マスター君は何処へ vol6
クライマックスです。
泣けるものなら泣いてみてください。
「アラン様、それが禁呪とされていることを理解してるのですか?」
「ああ勿論。俺が積んだ鍛錬の一つが『躊躇いを捨てる』ことなんだよ」
「狂ってる…くるっています…」
禁呪と言われるのには理由がある。それは…
「おぉ…早速来たか」
「そのまま続けると、精神が壊れてしまいます」
使用者に、多大なる負担がかかってしまうことだ。アランが自身の状態の判断を誤れば、すぐさま精神が崩壊したのちに消えてしまうだろう。身も、心も。
「そこまでして、セピア様を殺したいんですか…」
「別に、俺はあいつを殺すつもりはない。だって…殺してしまったらもったいないだろ?」
「何を、言って…」
「今現在、あいつは俺の権力化にある。なら、死ぬまでこき使ってやるのが筋ってものじゃないか?俺があいつに受けた辱めは、命程度じゃ済まされない」
「あなたが勝手にしたことでしょうに!」
アランは、気づかない。いや、気づくことを避けているというべきか。アランだって人間だ。一瞬ぐらい、自分が間違っているのではと思う瞬間はあるだろう。しかし、彼はもう止められない。止まることなど許されてはいない。
「まあ、今はあなたの心配をするような余裕はありません。大人しく、セピア様を返してもらいますよ!」
「『殺人弾丸』」
「なっ!?」
今のは、間違いなくユーリが使う『無属性魔法』。人間には発動できない魔族専用の魔法の筈では…
「やはり、魔族の力と言うのは果てしないな」
「魔族の、力?」
「俺の体の一部が、魔族化してるんだよ」
そういって、今までかぶっていたフードを取る。その頭には…
「角…それに牙も」
「悪魔に魂を売るとはまさにこういうことだよなぁ?ハッハッハッ!最高の気分だ!体中に、力がみなぎっていく…『地獄の開幕』!『地獄の開幕』!」
「以前より、魔力量も向上している…」
先程から消費量の大きい魔法をポンポン放ってくるが…もともと多かった魔力量が、今の魔族の体によってさらに底上げされている。これは…厳しいかもしれない。
「いや…なんとしてでも、セピア様を連れ戻します!」
私は、絶対に負けられない!
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やあやあ、脱出のセピア君です。僕は現在、地上を目指している最中だったりする。ただ…
「なんでこんなに見張りがいるんだ!」
恐らくだが、僕が万が一逃げ出した際のことも考えていたのだろうか。ただ、外で起きているであろう事態に対処するべきか戦闘に秀でていそうな人は少ない。これなら…
「行ける!セェア!」
意識外からの攻撃。人間には五感しかないから、こういった方法は非常に有効なのだ。
「ああぁ!て、敵襲ー!」
まあ、そりゃ応援を呼ばれるよなぁ…どこにそこまでの人員がいるのか理解できないほどに人が集まってくる。最近ご無沙汰の剣術でこの数の相手をするのか…
「これは、結構な長丁場になりそうだなぁ…」
**********
「はぁ、はぁ…」
なんとか処理しきった。それぞれの戦力はそこまでなんだけど、連県が上手すぎる。そして幸運なことに、相手に魔導士が居たみたいだ。攻撃も回復も、魔導書が結構な数あった。
「ちょっと拝借して…まずは回復かな『回復』」
…何も反応しない。あれ、使い方を間違ったかな?いや、そもそも間違いようがないんだけど…
「あっ!光属性だからか!」
僕は普段、回復系統の魔法の光属性適性を要する性質を削除したものを使っている。おかげですっかり忘れていたのだが、そういえば回復魔法が使える人って結構レアだったんだよな…
「どうしようか…つまりこの魔導書もすべて使えないのか…」
これだけの文字通り『宝』を前にして使えないなんて…
「しょうがない。このまま進むか…」
さては、さっきの戦闘で戦力を使い果たしたな?そこからは、驚くほど簡単に歩みを進めることができた。
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「はぁ、はぁ…」
もう、限界。食らった闇属性魔法の影響が、かなり出ているようだ。もちろん、それは相手も例外ではないようですけど…
「もうあきらめろ。お前は、どれだけやっても俺には勝てないんだ!」
「仮にそうであっても、セピア様を前にしてあきらめるわけにはいきません…」
「くっ…」
こうは言ったものの、私にもう戦うだけの戦力は残っていない。本当に、ここが諦め時なのかも…
「アリス、待たせちゃってごめんね。ここからは、僕が引き受けるから」
「…っ!」
ああ、この声は。この、私を安心させてくれる、世界一大切な人…
「セピア様!」
「なんで、お前がここにいるんだ…」
「なんでって…愛する使用人の絶望的状況だから、かな?」
お疲れ様です。
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一度くらい逆お気に入り登録されてみたい…




