小3年の頃に注射が怖いと騒いだら怒られた。切なさと痛みで泣いた時、母親は悲しそうな顔をした。そんな導入はどうでも良いけど注射怖いよね?怖くない?でも、刺される時の緊張感ヤバイよね?えっ?ヤバくない?
これこの作品をまだ、投稿する前に書いた作品でもあり、風邪の時に書いた話です………すっごく酷い話です。
頭痛い中、書き切って読んだ時は「神作だ!!」と思いました、脳がバグってただけでした。
00
私は今、頭を抱えていた。
病院の何とも言えない匂いと刻々と迫ってくる時間。
全てが私の心をかき乱した。
子供の泣き声が聞こえる……きっとやられたのだろう。
私は震えた手で煙草をくわえた。
「………チッ、一人殺られたか。」
「お、お客さん……ここは病院なので……煙草は吸わないでもらえますか?」
「……………すみません」
01
私は煙草を鞄の中に入れると……死にそうな顔で時計を見た。
(着々と私の処刑台が完成していく)
煙草を吸えないので心が安定しない。
(予防接種なんて言葉が良いだけで………自殺行為だよ?自分から手に針を刺しに行くとか、リストカットみたいなもんじゃん!!自傷行為みたいなもんじゃん!!)
頭を抱えながら、意味が分からないと思っていると。
「おっ……杏奈じゃないか」
「………茜じゃん、何しに来たんだよ?あれか?頭を治しに来たのか?『幼児なのに自分の事をJKとか言ってるんです〜』みたいな」
「誰が精神疾患患者だ!!ただの予防接種だぞ!!」
頬を膨らませながら言う魔王様の言葉に疑問を持つ。
(おい、ちょっと待て?コイツ……予防接種を『ただの?』って言ったか?私の気のせいだよな?そうだよな?)
真っ青な顔になりながらも隣に座る魔王様にちょっと質問する。
「カッターナイフで腕切ったら痛いよな?」
「痛いな、泣いちゃうかもしれん」
「ガラスの破片が手に貫通したりしたら、それはもう……この世のものとは思えない程の痛みだろうな」
「そうだな……考えただけで涙が出そうだ。」
「じゃあ、注射打つ時もそれなりの怖さがあるよな?」
「別にかな?怖くないぞ」
私は一瞬、黙る。
そしてまた、質問を始めた。
「カッターナイフで腕切ったら痛いよな?」
「それさっきと同じだ!!さっきから、何なんだ!!変な質問ばっかりして!!………貴様、まさかだと思うが」
(や、ヤバイ……バレたか!?)
「私を怖がらせようって算段だろ!!その手には乗らんぞ!!」
私は魔王様を見て、「良かった……馬鹿で」とホッとするのだった。
チクタクチクタク
鳴りはしないのだが、何故か鳴ってるような気がする。
そう言えば……昔、『大きな古時計』って曲あったよね?と思い出す。
『いまはもううごかない』という歌詞に『時計は壊れた』&『おじさんが死んだ』の2つの意味を込めているのには子供ながらに震えた。
にしても曲が進む度に『チクタクチクタク』とお爺さんの死が近づいていってるみたいで、ちょっと怖いよね。
などと誰かに問いかけるように思う自分に「余裕なさすぎだろ」と苦笑いをする私であった。
チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク
にしても、うるさい。
さっきから何なんだ……前の時計見ても音なんかしてないのに……。
「なぁ、杏奈?」
「どうした?」
「後ろから凄い変な音しないか?」
「はっ?」
恐る恐る後ろを振り返った……。
チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク
そこには『古時計の処刑人』がいた。
((なんか、いるぅぅぅ!?))
脂汗を掻く私達とは裏腹に呑気な曲が後ろで流れる。
おおきなのっぽの ふるどけい
おじいさんの とけい
(気にするな……絶対、気にするな!!)
(無理!!無理だ!!だって……後ろで永遠と大きな古時計がループしてるんだぞ!?気にしない方が無理だ!!)
なんてヒソヒソ話をしていると……。
「おや、そこにいらっしゃるのは、魔王様と杏奈ではないか」
そんな気が気じゃない時に救世主が現れた。
葵の登場で音が一瞬、小さくなる。
「おぉ!!葵!!葵ではないか!!」
「魔王様?若干テンション高いですね。どうかしたんですか?」
「救世主だ!!救世主が現れた!!」
「お前はお前でどうした!?」
なんて、魔王様と私はハイタッチし、葵の顔を見た。
そこにはクソでかいレイピアみたいな鋭さの注射器が葵の頭に刺さっていた。
((なんか、刺さってるんだけど!?))
