第23話 視点移動は唐突に
あたしの人生は、男の人にメチャクチャにされた。
……なんて、簡単に言えない自分がイヤになる。
あたしの人生はたしかに男に振り回されてきた。だけど『そのせいで今も不幸のままだ』なんて言いたくない。
不幸になったのは確かに人のせいだけど、今幸せじゃないのは自分のせいだ。
そう考えてないと、あたしは一生幸せになれない気がする。
そんなあたしの人生には〝3度〟のターニングポイントがあった。
1度目は幼少期。
幼稚園から帰ってきたある日、知らない大人が家にいたのを覚えている。
当時のあたしはなんとなく重い空気を感じ取って、子供部屋に引きこもった。
それから10分も経たず、叫び声が家を揺らした。
怖かったけどリビングを覗いてみると、パパが泣いていた。
衝撃だった。
パパやママも泣くんだ。
大人だって泣くんだ。
なんでパパは戦わないの?
パパをイジメないで。かわいそうだよ。みんな、なんで泣きながら怒ってるの?
まだ幼かったあたしには理解できないことばかりで、すぐさまその場を離れた。
それから数カ月後、ママから大事な話をされた。
「パパとママ、もう一緒にいられないの」
その時のママの顔は、今でも忘れられない。
あとで知った話だけど、パパは不倫をしていた。
家に来ていたのは不倫相手とその夫、さらには弁護士だった。
あの現場はまさに修羅場で、大人になった今でも夢に出てくる。
それからあたしはママについていったのだけど、彼女は母親としての才能はあっても、社会人としての能力には恵まれていなかった。
パートは長続きしないし、正社員なんて夢のまた夢。
パパからの養育費はどんどん減っていき、生活は苦しくっていった。
ひもじい毎日。
おかずが無いことなんて日常茶飯事で――いや、ご飯がまともに食べられないのに茶飯事なんておかしい話だから、よくあることというべきかな。
とにかく。常にお腹がペコペコ状態だった。
空腹で眠れない夜は本当に寒くて、ママは隣で泣いていた。
パパからは、たまに連絡がきた。
1か月に1度だけ、パパと出会える日。約束で決まっていた。
会うのはいつもファミレス。
パパは少しやつれていたけど、ご飯をいっぱい食べさせてくれた。
だけど、どうしても痩せたママの顔がチラついてしまって「もうお腹いっぱいになったから持ち帰っていい?」と言ったら、パパは怒りだして…………。
結果、5回も会わないうちにパパとは連絡がつかなくなった。
この時期の栄養不足のせいだろうか。30を過ぎた今でもあたしの体はちんちくりんなままだ。
別に、ママを責めたいわけじゃない。
ママがすごく頑張っていたのを知っているし、むしろ育ててくれた感謝でいっぱいだ。
だけど、あたしにとってこの小さな体はコンプレックスになっている。
運動だって体が大きい人ばかりが活躍して、席も列の順番もほとんど先頭。
小さいのに目立つのが、本当にイヤだった。
コンプレックスと貧乏に押しつぶされそうな日々。
そんな生活の中で支えになったのは、昔のアニメだった。
悪役に立ち向かうお姫様。
華やかな生活。
キラキラな世界観。
まるで理想郷のように輝いて見えた。
あたしは夢中になって、いつか王子様が来てくれると本気で願うようになった。
そして小学校4年生の時、はじめての恋人ができた。
相手は小学6年生の先輩。
そのせいだろうか。
中学時代。
あたしはビッチと後ろ指をさされるようになっていた。
誰とでも寝るとか、実は妊娠しているとか、あることないことを噂されていた。
あたしの脳内にあったのは怒りなんかじゃなくて、素朴な疑問。
なんでこの人たちは、愛をもらわなくても生きていられるのだろうか。
不安にならないのだろうか。
あたしを笑っている暇があれば、誰かとキスをすればいいのに。
そんなことを面と向かって言ったことがあったけど、いじめに発展してしまった。
今振り返ればバカなことをしたと思うけど、当時は悪化するなんて微塵も思っていなかったなぁ。
結局同性とは仲良くできず、異性とばかり触れ合い続けた。
恋人としてキスしたり、それ以上のことだってした。
だけどみんな長続きせずに、2週間~2か月で手を繋ぐ相手が変わっていた。
都合のいい女になってたからかな。
ビッチのそしりは、皮肉なことに事実に変わっちゃったってこと。
そして高校時代。
玉枝無月に出会うことになる。
だけど、これはターニングポイントとは言えないなぁ。
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