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MEMORIES  作者: 有里 湊
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第三話 ワカレバナシ

お久しぶりです。日々表現力に絶望している有里です。そんな駄文でよろしければどうぞ


  ガヤガヤガヤ・・・



 男がいた。正確には少年である。

 彼の特長を正確にあげ連ねると、人間の説明を正確にするのと同じだけかかるだろう。まあ、つまりは標準的な人間の説明で事足りる、まるで絵に描いたような普通の少年だった。

 その少年がガチガチの直立不動で入口から動かない。これにはさしものベテランウェイトレスのディアにとっては困りものである。

 なにしろ彼は入口から動かない。この入口は出口と言い換えてもいい。つまるところ唯一の出入口だが、どちらにしろそこから動かないのだ。中にいる客も外の客も出入りできない。いや、人一人通れるスペースこそあるが、妙なプレッシャーがそこを通るのを阻害していた。


「あの、お客さま、お席の方へ・・・」

「・・・」

「本日おすすめのクランベリーのタルトケーキなどいかがでしょう?」

「・・・」


 はて、この強敵はどうしたものか。

 接客は嫌いであるが生真面目な彼女はこの障害物をどうにかしようとするが効果がない。そろそろ実力行使にでるべきだろうか。

 そんな過激な考えを思い浮かべながら握り拳を作る少女。その気配を察したわけでもなかろうが、ようやく少年は動きだす。


「ディアさん!!」

「は、はい!」


 呼ばれて返事をした。それはいい。名を呼ばれて反応するのは本能的な反射行為である。しかし、しかしだ。なぜこの男は少女の名を知っているのか。

 思わず少女は自らが着ている衣装を確認する。あのオーナーのことだ、制服に「でぃあ」といつの間にか刺繍していたとしても不思議ではない。

 普通は知人であることを疑うが、彼に限らずそうそう自己紹介したことはおろか、名前もほぼ知られておらず名札も、当然刺繍も存在しない。

 まったく、なぜ少年が名前を知っているのか想像できなかった。


「ディアさん、僕はいつもあなたを見ていました。あなたはいつも甲斐甲斐しくも働き、その可憐な笑顔を振りまいていた。ああ、君の笑顔にどれだけの人が癒され、どれだけの男が散っていったのだろう。あなたの笑顔はまるで天上の美酒にも勝り、あなたの前には美の女神すらも霞むだろう。ぼくもまた君に心奪われた。この空虚な心に、荒れた荒野を潤すがごとく、僕の中に入り込んできた。ここに来る度に、君に会う度に、僕はそれだけで幸せだった。だけど、だけど気づいてしまったんだ。君の笑顔は僕のためのものでなく、他の客となにも変わらない態度をとっているだけ。そう気づいてしまったんだ、他の男にも変わらず接するのを。僕はそんなの耐えられない!・・・!!!」

「気持ち悪いのよっっっ!!!」


 鈍い音と共に振りきったディアの腕には、目に見えるほどの鳥肌が立っていた。




「男って馬鹿ね」


 ティエリアは憂鬱な表情で目の前に繰り広げられる寸劇を嘲った。


  「きゃ口!」

  「ちょっと、エル放して。こいつ殴れない!」

  「口口口!」


 その騒ぎを見て、今日はもう閉店かなと思いながら、すっかり冷め気味の紅茶をすすった。

 彼女の向かいの席にも冷めた紅茶が手つかずで残っている。先ほどまでそこにいた女性は結局一口も飲まなかったらしい。


 どうも人間というやつは恋とかなんとかでおかしくなるらしい。はて、自分はどうだったかと古い記憶を探るが、思い出せない。思い出せないなら大したこともあるまいと、ついひと月ほど前に受けた依頼をかわりに思い起こした。


