第18話……騎士団長へえっちなお仕置き
オークを討伐し大勝利の余韻に浸っていると、複数の騎士がこちらに向かって来ていた。あれは『クリスタル騎士団』か。
「くっ、大量のオークが男性を襲って……む!? オークが山積みになって倒れているではないか!」
やってきたベリルが状況を見て目を白黒させる。やがて俺の存在に気付いて駆け寄ってきた。
「よっ、ベリル」
「こ、これは……エドが?」
「いや、これは俺だけじゃないさ。皆の反撃のおかげ。俺はただ、キッカケを与えただけに過ぎない」
遠慮していると、シトリンが補足を入れた。
「エド様の『レベルイーツ』のおかげですよ。とっても勇猛果敢でカッコ良かったです!」
それを聞いたベリルは俺に抱きつく――って、マジか!
「エド……よくやってくれた。でも、無茶するなと言ったろう」
「国の一大事だからな、俺だけ引き籠っていられなかったんだ」
「それだけか?」
それだけって……。
そりゃあ、もちろんベリルが猛烈に心配だった。心がソワソワするくらいに、ドキドキするくらいに。
第一に彼女の身を案じたさ。
それにしても……
ベリルの視線が熱い。猛烈に熱い。激アツだ。……これは素直に気持ちを伝えるべきか。それとも渾身のギャグで誤魔化すべきか。
素直に伝えたら、それはそれで激怒される気もするし、ギャグに持ち込めば空気が白けて俺が世間的に死する可能性も――どっちにしろヤバいぞ。
「ベリル、俺は……」
「嬉しいぞ!!」
何も言ってないけど喜んでくれた。
それでいいのか!?
というか、ベリルさんちょっと泣いてる……?
「大丈夫か」
「もう心配させるな、エド。万が一にもエドがオークに襲われていたらと思うと、ぞっとする」
「まさかオークが男を襲うとは思わなかったよ。ちゃんと本当の事を言わないベリルもベリルだぞ。だから、これはお仕置きだ」
俺はベリルの右手を取り、繋いだ。
「…………っ! エ、エド……これはいくらなんでも過激すぎるというか、皆も見ているし……恥ずかしすぎる。その、うぅ……」
手を繋いだくらいでベリルは顔を真っ赤にして俯く。……おいおい、部屋では平気で下着姿を晒すクセに、人前で手を繋いだくらいで照れすぎだろう!?
「お、おい……エドウィンが騎士団長と手を!」「ああ……繋いでいるな。しかも恋人繋ぎだ」「羨ましいな!!」「手とか嘘だろ!! すげーマジすげー! 難易度高すぎだろ!」「あのベリル様と手を繋げるとか奇跡かよ」「照れてるベリル様可愛いー!」
周りの反応もそんな感じだった。
お前ら女の子と手を繋いだ事くらいあるだろ!?
因みに俺はこれが初めて……
じゃないな。
大昔の子供の頃に……アレ。
俺、この手を感じた事が――。
不思議な感覚に襲われていると、また遠くから騎士達が現れこちらへ向かって来ていた。
その中から代表して赤髪で片目隠しの女騎士、フィルンが現れた。ああ、この前のアゲートの義姉。
彼女はベリルに戦況を報告していた。
「ベリル様、オークの討伐完了しました」
「よくやった、フィルン。お前の……いや、皆の功績は讃えられる事だろう。きっと、皇帝陛下もお喜びになられる。……ん、浮かない顔だな」
「ええ、義弟のアゲートが……大量のオークに襲われてしまって。その、お尻をズタズタにされて重症なんです。一応、今は緊急搬送されて一命は取り留めましたが」
んなッ!?
あの男、オークにやられちまったのかよ。あれでも教官クラスの騎士じゃなかったのか?
でも、そうか。俺の【レベルイーツ】有効範囲はそれほど広いわけじゃない。だから、レベルそのままのオークに囲まれたら、対処なんて極めて厳しいだろうな。
その結果……
アゲートは掘られちまったと。
運が悪いというか、なんというか。
「そうか、お気の毒に。後で見舞いに行こう」
「ありがとうございます、ベリル様」
これにて『オーク騒動』は終結した。
……この後、俺はベリルとめちゃくちゃ手を繋いだ。




