第20話……忍び寄る魔王っぽいヤツ
リサとアルマンディンは何を話している。
というか、さっきリサを『女神』がどうとか聞こえたような。気のせいか? そのリサは不快感を露わにしてアルマンディンに言い放った。
「私は坊ちゃん……エドウィン様のモノです。貴方のような魔族に興味はありませんし、女神と相性最悪じゃないですか」
「面白い。あのエドウィンから女を奪うのも一興だろう。女神も騎士団長も奪ってやるさ」
遠回しに嫌だって言われてるのにアルマンディンは引かない。あの自信はどこから沸いて出てくるんだろうなあ。
明らかにリサは引いてるぞ。
さて、そろそろ助けるべきか。……いやでも、気掛かりな点もあった。リサが『女神』だって? まさか、あの時、俺に【レベルイーツ】の能力を与えてくれたのが――彼女ってワケか。
「しつこい男は嫌いです」
「……そうか、だがまた今回のような『オーク騒動』が起こるかもしれんぞ」
「やっぱり貴方が!!」
「そうさ、僕がオークを帝国周辺に呼び寄せた。これでも魔王の血が流れているからね、あれくらい朝飯前ってワケさ」
「魔王の遠縁、アルマンディン! エドウィン様とベリル様の仲を裂くような真似だけは許しませんよ」
「ほう、随分とあの男の肩を持つな。まあいい、今日は話をしに来ただけでね、また近々会おう、女神セリナよ!」
ヤツは半ば諦めて飛び立って去った。
アルマンディン、アイツはリサを仲間にしようとしていたのか? ハーレムがどうとか聞こえたが……何をしてんだかな、アイツ。
とにかく、リサに聞かないと。
俺はなるべく自然を装って偶々通りかかった事にして、リサの前に姿を現した。
「リサじゃないか。こんな所で突っ立って何してんだ?」
「エ、エドウィン様。いつからそこに?」
「今、散歩していてリサを見つけたところなんだ」
本当は立ち聞きしていたけど、なんか色々ありすぎて出辛かったし、聞き辛いッ。
「ま、まさか……聞いていませんでしたよね」
「何の事だ?(ガクガクブルブル)」
「いえ、それならいいのですが……あの、エドウィン様、お手が震えておられますけど」
しまった。
リサに対しては誤魔化し辛いっていうか、見つめられてつい緊張が。
「な、何でもないんだよ」
「本当ですか? さっき私がここで誰かと話していたのを見ていませんでしたよね」
ぐいっと目線を合わせてくる。
ち、近ッ!!
キスできる距離だぞ、これは!
ツヤツヤの唇が目の前にある。なんて魅力的な……いや、そうじゃない。つい、うっかり見惚れてしまった。
「本当だ」
「そうですか、なら良いんです」
胸を撫で下ろすリサだが、そんなに聞かれたくなかったんだ。となると、余計に追及は出来んな。
「それじゃあ、俺は自室へ戻る」
「分かりました。御入用であればいつでもお申し付け下さいね」
手を軽く振って、俺はリサと別れた。
自室へ戻って俺は――
「リサって女神セリナだったのかよォ!!」
俺に【レベルイーツ】をくれた女神じゃねぇか!!
そんな女神が何故俺のメイドぉ!?
マジかよ、マジかよぉぉぉ……。
最高かよ。
俺はそんなガチ女神から力を貰っていたんだ。てか、なぜ俺のメイドを? 何か理由があってずっと俺を見守ってくれていたのか。
なぜ、本当になぜなんだ。
聞きたい。理由を聞きたいが……。
それよりも俺は危機的事態に直面していた。まさか、部屋に裸のベリルがいようとは想像もつかなかった。
――ああ、そういえば……
事後処理がどうとかで何処かへ行っていたな。それで戻ってきて、シャワーを浴びていたって所だろう。
「……どうした、エド」
「いや、あの……ベリルさん、裸」
「気にする事はない。手を繋ぐよりは恥ずかしくないし」
どういう基準だよそれ!?
ベリルの羞恥心ランキングはどうなっているんだ。裸を見られるよりも、手を繋ぐ方が一番に恥ずかしいって事なのかぁ!?
「せめてバスタオルくらい」
「分かった、エドを困らせるつもりはないからな」
いそいそとタオルは巻いてくれたが、どうせなら着替えてくれとは思ったけどな。にしても、零れんばかりの胸がたゆんたゆんで凄いなぁ(直視)。