 はて、何という名の男であったか。もともと興味も起こらないヒトであったため覚えていない。

 しかし、そう、こんな会話をしたのだった。


『惚れさせろ・・・この写真の方をですか?』

『そうだ。できるか?』

『それは、できるか否かでしたら、可能ですけれども・・・』

『なら頼む』

『・・・』


 いつもなら最初から取り合わないような人間であった。しかし、眉をひそめながらも依頼を受けたのだ。


「はぁ、もう嫌になるわね」


 いくら哀れに思っても、あんな依頼など受けるべきではなかったか。

 ついつい大陸の西の果てで語られる悪魔の小咄を思い出す。


 誤って魂と引き換えにたった一つ願いを叶える悪魔が呼び出されてしまった。当然誰も魂は渡したくない。なら願いを言わなければいいのだが、願いを叶えるまで悪魔は還らない。そして何気ない一言を曲解して叶えてしまうのだ。当然還れと言っても魂をとられる。自殺しろと言ったところで、従うだろうが魂は道連れだ。解決方法は至って簡単で、悪魔から魂を奪わせるなと命じると悪魔は魂を奪えず、さらにその悪魔が目につく限り他の悪魔が魂を奪うのを邪魔し続けたらしい。


 この悪魔ほど悪くはないがと自ら慰める。この悪魔の結末も知っているからなおさらだ。

 よくよく、欲に流されると碌なことにならないとは実感している最中である。


 まあつまりは結局は迂闊なことはするなという教訓だ。人間にとっても、悪魔にとっても。



  チリン

  バタン!!



 乱暴に開けられた扉に目を向けると、どこか見覚えがある男が、まっすぐティエリアのもとに歩いてくる。

 噂をすればなんとやら。しかし口にもしていないというのに現れるのは理不尽ではなかろうか。


「いらっしゃいませ。しかし、どうされましたか?あなたの願いは、たしかに過不足もなく叶えたはずですが」


 ピクリ、と男が反応した。


 この男、名は忘れたが、なんとも言い難い顔をしている。あえて言うならば、夜の街で尻軽な女どもに持ち上げられそうな男である。つまるところ顔はいいのだ。無論、誰しも好みというものがあるであろうが、少なくとも美醜うんぬんで嫌われることはまずないようなルックスである。むしろかなりレベルの高い美形だと言ってもいい。しかも着ているものも仕立てが良く、ずいぶん似あっている。

 まったく、どれだけの女を泣かせてきたのであろうか。これで性格が良かったのならばまだ救いもあったであろうに。


 さて、ひと月程も前に受けた依頼は先ほどの回想通りである。契約もすでに果たした。もっとも、再びこの男がここに来たと意味は、だいたい予想はつくのだが。


「過不足なくだと・・・あれがか?」


 思わず、溜息を吐きたくなるのを我慢する。

 そこにカトルが冷めた紅茶の変わりを持ってきた。それを口に含み、落ち着いたところで口を開く。


「私が受けたご依頼は、写真の女性を貴方に惚れさせるということだけです。その意味においては貴方の望み通りにしたはずですが?」


「ちっ、やりすぎなんだよ。なんだあの粘着質な女は、四六時中べったりとくっつきやがって。おまけに仕事をやめろだと?いい加減しろ!なんのために付き合ってやったと思ってるんだ!」


 なんとも手前勝手な男だ。そもそも、この男の仕事はホストであり、付き合っている女性からすればこのような仕事はあまりいい気はしないであろうし、この男がなんのために付き合ったかといえば金のためと前回豪語していたのではなかったか。


「それは・・・ご本人と話し合った方がよろしいのでは?」


「は?んな面倒くせえことするかよ。もう用もないし、すっぱり別れさせてくれや」


 最悪だ、この男。

 だが、まあこの上ずるずる付き合っていたところで相手の女性のためにもならないだろう。


「別れさせる、ということでしたら構いませんが。新たにご依頼でしたら、どのようにいたしましょう。別れる、と一言で言いましてもいろいろありますよ。愛を無くすだけでもいいですし、二度と出会わないようにする、一時的に離れさせるだけもあるでしょう」


