マスター君は何処へ vol3
今週末は模試です。
勿論勉強なんてしていません。
〈どこからか、視線を感じます…〉
思えば、先ほどからあからさまに静かすぎる。何か、監視されているような視線を感じる…
〈どこにいるんですかぁ?〉
残念ながら私の声は聞こえないので、煽って出てこさせるわけにもいきませんし…
〈まあいいです。襲ってきたら随時対処でいいでしょう〉
何せこちとら白竜。人間の反射神経などとうに越している。
**********
「オラァア!」
〈ッフ!〉
その後も、定期的に族が襲ってくる。ホント、襲ってくるなら一気に襲って来てくれないですかね?いちいち対処するのが面倒なんですけど。どうせ、人間の奇襲ならしっかりと対処できますし。
「ハァア!」
〈またですか、もういい加減に…〉
「オラァくたばれや!」
〈!!〉
周期的に来ていた奇襲とは打って変わって、タイミングをずらした攻撃。でも大丈夫。2対1なら全然さばけるはず…
「こっちもだ!」
「とうとう追い詰めたぞ!」
〈ちょっと、急にギア上げてくるのやめてくれませんかね!?〉
不規則に襲ってくる、視界外からの攻撃。私もなんとか応戦しますが、いずれボロが出てくるもの…
〈ッ!〉
一発掠ってしまった。でも、これぐらいなら…
〈ッ!…あ、また〉
これだけ統制が取れている相手だ。私が一瞬見せた隙を見逃すわけもなく…あっという間に相手の流れに傾き、連撃を入れられてしまう。
〈これ…本格的にヤバいかもしれませんね…〉
今はまだ致命傷は受けていない。ただ…今の私は大した防御力もなければ、防具もつけていない。一発でもちゃんと当たれば…
〈ゥアッ!〉
痛い。傷口が熱い。人間の姿で食らう刃って、こんなにも痛かったんですね…
「おっと、勢いがなくなってきたなぁ?」
「オラァ、これで終わりだ!」
ごめんなさい、マスター。私は、自分の力を過信した結果…こうなってしまいました。白竜の姿に戻れない不利な状況で、慢心した私の落ち度です。
そう思い、自身の行く末を見守っていると…
〈あれ?なんで…無事なんですか?〉
「遅くなりましたね」
「ゴメンネー、ちょっと呪いの解除に時間かかっちゃって」
「ここからは、私たちも応戦します」
「待っててね、セピア君!」
**********
数時間前…
「ねえ、何か忘れている気がしない?
「そうですか?私は特に何も…」
「嘘。これほどまでに心が満たされない感覚は久しぶり。まるで…魔王幹部時代の様」
ユーリは、そこはかとない喪失感を感じていた。こう、普段からそこにあるのが当たり前で、その環境に慣れていたからこそ失うと大きい物…
何?何?私は何を忘れている?思い出せ、思い出せ!これだけ自分の中で大きな存在なんだ。そう簡単に忘れるわけ…
「っ!セピア君!」
「セピア…セピア様がいません!」
「なんで、私達忘れてたの?」
「わかりませんが…」
そう困惑しているアリスの顔をよく観察してみると…
「ねえ、顔に呪いが使われた跡があるわよ」
「本当ですか?」
「もしかしたら、私たちはセピア君を連れ去っていった人たちに呪いをかけられたのかもしれないわね。『記憶改ざん』をね」
「…セピア様、今助けに行きますからね!」
「もしかしたら、さっきハピネスが飛び出していったのはそういうこと?」
「白竜であるハピネスなら、セピア様の位置ぐらい感じ取れるんでしょうね。ということは…」
「空をどでかい竜が飛んでなかったかと聞き込みを行えば…」
「「自然と、場所は特定できる!」」
ちなみに、呪いの自己解呪に至ったのは歴史上でこの二人が初めてだそうな。
お疲れ様です。
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