第23話……闇裁判
――気づくと俺は闇の中にいた。
(俺はいったい、どうなった……)
確か、シトリンとぶつかって下着をぶちまけちまって……拾うのを手伝おうとしたら……。そうだ、フィルン達が現れて、咄嗟に下着に隠れたんだ。
けれど、シトリンとイチャイチャし始めた瞬間に、フィルンに目撃されたんだ。それからだ、それからの記憶がブツ切りだ。
俺はどうして闇の中に囚われているんだ? これは何かの……罰なのか?
『――これより、エドウィン・ハークネスの裁判を行う』
そんな声がコダマした。
え、裁判? なんの事?
闇の中にポワッと現れるフィルン。
なんか表情が怖いんですけど!?
「えっと……」
そして、次々に現れる女性騎士。
全員が俺を死んだ目でみつめていた。何事!?
「申し訳ありません、エド様」
「え、シトリン? なんで泣いてるの?」
「エド様が下着泥棒の罪で……罪で、うあああああああん」
泣き崩れてしまうシトリン。
え、え、ええええええええええ!!
俺、そんな事にィ!?
『エドウィン・ハークネス、判決を言い渡す……死刑!!!』
「し、死刑!? てか、待て。おかしいだろう! 下着泥棒したくらいで死刑って! って、してねぇけど!! 俺は無実だ!! それでもやってないんだァ!!」
『黙れ。お前は多くの女性騎士を泣かせ、しかも騎士団長・ベリル様を失望させた。乙女心を傷つけた大罪人』
そ、そんな。俺は結局、稀代のヘンタイと扱われて、社会的に抹殺される運命なのかよ。くそおおおおおおお……!!!
「……エド」
「ベリル! な、なあ……弁護してくれよ。俺は無実なんだ。何もしていないんだ!!!」
「うん、信じている」
「え?」
「――だって、エドはわたしを救ってくれたから」
消えゆくベリルの姿。
あれ、なんで……消えて…………?
◆
「――――ハッ!!」
起き上がると俺はベリルの部屋にいた。
そうか、あれは夢だったのか。
ん、誰か来るな。寝たふりをしておくか。
「――ですから、エド様はわたくしのお手伝いをしてくれていたんです」
「分かっている。エドが下着泥棒などするはずがない。ただ、以前にそういう輩がいたから皆敏感になっているんだよ、シトリン」
なるほどな、これだけ女性が多い騎士団だから下着泥棒とかの被害があったらしい。あの裁判が夢で良かったけど、どうやら俺は、まだ割とピンチの中にいるようだな。
「でも良かったです。ベリル様が通りかかってくれたので、エド様の誤解も晴れましたし」
「ちょっと胸騒ぎがしてな。向かってみれば案の定。でもまさか下着に囲まれていようとは思いもしなかった」
「申し訳ありません。わたくしがよく前を見ていなかったので……処罰は如何様にも」
「責は問わんよ。それよりシトリン、エドと抱き合っていたそうだな」
「……っ! そ、それは……腰が抜けてしまったんです。不可抗力です」
チラッとベリルの表情を確認すると、めっちゃ怖い顔をしていた。おいおい、あれキレてね……。
「本当か? エドを好きになったりしていないか?」
「ち、違いますってば。あ、ああ~…そうです。エド様ってば、やっぱり胸が好きみたいですよ。視線がずっと釘付けですから! ベリル様はもっと近づいてあげると喜ばれると思います」
「む、そうか。わたしの為に、シトリンはエドを試してくれたわけだな」
「そ、そうです! その通りです!(何とか誤魔化せたっ)」
「さすが我が友。すまぬ、危うく絶縁を考えていたが、わたしが愚かだった、許せ」
「いえいえ、わたくしはベリル様の為にサポートしているんですから」
どうやら、色々誤解は晴れたらしい。
いやぁ本当に良かった。
一時はどうなるかと。
俺はこのまま寝てようっと。




