表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/67

第32話 パーティーを抜け出すのはいいけど、人数が少ない時はバレバレである

「では、五木はなまるくんの23歳の誕生日を祝しまして! かんぱーい!!」



 三春さんの音頭にあわせて、グラスのぶつかる音が響く。

 みんなのお祝いの声が響く中、オレはわずかに頬を膨らませている。


 なんで三春さんが仕切ってるんだよ。


 たしかに三春さんはこの誕生日パーティーの言い出しっぺだ。

 だけど、このマンションの管理人はオレだ。住人の誕生日を祝うことは、やりたいことの1つだった。

 なんだかどんどん三春さんに遠慮が無くなってきている気がする。

 まあ、そういう扱いされるのは嫌いじゃないけど。


 当の主役はというと、部屋の端でプレゼント開けている。

 他の人達はご馳走に舌鼓を打ちながら、お酒をあおっている。

 自由だなぁ。



「五木さん、プレゼントはどうですか?」

「みんな、とってもおもしろい。みてこれ!」



 五木さんが見せてきたのは、色紙に描かれたイラストだった。

 かわらしいタッチからして二本松さんの作品だろうか。

 五木さんのVTuberの姿がかわいらしい笑みを浮かべていて、とても素敵だ。

 まあ、股間がモッコリしている気がするけど。



「いい絵ですね」

「うん、とっても好き。これも見て?」



 次は透明な液体が入ったボトルだった。

 美容液とか香水だろうか?

 残念なことに、オレはコスメに疎い。



「三春さんからですか?」

「うん。とっても有名で、手に入りやすいやつー」

「よかったですね」

「大事に使うー」



 本当に大事そうにしまった後、次のプレゼントを見せてくれる。



「じゃーん。十六夜さんからのプレゼントー」



 リスのぬいぐるみだった。

 とてもかわいらしくて、五木さんが抱くと絵になる。


 みんなたった1日でプレゼントを用意してくれた。

 ちなみにオレは配信で役立ててほしいと、高性能なマイクを送った。

 そういえば、四分一さんはプレゼントを送っていないのだろうか?


 五木さんはプレゼントを見てはしきりに笑うを何度も繰り返している。

 とても幸せそうな姿を見てるだけで、こちらも笑顔になってしまう。


 さて、そんなことをしている間にも三春さんと二本松さんはかなり酔いが回ってきたみたいで、大声で歌いはじめた。


 三春さんは少し古いアイドルの歌を歌っているけど、二本松さんは最近流行りのボカロ曲をチョイスしている。

 ジェネレーションギャップを感じて、複雑な気分だ。


 自虐がこもっているのか、とうとう昭和の曲を歌い出した三春さんを見ていることができなくなり目線を外すと、衝撃の光景が目に入った。


 

 四分一さんが、十六夜さんの手を引いて会場から出ていく瞬間だった。



 すごく甘酸っぱい雰囲気を感じる。

 オレはおもわず尾行した。


 マンションの外に出て、裏手へと進んでいく。

 オレは木の裏に隠れて様子がうかがうことにした。


 

「あの、十六夜さん」

「どうしたの? 玲央くん」

「こんなところに呼んでしまって申し訳ございません」



 少し遠くにいるのに、唾を呑む音が聞こえた気がした。



「僕、十六夜さんのことが好きなんです」



 …………ん?


 どういうこと?


 えっと、四分一さんはまだ大学生で、十六夜さんはすでに29歳だ。

 なんというか、非常に興奮する年齢差だと感じる。


 まあ、当人同士の問題だし、オレからは何も言わないでおこう。

 別に恋愛を禁止しているわけではない。

 もし実際に付き合ったとしても、リスナーに話すかどうかも本人たちが決めることだ。


 ただ、後でそれとなく結果を聞き出しておこう。

 すごく気になるし。


 その場を離れようとした瞬間――


 ガサゴソッ、と物音が聞こえた気がした。

 とっさに振り向いても、なんの影も見えない。

 風で植木が揺れたのだろうか?

 その時はあまり気にせず、その場を後にした。



 平和ボケして、呑気に構えていたのが悪かったのかもしれない。



 次の日、五木はなまるさんが炎上した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