第24話……つゆだく騎士団長
少しばかり惰眠を貪ってしまった。
パチクリ目を覚ますと夕焼け空が射しこんでくる。こんな時間まで眠ってしまうとは、近頃多くのイベントと遭遇したし、疲れもあったのかも。
起き上がって体を解しながら周囲を見渡す。誰もいないかと寂しさを覚えた矢先に扉が開く。
「起きたのか、エド」
「おはよ、ベリル」
「もう夕方だぞ。起きないのでわたしは鍛練を積んでいた。おかげで汗でぐっしょりでね」
よく見るとベリルは汗ばんでいた。
息こそ乱れていないけど、頬を朱色に染め、なんだかエロ――可愛い。
その場で軽量プレートを脱ぎ、机に置いて段々とその身が剥がれていく。おぉ、プレートの下はドレスっぽい服なんだな。
騎士団長仕様なのか、カッコイイ。
そして、胸が……スゲェぜ。
「凄い汗だな、びっしょりじゃないか」
「ああ、グチョグチョだ」
「……」
なんか言い方がな!
「そんなに励んだのか」
「うむ、こんなに濡れてしまった」
だ・か・ら~なんで顔を赤らめるかな!?
「よし、ベリル。ゲームをしよう」
「げーむ?」
「ああ、俺が勝ったらもっと汗まみれになってもらう」
するとどうなるか。
汗で色濃く下着が強調されるはずだ!
今でも薄っすら見えているけどな。
「では、エドが負けたらわたしとキスして貰うぞ」
「……なッ! どっちにしてもご褒美じゃないか」
「何を言っている、どっちもわたしにとっては大変な事だ」
それもそうか!!
何故かすごく納得してしまったので、ヨシとした。
「……ま、まあいいか。じゃあ、種目だが『指相撲』でどうだ」
「指相撲?」
「こっちに来きてくれ」
「……いやだが、汗臭いぞ」
「気にしないよ」
ベリルを手招きして、ベッドの横に来させる。うん、寧ろなんか良い匂いがするような。
「それで?」
「うん、こう手を繋いで……そうそう、親指以外の四本の絡ませて。で、親指を三秒以上押さえた方が勝ちだ」
「…………っ」
顔が赤くなるベリルさん。
ま、まさかこれだけで?
「て、照れるなよこれくらいで」
「だって、エドと手を……もうこれだけでわたしは幸せだ」
まだゲームが始まってすらいないけどな!
「じゃあ、始めるぞ」
「分かった」
「はじめ……っ!」
俺が合図すると、ベリルはうまく親指を動かす。おぉ、初めてにしては素晴らしい回避能力だ。だが、俺はこれを子供の頃によくやっていた。……ん、誰だっけな。そういえば、こんな銀髪の少女とよくやったような。
あれ……。
あれは……ベリル?
油断していると俺の親指が押さえつけられようとしていた。まずい! ここで負けたら、キスだぞ!! いや有りだけど、わざと負けるのはちと違う。
勝負は勝負。
これは真剣勝負なのだから、手を抜くわけにはいかない。しかも相手はクリスタル騎士団の騎士団長・ベリル。負けるワケにはいかない。
俺は巧みに親指を動かし回避。
「くっ……エド!」
悔しそうにギリギリと歯ぎしりする。
ふふ、俺は指相撲無敗のエドウィン様だぜ!
子供の頃から培った技術力でベリルを蹂躙するッ! 力こそパワーなのだ!
「ここだあああああ!!」
「……な!!」
ドンっと俺はベリルの指を押さえ込む。
後はカウントダウン開始!!
「3……2……1……0」
勝った……。
また勝ってしまった。
しかもベリルに勝っちまった。なんだろう、めちゃくちゃ嬉しい。敗北者であるベリルは涙目で悔しそうにしている。
「…………く、エド」
「な、泣くなよ。そんなに悔しかったのか」
「……うん」
まるで子供のように――あ、やっぱりだ。この顔、覚えがある。
「なあ、ベリル。俺って、子供の頃にベリルと会った事あったっけ」
「……! やっと思い出したのか、エド。そうだよ、わたしとエドは幼馴染なんだ。まさか忘れられているとは思わなかったけどな」
「マジか!! すまん、ずっと気になってはいたんだよ。どうして、こんな優しくしてくれるのかなってな」
「当然だ。わたしにとってエドは…………ぁ」
ハッと顔を逸らすベリルは恥ずかしそうに俯く。でもそうか、あの時の銀髪の少女は、ベリルだったか。それは嬉しいな……初恋の相手だったし。今もな。
「ベリル」
「うん」
「汗だくな」
「……うぅ。分かった」
この後、追加トレーニングしてツユダクになって貰った。その結果、素晴らしいものを拝めたのであった――。
俺は大量の鼻血を吹き、死亡。