「ん、そうだな、あいつがもう二度と俺に会いたく思わないようにしてくれるか?」


「それは、方法は問わず、ということでよろしいですか?」


「好きにしろ」


 もはや興味もないのか。投げやりな感じで男は言った。まったく、こんな男に引っかかる女性の気がしれない。いや、件の女性は、完全に自分のせいなのだが。


「いいでしょう。『二度と貴方に会いたいとは思わないようにする』と、承りました。それでお代の方ですが・・・」


「ん、100万だったか?」


 ごそごそと懐を探る男。


「いえ、今回は300ほどになります」

「はあ!?高けぇよ。なんだそりゃあ」


「嫌なら構いませんが」


 ちっ、と舌打ちして、男は札束を投げ渡した。


 この男、いつもそれだけ持ち歩いていたのだろうか、現金払いである。

 もっとも、彼の所持金がわかっていたからこそ吹っ掛けたのであるが。


「契約成立、ですね。何度も言いますが当店ではクーリングオフなどという制度はありませんので、あしからず」



 男はそれから何も言わず、来た時と同じように乱暴に出て行った。

 男の後ろでティエリアが呟いた言葉も知らずに。


「本当に、救いがないわね」



 そもそもこの男、なぜ今さら別れさせるよう依頼に来たかと言えば、さらに新しい女性を引っかけたかららしい。それで結婚話を切りだしてきた付き合っていた女性が邪魔になったということだ。男にとっては所詮金のためだけの付き合いだ。もちろん自分で別れを切り出したらしいが、女性は認めなかったらしい。このままでは新しい女性のほうに被害が出るということで依頼に来たのだろう。


「もっとも、ちょっと遅かったけど・・・」


 少し視線をずらすと、ディアはエルの制止を振り切って、自らに告白した少年を店の外に蹴りだすところだった。


 本当に、ヒトは恋が絡むと、とたんに愚かになるらしい。だが、なぜだろうか、先ほどまではバカにしていた目の前の寸劇が可愛いらしく見える。まるで荒れた心が安らぐようだ。


「ほんと、これくらいなら可愛いものなのに・・・・」






 そして1週間後。


 今日も今日とて賑やかな店内を横目に、ティエリアは上機嫌で紅玉の嵌った指輪を眺めていた。


「あれ、マスター、それって?」

「この指輪?18世紀初頭にアフリカ原住のとある部族が持っていたルビーを加工したものよ。シャーマンが|呪≪まじな≫いをする時に使っていたもらしいわ。その部族は奴隷として捕まり、ルビーは廻りに廻って指輪に加工されたけど、なかなか素敵な曰くが絶えないそうよ」


 陽の光にかざしたルビーは、まるで血泥のような濁った輝きを見せている。その様はあまりにも禍々しく、とてもではないが、普通は手元に置きたいとは思わないだろう。


「曰く云々は別にいいけど、どうしてそんなモノがここにあるのよ?」

「先日、依頼に来た由紀恵さんという女性が対価を持ってきてくれたの。実は期待してなかったけど、案外拾いものだったわ」


 見ると、ティエリアの向かいの席には、やはり手つかずの冷めた紅茶がぽつんと置かれていた。


「どんな依頼だったの?」

「ふふ、そのとき付き合っていた「浮気性の男」をモテないようにしただけよ」

「ふ口ん、ん?付き合っていた?なんで過去形?」

「もう興味はないそうよ、依頼して1週間しか経ってないのにね」

「へえ、こんなところに依頼に来ておいて?いくら移り気が激しくてもそれはないんじゃあ・・・」

「そんなことはないわよ。人間なんて所詮移り気の激しい生き物なんだから。むしろ思い出したくもないみたいだったわ」

「そんなんでよく対価を払ったね。まあ、払わないと大変なことになるけど、それは知らなかったんでしょう?」

「逆に、せいせいしたんですって」

「なるほど、女って怖いわ」

「ねえ、ディア、一応私たちも女なのよ」

「・・・女の子っていうことで」

「・・・まあ、いいけど」



  チリン

  バタン!!



 乱暴に開けられた扉に目を向けると、どこか見覚えがある男が、まっすぐティエリアのもとに歩いてくる。


「どうなっている!?」


 怒鳴りつけられても、ディアは何が何だか分からない。ティエリアはそれを見てくすくす笑っていたが。


「そんなに慌ててどうしました?先日の依頼結果がご不満?」

「マスター?」


 いつもはどんな客に対しても猫を被りきっている主の様子がおかしい。明らかに男を嘲笑っていることを隠しもしない。


「そんなことはどうでもいいんだ!くそっ、あの日までは順調だったんだ!それなのになんで・・・」


「ああ、女性が見向きもしなくなったんですね」

「な、なんで知ってる!やはりお前かっ!!」


「ふふ、もう、いやですねぇ。当然のことではないですか。あなたみたいな醜い人をいったい誰が愛するというんですか?」


「みみみ、醜いだと?!この俺がか!?」


「ええ、そうよ。ほら鏡をごらんなさい。あなたはこんなにも醜いのよ」


 ティエリアが差し出した鏡、覗き込んだ男の眼にはこの世のものとは思えない醜男がのぞき返していた。


「ひいぃぃぃ!!」


 なにが耐えられなくなったのか、男は身も蓋もなく逃げ出した。もはや夜に街を飾っていた男の姿はそこにない。



  チリン

  ドンっ!



