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お前じゃない

ちゃんと投稿できましたとさ。

「おいアラン!大変だ!?」

「急にどうした?」


いきなり父が部屋に乗り込んできた。何があったんだ…


「たった今、国王直々の手紙が来てな。この間の警備依頼の追加報酬の話だ」

「それで、その内容は?」

「今そこに驚いてるんだが…なんと第一王女との婚約だ!」

「おいおい嘘だろ…」


第一王女との婚約、それがどれほどの影響を及ぼすのかはもはや考えるまでも無いだろう。婚約すれば性が変わり、名実共にこの国のトップに立てるわけだ。王族への仲間入りを果たした場合、大抵のことは融通がきく。そんなわけで、第一王女との婚約というのはそれほどまでにすごいことなわけだ。


「まあ、一応婚約を前提にしたお見合いをしようということらしいが…くれぐれも悪いイメージを与えないようにな?」

「まあ、そんな短期間で悪い印象を植え付けるほうが難しいだろ?」

「ハハッ、それもそうか」


この時アランは気付くはずもない。会いにいくのがアランという時点で取り返しのつかない悪い印象を植え付けることになるとは…


**********


「すみません、本日エリス様にお会いする予定のものですが」

「アラン様ですね。お聞きしておりますので、こちらへどうぞ」


なにげに初めて王城に入ったが、フリューゲル家の屋敷とは桁違いのセキュリティだな。本当にあの怪盗はどうやって侵入したんだろうか?未だに気になっていたりする。


「こちらでエリス様がお待ちしておりますので」

「わかりました。ありがとうございます」


普段ならこんなお礼なんて絶対に言わないんだが、そこは外聞を気にして意識している。王城なので、一つのミスが命取りになりかねない。


「失礼します。本日お呼ばれしたアラン・フリューゲルです」

「は、はい。エリス・イルージュです。あの…以前とは随分と印象が変わりましたね」

「はい?以前にお会いしていましたっけ?」

「まあ、そうですよね…」


今の所全く記憶に無いが、普通王族と会った経験なんて忘れるはずもないので、恐らくこれはエリス様の勘違いだろう。もしかして、婚約予定の俺に会うということで緊張してるのか?王族でもそういうことあるんだな。


「実は、以前馬車が盗賊に襲われているときに助けていただいたんです。当時は魔法が使える年齢では無かったのか剣を使っていましたが」

「俺、剣なんて使えませんよ?」

「はい?」


というか、この国で剣の修行をするようなやつなんてそうそう居ないだろう。というのも、この国は魔法主義、将来的に剣術の腕は必要なくなるのだ。ただ、俺はその物好きを一人知っている…


「まあ、俺の出来損ないの元兄が剣術の修行をしていましたが、まさかそいつのことを言っているわけじゃないでしょう?」

「今なんて…」

「ですから、魔力が少なすぎて追放された出来損ないの元兄ですよ。そいつが確か剣術をやっていたという話です」

「その方は、もしかしてセピア様ですか?」

「そうですけど、どうしてご存知で?」


正直腹が立つ。俺が知られていないのは別にいいとして、なぜあのセピアは知られてるんだ。諸事情により魔力不足を克服したらしいいとはいえ、俺より何もかも下の出来損ないだろう?そんなやつがなんでエリス様に認知されてるんだ…!


「フフフ、よくわかりました。あなたが私の命の恩人を侮辱するような最低の人間だということが」

「ちょ、ちょっと待って下さい!どういう…」

「文字通りの意味です。セピア様は私の文字通り命の恩人です。仮にその魔力不足というのが本当だとしても、あの方はそんなことで貶されるような存在じゃありません。私はフリューゲル家次期当主と聞いてお呼びしたのですが…勝手に勘違いしていたみたいですね。わざわざ来ていただいて申し訳ないですが…婚約は破棄として帰っていただけませんか?」

「あ、あの…」

「追加報酬はお金を入金しておきますので」


なにが起きたんだ?


**********


「エリス、婚約を破棄したって本当か?」

「本当です。どうやら私の心当たりがある人物はすでにフリューゲル家にはいないらしいです。追加報酬は他を当たってください」

「まあ、それは構わんが…これから何する気だ?」

「勿論、総力を上げてセピア様を探し出します。フフフ、どこにいるのですか?」

「そ、そうか…」


お疲れさまです。

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