―――第6.5話 リリアナ
(リリアナ視点)
私が小さい頃。
家族で住んでいた家が
火事になった。
夜だった。
お母さんは何も言わなかったけど。
たぶん。
火をつけられたんだと思う。
私の顔の火傷は
そのときにできた。
小さかったから
よく覚えていない。
でも。
お母さんは
泣いていた。
私の家系の女性は
「聖女」
昔。
魔法が使えた頃は。
傷を癒したり。
結界で守ったり。
奇跡の力で
土地を豊かにしたり。
人々に感謝されて。
大きな家に住んで。
贅沢な暮らしをしていたらしい。
でも。
魔法が使えなくなって。
何も出来なくなって。
それでも
大きな家に住んでいたから
妬まれるようになった。
だから。
火をつけたのも
たぶん
その人たち。
仕方ないのかもしれない。
でも。
私もお母さんも。
何も悪いことしてないよ?
どうして。
いじめるの?
どうして。
みんな
離れていくの?
お母さんは
働きすぎて
死んじゃった。
死ぬ前に言った。
「リリアナ」
「生きていれば」
「いいことあるよ」
「楽しいことも」
「きっと待っている」
「だから」
「生きていくのよ」
「いじわるな人ばかりじゃない」
「優しい人も」
「たくさんいる」
そして。
お母さんは
最後に言った。
「あなたは誰よりも」
「優しくなりなさい」
そう言って
静かに
息を引き取った。
それから私は
宿屋に押しかけた。
残飯をくれる場所。
「なんでも出来る!」
そう言って
家に置いてもらった。
ある日
思った。
もし。
魔法が使えるようになったら。
またみんなの役に立てるのかな。
前みたいに
家に住めるのかな。
だから。
こっそり
魔法の練習を始めた。
でも。
どうすればいいか
わからない。
道具に力を入れてみたり。
体当たりしたり。
めちゃくちゃだった。
物を壊した。
失敗ばかりだった。
そして。
ついに
追い出された。
そのとき。
グレンが言った。
「うち来るか?」
私は。
びっくりした。
冷たくされることに
慣れすぎていたから。
きょとんとしてしまった。
でも。
すぐに我に返った。
私はグレンに
抱きついた。
「行く!」
「絶対行く!!」
お母さん。
優しい人いたよ。
本当にいた。
この人のそばにいたら。
きっと私も。
優しくなれる。
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