 店から飛び出そうとした男が何かにぶつかった。

 女性である。しかもなかなか美しい女性であった。穏やかな笑みを浮かべて、ぶつかってきた男を抱きとめている。


「あら瀬木尾さん、お久しぶりね。どうしたの、こんなところで?」

「棗≪なつめ≫?!み、見るな、俺を見るな!!」

「もう、なにしているの?まるでいい男が台無しよ」

「いい男・・・俺が?」

「他に誰がいるの?」

「棗・・・すまん、俺はあんなことをしたのに・・・」


  ――なにこれ?

  「ねえ、マスター、この寸劇なによ?」

  「・・・言わないで。あと、断じて私の意思じゃないからね」


 棗、と呼ばれた女性は、優しく男の涙をぬぐった。

 ちなみにこの女性、1か月ほど前まで、この男と付き合っていたが、男に振られたという経緯を持つ。


「棗、すまない、俺が悪かった。だからどうか・・・」


 いきなり始まった寸劇に店内が静まり返っている。べたではあるが、いい話。もはや目をランランと光らせて凝視している者もいる。

 誰もがかたずをのんで見守っている中、男が言う。


「棗、よりを戻してくれないか?」

「瀬木尾さん・・・」


 ゴクリ、と、誰かの息をのむ音が聞こえる程の静寂の中・・・。



  バシィィィィン!!!!

「お断り、よっ!!!」


  「「「「「えええぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」


 男の頬に平手が吸い込まれた。俗に云うビンタである。

 まるで菩薩のような笑みを浮かべたまま、男を張り倒し、なおすがりつく男を足蹴にする。

 

 それでもなお、男は縋りつこうとするが、いつの間にかいた、木箱を抱えている強面の黒スーツが男を取り押さえる。ちなみにその木箱は棗の手に渡った。


 棗は男の慈悲を乞う男の叫びを黙殺し、ティエリアの元まで歩を進めた。


「ナツメさん、これで依頼は果たしましたが、御満足ですか?」

「ええ、とってもいい気分よ。はい、欲しがってた壷よ。あなたみたいな娘がこんな小汚い壷を欲しがるなんて変わっているのね」

「そうですか、帰る際はあの男性は残していかないでくださいね。迷惑ですから」


 木箱を渡してそのまま帰ってしまう女性。


「え?どういうこと?」


 店の中には、ディアの疑問の声だけが空しく響いた。






**********************

初・座談会!



デ:「いらっしゃいませ。本日はMEMORIESをご覧いただきありがとうございます。私は本日解説を務めさせていただくディアと」

テ:「ティエリアよ」

デ:「・・・って、やってられるか口口!!!」

テ:「ちょっと、ディアったら、初めての座談会なんだからもうちょと猫かぶりなさいよ」

デ:「店のウェイトレスでさえ辟易してるのに、こんなのやってられるか!っていうか、なによ、頭のデとテって、紛らわしいじゃない!!」

ティエリア:「なら、これでいい?まあ、好きにやりなさい。どうせ作者が意味分かんない文章書いたせいで私たちが解説する羽目になったんだから」

ディア  :「あ口めんどくさ口い。こういうときエルは使えないんだから」

ティエリア:「しょうがないでしょ、あの子はこの小説の無口ろり分なんだから」

ディア  :「・・・小説で無口属性って、結構致命的だよね」

ティエリア:「まあ、きっと作者が無口ろりが好きだったんじゃないの?」

ディア  :「好きだからって、出すなよ」

ティエリア:「まあ、大目に見てあげてよ、実際エルが喋ると被害が大きいし」

ディア  :「ああ口、まあ設定的にね」

ティエリア:「どう被害があるかと言うと、それは次回のお話らしいから、とりあえず置いておくわよ」

ディア  :「そうね、なんか作者からネタばれすんなっていう電波来たし」

ティエリア:「そうそう、今回のお仕事は、今回の話の解説だけなんだし、それが終わったら今日は上がっていいわよ」

ディア  :「じゃあ、さっさとやりましょう。でさ、結局のところ、今回は誰の手のひらの上だったの?いつもなら、またマスターが・・・ってなるけど、今回は気が進まなかったみたいだけど」

