……それ」

「面白いですね」

次の瞬間。

ボスの腕が

振り下ろされる。

ドゴン!!

地面が砕けた。

俺とカイトは転がって避ける。

砂煙。

巨大な影。

十二本の腕がうねる。

討伐隊が散開する。

騎士が叫ぶ。

「一旦引けー!」

俺はカイトを見る。

「脈合わせで契約する」

「手を出せ」

カイトが手を出す。

俺たちは手首を重ねる。

脈を合わせる。

俺は言った。

「カイト」

…………

何も起きない。

「おかしいな」

「名前を呼ぶだけなんだが」

カイトが俺を見る。

少し考えてから言った。

「もしかしたら……」

カイトが静かに言う。

「僕には捨てた名があります」

少し沈黙。

「レイン・アステリアです」

近くで聞いていた騎士たちがざわつく。

「アステリア……?」

「滅んだ国の名だ……」

「別大陸の……」

だが。

俺は気にしない。

俺は言う。

「レイン・アステリア」

その瞬間。

俺の体から

マナが溢れた。

ゴオオオオ!!

光。

暴れるマナ。

雷のような音。

マナが

カイトへ流れ込む。

バチバチ!!

カイトが歯を食いしばる。

「くっ……!!」

光が爆ぜる。

カイトの目が開く。

魔眼。

光る。

今までとは違う。

深く。

鋭い光。

カイトが呟く。

「……動きが見える」

ボスの十二本の腕。

未来。

すべて。

カイトが立ち上がる。

さっきまでの疲労が

嘘みたいに消えている。

俺が聞く。

「いけるか?」

カイトが言う。

「今までより」

「長く見えます」

「安定してる」

そして。

小さく笑う。

「いけます」

ボスが動く。

十二本の腕。

同時攻撃。

カイトが歩く。

避ける。

ひとつ。

ふたつ。

みっつ。

すべて。

紙一重で。

討伐隊が叫ぶ。

「なんだあれ!?」

ボスが咆哮する。

腕が暴れる。

だが。

当たらない。

カイトが踏み込む。

斬。

一つの腕。

切断。

ドン!!

ボスが暴れる。

さらに腕が振られる。

カイトが言う。

「右」

俺が動く。

ドン!!

腕が地面を砕く。

カイトが言う。

「次」

「隙を作ります」

俺は頷く。

ボスの攻撃。

十二本。

すべて。

空を切る。

カイトがボスの足元へ滑り込む。

斬。

斬。

斬。

ボスが体勢を崩す。

カイトが叫ぶ。

「今です!」

ボスの装甲。

胸。

そこだけ。

薄い。

俺が走る。

大剣を握る。

カイトの未来。

俺の一撃。

重なる。

アビス・ヘカトンが

咆哮する。

俺が跳ぶ。

大剣を振り上げる。

体の中で

マナが

渦を巻く。

泉のように。

マナが溢れる。

ヴァルクの街。

仲間たち。

全部守る。

俺が叫ぶ。

「終わりだ!!」

全力。

振り下ろす。

ズドン!!

剣が

胸の装甲を

叩き割る。

沈黙。

次の瞬間。

アビス・ヘカトンが

咆哮した。

ゴオオオオオ!!

体が

崩れる。

十二本の腕が

力を失う。

ドン。

地面が揺れる。

巨体が

ゆっくりと

倒れた。

黒域に

静寂が戻る。

誰も動かない。

騎士が呟く。

「……勝った」

討伐隊が叫ぶ。

「勝ったぞおおお!!」

歓声。

俺は地面に座る。

息が荒い。

カイトが歩いてくる。

「お見事です」

俺が言う。

「お前がいなきゃ」

「死んでた」

カイトが笑う。

スタンピードの勢いが弱まる。

やれることはやった。

でも。

街は、

無事だろうか。





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