第47話 オークション会場
――メディオクリタース共和国――
転移アイテム・アベオの葉を使い、共和国まで飛んだ。いつもの大通りに到着。
「おー、こっちも相変わらず沢山の人種でいっぱいだな」
「今日は、朝からお祭り騒ぎのようですね」
なにかイベントでもやっているのかもな。
はぐれてしまわないよう、フルクには気を遣わないと。背が低いし、見失うと大変だ。
「フルク、手を握っていいかい?」
「も……もちろん、いいですよ」
緊張ながらも右手を取った。
フルクも手を握り返してくれる。
「「……」」
二人して見つめあっていると、マルガが涙目になって膨れた。
「……あ、主様。わたくしは!?」
「え?」
「え!? なるほど、理解しました。放置プレイは寧ろ好物ですから――」
「分かった分かった! 大声で言うな!」
危険すぎるマルガの手を取り、仲良く向かった。まったく、ヘンタイさに磨きが掛かりすぎだろう……。
◆
フルクの情報によれば【アイテムボックス拡張】スキルは、オークション会場で出品されるらしい。俺たちの資金は2億ある。余裕で買えるだろう。
「ここか」
広場には、数百人の冒険者。
どいつもこいつもレアアイテムやスキルを求めてやって来たギルドやパーティ。あらゆる人種が集結していた。
「エルフ、ドワーフは当たり前のようにいますね」
珍しくもないとマルガは詰まらなさそうに見物していた。すると、誰かにぶつかられていた。
「……きゃっ」
「おい、メイド。なにぶつかってんだ」
オーク系獣人の男がマルガを見下す。
俺は直ぐにマルガを庇う。
「あ、主様……」
「ここは任せろ。おい、アンタ。ぶつかって来たのはそっちだろう」
「んだとォ! 人間の分際で俺様に口答えする気か。お前の脆弱な体なんぞ、この牙で簡単に引き千切れるんだぞ……」
ギラッと鋭い牙を見せつけてくる。
「そりゃすごい。じゃあな」
「待てやゴラァ!!」
俺の肩を引っ張ってくるなり、牙が襲ってくる。
腕でガードすると、牙が貫通した。
「――ぐッ!」
「フハハハ! お前の腕を噛み千切ってやる」
「うるせぇよ、レベル投げええッ!!」
「ふぇ!? うおあああああああああああああ!!!」
ドンっと飛んでいくオーク野郎は、誰かに激突しそうになって、その男に蹴り飛ばされていた。……あーあ。
「アウルムさん、腕を治療しますね……」
フルクがヒールをくれて、腕を治してくれた。裂傷がどんどん塞がり癒えていく。……あぶねぇ、腕を持ってかれる所だったぜ。
「ありがとう。あんなヤツもいるんだな」
「あ、あの……主様」
「ん、どうした」
「助けて戴き、ありがとうございました。わたくしのせいで……」
珍しく反省するマルガの手は震えていた。いや、足もか。
「あのオークが悪かったんだよ。ていうか、オークの獣人がいるとか……共和国とはいえ、自由すぎやしないか」
オークといえば、魔王軍でよく見かけた存在。だから、余計に疑問に思った。……まさかなと思っていると、そんな間にもオークションは開始された。
『皆様、会場にお集まりいただきありがとうございます! ただいまより、オークションを開始いたします! たくさんのレアアイテムが出品されますので、ご期待ください!』
「始まるな。よし、フルク、マルガ。行こうか」
が、マルガが俯いたまま立ち止まっていた。
「どうした」
「……主様」
昨日とはまるで違った雰囲気で抱きつかれて、俺は震えるマルガを落ち着かせた。……そっか、怖かったんだな。
綺麗なクリーム色の髪を撫でると、マルガの震えは止まった。こう、しおらしいと可愛げがあるっていうか、余計に守ってあげたくなるじゃないか――。
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