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幸せな世界

作者: 小雨川蛙


ある日、偉大なる博士が素晴らしい薬を開発した。

「遂にできた! この薬があれば世界は救われる!」

博士は直ちに王の下へ行き、薬が無事に完成したことを告げると王は大層喜んだ。

「そうか、遂にできたか」

「はい! これさえあれば必ず世界は救われます!」

「見事だ。しかし、博士」

満足げに頷いていた王は博士へ問う。

「果たしてどれほどの人間が残ると思うか?」

博士は答える。

「私の想像であれば全人口の8割が消えると思います」

「ふむ。私は6割くらいかと考えていたが、そんなにも消えるかもしれぬのか」

少し顔を暗くした王に対して博士は笑った。

「ご安心くださいませ。人口が減るということはつまり食糧問題も解決するということです」

その答えを聞いて王はかかかと笑う。

「なんとも不謹慎、それでいて効率的な考え方よ。だが素晴らしい。私もそう考えるとするか」

翌日、国中の人々に博士の発明した薬が手渡された。

王は皆に『明日の朝日と共に飲め。飲まぬものは牢屋に入れる』と布告をだした。

薬の内容こそ分からなかったが、皆は牢屋に入りたくない一心で薬を飲んだ。


そして、運命の朝。

王も博士も貴族も農民も大人も子供も皆消えてしまった。

この国で何があったのか知る者は誰も居ない。

そして、永遠に知られることはない。


博士の研究所に残された一枚のメモにはこのように書かれていた。


『悪人を殺す薬を作れ』




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