次の瞬間、小さくなったはずの大きな古時計が大合唱と化した。
ひゃくねん いつも うごいていた
ごじまんの とけいさ
その大合唱を聞こえないように耳を塞ぐ魔王様と私。
「???」
その様子を不可思議な物を見るような目で見てくる葵。
お前のほうがやべー状態だろうが!!
「どうだった?予防接種?」
「あぁ……あの医者、中々に腕が良い。全くと言って痛みを感じなかった」
(何で腕を出してんだ!!テメェーの頭についてる注射器は飾りか!!)
(痛みが感じなかった!?脳神経、弄くり回されてないか!?)
私は震える魔王様を抱きしめながら、真っ青な顔で葵を見た。
「ど……どうした?二人共、様子がおかしいぞ?」
(うるせーー!!テメェーが一番、おかしいんだよ!!この場ではな!!)
なんて思っていると病室からもう一人出てきた。
「あっ……杏…奈さん、茜さ…ん、こん……にち…は」
私の癒し、真帆だった。
「真帆!!」
私の耳には大きな古時計なんぞ、聞こえなくなった。
「おい!!………ずるいぞ!!一人だけ古時計地獄から抜け出すな!!」
そんな声を押しのけて真帆を見る。
次の瞬間……私の顔は真っ青になった。
真帆の下半身を見る、スカートに妙な膨らみができていた。
私は恐る恐るスカートをめくると、真帆の陰部に注射器が刺さっていた。
「えっ…!?あ……杏…なひゃん??」
「…………oh」
次の瞬間、『大きな古時計』がより爆音で流れ出した。
おじいさんのうまれた あさに
かってきた とけいさ
「何をしている!!杏奈!!それと魔王様も!!今日の2人はなんだかいつもより変だぞ!!」
((どう考えても……そっちの方が変だろ!!))
私達は心の中で空に響くほどの大絶叫をかました。
02
チクタクチクタクチクタクチクタク
「………」
「………」
チクタクチクタクチクタクチクタク
「も……もう、我慢できない」
「あ、杏奈?」
「私、逃げる!!」
「卑怯だぞ!!杏奈ァァァァ!!」
「うるさい!!私は元々、注射が大嫌いなんだぁぁぁ!!夢に出るくらい嫌い!!見たら泣くほど嫌い!!15歳の時に夢に注射出てきたせいで飛び起きて、夜中に部屋から出れずにベッドの上で起きたまま漏らしたくらい嫌い!!」
「おまっ!?嫌いすぎるあまりにとんでもない黒歴史を話してるぞ!?」
「いーやーだー!!はーなーせー!!」
「そういうのは私がやるものだろ!?お前がしてどうする!!杏奈!!」
次の瞬間、古時計のおじいさんが古時計からマシンガンを出して地面を乱射した。
「「ヒィ…!?」」
『黙ッテロ、小便垂レ流シ野郎共』
生前、ナチス・ドイツ軍の方でしたか?みたいな雰囲気を醸し出す古時計のおじいさんがサングラスを掛けて言った。
2人は大人しく椅子に座った。
「……一体絶対、アイツは何なんだ?」
「魔王様、良く見てみろ」
「なんだ?」
そう言って魔王様はおじいさんを見る。
魔王様は何かに気づいた。
「何だか迫ってきてないか?」
「そうだよ、あの野郎、私達に近づいてきてる」
「どうしてだ!?」
「多分………奴が私達の目の前に来た時、それは『死』を意味するんだ!!」
「な、何だと!?」
「だからこそ……私達は逃げ切らなきゃいけない!!」
そう言って煙草をくわえた杏奈。
「あのぉ……いい加減にしてくれます?他の患者さんに迷惑です」
仏の顔は三度ではなく二度だったらしく、丁度目撃された杏奈は看護婦さんにキレられた。
「……………すみません」
すると、そのタイミングで死刑の火蓋が落とされた。
「美樹杏奈さん、真桜茜さん、こちらへどうぞ」
((ヒィィィィィィ!!来ちゃったぁぁぁぁ!!))
