第92話 お風呂の約束
ユウェンスと住民には帰って貰い、俺はフルクを連れて屋敷の中へ。
「みんな、聞いてくれ」
お茶を楽しんでいたマルガとカルニに話しかけた。
「慌てなさって、どうしたんですか主様」
「マルガ、大変だ。全土で若い娘が攫われているらしい」
「なんですって!?」
「ビックリする気持ちは分かる。俺も驚いているよ。この四分統治は、最強の守りによってモンスターの侵入は許されていない。にも拘わらず事件は起きた。これが何を意味するのか……」
俺はカルニに視線を向けた。
紅茶を優雅に啜る元魔王の秘書。
ド派手な露出度の高い服装で、胸元を強調している。てか、俺に見せつけている!! 無論、俺の視線は自然にそこへ――。
「アウルムさん! めっ、ですっ!」
フルクから怒られてしまった。
イカンイカン。
「やっぱり、アウルム様はあたしの胸が一番ですよね!」
そりゃこの中では一番、豊満だからな! なんて思っていると、フルクが手で俺の目元を隠す。これ以上見たら、嫌われちゃいそうだ。このままでやり過ごそう。
「これで安心ですっ」
「……あ、ああ。それより、カルニ、お前に心当たりはないのか。ほら、ルードスだよ。アイツの気配とか」
「それはあり得ないですね。この国はあまりに強大。そう易々と近寄って来れないでしょう」
カルニが言うんだ、間違いはない。
となると、内部の犯行か。
「マルガ、君には調査を頼みたい」
「わたくし、ですか」
「ああ、マルガは内情に詳しいだろう。各『イニティウム』、『パルウァエ』、『カリブルヌス』を回り、調査してくれ」
「分かりました。報酬は、二人きりでお風呂に入って下さいね」
「――なッ」
マジかよ。それが報酬だなんて……まあ、マルガのやる気が出るなら、安い物か。
「分かったよ。それでいいから頼む」
「本当ですかぁ! では、頑張りますっ♡」
やる気がかなり出たのか、マルガは立ち上がり飛び上がった。こんな嬉しそうにされると、もう止められない。
「じゃあ、何か分かり次第頼むよ」
「はいっ、主様♡」
マルガは元気よく去っていく。
よしよし、いい子だ。
と、俺はフルクとカルニの方へ振り向くと――
「うわっ! 二人とも、顔怖いな」
「アウルムさん! マルガさんと二人きりでお風呂だなんて!」
「そうですよ、フルク様のおっしゃる通り。なんて約束をするんですか!」
あ~、やっぱりこうなったか!
ええい、仕方ない。
話を逸らす為にも……お?
外が騒がしいな、まだユウェンス達がいるのか。丁度いい、俺は誤魔化すようにして屋敷を出た。
フルクとマルガは慌てて俺を追いかけてくる。
「逃げないで下さい、アウルムさん! わたしとも一緒にお風呂入ってください!」
「あたしも同じく!」
二人とも、どんだけ俺と一緒にお風呂入りたいんだー!
面白いと思ったら「いいね」、「★★★★★」、「ブクマ」をしていただけると嬉しいです。