ティエリア:「言っておくけど、私はそんなに依頼人で遊んだりしていないわよ。それはともかく、手のひらの上っていう表現は合っているわ。結論から言ってしまえば最後に出てきたナツメさんの手のひらなんだけど」

ディア  :「それが良く分からない。だって最初に依頼に来てたの男の方じゃない」

ティエリア:「う口ん、とりあえず何があったかを時系列順に説明するわね」


1.棗、瀬木尾に振られる


ディア  :「身も蓋もないわね」

ティエリア:「そうね、ここに解説はあまり要らないでしょう」


2.棗、依頼に来る


ディア  :「ちょっと、アバウトすぎない?」

ティエリア:「あえて言うわ、めんどくさい」

ディア  :「面倒って、それじゃあわけわかんないよ」

ティエリア:「はいはい、わかったわよ。どんな依頼だったかというと、まずあの男がその時点で由紀恵さんを狙っていたわけ」

ディア  :「ふむふむ」

ティエリア:「で、男を失意のどん底に貶めたかったナツメさんは、男の願いが全て裏目に出ることを依頼したの」

ディア  :「は?」

ティエリア:「それだけならともかくね、とどめは自分で刺したいらしくて、男が私のところに来て依頼した内容に応じて、彼女が考えた裏目の事がおきるようにしたの。だから態々あの男が依頼に来るたびに私から連絡を入れて他の」

ディア  :「うわ、面倒くさっ!ていうか、マスターって一回で終わらない依頼ってあんまり受けないんじゃなかった?」

ティエリア:「・・・そこは、ほら、物欲に負けたのよ」

ディア  :「壷だっけ、壷に負けたの?」

ティエリア:「ただの壷じゃないのよ、作中で出てきたルビーの指輪なんかよりずっと貴重ですごいものなんだから」

ディア  :「はいはい、マスターのコレクション自慢はどうでもいいから話進めて」

ティエリア;「あなたが振ったんじゃない。まあ、いいわ。それでやっと男が依頼に来たところにつながるの」


3.男、由紀恵を惚れさせるように依頼


ディア  :「あのルビーの指輪をくれた人?」

ティエリア:「そうよ、あの紅茶を一口も飲まなかった人よ」

ディア  :「実際の描写はないけどね」

ティエリア:「それで、ナツメさんがそれに対して、由紀恵さんをその男の嫌いなタイプにすることにしたの」

ディア  :「めんどくさい。なんで簡単に嫌われるてしなかったの?」

ティエリア:「それは私の事情で、仮にも私が契約を結ぶなら、その願いは絶対に叶えなければならないという制約を持っているの。だから仮にも客だったあの男の願いを曲げるとかはできなかったの」

ディア  :「へえ、そんなのあったんだ」

ティエリア:「ともかく、由紀恵さんはその男の嫌いなしつこい女にクラスチェンジしたわけね」

ディア  :「ふ口ん」

ティエリア:「それで次のことが起きるの」


4.新たに女を作る


ディア  :「最悪だね」

ティエリア:「そしたら予想外の出来事が」


5.由紀江、男が誰にも彼女以外にモテなくなるように依頼


ディア  :「なんと。ああ、男が誰にもモテなくなったのはこういうわけね。それでその結果に結局満足したユキエが対価を払うと」

ティエリア:「そして本編」


6.男、由紀恵と別れられるように依頼


ティエリア:「結局、唯一愛してくれるはずの由紀恵さんがこれで完全に別れちゃったわけ」

ディア  :「自業自得よ」

ティエリア:「それはともかく、そんな現状を知ったナツメさんは、また絶対男が依頼に来るだろうということで、店の前で張ってたのよ」

ディア  :「ええ!全然気付かなかった」

ティエリア:「女性から振られまくり、そのせいで夜のお仕事をしていた男はまわりから白い目で見られ、まあ、1週間も良くもったと思うわ」

ディア  :「それで最後のあれに繋がると」

ティエリア:「そういうこと、本当に面倒だったわ」

ディア  :「それはいいんだけどさ、マスター」

ティエリア:「なあに?」

ディア  :「私たち、本編より喋ってない?」

ティエリア:「・・・」







次回予告 外伝第一話

 天使人形の見るユメ


「みんな消えちゃえぇ口口口!!!」


お楽しみに(^o^)/






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