涙目の魔王様の後ろに私は隠れた。
「オイ!!盾にするなぁ!!」
「いやぁ!!」
「『イヤイヤ期』かお前!!」
なんて思って中々、動いていなかったら…ゴリラみたいなヤツが私と魔王様を捕まえた。
「な、なんだお前!?」
「ふざけんな!!急に本物の化物出しやがって!!クソ作者!!バカ小説!!フィクションは私達の設定だけにしときやがれぇぇぇーーーー!!」
私の叫びと共に病室に勢いよく突っ込まれた。
03
チクタクチクタクと鳴り響く時計の音の中、私は医者に聞いた。
「あの……一つ良いッスか?」
「なんですか?」
「そちらのゴリ………人は何なんッスか?」
「こちらは看護師の猿山さんです。この辺りでも珍しいですよ。男の看護師って」
(いや、男というより)
(猿山じゃなくて)
((ただのゴリラじゃね?))
なんて思っていると医者がドアを開けて注射器を持ってくる。
聖剣みたいな注射器だった。
(あれ?死ぬよね?どう考えても…人間死ぬよね?)
(これほど注射器が怖いと覚えたことがない!!何なんだ、あれは!?)
「ちょっとチクッとするからね」
(致命傷だよ!!多分!!)
(チクッてあれなのか!?チクッて感じた瞬間にお前は絶命してる的なヤツなのか!?)
すると……後ろからギターの音が聞こえた。
後ろを見るとすぐ近くまで古時計のおじさんが来ていた。
なら、何故ギターの音が聞こえたのかと言うと。
知らない内にデスメタルへと変更していたのだ。
(いや、待って!?デスメタルで『大きな古時計』って何だよ!!あってねーよ!!)
(なんか後ろにマキシマムザホル◯ンみたいな奴がいる!!便所サンダルで椅子、蹴られてるぅ!!怖いぞぉぉぉ!!)
ひゃくねんやすまずに
チクタクチクタク
おじいさんといっしょに
チクタクチクタク
(ほらーーー!!曲調とマッチしてないじゃん!!『大きな古時計』は平◯堅とか狩野◯考に任せとけ!!)
(いや狩野◯考に任せちゃ駄目だろうが!!)
なんてコソコソ話していると、医者が聖剣を私に振る。
「痛くないから安心してね」
(ヤバイヤバイ!!殺される!!このままだと痛みを感じる前に殺される!!古時計のおじいさんが目の前に来る!!)
(こうなったら………最終手段だぁぁぁ!!)
次の瞬間、魔王様が医者の顔面を蹴り飛ばした。
「な、何を!?」
「死ねェェェェーーー!!」
魔王様が隙をついた瞬間、私はこのヤブ医者の顔面に回し蹴りを食らわした。
「ぐはぁ!?」
医者は窓に叩きつけられ伸びてしまった。
そして「大きな古時計」を合唱する後ろを見る。
恐怖に怯えるだけではなく戦おうと戦闘態勢に入った。
「やるぞ!!魔王様!!」
「やってやるぞ!!畜生!!」
私達は古時計のおじいさんに飛びかかった。
おじいさんをぶっとばして。
チクタクチクタク
川◯ 亮をけりとばして。
チクタクチクタク
「砕けろォォォーーーー!!」
「「古時計ェェェーーーーーー!!」」
いまは もう うごかない
おじいさんのとけい
バキィィィィィィィーーーーーーーーー!!
04
Side葵
病院前で、私達は魔王様の帰りを待っていた。
「今日の魔王様、おかしかったな」
「魔王…様だけ…じゃ…なくて…杏奈さ…んもおか…しかったです」
「いいえ、おかしいのは杏奈さんですよ」
後ろから声が聞こえ、振り返ると桜香がいた。
「それはどういう事だ?桜香」
すると桜香が頭を抱えて事の顛末を言い始めた。
「実は杏奈さんは注射器が怖いがあまり幻覚を見るんですよ、それも人に伝染させるほどの幻覚をね。私も中学の時、一緒に予防接種に言った時に見ました。病院が砂漠に見え……注射器がサソリに見える幻覚をね」
私は恐る恐る、桜香に聞いた。
「……あの時点でそれが起きていたとしたら?」
「今頃、病院内が大パニックになってるかも」
次の瞬間、病院内から悲鳴が上がった。
遅かったと3人は思い、病院からそそくさと逃げていたのだった。
2日後、私達は月曜日に学校に行くと、とある紙が貼られていた。
『真桜茜・美樹杏奈 殿 懲戒処分通知』
「ま……王…様」
「まぁ、当たり前ちゃ、当たり前ですよね」
「災難だな」
嫌いという感情は時に人を狂わすと、三人は思うのであった。
今、ちょっと風邪気味なんですよ。
書いた日も風邪でぶっ倒れてて投稿した日も風邪気味。
なんか運命感じちゃいますね。
それなのに、内容は予防接種の話とは……。
自分がこの回に触れると風邪を引くみたいな呪いでもついてるんでしょうかね?