表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/67

第11話 登場人物紹介とあらすじを本編にねじ込むスタイル またの名を総集編という 前編

 薄暗い部屋に、コツンコツンとリズミカルな音が響いている。


 オレの目の前にあるのは、白紙のルーズリーフ。

 

 シャーペンを動かそうとしても、どう書き出していいのかわからない。

 いくら罫線(けいせん)の間を見ても、規則的に開けられた穴をなぞっても、何も浮かんでこない。



「さすがに、しっかり書かないといけないよなぁ」



 これもマンションを炎上から守るためだ。

 住民たちを守ったためだ。


 そう自分に言い聞かせて、やる気を振り絞っていく。



「オレはループしている」



 書き出しは無難に、端的に、想像力を掻き立てるように。

 別に小説を書いているわけではないのだけど、少しでも楽しいことをしている気分になりたかった。



「いまだ4周目であるが、すでに情報は膨大である。ゆえに、ここに詳細な情報を(つづ)る」



 今度は洋画に出てくる手記風だ。

 声を出しているのも、ナレーター気分を味わうため。


 ちなみに『綴』の漢字が難しすぎて何回も書き直した結果、すでにかなり汚れてしまった。

 あとで清書すればいいか。



「オレの記憶力は貧弱だ。こうやってメモに残しておくのは最も大事なプロセスだ」



 そう。

 オレは自分の記憶力を全く信用していない。

 だからメモを取るのを重要視し、こうやって書いている。


 学生時代から、暗記が必須な科目の点数は低かった。

 歴史の授業なんて大の苦手で、赤点をとりかけたことなんて何度もある。

 なんでポッと出で、難しい名前の人物が出てくるんだよ。

 世界史なんて最悪だ、カタカナの羅列なんてどう覚えればいいんだよ。本当に意味がわからない。


 特に肖像画と名前の組み合わせなんて最悪で、雰囲気で解答するしかなかった。

 偉人の顔を覚えたって、なんの役にも立たないとおもう。


 この愚痴から察せられるだろうけど、オレは人の顔や名前を覚えるのが本当に苦手だ。

 フリーター時代もそれでかなり苦労した。

 バイト仲間や社員さんの顔と名前を覚えるのに、かなり苦労していた。

 

 一目では絶対に覚えられない。

 10回は顔を合わせないと覚えられないし、雰囲気が似ている人がいるとさらに時間がかかる。

 

 苦労して覚えても、職場以外の場所で会うとてんでわからなくなってしまう。

 顔で覚えるより、その人の仕草や声で覚えた方が楽だった。


 オレは絶対に接客業は向いていないだろう。


 このマンションの住人は個性豊かだから、そういう意味ではとても助かっている。

 正直改善したいと思っているけど、難しいのが現状だ。


 いやいや、そんな話はどうでもいいんだ。

 さっさとメモを書かないと終わらなくなってしまう。



「まずはループのルールについて」



 仕様書や説明書があるわけではないから、検証の結果と憶測が入り混じっている。

 もしかしたら書いているうちに矛盾が生じるかもしれないが、そこは適宜(てきぎ)修正していこう。



・マンションの住人が炎上するとループし、二本松さんが入居するタイミングに戻る。(現在は二本松さんが単体で炎上した場合と、全員が炎上した場合のみを観測している)

・ループしても、ケガの状態はそのままになる。

・ループの記憶を保持できるのはオレだけである。(おそらくだが)

・口の中に入れたものも一緒にループできる。



 最後のルールは、3回目の炎上ループの時に気付いた。

 気が狂って石を食べようとしたのだけど、次のループでも残っていたのだ。

 つまり、ループする瞬間にメモを持っていれば、それを口の中に入れて次のループに持っていけるのだ。


 服はループしないから、体内に入れてしまえばいいのだろう。

 これは使えるルールだ。

 

 さて、次は住人たちの情報を書いていこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