第22話……危機を乗り越えろ!
こんな下着まみれの床にいる俺の姿を見られたら、おしまいだ。社会的に死ぬ。いや、もうその絶望は近づいていた。
まずいぞ、あと少しでこっちにフィルン達が! どうにか、どうにか打開する方法を…………ダメだ、何も思いつかなねェ!!!
「シトリン、俺このままだとドヘンタイのレッテルを貼られて、クリスタル騎士団に居られなくなっちまうよ!! ベリルも失望させちまう!!」
「そ、そんなの嫌です!! エド様がそんな……わたくしのせいでそんな事になったら、耐えられない」
いや、元々は俺のせいなんだが。
まあ細かい事は置いておき……。
「何か良い案はないか? 下着が散らばりすぎて俺に逃げ場がないんだよ。逃げ込める部屋もないし……」
「ま、任せて下さい! こうなったら下着でエド様を隠します!!」
マジかよ!!
確かにこの量の下着なら俺を隠すだけは何とかなるかもしれない。だが、俺の鼻血が持つかどうか……!!
いや、耐えて見せる!!!
ベリルを失望させない為にも!!!
「腹は決まった。やってくれ!!」
「分かりました」
ドサドサと下着が俺の体を覆っていく。どんどんどん積み重ねられ、山のようになって――俺は下着によって視界を奪われ、体さえ呑まれた。
「……あら、シトリンではありませんか。こんな場所……え、下着の山?」
「ああ、フィルン様。ごめんなさい、ちょっと下着を落としてしまいまして、これからお洗濯に行くんですよ」
(…………)←下着の山の中で耐える俺
「凄い、山のようですね。今日ってこんなにありましたっけ?」
「え、ええ、そうなんです。ほら、オーク騒動あったじゃないですか」
「そう、ですね。うん、皆さん汗も流されましたし、今はシャワータイムでしょう。分かりました、お手伝いの必要はありませんね?」
「大丈夫です。新しいメイドさんも入ったので」
「リサさん、でしたっけ。良い子ですよね」
「そうなんですよ~。じゃ、じゃあわたしはお洗濯があるので」
(…………ッッ)←鼻血が出そうな俺
「そういえば、シトリン」
まだ話が続くのかよ!!
まずいぞ、気持ちがおかしくなって今にも頭がどうかなりそうだ。鼻血もなんとか抑えているが、いつ暴発するか分からん。
でも耐えねば……耐えねば、俺は終わる。
「な、なんでしょうか」
「エドウィン様を見ませんでしたか?」
(…………ドキッ!!!)←名前を呼ばれ心臓が破裂しそうになった俺
「え……エド様ですか。さ、さあ……ベリル様のお部屋ではありませんか。ほら、あの二人って特別な関係ではありませんか。なのでさすがのわたくしも、プライベートには突っ込めないですから詳しくはありませんけど」
ナイス、シトリン!!
これでもう大丈夫だろう?!
「そう、でしたか。ベリル様にもやっとお相手が出来て喜ばしいです。今まで孤高な存在で、色恋沙汰のひとつもありませんでしたからね」
「いいえ、フィルン様。それは違います、ベリル様その相手一筋なんです。昔からずっと彼を想っていたそうですよ」
そうだったのか。
それは意外だな……ベリルが俺の事を。
嬉しくてちょっと涙が出そうになった。
「さすがシトリン、騎士団長のお傍にずっといるだけあり、よく見ているのですね。聞かせてくれてありがとうございました」
――どうやら、フィルン達は去ったようだな。……ふぅ。
数分後、俺は下着の中から救出された。
「エド様、大丈夫ですか」
「お、おう。怪我もないよ、ありがとう、シトリン」
「……エド様、その」
急にシトリンは恥ずかしそうに俺に頭を預けてきた。あまりに突然でビックリした。
「どうした……?」
「ホッとしたら力が抜けちゃったんです。今はこうさせて下さい……出来れば、腰に手を回して戴けると……嬉しいなって」
「し、仕方ないなぁ。シトリンは甘えん坊さんなんだな」
とかマジで腕を回して、ぎゅっと抱きしめたタイミングで――
「ああ、ひとつ言い忘れていたのですよ、シトリン……ってッ!?」
……フィルンが戻って来てしまっていた。
おい……おおおおおおおおおいッ!!!




