第16話 ヴァルク防衛①
スタンピードが始まった。
その頃。
ヴァルク王国。
クロエの工房。
朝。
扉が叩かれた。
コンコン。
クロエが言う。
「開いてるわよー」
扉が開く。
ファイムが固まった。
「……え」
鎧の騎士。
そして。
一人の青年。
金髪。
整った顔。
王族の服。
ファイムが慌てて頭を下げる。
「で、殿下!?」
ヴァルク王国第一王太子。
レオンハルトだった。
クロエが言う。
「久しぶり」
レオンハルトが笑う。
「相変わらずだな」
そして言う。
「魔道具」
「役に立っている」
「感謝する」
クロエが肩をすくめる。
「どういたしまして」
レオンハルトがため息をつく。
「……クロエ」
「お前」
「もう27歳だろう」
嫌な空気。
クロエが睨む。
「またそれ?」
レオンハルトはにっこり微笑む。
「いい加減」
「側室の話」
「考えてくれ」
ファイムが固まる。
クロエが即答する。
「仕事が恋人なので」
「間に合ってます」
レオンハルトが苦笑する。
「また断られたか」
そのとき。
遠くで。
角笛。
ブオオオオ!!
騎士が叫ぶ。
「スタンピードです!!」
空気が凍った。
***
城壁。
モンスターの群れ。
黒い波。
騎士団が並ぶ。
弓。
槍。
剣。
そして。
クロエの作った
大砲と魔道銃。
騎士団長が叫ぶ。
「工業国ヴァルクの底力を見せるのだ!」
「撃てぇ!!」
一斉攻撃。
ドドドドド!!
砲撃。
矢の雨。
モンスターが倒れる。
クロエが笑う。
「試し撃ちね」
ドン!!
銃声。
モンスターの頭が吹き飛ぶ。
騎士が叫ぶ。
「すげぇ!!」
街の住民は中央へ避難。
その前方に
リリアナが立つ。
ファイムが言う。
「リリアナ!」
「結界お願いします!」
リリアナが頷く。
「はい!ししょー!」
リリアナが手を掲げる。
「光結界!」
光の壁が広がる。
住民とファイムを包み込む。
リリアナのすぐ後ろ。
ファイムが立つ。
そして。
詠唱を始めた。
長い。
とても長い詠唱。
十五分。
その間
結界で守るしかない。
騎士が言う。
「何をしている!?」
クロエが言う。
「黙って見てなさい」
やがて。
ファイムが叫ぶ。
「行きます!!」
「フレイムバースト!!」
光が爆発する。
ファイムが
炎の柱に包まれた。
次の瞬間。
空に
巨大な魔法陣。
そこから
無数の
ファイヤーボール。
ドドドドド!!
モンスターの群れに降り注ぐ。
爆発。
炎。
モンスターが吹き飛ぶ。
一度に
30体。
いや50体。
騎士が叫ぶ。
「あの子供はなんだ!?」
クロエが笑う。
「うちのバイト」
モンスターは
まだ来る。
黒い波が続く。
ファイムは
もう一度
詠唱を始めていた。
モンスターが押し寄せる。
結界が揺れる。
リリアナが歯を食いしばる。
「まだまだ!」
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